今回はポール・サイモンのランキングを作成しました。
サイモン&ガーファンクル解散後から1990年の「The Rhythm of the Saints」までを対象に選曲しました。
リズムのおもしろさ、メロデイメイカーとしての魅力をご堪能ください。
- 1 1位「50 Ways to Leave Your Lover」(アルバム:Still Crazy After All These Years)
- 2 2位「Kodachrome」(アルバム:There Goes Rhymin’ Simon)
- 3 3位「Mother and Child Reunion」(アルバム:Paul Simon)
- 4 4位「Late in the Evening」(アルバム:One-Trick Pony)
- 5 5位「The Obvious Child」(アルバム:The Rhythm Of The Saints)
- 6 6位「American Tune」(アルバム:There Goes Rhymin’ Simon)
- 7 7位「My Little Town」(アルバム:Still Crazy After All These Years)
- 8 8位「Diamonds On The Soles Of Her Shoes」(アルバム:Graceland)
- 9 9位「Me and Julio Down by the Schoolyard」(アルバム:Paul Simon)
- 10 10位「The Late Great Johnny Ace」(アルバム:ハーツ・アンド・ボーンズ)
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1位「50 Ways to Leave Your Lover」(アルバム:Still Crazy After All These Years)
■曲名:50 Ways to Leave Your Lover
■曲名邦題:恋人と別れる50の方法
■アルバム名:Still Crazy After All These Years
■アルバム名邦題:時の流れに
■動画リンク:「50 Ways to Leave Your Lover」
この人は詩人として評価されています。
巧みに韻を踏み、都市生活の憂さをにじませた歌詞は絶品です。
特に彼の映画のワンシーンを切り取るようなセンスが秀逸かもしれません。
そうしたセンスは、アルバム名や曲名にもよく表れています。
私が好きな彼の曲名に「落ちることを学びなさい(Learn How to Fall)」というものがあります。
そしてこの曲名は「恋人と別れる50の方法(50 Ways to Leave Your Lover)」。
この曲名は、フリッパーズ・ギターの「バスルームで髪を切る100の方法」に示唆を与えました。
そして私が一番好きなアルバム名が、この「Still Crazy After All These Years」。
直訳すると「数年過ぎても、今もなおクレイジー」。
さてこの曲では、イントロのスティーヴ・ガッド(Steve Gadd)のドラムにご注目ください。
このドラム・プレイによって、この曲は一段階引き上げられています。
2位「Kodachrome」(アルバム:There Goes Rhymin’ Simon)
■曲名:Kodachrome
■曲名邦題:僕のコダクローム
■アルバム名:There Goes Rhymin’ Simon
■アルバム名邦題:ひとりごと
■動画リンク:「Kodachrome」
こちらも曲名にご注目ください。
邦題は「僕のコダクローム」ですが「コダクローム」とはコダック社の写真フィルムのこと。
実際この曲は同社の宣伝にも使われました。
「コダクローム」は2009年に製造停止になりましたが、この曲は今もなおエバーグリーンな魅力を放っています。
その魅力の一端は、リズム・セクションにあるかもしれません。
このアルバムには「ザ・スワンパーズ(The Swampers)」と呼ばれるマッスル・ショールズ・リズム・セクション(Muscle Shoals Rhythm Section)が参加しています。
「ザ・スワンパーズ」というニックネームの通り、スワンプ・ミュージクやサザン・ソウルなどで多くの名演を残しました。
特に後半の展開はまるでソウル・レビューのようで、実に彼ららしい演奏だと言えます。
3位「Mother and Child Reunion」(アルバム:Paul Simon)
■曲名:Mother and Child Reunion
■曲名邦題:母と子の絆
■アルバム名:Paul Simon
■アルバム名邦題:ポール・サイモン
■動画リンク:「Mother and Child Reunion」
この曲はレゲエのリズムに注目です。
白人アーティストがヒットさせた、初のレゲエのヒット曲とのこと。
その後エリック・クラプトン(Eric Clapton)が「アイ・ショット・ザ・シェリフ(I Shot the Sheriff)」を発表したことで、更にレゲエは認知されていきました。
当時ポール・サイモンは、スカに夢中だったようです。
彼はジャマイカのキングストンに行って、現地のミュージシャンとレコーディングをしようとしました。
現地でスカの演奏をするように伝えたところ、彼らはそれを拒否し、その代わりにレゲエを演奏したいと答えたそうです。
当時レゲエは、ポール・サイモンも知らない音楽だったのですね。
そうして録音されたこの曲は、レゲエの知名度が低くワールド・ミュージックの一部だった頃、全米シングルチャート4位を獲得しました。
4位「Late in the Evening」(アルバム:One-Trick Pony)
■曲名:Late in the Evening
■曲名邦題:追憶の夜
■アルバム名:One-Trick Pony
■アルバム名邦題:ワン・トリック・ポニー
■動画リンク:「Late in the Evening」
今度はラテン・ミュージックです。
1:58からのアレンジに聞き覚えがある方も多いかもしれません。
小沢健二は「ぼくらが旅に出る理由」で、このアレンジを引用しています。
このホーン・アレンジを手がけたのは、フュージョンや映画音楽で活躍していたデイヴ・グルーシン(Dave Grusin)。
途中差し込まれる曲がりくねったギターは、実にエリック・ゲイル(Eric Gale)らしい演奏だと思います。
さてこのアルバムは、同名映画のサウンドトラック。
ポールは映画の音楽だけでなく、主演、脚本も手がけましたが、映画はヒットしませんでした。
ただこのサントラの出来はすばらしく、傑作の誉れ高い前作の好調ぶりを維持しています。
5位「The Obvious Child」(アルバム:The Rhythm Of The Saints)
■曲名:The Obvious Child
■曲名邦題:オヴィアス・チャイルド
■アルバム名:The Rhythm Of The Saints
■アルバム名邦題:リズム・オブ・ザ・セインツ
■動画リンク:「The Obvious Child」
※音が小さいので、少しボリュームを上げてお聞きください
今度はサンバというか、バイーアの音楽です。
この時期の彼の音楽について、私は少し気になることがあります。
それはリズムと演奏が目立ちすぎるせいか、相対的にポール・サイモンの存在感が希薄であること。
この曲では、オロドゥンによるブラジリアン・パーカッションばかりが耳に飛び込んできます。
誰かにこの曲を口まねで伝えるとしたら、パーカッション部分で説明するかもしれません。
私の大好きなオロドゥンの曲をご紹介しておきましょう。
余談ですが、この曲の入ったオロドゥンのアルバムは、家電のリサイクル・ショップで売っていて驚きました。
またこのアルバムでは、ミルトン・ナシメント(Milton Nascimento)が参加している曲もあります。
やはりこちらの曲もミルトンのボーカル・パートがハイライトかもしれません。
「The Obvious Child」も良い曲ですが、ポール・サイモンが主役ではない感じがしてしまいます。
ただ音楽監督としては、すばらしい仕事をしていると思いますが。
6位「American Tune」(アルバム:There Goes Rhymin’ Simon)
■曲名:American Tune
■曲名邦題:アメリカの歌
■アルバム名:There Goes Rhymin’ Simon
■アルバム名邦題:ひとりごと
■動画リンク:「American Tune」
この曲ではバッハの「マタイ受難曲」のメロディが引用されています。
今回ご紹介した中でも、最もサイモン&ガーファンクル(Simon & Garfunkel)を感じさせる曲かもしれません。
この曲の主人公は、どこで道を見誤ってしまったのかと自問自答しています。
ポールは、ウディ・アレン(Woody Allen)の映画「アニー・ホール(Annie Hall)」に俳優として出演しています。
その映画のセリフを引用します。
「私を入れるようなクラブには、入会したくない」
私はウディ・アレンの映画とポール・サイモンの音楽に、似た肌ざわりを感じます。
彼はルー・リード(Lou Reed)と並んで、ニューヨーカーのイメージが強い人かもしれません
都会で自分を見失ってしまった人について歌うことができる、卓越したストリート詩人です。
7位「My Little Town」(アルバム:Still Crazy After All These Years)
■曲名:My Little Town
■曲名邦題:マイ・リトル・タウン
■アルバム名:Still Crazy After All These Years
■アルバム名邦題:時の流れに
■動画リンク:「My Little Town」
ポール・サイモンは、サイモン&ガーファンクルの2人の内の1人です。
この曲は久しぶりに2人が共演したことが話題となりました。
S&Gは音楽性の違いが原因で解散したと言われています。
曲調から推測すると、この曲はポール・サイモンがアート・ガーファンクル(Art Garfunkel)に歩み寄った曲かもしれません。
アート・ガーファンクルのソロ・アルバムに近い作風のように思います。
この曲はサイモン&ガーファンクル名義の曲ですが、ポールとアートそれぞれのソロ・アルバムに収録されました。
さてこの曲は、柴門ふみのマンガのタイトルにもなっています。
ご存じの方も多いと思いますが、柴門ふみの「柴門」とは、ポール・サイモンの名前が由来です。
柴門ふみはポール・サイモンのように、都市生活者の機微を描くことのできる漫画家でした。
2人はストーリーテラーとして共通点があると思います。
8位「Diamonds On The Soles Of Her Shoes」(アルバム:Graceland)
■曲名:Diamonds On The Soles Of Her Shoes
■曲名邦題:シューズにダイヤモンド
■アルバム名:Graceland
■アルバム名邦題:グレイスランド
■動画リンク:「Diamonds On The Soles Of Her Shoes」
※音が小さいので少しボリュームを上げてお聞きください
当時の南アフリカは悪名高きアパルトヘイト政策の真っ只中でしたが、このアルバムでは南アフリカの音楽が取り上げられています。
アパルトヘイトに抗議していた世界各国は、南アフリカに対してボイコット政策を実施していました。
当時ポールは抜けがけをしたと非難されましたが、国連の反アパルトヘイト特別委員会がポールを支持したことにより騒動は収束しました。
その後このアルバムは、グラミー賞を受賞しています。
このアルバムからシングルカットされた「コール・ミー・アル (You Can Call Me Al)」もご紹介しておきましょう。
Paul Simon – You Can Call Me Al
ただ私は政治的なこととは別に、少し気になることがあります。
私が好きな南アフリカの曲をお聞きください。
Mahlathini & The Mahotella Queens – Thuntshwane
私はライ・クーダー(Ry Cooder)が現地の音楽をリスペクトし同化しようとしたのに対して、ポールは現地の音楽との間に距離があるように感じます。
更に言えば、このアルバムの魅力のコアは、現地ミュージシャンの方にあるかもしれません。
もちろんポール・サイモンの才能は高く評価していますが。
ついそういう風に感じてしまう私は、このアルバムを十分楽しめていないのかもしれません。
9位「Me and Julio Down by the Schoolyard」(アルバム:Paul Simon)
■曲名:Me and Julio Down by the Schoolyard
■曲名邦題:僕とフリオと校庭で
■アルバム名:Paul Simon
■アルバム名邦題:ポール・サイモン
■動画リンク:「Me and Julio Down by the Schoolyard」
再度ファースト・アルバムの曲をご紹介しましょう。
またしても映画的で気の利いた曲名です。
この曲は2本のアコースティック・ギターのカッティングが印象的ですね。
ギターはポール・サイモン自身と名手デヴィッド・スピノザ(David Spinozza)が、左右のチェンネルに分かれて演奏しています。
サイモン&ガーファンクルでの演奏を聞いても分かりますが、ポール・サイモンはギタリストとしても一流です。
しかしこの人は作曲家、作詞家、ギタリストどれも一流なのですね。
彼は今回の対象期間以降も、すぐれた作品をリリースし続けています。
本当に駄作のない人です。
もしこの記事の曲が気に入ったら、対象期間以降のアルバムもチェックしてみてください。
10位「The Late Great Johnny Ace」(アルバム:ハーツ・アンド・ボーンズ)
■曲名:The Late Great Johnny Ace
■曲名邦題:レイト・グレイト・ジョニー・エイス
■アルバム名:Hearts and Bones
■アルバム名邦題:ハーツ・アンド・ボーンズ
■動画リンク:「The Late Great Johnny Ace」
ポール・サイモンの最高傑作については、次の3作のどれかという意見が多いかもしれません。
「There Goes Rhymin’ Simon」
「Still Crazy After All These Years」
「Graceland」
私個人の意見では「Still Crazy After All These Years」を推します。
ただ一般的に評価の低い「One-Trick Pony」「Hearts and Bones」もすぐれた作品だと思います。
さてこの曲も歌詞にご注目ください。
この曲では、ジョン・レノン(John Lennon)とジョン・F・ケネディ(John F Kennedy)という殺害された2人のことが歌われています。
曲名のジョニー・エース(Johnny Ace)とは、1950年代に活躍したR&Bのシンガーのこと。
ジョニー・エースは、ロシアンルーレットで亡くなったと言われています。
どうやらポールはジョニーの死のその先に、先ほどの2人の死があると言いたいようです。
曲名を直訳すると「偉大なる亡きジョニー・エース」。
子供の頃の彼はジョニー・エースのファンではありませんでしたが、その死には強いショックを受けたそうです。
この曲の歌詞については、様々な解釈があるかもしれません。
私はこの曲をこんな風に解釈しています。
「たとえどんなに偉大な人物でも、不意に死は訪れるものだ。もちろん自分たちも例外ではない」
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