今回はシンガー・ソングライター(SSW)のランキングを作成しました。
ただし以下の曲は対象外にしました。
・単体でランキング記事を書く予定のアーティスト
・ロックやソウル色の強い曲、ポップすぎる曲
・ウッドストック関連
・スワンプ・ロック
ウッドストックとスワンプ・ロックについては、別途ランキング記事を書く予定です。
取り上げたい曲が多すぎるので、このぐらい制約があった方が選曲時の負担が軽減されます。
長く聞けそうな、じんわり沁みる曲をお聞きください。
- 1 1位 Pete Dello & Friends「It’s What You’ve Got」(アルバム:Into Your Ears)
- 2 2位 Nicky Hopkins「Waiting for the Band」(アルバム:The Tin Man Was a Dreamer)
- 3 3位 Steve Forbert「Romeo’s Tune」(アルバム:Jackrabbit Slim)
- 4 4位 Stephen Stills「Love The One You’re With」(アルバム:Stephen Stills)
- 5 5位 Lambert & Nuttycombe「Morning」(アルバム:At Home)
- 6 6位 Barry Goldberg「Minstrel Show」(アルバム:Barry Goldberg)
- 7 7位 Jesse Winchester「The Brand New Tennessee Waltz」(アルバム:Jesse Winchester)
- 8 8位 Jim Capaldi「Eve」(アルバム:Oh How We Danced)
- 9 9位 Randy Edelman「Everybody Wants To Find A Bluebird」(アルバム:Prime Cuts)
- 10 10位 Jackie Lomax「Take My Word」(アルバム:Is This What You Want?)
- 11 11位 Tennent & Morrison「Good For You」(アルバム:Tennent & Morrison)
- 12 12位 Dave Frishberg「One Horse Town」(アルバム:Oklahoma Toad)
- 13 13位 Roger McGuinn「Peace On You」(アルバム:Peace On You)
- 14 14位 Eric Andersen「Blue River」(アルバム:Blue River)
- 15 15位 Duncan Browne「I Was, You Weren’t」(アルバム:Give Me Take You)
- 16 16位 Guy Clark「Desperados Waiting for a Train」(アルバム:Old No.1)
- 17 17位 Alan Hull「I Hate To See You Cry」(アルバム:Pipedream)
- 18 18位 Robert Lester Folsom「Music and Dreams」(アルバム:Music and Dreams)
- 19 19位 Crazy Horse「Crazy Horse」(アルバム:I Don’t Want to Talk About It)
- 20 20位 Alan Price Set「Love Story」(アルバム:A Price on His Head)
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1位 Pete Dello & Friends「It’s What You’ve Got」(アルバム:Into Your Ears)
■アーティスト名:Pete Dello & Friends
■アーティスト名カナ:ピート・デロ & フレンズ
■曲名:It’s What You’ve Got
■アルバム名:Into Your Ears
■アルバム名邦題:イントゥ・ユア・イアーズ
■動画リンク:Pete Dello & Friends「It’s What You’ve Got」
このアルバムは、私の「人生の10枚」に入ります。
いつもはとっておきの時にしか聞きませんが、今回はどの曲にするか決めるため久しぶりに聞き直しました。
しかし聞き直していつも思うのは、本当にすばらしい作品だということ。
迷った末この曲を1位にしましたが、同水準の曲ばかりですし。
ポール・マッカートニー(Paul Mccartney)を素朴でナイーヴにした感じかもしれません。
まずイントロのハーモニーからメルヘンの世界に引き込まれます。
この人は元々ハニーバス(The Honeybus)というバンドに在籍していました。
ハニーバス出身者では他にコリン・ヘア(Colin Hare)のソロ・アルバムもすばらしいです。
2位 Nicky Hopkins「Waiting for the Band」(アルバム:The Tin Man Was a Dreamer)
■アーティスト名:Nicky Hopkins
■アーティスト名カナ:ニッキー・ホプキンス
■曲名:Waiting for the Band
■曲名邦題:ウェイティング・フォー・ザ・バンド
■アルバム名:The Tin Man Was a Dreamer
■アルバム名邦題:夢見る人
■動画リンク:Nicky Hopkins「Waiting for the Band」
セッション・ミュージシャンとして有名な人です。
彼はビートルズ(The Beatles)、ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)、キンクス(The Kinks)、ザ・フー(The Who)など、イギリス4大バンドのレコーディングに参加した人です。
普段は裏方の彼が自分名義でリリースしたのがこのアルバム。
この曲はセッション・ミュージシャンが、バンドを待っている間の不安な気持ちが歌われています。
もしバンドのメンバーがスタジオに来なかったら、僕は他に生き残る方法を見つけなければいけないと。
彼がセッション・ミュージシャンだったのは、クローン病を患っていたからです。
そのためツアーに出ることが困難だったのだとか。
体調が良い時は、ツアーに同行していたようですが。
さてこのアルバムのタイトル「The Tin Man Was a Dreamer」を訳すと「このブリキ男は夢見る人だった」となります。
過去形なのが少し気になります。
3位 Steve Forbert「Romeo’s Tune」(アルバム:Jackrabbit Slim)
■アーティスト名:Steve Forbert
■アーティスト名カナ:スティーヴ・フォーバート
■曲名:Romeo’s Tune
■曲名邦題:ロミオの歌
■アルバム名:Jackrabbit Slim
■アルバム名邦題:ジャックラビット・スリム
■動画リンク:Steve Forbert「Romeo’s Tune」
アルバムにはこの曲について「シュープリームスのフローレンス・バラードに捧げる」と記載されています。
しかし元々は他の女性を想定して書かれた曲。
実際はフォーバートの出身地ミシシッピー州時代のある女性について書かれた曲なのだそうです。
熱烈に求愛している歌詞内容から、おそらく2人は恋人関係にあったのでしょう。
邦題の「ロミオの歌」も直訳ですし。
しかしフローレンス・バラードが亡くなったニュースを聞いて悲しくなり、とっさに彼女に捧げることにしたそうです。
ともあれこのエピソードからも、感じやすい彼の一面がうかがえますね。
ナイーヴな彼のこの曲は、今でもエバーグリーンな魅力を放っています。
4位 Stephen Stills「Love The One You’re With」(アルバム:Stephen Stills)
■アーティスト名:Stephen Stills
■アーティスト名カナ:スティーヴン・スティルス
■曲名:Love The One You’re With
■曲名邦題:愛への讃歌
■アルバム名:Stephen Stills
■アルバム名邦題:スティーヴン・スティルス
■動画リンク:Stephen Stills「Love The One You’re With」
この記事はシンガーソングライター特集ですが、時期と曲調をかなり絞り込みました。
時期的には、1960年代末から1970年代半ばを対象にしています。
それ以外の曲は対象外にしました。
加えて曲調もセンチメンタルな曲ばかり選曲しています。
そうして選んだ候補曲の原案リストを見て、私は少し単調かもしれないと思いました。
またこのブログでは無名曲ばかりを取り上げないようにしています。
入門者向けのブログですから、マニア向けの記事にはしたくありません。
そこで選曲を見直して、この曲を含めチェンジ・オブ・ペースとなりそうな有名曲に入れ替えました。
フリーソウルのコンピにも収録されたこの曲は、初めて聞く方には一番インパクトを与えられますし。
後半のポリリズミカルで異端の高揚感は、何度聞いても気分が高鳴ります。
5位 Lambert & Nuttycombe「Morning」(アルバム:At Home)
■アーティスト名:Stephen Stills
■アーティスト名カナ:スティーヴン・スティルス
■曲名:Love The One You’re With
■曲名邦題:愛への讃歌
■アルバム名:Stephen Stills
■アルバム名邦題:スティーヴン・スティルス
■動画リンク:Lambert & Nuttycombe「Morning」
彼らはデニス・ランバート(Dennis Lambert)とクレイグ・ナッティカム(Craig Nuttycombe)の2人組です。
アメリカ、ロサンゼルス出身のフォーク・デュオで、これともう1枚アルバムを残しています。
シンガー・ソングライターといえば、1人のことと思う方がいらっしゃるかもしれません。
しかし意外と2人構成も少なくありません。
私の考えでは歌と演奏のコンビは違うと思いますが、2人ともSSWだった場合はシンガーソングライターに含めます。
その点この2人はどちらも単独で活動していますので、全く問題ありません。
この曲では2人が同時に歌ってますね。
ギターと2人の声という最小構成から生まれた音楽は、シンプルで素朴、しかし繊細な味わいを持った料理のようです。
内省的な曲ですが、ギターが刻むやわらかなワルツが華やいだ空気を醸し出しています。
6位 Barry Goldberg「Minstrel Show」(アルバム:Barry Goldberg)
■アーティスト名:Barry Goldberg
■アーティスト名カナ:バリー・ゴールドバーグ
■曲名:Minstrel Show
■曲名邦題:ミンストレル・ショウ
■アルバム名:Barry Goldberg
■アルバム名邦題:バリー・ゴールドバーグ
■動画リンク:Barry Goldberg「Minstrel Show」
彼は作曲家として活動してきた人です。
このアルバムに収録されている「それはスポットライトではない(It’s Not the Spotlight)」は、ロッド・スチュワート(Rod Stewart)がカバーしたことで知られています。
しかし本来この人はR&B畑出身です。
彼が曲を提供してきた人も、パーシー・スレッジ(Percy Sledge)やグラディス・ナイト(Gladys Knight)など、そういう人ばかり。
ダン・ペン(Dan Penn)などR&Bから出てきた人には、時々表現力モンスターがいますね。
さてこのアルバムは、アトランティック・レコード(Atlantic Records)の看板プロデューサーであるジェリー・ウェクスラー(Jerry Wexler)とボブ・ディラン(Bob Dylan)が共同でプロデュースしています。
この曲にはボブ・ディランの影響を感じます。
同年ディランは「血の轍(Blood on the Tracks)」をレコーディングしました。
この曲はいかにも当時のディランが歌いそうな感じがしないでしょうか。
7位 Jesse Winchester「The Brand New Tennessee Waltz」(アルバム:Jesse Winchester)
■アーティスト名:Jesse Winchester
■アーティスト名カナ:ジェシ・ウィンチェスター
■曲名:The Brand New Tennessee Waltz
■曲名邦題:ザ・ブラン・ニュー・テネシー・ワルツ
■アルバム名:Jesse Winchester
■アルバム名邦題:ジェシ・ウィンチェスター
■動画リンク:Jesse Winchester「The Brand New Tennessee Waltz」
このアルバム・ジャケットを見て、手配写真かと思った方がいるかもしれません。
しかしそれはあながち間違いではありません。
この人はアメリカ生まれです。
しかしベトナム戦争の徴兵を忌避するため、カナダに移住してカナダ国籍を取得しました。
そのせいかこの作品はザ・バンド(The Band)のロビー・ロバートソン(Robbie Robertson)がプロデュースしました。
ロビー・ロバートソンはカナダ人です
ロビーはギターでも大活躍していて、以下の曲ではらしいギターを披露しています。
アメリカで徴兵逃れは重い罪らしく、彼は本国アメリカに戻れば逮捕される立場でした。
この曲はカナダに移住した後の彼が、昔住んでいたテネシー州のことを歌った曲です。
8位 Jim Capaldi「Eve」(アルバム:Oh How We Danced)
■アーティスト名:Jim Capaldi
■アーティスト名カナ:ジム・キャパルディ
■曲名:Eve
■曲名邦題:イヴ
■アルバム名:Oh How We Danced
■アルバム名邦題:オー・ハウ・ウィ・ダンスド
■動画リンク:Jim Capaldi「Eve」
この人はトラフィック(Traffic)のドラマーですが、自分名義のアルバムもリリースしています。
彼はスティーヴ・ウィンウッド(Steve Winwood)の影に隠れがちかもしれません。
しかしこのデビュー・アルバムを聞くと、ジムもかなりの才能の持ち主であることが分かります。
このアルバムでは本職のドラムを人に任せて、自ら曲を書き歌うことに専念しています。
その結果シンガー・ソングライターの隠れ名盤と呼ばれるすばらしい作品に仕上がりました。
このアルバムは演奏面にもご注目ください。
この曲のバックは、マッスル・ショールズ・リズム・セクション(Muscle Shoals Rhythm Section)が担当しています。
後半の盛り上がりは、まるでソウル・レビューみたいではないでしょうか。
9位 Randy Edelman「Everybody Wants To Find A Bluebird」(アルバム:Prime Cuts)
■アーティスト名:Randy Edelman
■アーティスト名カナ:ランディ・エデルマン
■曲名:Bluebird
■曲名邦題:夢の青い鳥
■アルバム名:Prime Cuts
■アルバム名邦題:プライム・カッツ
■動画リンク:Randy Edelman「Everybody Wants To Find A Bluebird」
この曲の歌詞を引用して翻訳します。
どこに行けば我々は青い鳥を見つけられるのだろう(中略)
それでも探し続けよう
まだ希望は消え去ってはいない
なぜなら君は希望を見つけられるのだから
https://www.lyricsfreak.com/r/randy+edelman/everybody+wants+to+find+a+bluebird_20869502.html
現在彼は映画音楽の作品を数多く手がけている超売れっ子です。
この人には日本語や英語のウィキペディアがありますが、その記事では映画音楽の業績で埋め尽くされています。
彼はシンガーソングライターとして、商業的に成功しませんでした。
しかしその代わり彼は、映画の世界で青い鳥を見つけたようですね。
10位 Jackie Lomax「Take My Word」(アルバム:Is This What You Want?)
■アーティスト名:Jackie Lomax
■アーティスト名カナ:ジャッキー・ロマックス
■曲名:Take My Word
■曲名邦題:テイク・マイ・ワード
■アルバム名:Is This What You Want?
■アルバム名邦題:イズ・ディス・ホワット・ユー・ウォント?
■動画リンク:Jackie Lomax「Take My Word」
この人はビートルズ(The Beatles)のレーベル、アップル・レコード(Apple Records)に所属していました。
しかしアップル・レコードは運営はあまりにお粗末すぎました。
あえて辛辣な言葉を使いましたが、実際悲劇のバンド、バッドフィンガー(Badfinger)もそうですが、所属アーティストはかなり運営に振り回されました。
そうしてビートルズが解散した後は、所属アーティストはお払い箱になりました。
ジャッキー・ロマックスも翻弄された1人です。
この曲はアップルからリリースされたデビュー・アルバムから選びました。
アップル・レコードの運営はひどかったですが、ビートルズのメンバーはレーベルのアーティストに積極的にコミットしました。
このアルバムは、ジョージ・ハリスン(George Harrison)がプロデュースしています。
11位 Tennent & Morrison「Good For You」(アルバム:Tennent & Morrison)
■アーティスト名:Tennent & Morrison
■アーティスト名カナ:テネント & モリソン
■曲名:Good For You
■曲名邦題:グッド・フォー・ユー
■アルバム名:Tennent & Morrison
■アルバム名邦題:テネント & モリソン
■動画リンク:Tennent & Morrison「Good For You」
シンガー・ソングライターのアルバムには、隠れ名盤と呼ばれるものがあります。
ただほとんどの隠れ名盤には、ここで紹介したいと思えるほど突出した曲はありません。
むしろ抜きん出ていない地味な曲を、じっくり噛みしめるところが良いという感じがします。
そうした中でこの曲は、突出した魅力を持った曲です。
彼らはジョン・テネント(John Tennent)とデイヴ・モリソン(Dave Morrison)という英国出身の2人組。
この曲はデイヴの方が主導権を握った、イノセントでとてもみずみずしい曲です。
2人のシンガー・ソングライターがコンビを組むことのメリットは、ハーモニーにあります。
この曲ではサビで低い声のジョンが加わり、よりふくよかなハーモニーになりました。
後はオルガンの演奏もすばらしいですね。
このアルバムは、私が所有しているシンガー・ソングライターのディスク・ガイドに掲載されていません。
専門書にも掲載されていない知名度の低いアルバムですが、いつまでも「隠れた」「幻の」という扱いのままではいけないと思っています。
12位 Dave Frishberg「One Horse Town」(アルバム:Oklahoma Toad)
アーティスト名:Dave Frishberg
■アーティスト名カナ:デイヴ・フリッシュバーグ
■曲名:One Horse Town
■曲名邦題:ワン・ホース・タウン
■アルバム名:Oklahoma Toad
■アルバム名邦題:オクラホマ・トード
■動画リンク:Dave Frishberg「One Horse Town」
この曲はジャズ・ボーカルのランキング記事でも取り上げました。
しかし本来はこちらで取り上げるべき曲です。
この人はジョン・サイモン(John Simon)と同じく、ロックに基盤を置いていない人です。
この記事で私は選曲する曲をかなり絞り込みました。
冒頭でも少し書きましたが、補足すると洗練されていたり、AOR色が強い曲も除外しています。
私はこの記事をセンチメンタルな曲だけで埋め尽くしたいと思いました。
胸を苦しくさせ感傷的な気分をかき立て、胸をかきむしりたくなるような。
その趣旨からするとこの曲は外せません。
後は単調になりすぎないこと、英米の比率、有名無名の塩梅にも配慮しました。
13位 Roger McGuinn「Peace On You」(アルバム:Peace On You)
■アーティスト名:Roger McGuinn
■アーティスト名カナ:ロジャー・マッギン
■曲名:Peace On You
■曲名邦題:ピース・オン・ユー
■アルバム名:Peace On You
■アルバム名邦題:ピース・オン・ユー
■動画リンク:Roger McGuinn「Peace On You」
ザ・バーズ(The Byrds)は不思議なバンドです。
ザ・バーズ出身者は、バンドの外で輝きを放ちます。
グラム・パーソンズ(Gram Parsons)を筆頭に、クラレンス・ホワイト(Clarence White)、ジーン・クラーク(Gene Clark)、デヴィッド・クロスビー(David Crosby)、ジーン・パーソンズ(Gene Parsons)など。
彼らのベスト・ワークは、ザ・バーズ外であることが珍しくありません。
この人もザ・バーズ出身です。
個性の強い才能のあるアーティストばかりだと、実力を発揮しにくいのかもしれません。
ジーン・クラークの以下の曲も、ランクイン相当です。
ジーン・クラークは単独で記事を書くかもしれないので除外しましたが、おすすめ曲のリンクを貼っておきます。
14位 Eric Andersen「Blue River」(アルバム:Blue River)
■アーティスト名:Eric Andersen
■アーティスト名カナ:エリック・アンダーソン
■曲名:Blue River
■曲名邦題:ブルー・リバー
■アルバム名:Blue River
■アルバム名邦題:ブルー・リバー
■動画リンク:Eric Andersen「Blue River」
元々この人はフォーク・シンガーとしてデビューしました。
私見によればフォーク・シンガーとシンガー・ソングライターの違いは、フォーク・ソング(伝承歌)を歌っているかどうかです。
フォーク・シンガーとは基本的にフォーク・ソングを歌う人なので、必ずしも自分で曲を書く必要がありません。
ただ中にはボブ・ディラン(Bob Dylan)のように、自分で曲を書く人もいますが。
この人も曲を書ける人でしたが、ここにきて作曲の才能が全面開花した感があります。
このアルバムの魅力は、情感豊かなメロディです。
全体的にトツトツと歌っていて、決して大声で歌い上げようとはしません。
ただその抑制ゆえにメロディがより一層沁みてきます
この曲ではジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)が神々しいバック・ボーカルを聞かせくれます。
15位 Duncan Browne「I Was, You Weren’t」(アルバム:Give Me Take You)
■アーティスト名:Duncan Browne
■アーティスト名カナ:ダンカン・ブラウン
■曲名:I Was, You Weren’t
■曲名邦題:ギヴ・ミー・テイク・ユー
■アルバム名:Give Me Take You
■アルバム名邦題:ギヴ・ミー・テイク・ユー
■動画リンク:Duncan Browne「I Was, You Weren’t」
この記事では、アメリカとイギリスの比率に配慮しました
ブリティッシュ・フォーク色の強い人と単独記事にする人は、最初から対象外にしましたが。
とはいえ、この人にもブリティッシュ・フォークの影響を感じなくもありません。
イギリスとアメリカのシンガーソングライターはギターの演奏が違います。
またイギリスのシンガーソングライターは、室内楽の要素が目立つ点も。
加えてポール・マッカートニー(Paul McCartney)のようなポップ・センス、独特の湿り気を帯びたメロディ。
それらはイギリスに多い要素です。
またこの記事では良い曲をご紹介しようとするあまり、私は少し気負っていたかもしれません。
そこで選曲の最終選考で、数曲を軽めの曲に入れ替えました。
この紅茶の似合う小粋なイギリスらしい曲が、この記事に良いバランスをもらたしてくれたらいいのですが。
16位 Guy Clark「Desperados Waiting for a Train」(アルバム:Old No.1)
■アーティスト名:Guy Clark
■アーティスト名カナ:ガイ・クラーク
■曲名:Desperados Waiting for a Train
■曲名邦題:デスペラード・ウェイティング・フォー・ザ・トレイン(汽車を待つ無法者のように)
■アルバム名:Old No.1
■アルバム名邦題:オールド・タイム・フィーリング
■動画リンク:Guy Clark「Desperados Waiting for a Train」
この曲は名曲との誉れが高くナンシー・グリフィス(Nanci Griffith)を含む、多くのシンガーがこの曲を取り上げています。
この曲はデビュー・アルバムの曲ですが、当時彼は既に36歳になっていました。
それまでガイ・クラークは職を転々としていましたが、ようやくデビューにこぎつけました。
この人は基本的にカントリー畑の人です。
しかしこの曲を聞いて分かるとおり、普通のカントリーとは少し違った持ち味があります。
それはこの人が、レッドネック・カントリーの流れから出てきたことが影響しているかもしれません。
「レッドネック」というのは「首の日焼け」のことで、肉体労働に従事している貧しい白人を指す蔑称です。
それは彼自身のことでもありました。
彼は商業的なメジャーのカントリー・シーンとは異なり、社会の片隅でひっそり生きる人に目を向けました。
この曲で主人公は、年老いた友人を失ったようです。
死の前に老人はこう言ったそうです。
「神よ、これまで私が掘ってきた井戸は無駄だったのか」
シンガーソングライターという音楽は、個人の視点が表れやすいです。
この曲には社会からはじかれた弱者に対する優しい目線を感じます。
17位 Alan Hull「I Hate To See You Cry」(アルバム:Pipedream)
■アーティスト名:Alan Hull
■アーティスト名カナ:アラン・ハル
■曲名:I Hate To See You Cry
■曲名邦題:アイ・ヘイト・トゥ・シー・ユー・クライ
■アルバム名:Pipedream
■アルバム名邦題:パイプ・ドリーム
■動画リンク:Alan Hull「I Hate To See You Cry」
アラン・ハル(Alan Hull)とは誰かと思われるかもしれません。
彼はリンディスファーン(Lindisfarne)の中心人物です。
リンディスファーンはいずれ単独記事を書く予定ですが、その前にソロの曲をご紹介しましょう。
イギリスのシンガー・ソングライターは諧謔的というか、皮肉が利いています。
それはモンティ・パイソン(Monty Python)からも分かりますが。
このアルバム・ジャケットは、シュールレアリズムの画家ルネ・マグリットの作品を使用されています。
このジャケットを見るといつも私は、ケストレル(Kestrel)のジャケットを思い出します。
この曲は「私はあなたが泣くのを見るのが嫌いです」という曲名です。
しかし「私の夢は干上がった、しかしなぜそうなるのか私は言えません」と続いています。
めちゃくちゃ意味深ですね(笑)
実に英国ポップらしい歌詞かもしれません。
18位 Robert Lester Folsom「Music and Dreams」(アルバム:Music and Dreams)
■アーティスト名:Robert Lester Folsom
■アーティスト名カナ:
■曲名:Music and Dreams
■曲名邦題:ミュージック・アンド・ドリームス
■アルバム名:Music and Dreams
■アルバム名邦題:ミュージック・アンド・ドリームス
■動画リンク:Robert Lester Folsom「Music and Dreams」
AORやシンガー・ソングライターだけに限りませんが、定番や名盤は常に移り変わります。
特にリアルタイムでかなり深くシンガー・ソングライターを掘った人でも、今の定番は一部捕捉しきれません。
もちろん私自身も例外ではありませんが。
古い音楽であっても、日進月歩でラインナップが変わっていきます。
このアルバムも、リリース当時は自主製作だったようですし。
リアルタイムでは、偶然以外にこのアルバムと出会うことはありません。
しかもシンガー・ソングライターで再評価されたのではなく、ソフトロックという違う分野で再評価されました。
私は後年再評価される作品は、質が高いと感じることが多いです。
長い時間軸の中で本来高く評価されるべき作品が正当な評価を得たような。
このアルバムは良い曲ばかりですが、もう1曲ご紹介しておきましょう。
Robert Lester Folsom – My Stove’s on Fire
19位 Crazy Horse「Crazy Horse」(アルバム:I Don’t Want to Talk About It)
■アーティスト名:Crazy Horse
■アーティスト名カナ:クレイジー・ホース
■曲名:I Don’t Want to Talk About It
■曲名邦題:もう話したくない
■アルバム名:Crazy Horse
■アルバム名邦題:ファースト・アルバム
■動画リンク:Crazy Horse「I Don’t Want to Talk About It」
なぜこのランキングにバンドの曲がランクインしているのだろうと思われるかもしれません。
その理由は曲を聞けば分かります。
この曲はバンドの曲というより、ボーカルとギターを担当しているダニー・ウィッテン(Danny Whitten)の曲です。
個人色の強い曲を、バンド名義で発表しているにすぎません。
この曲はロッド・スチュワートなど、多くのシンガーにカバーされていいます。
ダニー・ウィッテンは重度の薬物中毒者でした。
クレイジーホースはニール・ヤングのバック・バンドですが、ついにダニーはニールから解雇されることになりました。
その後ダニーは亡くなりました。
ニール・ヤングは彼の死を知り、長い間自分を責め続けたそうです。
この曲はダニーが書いた曲です。
歌詞を読むと、ダニーはどれだけ君が僕を傷つけたかについて、もう話したくないと歌っています。
男はナイーヴな生き物なのですね。
20位 Alan Price Set「Love Story」(アルバム:A Price on His Head)
■アーティスト名:Alan Price Set
■アーティスト名カナ:アラン・プライス・セット
■曲名:Love Story
■曲名邦題:ラヴ・ストーリー
■アルバム名:A Price on His Head
■アルバム名邦題:プライス・オン・ヒズ・ヘッド
■動画リンク:Alan Price Set「Love Story」
今回はシンガー・ソングライターというテーマですが、この曲はバンド名義です。
本来シンガーソングライターは、1人か2人が対象であるべきでしょう。
しかし「アラン・プライス」の名前に「セット」を付けただけですし、少し解釈を広げて選んでみました。
しかもランディ・ニューマン(Randy Newman)のカバー曲ですし。
ただ私はこの曲が好きすぎて、どうしてもご紹介したいと思いました。
シンガーソングライター的な魅力を持った曲として。
アラン・プライスは「朝日のあたる家(The House of the Rising Sun)」で有名なアニマルズ(The Animals)のキーボードを担当していた人です。
この曲はタイトル通りラブ・ソングで、男性が女性にプロポーズしています。
私はあなたの家族が好きだし全然問題ない。将来はあなたと私と赤ちゃんで幸せに暮らそうと。
パーソナルな、しかしほほえましい曲です。
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