今回はクリス・レアのランキングを作成しました。
彼の音楽は地味ですし、分かりやすくもないかもしれません。
しかし聞き込む度に味わいが増してきます
この記事では、そんな彼の魅力に迫ってみました。
- 1 1位「On the Beach」(アルバム:On the Beach)
- 2 2位「Fool (If You Think It’s Over)」(アルバム:Whatever Happened To Benny Santini?)
- 3 3位「The Road to Hell, Pt. 2」(アルバム:The Road To Hell)
- 4 4位「Josephine」(アルバム:Shamrock Diaries)
- 5 5位「Looking for the Summer」(アルバム:Auberge)
- 6 6位「Since I Don’t See You Anymore」(アルバム:Tennis)
- 7 7位「Windy Town」(アルバム:Dancing With Strangers)
- 8 8位「Giverny」(アルバム:On The Beach)
- 9 9位「I Can Hear Your Heartbeat」(アルバム:Water Sign)
- 10 10位「Ace of Hearts」(アルバム:Wired To The Moon)
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1位「On the Beach」(アルバム:On the Beach)
■曲名:On the Beach
■曲名邦題:オン・ザ・ビーチ
■アルバム名:On the Beach
■アルバム名邦題:オン・ザ・ビーチ
■動画リンク:「On the Beach」
日本ではこの曲が最も有名だと思います。
しかしこの曲は本国イギリスのシングルチャートでさえ57位止まりで、特にヒットした印象はありません。
日本でこの曲が人気なのは、CMの影響が大きいかもしれません。
当時のCMを見つけました。
MAZDA “urban tuned” ETUDE 15″ 1987
当時人気が高まりつつあったとはいえ、日本ではほぼ無名に近い存在でした。
前アルバムはイギリスで15位を記録したものの、アメリカではチャートインしていません。
そんな中にあって彼に注目した広告担当者は慧眼だったと思います。
2位「Fool (If You Think It’s Over)」(アルバム:Whatever Happened To Benny Santini?)
■曲名:Fool (If You Think It’s Over)
■曲名邦題:フール(青春のいたずら)
■アルバム名:Whatever Happened To Benny Santini?
■アルバム名邦題:何がベニーに起ったか
■動画リンク:「Fool (If You Think It’s Over)」
彼のデビュー時のプロモーション戦略には、大きな過ちがありました。
彼はエルトン・ジョン(Elton John)のような音楽性を期待されていたようです。
実際エルトンのプロデューサーであるガス・ダッジョン(Gus Dudgeon)が、このデビュー・アルバムをプロデュースしていますし。
しかしクリス・レアの資質は、エルトンとは全く異なります。
おそらく彼はボタンの掛け違いに当惑したに違いありません。
しかし彼はソングライティング能力の高さで、ある程度適応しようとしました。
ガス・ダッジョンとの共同作業は、セカンド・アルバムまで続きました。
セカンド・アルバムからも1曲ご紹介しましょう。
3位「The Road to Hell, Pt. 2」(アルバム:The Road To Hell)
■曲名:The Road to Hell, Pt. 2
■曲名邦題:ロード・トゥ・ヘル(パート2
■アルバム名:The Road To Hell
■アルバム名邦題:ロード・トゥ・ヘル
■動画リンク:「The Road to Hell, Pt. 2」
先程日本では「On The Beach」が人気だと書きました。
では日本以外ではどの作品が人気かというと、このアルバムが最有力候補だと思われます。
時系列を追ってご説明します。
まず前作「Dancing with Strangers」は、アルバムチャートで2位と大躍進しました。
その後彼は再録音のベスト盤「ザ・ベスト・オブ・クリス・レア~ニュー・ライト・スルー・オールド・ウィンドウズ(New Light Through Old Windows)」を発表し、アルバム・チャート5位を記録。
過去の再録音シングルも大ヒットし期待感が高まる中、満を持して発表されたのがこのアルバム。
本来の彼はアルバム・アーティストなので、シングルがヒットするタイプではありません。
しかしこの曲は10位とトップテン・ヒットを記録しました。
この時期の彼はやること全てが上手くいき、気付いたら人気を確固たるものにしていました。
4位「Josephine」(アルバム:Shamrock Diaries)
■曲名:Josephine
■曲名邦題:ジョセフィン
■アルバム名:Shamrock Diaries
■アルバム名邦題:シャムロック・ダイアリーズ
■動画リンク:「Josephine」
彼の音楽はとかくシブいと表現されます。
元来はキャッチーでポップな曲が得意な人ではありません。
またロックに刺激を求める人の期待にも応えられる人でもありません。
ただ表面上の刺激こそなくとも、繰り返し聞く内にいつの間にか虜になってしまいます。
何度も噛みしめて初めて、その含蓄の豊かさに気が付きます。
これほど遅効性の音楽は、ほとんど例がありません。
こぶしを振り上げたくなる即効性のロックとは全く別の音楽です。
この曲は彼の中では分かりやすい方ですし、シングルカットもされています。
シングルチャートでは最高位67位にすぎませんから、ヒットしたともいえません。
しかしその分長い間親しまれる曲になりました。
5位「Looking for the Summer」(アルバム:Auberge)
■曲名:Looking for the Summer
■曲名邦題:ルッキング・フォー・ザ・サマー
■アルバム名:Auberge
■アルバム名邦題:オーベルジュ
■動画リンク:「Looking for the Summer」
今回は対象期間をどうするか、かなり迷いました。
彼はアルバム数が非常に多いのにもかかわらず、良い作品ばかりですし。
当初はせめて「エスプレッソ・ロジック(Espresso Logic)」までカバーできないか摸索しました。
しかしこのアルバムまで最終防衛線を後退せざるを得ませんでした。
このアルバムは代表作の1つだけに留まらず、彼の集大成作といえます。
昔の彼は素の自分を出すと渋すぎると思ったのか、時々唐突に売れ線の曲を書きました。
しかしこのアルバムにはそういう作為は感じません。
素の地味な作風でも売れているし、自分の良さも出せているだろう。
そういう自分の才能に対する信頼を感じます。
6位「Since I Don’t See You Anymore」(アルバム:Tennis)
■曲名:Since I Don’t See You Anymore
■曲名邦題:シンス・アイ・ドント・シー・ユー・エニモア
■アルバム名:Tennis
■アルバム名邦題:テニス
■動画リンク:「Since I Don’t See You Anymore」
彼はエルトン・ジョンの後継者を期待されてデビューしました。
その後この3作目ではガス・ダッジョンと決別し、セルフ・プロデュースになりました。
その結果、彼がやりたい音楽が明らかになってきました。
彼は似合わないロックンローラー路線の曲をやらなくなりました。
代わりに自分のギターの演奏を前面に押し出し始めました。
次のアルバムではAOR路線に接近しますが、それは後のブレイクの伏線だったかもしれません。
次作「クリス・レア(Chris Rea)」から1曲ご紹介します。
Chris Rea – Just Want to Be with You
7位「Windy Town」(アルバム:Dancing With Strangers)
■曲名:Windy Town
■曲名邦題:ウィンディ・タウン
■アルバム名:Dancing With Strangers
■アルバム名邦題:ダンシング・ウィズ・ストレンジャー
■動画リンク:「Windy Town」
「On the Beach」の次作です。
彼はこのアルバムでアダルト・コンテンポラリー路線に舵を切った感じがします。
海外の音楽事情を調べていると、意外と中年層以降の音楽シーンが厚いと感じることがあります。
彼はこのアルバムで、模範となる質の高い成熟した音楽を提示しました。
このアルバムには、前作までのおしゃれな印象を受けません。
その代りにアップとスローという緩急の使い分けが絶妙で、思慮深さを感じさせてくれます。
またアップの良曲を適度に入れると、スローも引き立つもの。
彼はニューアンスの豊かさや機微を理解できる大人のリスナーの心ををつかみました。
8位「Giverny」(アルバム:On The Beach)
■曲名:Giverny
■曲名邦題:ジブニー
■アルバム名:On The Beach
■アルバム名邦題:オン・ザ・ビーチ
■動画リンク:「Giverny」
もし私が彼の最高傑作を聞かれたら、このアルバムと即答します。
おそらくその判断には、最初に聞いたアルバムというバイアスが入っていると思います。
そうでなければ、こんな地味な曲をランクインさせないと思いますから。
さて今回彼のチャート・アクションを確認したところ、1つ気付いたことがあります。
それは彼はヨーロッパでは売れているものの、アメリカでは全然売れていないということです。
このアルバムも200位に入っていません。
良くも悪くもアメリカ人は、分かりやすい音楽を好む傾向があります。
この曲もアメリカ人受けしなさそうですが、個人的に大好きな曲です。
9位「I Can Hear Your Heartbeat」(アルバム:Water Sign)
■曲名:I Can Hear Your Heartbeat
■曲名邦題:ハート・ビート
■アルバム名:Water Sign
■アルバム名邦題:ウォーター・サイン
■動画リンク:「I Can Hear Your Heartbeat」
彼は一時期レコード会社から見放されていました。
1983年までにレコード会社は5枚目のアルバムとして生のデモテープからリリースしたように、レアに関心をなくしていた。
おそらくスタジオの経費を安く済まそうとしたのでしょう。
製作費を抑えるぐらいですから、当然販売促進費もかけられていません。
しかし彼は自らその宣伝不足を補おうとしたのか、精力的にヨーロッパでライブ活動を行いました。
その泥くさい販促の成果は、このアルバムの売上として表れました。
『ウォーターサイン』はアイルランドとヨーロッパ大陸で大ヒット。わずか数ヶ月で50万枚を売り上げ、シングル「ハート・ビート」は20位に入った[8]。
デジタルなサウンドが目立つ作品ですが、この曲はドゥービー・ブラザーズ(The Doobie Brothers)にも通じる魅力があります。
もしくはダイアー・ストレイツ(Dire Straits)のヒット曲に似た音楽性を感じます。
10位「Ace of Hearts」(アルバム:Wired To The Moon)
■曲名:Ace of Hearts
■曲名邦題:エース・オブ・ハート
■アルバム名:Wired To The Moon
■アルバム名邦題:ワイヤード・トゥ・ザ・ムーン
■動画リンク:「Ace of Hearts」
最後にとっておきのバラードをご紹介します。
この頃彼はどん底にありました。
4作連続でレコード会社との契約を維持するのに最低限のセールスで、まさに綱渡りの状況でした。
前作にいたっては、デモテープのままリリースされるという有様でしたし。
そもそも彼は売れ線の曲が得意な人ではありませんでした。
しかし彼は目立たなくとも、滋味滋養に富む高い水準の作品を発表し続けました。
後に彼は大ブレイクしましたが、その前と後でも作品の質はほぼ変わりません。
不遇期でも淡々と良い音楽をつくり続けた継続力。
それが彼の愚直ともいえる方法論でした。
それが後に息の長い人気として実を結んだように思います。
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