今回はドノヴァンのランキングを作成しました。
彼は「英国のボブ・ディラン」と言われていた人です。
しかし私は両者はタイプが違うように感じます。
ドノヴァンはもっとポップな資質を持っていましたし、自然派志向心など独自の感性を持った人でした。
中には田園ポップと言えそうな曲もあります。
一風変わっているけれど、とっつきやすい曲が多いのもまた魅力的です。
- 1 1位「Epistle to Dippy」(アルバム:Donovan’s Greatest Hits)
- 2 2位「Sunshine Superman」(アルバム:Sunshine Superman)
- 3 3位「As I Recall It」(アルバム:The Hurdy Gurdy Man)
- 4 4位「There Is a Mountain」(アルバム:Donovan’s Greatest Hits)
- 5 5位「Jennifer Juniper」(アルバム:The Hurdy Gurdy Man)
- 6 6位「Curry Land」(アルバム:Open Road)
- 7 7位「Pamela Jo」(アルバム:Barabajagal)
- 8 8位「Atlantis」(アルバム:Barabajagal)
- 9 9位「Mellow Yellow」(アルバム:Mellow Yellow)
- 10 10位「Till I See You Again」(アルバム:Lady of the Stars)
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1位「Epistle to Dippy」(アルバム:Donovan’s Greatest Hits)
■曲名:Epistle to Dippy
■曲名邦題:狂人ロック(エピスル・トゥ・ディピー)
■アルバム名:Donovan’s Greatest Hits
■アルバム名邦題:グレイテスト・ヒッツ
■動画リンク:「Epistle to Dippy」
彼は当時、日本のアーティストたちから注目されていました。
加藤和彦は、ライブでよく彼の曲を取り上げていたため「トノバン」というニックネームで呼ばれました。
またRCサクセションの仲井戸麗市の「麗市」は、ドノヴァンの本名をもじったものです。
ちなみにドノヴァンの本名は、Donovan Philips Leitch(ドノヴァン・フィリップス・レイッチ)。
「レイッチ」を「麗市」としたところに、ネーミングのセンスを感じないでしょうか。
さてこの曲は、学校時代からの旧友ディピーへの公開書簡として書かれた曲です。
当時ディピーは、イギリスの軍隊に所属していました。
しかしディピーは、この曲を聞いて除隊することを決意したのだとか。
そうした逸話からこの曲を反戦ソングと考える人もいるようですが、私は歌詞にそういう意味を読み取ることができませんでした。
ただ何かと影響力の強い人であったことは分かります。
2位「Sunshine Superman」(アルバム:Sunshine Superman)
■曲名:Sunshine Superman
■曲名邦題:サンシャイン・スーパーマン
■アルバム名:Sunshine Superman
■アルバム名邦題:サンシャイン・スーパーマン
■動画リンク:「Sunshine Superman」
彼はスコットランド出身で、元々はフォーク・シンガーでした。
その後サイケデリックなフォーク・ロック路線に変化したことで、更に人気が高まりました。
その当時の彼は、フラワー・ムーブメントの新星と呼ばれていたようです。
フラワー・ムーブメントとは、ヒッピーなどによる愛と平和を訴える運動のこと。
この曲はヒッピー呼ばれる人たちに支持されました。
ただこの曲は、平和を歌った曲ではありません。
スーパーマンのことを歌いながら、一方でラブ・ソングでもあるという、一風変わった曲です。
ちなみに「サンシャイン・スーパーマン」とは、こういうキャラとのこと。
胸の太陽が「サンシャイン」の由来でしょうか。
アメコミのイメージ戦略が功を奏したのか、この曲はアメリカでシングルチャート1位を記録し、彼の人気を決定付けることができました。
3位「As I Recall It」(アルバム:The Hurdy Gurdy Man)
■曲名:As I Recall It
■曲名邦題:ふり返ってみれば
■アルバム名:The Hurdy Gurdy Man
■アルバム名邦題:ハーディー・ガーディー・マン
■動画リンク:「As I Recall It」
このアルバムは当時イギリスでリリースされませんでした。
彼はイギリスのアーティストですが、自国で契約の問題を抱えていました。
他のアルバムやシングルもイギリスではリリースされなかったり、発売時期が遅れたりしました。
おそらくそれらによって本国の人気には、かなり影響が出たはずです。
彼は1970年代に「コズミック・ホイールズ(Cosmic Wheels)」あたりを最後に、シーンから姿を消していきました。
私はこういう不作為の積み重ねが、人気の衰退を早めたと考えています。
さてアルバム・タイトル「The Hurdy Gurdy Man」の「Hurdy Gurdy」とはこういう楽器のことです。
大道芸人がよく使う楽器のようですね。
「The Hurdy Gurdy Man」とは「Hurdy Gurdy」を演奏する人という意味です。
オールドタイミーな曲ですが、アルバムのコンセプトに合致しているように思います。
4位「There Is a Mountain」(アルバム:Donovan’s Greatest Hits)
■曲名:There Is a Mountain
■曲名邦題:霧のマウンテン
■アルバム名:Donovan’s Greatest Hits
■アルバム名邦題:グレイテスト・ヒッツ
■動画リンク:「There Is a Mountain」
このアルバムはベスト盤ですが、オリジナル・アルバム未収録曲が3曲入っています。
しかも1位の「Epistle to Dippy」や「ラレーニア(Lalena)」など、どれも聞き逃せない曲ばかりです。
この「There Is a Mountain」も、オリジナル・アルバムでは聞けない曲の1つ。
オールマン・ブラザーズ・バンド(The Allman Brothers Band)の「マウンテン・ジャム(Mountain Jam)」の原曲としても知られています。
この曲の歌詞は、僧侶で仏教学者の鈴木大拙から影響を受けているようです。
歌詞はこんな感じ。
最初に山があった。次に山がない。それから山があった。
禅問答みたいな内容で、私にはさっぱり意味が分かりません。
ただ曲はとても単純明快で、小難しいことを歌った感じには聞こえませんが。
ハロルド・マクネア(Harold McNair)のフルートもいい感じです。
彼のオリジナル・アルバムは甲乙つけがたく、私はこのアルバムを最高傑作として推します。
5位「Jennifer Juniper」(アルバム:The Hurdy Gurdy Man)
■曲名:Jennifer Juniper
■曲名邦題:ジェニファー・ジュニパー
■アルバム名:The Hurdy Gurdy Man
■アルバム名邦題:ハーディー・ガーディー・マン
■動画リンク:「Jennifer Juniper」
この曲は当時彼が交際していたジェニー・ボイド(Jenny Boyd)に捧げた曲です。
ジェニーはエリック・クラプトン(Eric Clapton)の有名曲「愛しのレイラ(Layla)」のモデルとして有名なパティ・ボイド(Patti Boyd)の妹です。
当時は姉妹共に人気があったようですね。
ドノヴァンとジェニー・ボイドのツーショット写真が見つかりました。
曲名の「Jennifer」はジェニー・ボイドで、「Juniper」はセイヨウネズという樹木のことです。
似たような言葉を並べて、言葉遊びをしているようですね。
曲の雰囲気は「Mellow Yellow」にも似て、眠たげなチェンバー・ポップっぽい曲です。
しかしその後2人は破局してしまいました。
破局後ドノヴァンは「Sunshine Superman」のモデルとなった、リンダ・ローレンスと結婚しています。
6位「Curry Land」(アルバム:Open Road)
■曲名:Curry Land
■アルバム名:Open Road
■アルバム名邦題:オープン・ロード
■動画リンク:「Curry Land」
ソロ名義ではなく、オープン・ロード(Open Road)というバンド名義のアルバムです。
ドノヴァン以外のメンバーは以下の通り。
ジョン・カー(John Carr):ドラム、
マイク・トムソン(Mike Thomson):ベース、ギター
このアルバムか、次作「HMSドノヴァン(H.M.S. Donovan)」までが全盛期といえるでしょう。
このアルバムでは音楽性にも変化がありました。
以前から徐々にロック寄りにシフトしていましたが、このアルバムではアーシーなロックからの影響が感じられます。
他にも同等の曲が多く、今回一番選曲に悩んだアルバムです。
他にはボサノヴァっぽい以下の曲も同等の名曲。
しかしその後ドノヴァンは脱退し、残されたメンバーでアルバムを1枚リリースしますが、バンドはすぐに解散してしまいました。
7位「Pamela Jo」(アルバム:Barabajagal)
■曲名:Pamela Jo
■曲名邦題:パメラ・ジョー
■アルバム名:Barabajagal
■アルバム名邦題:バラバジャガ
■動画リンク:「Pamela Jo」
このアルバムはジェフ・ベック・グループ(The Jeff Beck Group)の参加が、大きな話題となりました。
おそらくロック色を強める意図があったと思われます
ただ以前から時々ロックっぽい曲はありました。
このアルバムからではありませんが、1曲ロックっぽい曲をご紹介します。
またこのアルバムは、ミッキー・モスト(Mickie Most)がプロデュースした最後のアルバムになりました。
ミッキー・モストは、ヒット請負人と呼ばれています。
ドノヴァンは才能あるミュージシャンでしたが、狙ってヒット曲を書けるタイプではないかもしれません。
その点を補ったのがミッキー・モストだったと思われます。
事実このアルバム以降に、ドノヴァンがヒットを飛ばすことはなくなりました。
8位「Atlantis」(アルバム:Barabajagal)
■曲名:Atlantis
■曲名邦題:アトランティス
■アルバム名:Barabajagal
■アルバム名邦題:バラバジャガ
■動画リンク:「Atlantis」
この曲はビートルズの「ヘイジュード」に似ています。
彼はビートルズのメンバーとも親交があったようです。
彼はビートルズとも親交を深め、ポール・マッカートニーの作詞に協力したりジョン・レノンにギター・テクニックを伝授して[4]、彼らとコラボレーションを行った僅かなアーティストの内の一人であった。
さらに1968年には、ビートルズのメンバー、女優のミア・ファロー、ザ・ビーチ・ボーイズのマイク・ラヴと共にインドを訪問している[5]。
ヘイジュードは1968年8月30日のリリースで、こちらが1968年11月ですから、ドノヴァンの方が後ということになります。
ビートルズのメンバーと交流があったことを考えると、内輪ネタみたいな感じだったかもしれません。
この曲では最初の2分近く語りが入っていますが、どうやらアトランティス大陸の伝説について語っているようですね。
ニッキー・ホプキンス(Nicky Hopkins)のピアノも良い出来です。
9位「Mellow Yellow」(アルバム:Mellow Yellow)
■曲名:Mellow Yellow
■曲名邦題:メロー・イエロー
■アルバム名:Mellow Yellow
■アルバム名邦題:メロー・イエロー
■動画リンク:「Mellow Yellow」
彼のアルバムには、よくデビュー前のレッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)のメンバーが参加していました。
以前からジミー・ペイジ(Jimmy Page)がギターを弾くことがありました。
またこの曲のアレンジは、ジョン・ポール・ジョーンズ(John Paul Jones)が担当しています。
またこの曲については、楽曲にも魅力があります。
商業的な意味でよくできたポップスとは違って、自然な甘味みたいなものが感じられます。
当時のサイケデリック・ロックは一部を除いて、今では存在意義が揺らいでいるものが少なくありません。
しかしこの人の場合天然なポップ・センスゆえか、音楽的価値は失われていないように思います。
どちらにするか迷った曲をご紹介しましょう。
Donovan – Wear Your Love Like Heaven
今回私は改めて良いソングライターだと再確認しました。
10位「Till I See You Again」(アルバム:Lady of the Stars)
■曲名:Till I See You Again
■曲名邦題:ティル・アイ・シー・ユー・アゲイン
■アルバム名:Lady of the Stars
■アルバム名邦題:レディ・オブ・ザ・スターズ
■動画リンク:「Till I See You Again」
最後に隠れ名曲をご紹介します。
なんとフリー・ソウルっぽい曲です。
アルバムの中盤に置くと浮いてしまうので、最後にご紹介してみました。
この1984年当時彼はどん底でした。
7作連続でアルバムチャートの100位に入らないという、まさに光の差さない暗黒時代。
この曲などは売れそうな気もしますが、全くかすりもしませんでした。
次作「One Night in Time」をリリースしたのは9年後のことで、しかもカセット・テープのみという屈辱的な待遇です。
しかしこの曲にもうかがえるように、どん底にあっても彼は前向きに音楽に取り組んでいたように感じます。
しかし1990年代に入ると風向きが変わり始めました。
再評価の動きがありました。
1996年には彼のファンであったリック・ルービン(Rick Rubin)のプロデュースで「スートラ〜教典(Sutras)」というアルバムをリリースしています。
2012年にはロックの殿堂入りを果たしています。
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