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シンガー・ソングライター(Singer-Songwriter)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はシンガー・ソングライター(SSW)のランキングを作成しました。

ただし以下の曲は対象外にしました。

・単体でランキングにする予定のアーティスト
・ウッドストック・サウンド関係
・スワンプ・ロック
・ロックやソウル色の強い曲

ウッドストック・サウンドとスワンプ・ロックについては、別途ランキングを作成予定です。

ただでさえ取り上げたい曲が多すぎるので、このぐらい制約を設けた方が選びやすいと思いました。

沁みる曲が多いですが、どれも私が大好きな曲ばかりです。

 

1位 Pete Dello & Friends「It’s What You’ve Got」(アルバム:Into Your Ears)

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■アーティスト名:Pete Dello & Friends
■アーティスト名カナ:ピート・デロ & フレンズ
■曲名:It’s What You’ve Got
■アルバム名:Into Your Ears
■アルバム名邦題:イントゥ・ユア・イアーズ
■動画リンク:Pete Dello & Friends「It’s What You’ve Got」
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このアルバムは、私の「人生の10枚」に入ります。

1位でもおかしくありません。

いつもはとっておきの時にしか聞きませんが、今回はどの曲にするか決めるため久しぶりに聞いてみました。

しかし、本当にすばらしい。

迷った末この曲を1位にしましたが、この曲と同水準の曲ばかりが収録されています。

この人は元々ハニーバス(The Honeybus)というバンドにいた人で、この曲は初のソロ・アルバムからです。

大まかにいえば、ポール・マッカートニー(Paul Mccartney)を、より素朴でナイーヴにした感じの人かもしれません。

まずイントロのハーモニーから、いきなりメルヘンの世界に引き込まれますね。

英国ポップが好きな人にもおすすめします。

 

2位 Nicky Hopkins「Waiting for the Band」(アルバム:The Tin Man Was a Dreamer)

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■アーティスト名:Nicky Hopkins
■アーティスト名カナ:ニッキー・ホプキンス
■曲名:Waiting for the Band
■曲名邦題:ウェイティング・フォー・ザ・バンド
■アルバム名:The Tin Man Was a Dreamer
■アルバム名邦題:夢見る人
■動画リンク:Nicky Hopkins「Waiting for the Band」
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セッション・ミュージシャンとして有名な人です。

彼はビートルズ(The Beatles)、ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)、キンクス(The Kinks)、ザ・フー(The Who)など、そうそうたるバンドのレコーディングに参加してきました。

普段は裏方の彼が、自分名義のアルバムとしてリリースしたのがこのアルバムです。

この曲はセッション・ミュージシャンをテーマにした曲で、バンドを待っている時の不安な気持ちが歌われています。

もしバンドが来なかったら、僕は他に生き残る方法を見つけなければいけないと。

彼がセッション・ミュージシャンをやっていたのは、クローン病という病を患っていたからだそうです

そのことがツアーに出ることを困難にしていました。

体調が良い時は、ツアーに同行していたようですが。

さてこのアルバムのタイトル「The Tin Man Was a Dreamer」を訳すと「このブリキ男は夢見る人だった」となります。

過去形なのが少し気になります。

 

3位 Alan Price Set「Love Story」(アルバム:A Price on His Head)

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■アーティスト名:Alan Price Set
■アーティスト名カナ:アラン・プライス・セット
■曲名:Love Story
■曲名邦題:ラヴ・ストーリー
■アルバム名:A Price on His Head
■アルバム名邦題:プライス・オン・ヒズ・ヘッド
■動画リンク:Alan Price Set「Love Story」
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今回はシンガー・ソングライターというテーマですが、この曲はバンド名義です。

本来は1人か2人ぐらいが対象となるべきでしょう。

しかし「アラン・プライス」の名前に「セット」を付けただけですし、彼が書いた曲を自分で歌っているのですから、少し解釈を広げることにしました。

それ以上にこの曲が好きすぎて、どうしてもご紹介したいと思ったのもありますが。

アラン・プライスは「朝日のあたる家(The House of the Rising Sun)」で有名なアニマルズ(The Animals)のキーボードを担当していた人です。

この曲はまずオールドタイミーな感じで始まりますが、44秒からボードビル調に変わるところが秀逸ですね。

また1:45からはテンポが速くシリアスな曲調になりますが、それもまたすばらしい。

この曲はタイトル通りラブソングで、男性が女性にプロポーズしている様子が歌われています。

私はあなたの家族が好きだし、問題ない。将来はあなたと私と赤ちゃんで幸せに暮らそうと。

とてもほほえましい曲ではないでしょうか。

 

4位 Steve Forbert「Romeo’s Tune」(アルバム:Jackrabbit Slim)

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■アーティスト名:Steve Forbert
■アーティスト名カナ:スティーヴ・フォーバート
■曲名:Romeo’s Tune
■曲名邦題:ロミオの歌
■アルバム名:Jackrabbit Slim
■アルバム名邦題:ジャックラビット・スリム
■動画リンク:Steve Forbert「Romeo’s Tune」
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邦題の「ロミオの歌」という曲名が印象的です。

この曲はアルバムに「シュープリームス(The Supremes)のフローレンス・バラード(Florence Ballard)に捧げる」と記載されていますが、事実とは異なるようです。

実際はフォーバートの出身地ミシシッピー州時代のある女性について書かれた曲だそうです。

熱烈に求愛している歌詞内容から、おそらく2人は交際していたのでしょう。

しかしフローレンス・バラードが亡くなったニュースを聞いて悲しくなり、とっさに彼女に捧げることにしたのだそうです。

シュープリームスのメンバーとスティーヴが恋仲だったとは考えにくいと思っていたら、そういう事情だったのですね。

ともあれこのエピソードからも、彼の感じやすくナイーヴな一面がうかがい知れるかもしれません。

そのナイーブゆえに、この曲は今でもエバーグリーンな魅力を放っています。

 

5位 Jim Capaldi「Eve」(アルバム:Oh How We Danced)

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■アーティスト名:Jim Capaldi
■アーティスト名カナ:ジム・キャパルディ
■曲名:Eve
■曲名邦題:イヴ
■アルバム名:Oh How We Danced
■アルバム名邦題:オー・ハウ・ウィ・ダンスド
■動画リンク:Jim Capaldi「Eve」
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この人はトラフィック(Traffic)のドラマーですが、自分名義のアルバムも出しています。

スティーヴ・ウィンウッド(Steve Winwood)の影に隠れがちですが、このデビューアルバムを聞くと、ジムもかなりの才能の持ち主であることが分かりますね。

このアルバムで彼は自ら曲を書きドラムも人に任せて、歌に専念しています。

バンドのドラマーという立場から離れて、シンガー・ソングライターといった風情のアルバムに仕上がりました。

加えてこのアルバムは演奏面にも、ご注目ください。

この曲のバックは、マッスル・ショールズ・リズム・セクション(Muscle Shoals Rhythm Section)というバンドが担当しています。

後半の盛り上がりは、まるでソウル・レビューみたいではないでしょうか。

 

6位 Lambert & Nuttycombe「Morning」(アルバム:At Home)

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■アーティスト名:Lambert & Nuttycombe
■アーティスト名カナ:ランバート & ナッティカム
■曲名:Morning
■曲名邦題:モーニング
■アルバム名:At Home
■アルバム名邦題:アット・ホーム
■動画リンク:Lambert & Nuttycombe「Morning」
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彼らはデニス・ランバート(Dennis Lambert)とクレイグ・ナッティカム(クレイグ・ナッティカム)という2人組です。

アメリカ、ロサンゼルス出身のフォーク・デュオで、これともう1枚アルバムを残しています。

シンガー・ソングライターといえば1人のことだと思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし意外とデュオ構成も少なくありません。

よくあるのは、彼らのように2人のシンガー・ソングライターがコンビを組むケースです。

この曲では2人同時に歌いギターを弾いています。

2人の声とギターという最低限の構成は、繊細な味わいを損なわないシンプルな味付けの料理に似ています。

内省的な曲ですが、ギターが刻むやわらかなワルツが、華やいだ空気を醸し出していますね。

 

7位 Mike Finnigan「New York State of Mind」(アルバム:Mike Finnigan)

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■アーティスト名:Mike Finnigan
■アーティスト名カナ:マイク・フィニガン
■曲名:New York State of Mind
■曲名邦題:ニューヨークの想い
■アルバム名:Mike Finnigan
■アルバム名邦題:マイク・フィニガン
■動画リンク:Mike Finnigan「New York State of Mind」
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1960年代後半から1970年代中盤ぐらいまでは、シンガー・ソングライターの全盛期でした。

ある程度の実績ができた人は、本来はシンガーでなくてもシンガー・ソングライターとしてデビューすることがありました。

この人も元々はキーボード奏者です。

ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)やデイヴ・メイソン(Dave Mason)のアルバムにも、キーボード奏者として参加していますし。

しかしこのデビューアルバムでは、シンガーとしてもすばらしい歌声を聞かせてくれています。

この曲はカバー曲ですが、アルバムには自作曲もあるので、ここでご紹介してもいいと判断しました。

原曲はビリー・ジョエル(Billy Joel)の名曲。

この曲は他にもいくつか印象的なカバーがありますが、オリジナルに最も肉薄しているのがこのカバーかもしれません。

彼の歌以外では、エイモス・ギャレット(Amos Garrett)のギターも聞きどころです。

 

8位 Eric Andersen「Blue River」(アルバム:Blue River)

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■アーティスト名:Eric Andersen
■アーティスト名カナ:エリック・アンダーソン
■曲名:Blue River
■曲名邦題:ブルー・リバー
■アルバム名:Blue River
■アルバム名邦題:ブルー・リバー
■動画リンク:Eric Andersen「Blue River」
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元々この人はフォーク・シンガーとしてデビューしました。

フォーク・シンガーとシンガー・ソングライターの違いは、フォーク・ソングを歌っているかどうかです。

フォーク・シンガーとは基本的にフォーク・ソング(伝承歌)を歌う人のことなので、必ずしも自分で曲を書く必要がありません。

ただ中にはボブ・ディラン(Bob Dylan)のように、自分で曲を書く人もいます。

元々この人も曲を書ける人でしたが、このアルバムではソングライティングの才能が全面開花した感があります。

このアルバムの魅力は、情感豊かなメロディです。

全体トツトツと歌っていて、決して大声で歌い上げようとはしません。

その抑制ゆえにメロディがより一層沁みてきます

この曲ではジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)もバック・ボーカルで参加していて、神々しい歌を聞かせてくれています。

 

9位 Tennent & Morrison「Good For You」(アルバム:Tennent & Morrison)

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■アーティスト名:Tennent & Morrison
■アーティスト名カナ:テネント & モリソン
■曲名:Good For You
■曲名邦題:グッド・フォー・ユー
■アルバム名:Tennent & Morrison
■アルバム名邦題:テネント & モリソン
■動画リンク:Tennent & Morrison「Good For You」
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シンガー・ソングライターのアルバムには、隠れ名盤と呼ばれるものが沢山あります。

しかしほとんどの隠れ名盤は、ここで紹介するほど突出した曲がありません。

むしろ抜きん出ていない地味な魅力を持った曲を、じっくり噛みしめるところが良かったりするのですが。

その中でこの曲は、突出した魅力を持っている曲だと思います。

彼らはジョン・テネント(John Tennent)とデイヴ・モリソン(Dave Morrison)という英国出身の2人組。

この曲はデイヴの方が主導権を握った、イノセントでとてもみずみずしい曲です。

先程のランバート & ナッティカムにも言えますが、2人のシンガー・ソングライターがコンビを組むことのメリットは、ハーモニーにあります。

この曲ではサビで低い声のジョンが加わり、より印象的なハーモニーに仕上がっています。

後はオルガンの演奏もすばらしいですね。

このアルバムは、私が持っているシンガー・ソングライターのディスク・ガイドにも掲載されていません。

専門の本にも掲載されていないような知名度の低いアルバムですが、いつまでも「隠れた」「幻の」という扱いのままではいけなと思っています。

 

10位 Guy Clark「Desperados Waiting for a Train」(アルバム:Old No.1)

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■アーティスト名:Guy Clark
■アーティスト名カナ:ガイ・クラーク
■曲名:Desperados Waiting for a Train
■曲名邦題:デスペラード・ウェイティング・フォー・ザ・トレイン(汽車を待つ無法者のように)
■アルバム名:Old No.1
■アルバム名邦題:オールド・タイム・フィーリング
■動画リンク:Guy Clark「Desperados Waiting for a Train」
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まず動画では11分以上とありますが、曲自体は4分半程度で、その後は無音状態が続いています。

11分もある曲ではありませんので、気軽にお聞きください。

この曲は名曲として知られ、ナンシー・グリフィス(Nanci Griffith)など、多くの人がこの曲を取り上げています。

このアルバムは彼のデビューアルバムで、当時彼は既に36歳でした。

それまで彼は職を転々として、このアルバムでようやくデビューにこぎつけました。

この人は基本的にカントリー畑の人です。

しかしこの曲を聞いて分かるとおり、普通のカントリーとは少し違った持ち味があるように思います。

それはこの人が、レッドネック・カントリーの流れから出てきたことが影響しているかもしれません。

「レッドネック」というのは「首の日焼け」のことで、肉体労働の貧しい白人を指す蔑称です。

当時彼は商業的なメジャーのカントリーシーンに反旗を翻し、社会の片隅でひっそり生きる個人に目を向けた曲を歌っていました。

この曲で主人公は、年老いた友人を失ったようです。

死の前に老人はこう言ったそうです。

「神よ、これまで私が掘ってきた井戸は無駄だったのか」

シンガーソングライターという音楽は、個人の視点が表れやすい音楽です。

辛い立場に置かれた人にも目を向ける、そういう人間的な温かみを持った曲が多いように思います。

 

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