ハリー・ニルソン(Harry Nilsson)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】
今回はハリー・ニルソンのランキングを作成しました。
彼は一部の有名曲ばかりが知られています。
しかし他にも良い曲がたくさんあります。
この記事では控え目で愛すべき彼の魅力に迫ってみました。
- 1 1位「Without You」(アルバム:Nilsson Schmilsson)
- 2 2位「Everybody’s Talkin’」(アルバム:Aerial Ballet)
- 3 3位「Simon Smith and the Amazing Dancing Bear」(アルバム:Harry)
- 4 4位「Mournin’ Glory Story」(アルバム:Harry)
- 5 5位「Living Without You」(アルバム:Nilsson Sings Newman)
- 6 6位「Me and My Arrow」(アルバム:The Point!)
- 7 7位「I Guess the Lord Must Be in New York City」(アルバム:Harry)
- 8 8位「Together」(アルバム:Aerial Ballet)
- 9 9位「Mother Nature’s Son」(アルバム:Harry)
- 10 10位「It’s Been So Long」(アルバム:Pandemonium Shadow Show)
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1位「Without You」(アルバム:Nilsson Schmilsson)
■曲名:Without You
■曲名邦題:ウィザウト・ユー
■アルバム名:Nilsson Schmilsson
■アルバム名邦題:ニルソン・シュミルソン
■動画リンク:「Without You」
この曲はバッドフィンガー(Badfinger)がオリジナルです。
バッドフィンガーは、メンバーの内2人が自殺をした悲劇のバンドと言われています。
その2人はこの曲を書いた、ピート・ハム(Pete Ham)とトム・エヴァンズ(Tom Evans)。
バッドフィンガーについては、以下の記事で取り上げました。
この曲での2人の分担は作詞作曲ではなく、それぞれが書いた曲を合わせたそうです。
金銭騒動に巻き込まれたピートが自殺した時、交際相手の女性はピートの子供を身ごもっていました。
一方トムの方は、この曲の印税についての訴訟に疲れ果てた末、自ら命を絶ちました。
当時トムにも妻子がいました。
この曲の歌詞は「君なしでは生きていけない」と訴える内容。
1967年ニルソンのこの曲のカバーは大ヒットし、4週連続でシングルチャート1位を記録しました。
ニルソンが大ヒットさせたこの曲は、その後多くのアーティストによってカバーされました。
ピートとトムの死はとても悲しいですが、この曲の印税は生活に困窮していた2組の妻子の手に渡りました。
ニルソンがこの曲を取り上げた最大の意義は、そこにあると思います。
2位「Everybody’s Talkin’」(アルバム:Aerial Ballet)
■曲名:Everybody’s Talkin’
■曲名邦題:うわさの男
■アルバム名:Aerial Ballet
■アルバム名邦題:空中バレー
■動画リンク:「Everybody’s Talkin’」
「Without You」と並ぶ、ニルソンの代表曲です。
こちらもフレッド・ニール(Fred Neil)の曲のカバーです。
原曲を引用しましょう。
Fred Neil – Everybody’s Talkin’
ニルソンのカバー・バージョンは、映画「真夜中のカーボーイ」の主題歌に採用されました
映画の内容に触れると長くなるので、ここでは割愛したいと思います。
しかしその名画はこの曲なしには語れません。
そう感じさせるほど、この曲が重要な役割をはたしていました。
この曲は田舎から大都会ニューヨークに出てきた主人公の決意を表しています。
この土地でやってやる、たとえダメだったとしてもまた違う土地に行くだけさ。
そんな流浪する生き方をこれほどうまく表現できた曲はありません。
3位「Simon Smith and the Amazing Dancing Bear」(アルバム:Harry)
■曲名:Simon Smith and the Amazing Dancing Bear
■曲名邦題:サイモン・スミスと踊る熊
■アルバム名:Harry
■アルバム名邦題:ハリー・ニルソンの肖像
■動画リンク:「Simon Smith and the Amazing Dancing Bear」
ランディ・ニューマン(Randy Newman)が書いた曲です。
この曲はアラン・プライス(Alan Price)、ハーパース・ビザール(Harpers Bizarre)など多くの人にカバーされていますが、このバージョンは特によく知られています。
そもそもランディの原曲の時点で傑作でした。
ランディ・ニューマンは、ボブ・ディラン(Bob Dylan)に少し似ているかもしれません。
どちらも飛び抜けたソングライターです。
しかしどちらも歌い方にクセがあって、彼らの曲を他の人がカバーした時はじめて曲の真価が明らかになることがあります。
一方ニルソンは原曲のクセを取り除き、純化することに長けています。
ニルソンはすぐれた解釈者であり表現者だと思います。
4位「Mournin’ Glory Story」(アルバム:Harry)
■曲名:Mournin’ Glory Story
■曲名邦題:モーニン・グローリー・ストーリー
■アルバム名:Harry
■アルバム名邦題:ハリー・ニルソンの肖像
■動画リンク:「Mournin’ Glory Story」
ここまではカバー・ソングばかり取り上げました。
この曲はニルソン自身が書きました。
元々彼は作曲家として音楽業界で認められていた人です。
ちなみ彼が書いた以下の曲は、スリー・ドッグ・ナイト(Three Dog Night)にカバーされてヒットしています。
さてこちらの「Mournin’ Glory Story」は、ポール・マッカートニー(Paul McCartney)を思わせます。
今回選んだ10曲の中で、半数はニルソンが書いた曲です。
カバー曲の方は有名曲ぞろい。
しかしニルソンが書いた曲は、それらにも劣っていません。
「Mournin’ Glory Story」は、ソングライターとしての彼の才能を示す1曲です。
5位「Living Without You」(アルバム:Nilsson Sings Newman)
■曲名:Living Without You
■曲名邦題:あなたのいない生活
■アルバム名:Nilsson Sings Newman
■アルバム名邦題:ランディ・ニューマンを歌う
■動画リンク:「Living Without You」
この作品は、全曲ランディ・ニューマンのカバー・アルバムです。
この時期のニルソンは作風は、ランディ・ニューマンとの共通点が多いように思います。
それは古いアメリカを感じさせるオールドタイミーが曲が多いこと。
私が大好きすぎるジョン・サイモン(John Simon)とも共通する資質です。
また3者は古い感覚だけでなく、ヒップな存在でもありました。
その古くてヒップな感覚は、日本のはっぴいえんどあたりにも波及したかもしれません。
この頃のニルソンは、ロックっぽくないのが魅力でした。
私はロックが大好きな人ですが、ニルソン特有の魅力はロック的ではないと思っています。
今回は彼がロックに傾いた時期を除きました。
ジョン・レノン(John Lennon)との「プシー・キャッツ(Pussy Cats)」も悪くないものの、この時期のふくよかで繊細な魅力には抗えません。
6位「Me and My Arrow」(アルバム:The Point!)
■曲名:Me and My Arrow
■曲名邦題:アローは友だち
■アルバム名:The Point!
■アルバム名邦題:オブリオの不思議な旅
■動画リンク:「Me and My Arrow」
このアルバムはTVアニメのサウンドトラック(サントラ)です。
しかしボーカル曲も入っていて、内容的にも聞き逃せません。
特にこの曲などは、企画色の強いアルバムの曲にはもったいないと思ってしまうほど。
しかしこのアルバムは彼が成功する上で、大きな転換点となりました。
彼はシングル「Everybody’s Talkin’」が、シングルチャート6位になりました。
しかしアルバム単位ではヒットチャート圏外続きで、唯一のチャートインも120位どまり。
4作連続で低迷したとあれば、もうそろそろレコード会社から解雇されてもおかしくありませんでした。
しかしこのアルバムは25位を記録しました。
その勢いを受けて、同年「ニルソンの詩と青春(Aerial Pandemonium Ballet)」という編集盤を発表しました。
そして同じ年「Without You」が大ヒットしました。
このアルバムは音楽のキャリアを存続する上で、大きな契機となりました。
7位「I Guess the Lord Must Be in New York City」(アルバム:Harry)
■曲名:I Guess the Lord Must Be in New York City
■曲名邦題:孤独のニューヨーク
■アルバム名:Harry
■アルバム名邦題:ハリー・ニルソンの肖像
■動画リンク:「I Guess the Lord Must Be in New York City」
この曲は「Everybody’s Talkin’」に似ています。
それもそのはず「Everybody’s Talkin’」と同じく「真夜中のカーボーイ」用に用意した曲です。
結局は「Everybody’s Talkin’」が採用されました。
もし私がニルソンの最高傑作を聞かれたら「Aerial Ballet 」「Harry」「Nilsson Sings Newman」のどれかだと答えます。
1枚に絞れば、このアルバムを推します。
この時期は曲も粒ぞろいでしたが、何よりニルソンのボーカルが魅力でした。
後年の彼は酒とドラッグのせいで喉が荒れましたが。
この記事は1971年までを対象にしましたが、特に1975年以降は声の状態が悪化したように思います。
この時期までの彼の歌には、みずみずしさと自然な甘味があります。
8位「Together」(アルバム:Aerial Ballet)
■曲名:Together
■曲名邦題:トゥゲザー
■アルバム名:Aerial Ballet
■アルバム名邦題:空中バレー
■動画リンク:「Together」
初期のニルソンの魅力は、あどけない憧憬を含んだナイーヴな作風にありました。
彼には「Without You」と「Everybody’s Talkin’」という有名な2大ヒット曲があります。
しかし本来の彼の魅力は、こういう何気ない曲にあるような気がしてなりません。
私の彼についての評価は、その2曲がなかったとしても変わらなかったと思います。
むしろ地味な曲でこそ、彼の地味な魅力が表れるような気がしますし。
彼の音楽には、シャイでささやかな華やぎがあります。
もし外出時不意にこの曲が聞こえてきたら、私の表情は緩むことでしょう。
彼の曲はカフェ・ミュージックに最適かもしれません。
彼の歌は小確幸みたいなところがあります。
9位「Mother Nature’s Son」(アルバム:Harry)
■曲名:Mother Nature’s Son
■曲名邦題:マザー・ネイチャーズ・サン
■アルバム名:Harry
■アルバム名邦題:ハリー・ニルソンの肖像
■動画リンク:「Mother Nature’s Son」
彼はビートルズ(The Beatles)から大きな影響を受けています。
この曲はビートルズのカバーです。
彼は他にも以下のビートルズの曲を取り上げています。
Harry Nilsson – She’s Leaving Home
実際ニルソンは、ビートルズの広報デレク・テイラー(Derek Taylor)経由で、ビートルズのメンバーに親しまれていました。
「Pandemonium Shadow Show」を聞いたジョン・レノンとポール・マッカートニーは、ニルソンに電話を掛けてすばらしい作品だと称賛したそうです。
またウィキペディアを読んで初めて知りましたが、こんな噂もあったようです。
一時はポール・マッカートニーの代わりにビートルズに加入するなどの噂が流れたりした。
ニルソンならビートルズに加入しても機能したかもしれません。
10位「It’s Been So Long」(アルバム:Pandemonium Shadow Show)
■曲名:It’s Been So Long
■曲名邦題:ひさしぶりの口づけ
■アルバム名:Pandemonium Shadow Show
■アルバム名邦題:パンディモニアム・シャドウ・ショウ
■動画リンク:「It’s Been So Long」
実質的なデビューアルバムの曲です。
彼にはこのアルバムの前に「Spotlight on Nilsson」というアルバムがあります。
しかしニルソンらしさは感じられず、内容もいま一つでヒットもしませんでした。
続くこのアルバムも売れませんでしたが、ニルソンの個性は開花し始めていました。
私は初期のニルソンを好んでいます。
ただ今回対象にした1971年以降にも、良い曲が沢山あります。
特に注目したいのは、ジャズのカバー・アルバム「夜のシュミルソン(A Little Touch of Schmilsson in the Night)」。
そのアルバムから1曲ご紹介しておきましょう。
それ以外では「クニルソン(Knnillssonn)」も良い作品でした。
この記事の曲を気に入っていただけたら、その時期も聞いていただければうれしいです。
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