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マイケル・フランクス(Michael Franks)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はマイケル・フランクスのランキングを作成しました。

この人は曲の平均水準が高く、どの曲を選んでも紙一重です。

この記事では甲乙つけがたい中から選りすぐりの名曲を選んでみました。

洗練の極みといえる曲ばかりです。

 

1位「Antonio’s Song (The Rainbow)」(アルバム:Sleeping Gypsy)

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■曲名:Antonio’s Song (The Rainbow)
■曲名邦題:アントニオの歌
■アルバム名:Sleeping Gypsy
■アルバム名邦題:スリーピング・ジプシー
■動画リンク:「Antonio’s Song (The Rainbow)」

この曲の邦題は「アントニオの歌」です。

「アントニオ」とは、ボサノヴァの巨匠アントニオ・カルロス・ジョビン(Antonio Carlos Jobim)のこと。

彼の曲でも突出している人気曲ですが、ヒット曲とはいえません。

ただ必ずしも曲の人気は、ヒットチャートで測れない場合が少なくありません。

どれほど多くカバーされているかの方が、その曲を評価する上で重要な場合があります。

この曲はカバーが多いことで知られています。

UAが「アントニオの唄」というカバー・バージョンが最も知られているかもしれません。

個人的には石川セリのカバーも結構気に入っています。

石川セリ -アントニオの歌

 

2位「Eggplant」(アルバム:The Art of Tea)

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■曲名:Eggplant
■曲名邦題:エッグプラント
■アルバム名:The Art of Tea
■アルバム名邦題:アート・オブ・ティー
■動画リンク:「Eggplant」

彼の音楽はとても洗練されています。

しかしとっつきにくいほど高踏的ではありません。

洗練と適度なリラックス感が同居していること、その配分がいい塩梅です。

アルバム名の「The Art of Tea」は「お茶の芸術」という意味です。

確かに美味しいお茶を楽しみたい時に最適な音楽かもしれません。

そして曲名の「Eggplant」は茄子のこと。

歌詞を読むと、ある女性が交際相手の男性がそばにいる状況で、茄子を料理している様子が歌われています。

なんでも生の茄子にマヨネーズをかけて食べることもあるとのこと。

日常のくつろぎを表現した歌詞は、いかにもこの人らしいかもしれません。

 

3位「All Dressed Up with Nowhere to Go」(アルバム:One Bad Habit)

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■曲名:All Dressed Up with Nowhere to Go
■曲名邦題:さまよいのドレス
■アルバム名:One Bad Habit
■アルバム名邦題:N.Y.ストーリー
■動画リンク:「All Dressed Up with Nowhere to Go」

初期の彼はワーナーブラザーズ(Warner Bros.)に所属していました。

ワーナーはアメリカの西海岸ロサンゼルスに拠点を置いています。

初期の彼の音楽はライトでメロウな色合いが強く、アメリカの西海岸らしいと感じさせました。

しかしその後彼は拠点をニューヨークに移しました。

すると音楽にも変化が表れ始めました。

具体的にこの曲でいえば、55秒からのホーン・セクションとリズムにその変化を感じます。

またアルバム・ジャケットと、都会に住む人のファニーでアイロニーを感じるアルバム・タイトルにも。

ウディ・アレン(Woody Allen)やポール・サイモン(Paul Simon)のような、当時のニューヨークらしさが魅力の曲です。

 

4位「Down in Brazil」(アルバム:Sleeping Gypsy)

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■曲名:Down in Brazil
■曲名邦題:ダウン・イン・ブラジル
■アルバム名:Sleeping Gypsy
■アルバム名邦題:スリーピング・ジプシー
■動画リンク:「Down in Brazil」

彼の最高傑作を決めるのは非常に困難です。

まず彼のアルバムには駄作がありません。

しいて言えば「Skin Dive」と「The Camera Never Lies」が不人気なぐらい。

この記事では初期を対象に選曲しました。

この記事では対象期間外とした「Abandoned Garden」「Barefoot on the Beach」「Watching the Snow」も最高傑作の候補です。

ただ一般的な人気では「The Art of Tea」「Sleeping Gypsy」のどちらかという声が多いかもしれません。

その2作には有名曲が収録されています。

この曲もその1曲。

個人的には1、2位争うほど好きな曲です。

ジョアン・ドナート(João Donato)のピアノとクラウス・オガーマン(Claus Ogerman)によるアレンジが最高です。

 

5位「Nightmoves」(アルバム:The Art of Tea)

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■曲名:Nightmoves
■曲名邦題:愛はむなしく
■アルバム名:The Art of Tea
■アルバム名邦題:アート・オブ・ティー
■動画リンク:「Nightmoves」

イントロからラリー・カールトン(Larry Carlton)のギターにうなります。

この時期はラリー・カールトンのギターとジョー・サンプル(Joe Sample)のエレピが、とても重要な役割をはたしていました。

アンニュイでやるせない、低体温の名演です。

彼らは皆ジャズを出自としながらも、正統派のジャズではない人です。

ジャズという汲めども尽きせぬ豊かな泉から離れても、こんなニューアンスに富んだ音楽が可能なのですね。

きっとマイケル・フランクスが玄人受けするのは、こういう曲があるから。

蛇足ですが、このアルバムには「Sometimes I Just Forget To Smile」という曲があります。

私は「時々笑顔を忘れてしまう」という曲名が気に入っています。

 

6位「Love Duet」(アルバム:Objects of Desire)

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■曲名:Love Duet
■曲名邦題:愛のデュエット
■アルバム名:Objects of Desire
■アルバム名邦題:愛のオブジェ
■動画リンク:「Love Duet」

レニー・ディグス(Renee Diggs)とのデュエット曲です。

レニー・ディグスは、スターポイント(Starpoint)の女性ボーカルです。

そしてアルバム・ジャケットはゴーギャンの絵画。

このアルバムは1982年にリリースされましたが、この頃の彼の音楽には変化が表れ始めていました。

当時彼の音楽は、1980年代のR&B方向に傾きつつありました。

ただこの曲にはまだ彼らしい抑制美が残っています。

しかし後に「Skin Dive」「The Camera Never Lies」という2作で、派手さが表面化してきました。

正直私にとっては好ましい変化ではありませんでした。

そのためこの記事では、それ以前を対象にしています。

 

7位「A Robinsong」(アルバム:Burchfield Nines)

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■曲名:A Robinsong
■曲名邦題:ロビンソング
■アルバム名:Burchfield Nines
■アルバム名邦題:シティ・エレガンス
■動画リンク:「A Robinsong」

彼の音楽は薄味ですが、味わいが格別です。

私は一度だけ仕事の接待で料亭に行ったことがあります。

女将さんから料理についての説明を聞きながら、和風のメニューに舌鼓を打ちました。

中でも特にある汁物が印象に残っています。

さっぱりしつつも香りとコク深さが豊かで、とても感動的な料理でした。

つい接待であることを忘れてしまうほど(笑)

この曲も同じように薄味でも出汁が利いている逸品です。

このアルバムからもう1曲ご紹介しましょう。

Michael Franks – Vivaldi’s Song

その匙加減を左右したトミー・リピューマ(Tommy LiPuma)は、すごいプロデューサーだと再確認できる地味名盤です。

 

8位「Jardin Botanico」(アルバム:Tiger in the Rain)

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■曲名:Jardin Botanico
■曲名邦題:ジャルダン・ボタニコ
■アルバム名:Tiger in the Rain
■アルバム名邦題:タイガー・イン・ザ・レイ
■動画リンク:「Jardin Botanico」

彼のボーカルは一聴すると淡泊です。

私は彼の歌についてヘタウマみたいに書いているレビューを読んだことがあります。

しかし私はそうは思いません。

それほど音程が不安定ではありませんし、単に上手いシンガーのように歌っていないだけです。

それが彼のスタイルというだけの話ですから。

一方彼は超一流のスタイリストでした。

しかし彼が自分のボーカルで打ち出したそのポジショニングによって、失われる部分もあります。

それは押しの強さとダイナミズムの欠如。

もちろん彼の音楽は最初からそういうものではありません。

逆に何かと引き換えに失うことをいとわない、一種の潔さすら感じます。

彼はトータル・コーディネートにすぐれたスタイリストでした。

 

9位「Life’s Little Highway」(アルバム:Previously Unavailable)

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■曲名:Life’s Little Highway
■アルバム名:Previously Unavailable
■動画リンク:「Life’s Little Highway」

このアルバムは当初「Michael Franks」というアルバム名でリリースされました。

私が持っているのは、「Previously Unavailable」と改題された再発CD。

このアルバムは次作以降とは音楽性が異なります。

当時は自然派シンガーソングライターとして売り出されようとしていた形跡があります。

それはアルバム・ジャケットからもうかがえますし。

この頃彼はバンジョーやマンドリンを弾いていて、この曲ではボビー・ブルース(Bobby Bruce)によるフィドルも入っています。

彼のルーツをうかがえる、とても情感豊かな曲です。

ただ私はこのジャケを見る度、還暦祝いの赤いちゃんちゃんこに見えて仕方ありませんが(笑)

 

10位「When Sly Calls (Don’t Touch That Phone)」(アルバム:Passionfruit)

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■曲名:When Sly Calls (Don’t Touch That Phone)
■曲名邦題:スライが電話をしてきたら
■アルバム名:Passionfruit
■アルバム名邦題:パッションフルーツ
■動画リンク:「When Sly Calls (Don’t Touch That Phone)」

彼はソングライターとしても一流です。

しかし彼は「Antonio’s Song (The Rainbow)」など一部除いて、分かりやすい輪郭のメロディを書きません。

またサビで歌い上げるようなタイプでもありません。

ただこの曲は珍しく起伏に富んでいます。

この曲では女性コーラスが切迫感を高める中、彼のボーカルもいつになく熱を帯びています。

思えば彼の音楽は常に美意識と知性によって抑制されていました。

ワビサビすら感じさせる抑制美あふれるスタイルは、リスナーの想像力を喚起しました。

しかしこういう曲を聞くにつけ、時にはリミッターを外した彼も聞いてみたいと思ってしまいます。

自制しない彼の音楽とは一体どういうものか、ついそんな余計なことを。

 

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