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スリッツ(The Slits)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はスリッツのランキングを作成しました。

彼女たちはとても型破りな存在です。

彼女たちは小難しいこと抜きに、ナチュラルな奔放さでリスナーを虜にしてきました。

もしかしたら彼女たちの音楽は、自由な生き方の副産物にすぎないのかもしれません。

特に日常生活に退屈している人は、元気をもらえる音楽だと思います。

 

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1位「Instant Hit」(アルバム:Cut)

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■曲名:Instant Hit
■曲名邦題:インスタント ヒット
■アルバム名:Cut
■アルバム名邦題:カット
■動画リンク:「Instant Hit」
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まずは動画を見ていただきたいと思います。

鬼ごっこか何か分かりませんが、冒頭で彼女たちはかなりの速度で森の中を駆け回っています。

得体のしれない民族音楽をバックに。

この映像は私の言葉より彼女たちが何者かを物語っているかもしれません。

一応私なりに表現すると、ワイルドで、自由すぎて、予測不可能な女たち。

その後に曲が始まりますが、鋭利なノコギリのような音色のギターと低くうねるベースが刺激的です。

歌詞ではある男の子のことについて歌われています。

彼はとても薄っぺらだ。なぜなら彼は自分のことが好きではないし、自分を破壊するように設定されているからと。

「しかし楽しむんだ」と言いたいようです。

ちなみにこの時アリ・アップは、まだ17歳でした。

その若さで自分が何者で何をすべきか、はっきり理解していたようですね。

 

2位「So Tough」(アルバム:Cut)

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■曲名:So Tough
■曲名邦題:ソー・タフ
■アルバム名:Cut
■アルバム名邦題:カット
■動画リンク:「So Tough」
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私は初めてこのアルバムを聞いた時に、この音楽はただ事ではないと思いました。

普段私は何かやりながら音楽を聞いていますが、このアルバムは今だにBGMになりません。

耳を惹きつける要素が多すぎて、聞き流せないからです。

ギター、ベース、ドラムがバラバラに演奏しているようで、しかし不思議と統一感みたいなものが感じられます。

まるでテンション高めの女子高生の集団が、それぞれ好き勝手に話しているのに、なぜか会話が成立してしまう感じに似ているかもしれません。

あまり堅苦しいことは言いたくありませんが、もし可能であれば、彼女たちの音楽は大音量かヘッドホンで聞くことをおすすめします。

そうしないと、肝心のベースラインがよく聞こえません。

さてこの曲の登場人物も男性です。

彼の行動は意味がないように見えるけれど、ただ好奇心が強いだけだから、真剣に受け止めすぎないでほしいと訴えています。

彼はタフなだけだからと。

自分紹介でしょうか(笑)

 

3位「Difficult Fun」(アルバム:Return of the Giant Slits)

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■曲名:Difficult Fun
■曲名邦題:ディフィカルト・ファン
■アルバム名:Return of the Giant Slits
■アルバム名邦題:大地の音
■動画リンク:「Difficult Fun」
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セカンドアルバムからの選曲です。

アルバム名「Return of the Giant Slits」を訳すと「巨人スリッツの帰還」でしょうか。

私の想像ですが、アップセッターズ(Upsetters)の「リターン・オブ・ザ・スーパー・エイプ(Return of the Super Ape)」をもじっているのかもしれません。

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いかにも彼女たちが好みそうな感じではないでしょうか。

ちなみにバンド名の「Slits」とは「裂け目」みたいな意味で、女性器を意味するスラングだそうです。

マジかよと言いたくなりますね。

この曲名も「Difficult Fun」つまり「難しい遊び」という意味ですが、彼女たちの遊びを理解するのは、確かに難易度が高そうです。

 

4位「I Heard It Through the Grapevine」(アルバム:Cut)

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■曲名:I Heard It Through the Grapevine
■曲名邦題:悲しい噂
■アルバム名:Cut
■アルバム名邦題:カット
■動画リンク:「I Heard It Through the Grapevine」
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私は最初この曲に抵抗を覚えました。

というのは、この曲がマーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)で有名な、古いソウル・ミュージックのカバーだったからです。

私はむしろマービン・ゲイの原曲を好きです。

しかし彼女たちがなぜわざわざ古い曲をカバーするのか、必然性が感じられないのですね。

どうやら私は彼女たちに新進奇抜な存在でいてほしいようです。

しかしこの曲を外すことはできません。

彼女たちの1枚目と2枚目は、デニス・ボーヴェル(Dennis Bovel)がプロデュースを担当しています。

デニス・ボーヴェルはレゲエ/ダブのプロデューサーで、マトゥンビ(Matumbi)や、ブラックベアード (Blackbeard) 名義でアルバムをリリースしています。

どれも名盤ばかりですので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

この曲は彼が手掛けたスリッツの曲中でも、最もすばらしい仕事だと思います。

先鋭的でポップなサウンドがたまりません。

それにもかかわらずこの順位なのは、古い曲のカバーかという私の先入観ゆえです。

彼女たちの発想はもっと自由なのに、私は追い付いていないようですね。

 

5位「Improperly Dressed」(アルバム:Return of the Giant Slits)

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■曲名:Improperly Dressed
■曲名邦題:ステキな衣装
■アルバム名:Return of the Giant Slits
■アルバム名邦題:大地の音
■動画リンク:「Improperly Dressed」
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元々彼女たちはパンク・バンドでした。

初期メンバーのパルモリヴは、ザ・クラッシュ(The Clash)のメンバーと交際していて、フラワーズ・オブ・ロマンス(The Flowers of Romance)というシド・ヴィシャス(Sid Vicious)がいたパンク・バンドに参加していた人です。

初期音源曲集「イン・ザ・ビギニング(In The Beginning)」では、パンクとしか言いようがありません。

しかしこのバンドはその後突然変異を起こします。

ダブ・サウンドの導入、加えて得体のしれない無国籍サウンドが目立ってきました。

もしかしたらザ・ポップ・グループ(The Pop Group)あたりの影響が大きいかもしれません。

当時彼女たちはアイランド・レコード(Island Records)から、ラフ・トレード・レコード(Rough Trade Records)に移籍しようとしましたが、それも頓挫し結果ポップ・グループのY Recordsに移籍となりました。

Y Recordsでは「Y3LP – The Official Bootleg」という興味深い未発表曲集を発表しています。

1曲リンクを貼っておきましょう。

The Slits – Mosquitoes

既に無国籍サウンドになっていることが分かりますね。

元々こういう部分は、彼女たちの資質の中にあったようです。

さて今回ご紹介した「Improperly Dressed」も、偽ワールド・ミュージックといった感じの曲です。

少し中近東な音楽っぽいところもありますが、2:22からのパーカッショからの展開がスリリングではないでしょうか。

 

6位「Earthbeat」(アルバム:Return of the Giant Slits)

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■曲名:Earthbeat
■曲名邦題:大地の音
■アルバム名:Return of the Giant Slits
■アルバム名邦題:大地の音
■動画リンク:「Earthbeat」
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ここでメンバー構成を整理しておきましょう。

アリ・アップ (Ari Up):ボーカル
テッサ・ポリット (Tessa Pollitt):ベース
ヴィヴ・アルバータイン (Viv Albertine):ギター

ちなみにデビュー前に初期の重要メンバー、パルモリヴ(Palmolive)が脱退して、アルバムではバッジー(Budgie)がドラムを叩いています。

しかしバッジーがスージー・アンド・ザ・バンシーズ(Siouxsie And The Banshees)に加入するために脱退すると、セカンド・アルバムではブルース・スミス(Bruce Smith)がドラムを担当しました。

しかし彼女たちは基本的にドラムを固定していませんので、コアメンバーは上記3名と考えていいと思います。

さてこの曲は「大地の歌」という曲です。

曲名の通り全編でアフリカっぽいドラムが鳴り響く中、ひかえめに華やぐ彼女たちのコーラスが聞きどころです。

ちなみにこの曲には日本語バージョンがあります。

そちらの方もリンクを貼っておきましょう。

The Slits – Daichi No Oto ( “Earthbeat” Japanese Version)

こちらは英語バージョンより不気味で奔放な曲に仕上がっています。

 

7位「Typical Girls」(アルバム:Cut)

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■曲名:Typical Girls
■曲名邦題:ティピカル・ガールズ
■アルバム名:Cut
■アルバム名邦題:カット
■動画リンク:「Typical Girls」
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このアルバムを語る時、アルバム・ジャケットのことを避けて通れません。

ふんどしだけを身にまとい、上半身は裸。しかも身体に泥を塗っています。

本来はエロ・ジャケなのでしょうが、男に媚びている感ゼロです(笑)

そのいさぎ良さをかっこいいと評価する男性も少なくありません。

この曲の動画には、ジャケットのメイキングっぽい映像が入っています。

泥を塗るシーンや、完成後に半裸で踊っています。

ただパルモリヴはこのジャケットに抵抗があったらしく、直前に脱退してレインコーツ(The Raincoats)に加入することになりました。

残ったのは、裸をいとわない肝の据わった女の子ばかりというわけです。

ちなみにこの曲のタイトルは「Typical Girls」つまり「典型的な少女たち」です。

典型的な少女ってこういうものだと歌われていますが、私が笑ったのは「典型的な少女は、典型的な男の子をゲットする」という箇所。

まあ確かに。

彼女たちは「女の子よ、もっと自由であれ!」と訴えているようです。

 

8位「Ask Ma」(アルバム:Trapped Animal)

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■曲名:Ask Ma
■曲名邦題:アスク・マ
■アルバム名:Trapped Animal
■アルバム名邦題:トラップド・アニマル
■動画リンク:「Ask Ma」
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スリッツは2枚のアルバムを発表すると一度解散しました。

ただメンバー間の不仲みたいな話も聞こえてきませんし、解散理由もよく分かりません。

ウィキペディアにもはっきり書かれていませんし。

当時彼女たちは、とても刺激的な環境にいました。

On-Uサウンドの主宰者エイドリアン・シャーウッド(Adrian Sherwood)からや、アリとヴィヴが参加していたニュー・エイジ・ステッパーズ(New Age Steppers)の活動から大きな刺激を受けていたようです。

さてニュー・エイジ・ステッパーズを脱退後のアリは、ジャングルで先住民と一緒に暮らしたり、ジャマイカに移住したりしていました。

音楽面では、2005年に「Dread More Dan Dead」というソロ・アルバムをリリースしています。

その後新たなメンバー構成で再結成し、2006年「Revenge Of The Killer Slits」という3曲入りEPを発売しました。

2008年に再結成後の第一弾として製作されたのが、このアルバムです。

なんと28年ぶりの新作です。

このぐらい間が開くと、身構えてしまう人もいるかもしれません。

しかしご心配には及びません。

確かに初期の2枚には及ばないかもしれませんが、これはこれですばらしいアルバムです。

この曲を聞くと、彼女たちが楽しんでいる様子が伝わってこないでしょうか。

 

9位「Lazy Slam」(アルバム:Trapped Animal)

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■曲名:Lazy Slam
■曲名邦題:イジー・スラム
■アルバム名:Trapped Animal
■アルバム名邦題:トラップド・アニマル
■動画リンク:「Lazy Slam」
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このアルバムを聞いていつも思うのが、思いの外レゲエ色が強いということです。

この曲もダンスホール・レゲエっぽいリズム・トラックですし。

昔の彼女たちは作詞作曲のクレジットもグループ名義でしたし、誰がどういう音楽性なのかよく分かりませんでした。

しかしその後リリースされたアリのソロアルバム「Dread More Dan Dead」を聞くと、やはりアリが中心だったのかと思わなくもありません。

そのぐらいアリのソロアルバムはダンスホール色が強く、このアルバムと共通性が感じられるものでした。

他にもっとダンスホールっぽい曲があるのですが、Youtubeで音源を見つけられませんでした。

代わりにこの曲のリンクを貼っておきましょう。

Ari Up- True Warrior

ちなみに初期にも、こんなストレートなレゲエ・ナンバーをやっています。

The Slits – Fade Away

彼女たちは尖った面ばかりが注目されがちで、ニューウェーヴとかポスト・パンクのグループとして語られがちです。

しかし思っていた以上に、レゲエ志向が強いようですね。

このアルバムに尖ったロックっぽさを求めると肩透かしを食らいますが、レゲエのアルバムとして聞くとすばらしい作品だと気が付きます。

 

10位「Cry Baby」(アルバム:Trapped Animal)

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■曲名:Cry Baby
■曲名邦題:クライ・ベイビー
■アルバム名:Trapped Animal
■アルバム名邦題:トラップド・アニマル
■動画リンク:「Cry Baby」
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最後にラヴァーズ・ロックといえる曲をご紹介しておきましょう。

ちなみにアリの母方の祖父は、ドイツの新聞社の経営者でした。

またアリの母親は、セックス・ピストルズ(Sex Pistols)のジョン・ライドン(John Lydon)と再婚したことで知られています。

アリとジョン・ライドンは義理の親子関係になりました。

その後1994年にアリは、双子の男の子を出産しました。

しかし父親は、子供が生まれる前に射殺されてしまったそうです。

その後アリは母親としての役割を果たすことができず、見かねたジョン・ライドンと彼女の母親はアリから子供を取り上げ、代わりに法的な保護者になりました。

子供に読み書きなどの教育を、まともに受けさせていなかったそうです。

その後アリは音楽活動に没頭しましたが、2008年彼女は乳がんと診断されました。

しかし彼女はあやしげな「Witch Doctors」の力で治せると信じて、西洋医学を拒否し、ついには2010年に48歳の若さで亡くなってしまいました。

最後のいくつかのエピソードについて、少し残念に思う方がいらっしゃるかもしれません。

しかし彼女の周囲の人は事あるごとに彼女の魅力について語り、ジョン・ライドンも彼女のことが大好きだったそうです。

ジョン・ライドンは彼女の死の前日、アリと病室でデュエットしたのだそうです。

ジョンライドンはアリとの思い出を振り返って「夢のような再開」と語っています。

「俺たちは一緒に歌ったんだ。
病院のスタッフはみんなとても俺たちに寛容でな。
俺たちは2人そろってビックマウスだから、歌う声もそりゃあデカかった」

ジョンライドン
アリアップとジョンライドン死の前日病院でデュエットPIL「FOUR ENCLOSED WALLS」

もう1つスリッツの同僚からのコメントも引用しておきましょう。

ヴィブはアリをこう偲んでいる。

「わたしにとってアリの最大の魅力は、スリッツというバンドを、どんな容姿の女性だとしても自分の身体について安心して楽に感じることのできる場にしてくれたこと。

アリは女性らしさというものを祝福し、その喜びを見出していた人でした。

ステージにいても、そうでなくても、どんな時でも官能的な魅力が備わっていて、どんな女の子でもアリを見ているだけで元気をもらえたものです。

これは本当なんです。アリはその生き様そのものが革命的だったのです」。

アリ・アップ追悼、スリッツが1981年の「最後のレコーディング音源」をリリース

確かにアリは、常識的で器用な人ではなかったかもしれません。

しかしその型破りで奔放な魅力は多くの人を惹きつけ、元気を与える存在だったと思います。

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