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パブロック(Pub Rock)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はパブロックについて取り上げます。

パブロックとは、イギリスのパブという酒場で演奏されるようなロックのことです。

つまり大きな場所で演奏されるような大掛かりな音楽ではなく、少人数で演奏される日常生活に身近な音楽ということです。

イギリスのパブは、主に労働者階級の人たちが、1日の疲れを癒しに集まって飲む場所。

そこで演奏される音楽は、過剰な装飾がなく(つまり飾り気がない)、シンプルでルーツ音楽が溶け込んだ味わい深いものばかりです。

今回はそんなパブロックの名曲ばかりを選曲し、ご紹介してみました。

ただし単独でランキングを組めそうな人は除外しています。

具体的には、以下の人を除外しました。

・ドクター・フィールグッド(Dr. Feelgood)
・ブリンズリー・シュウォーツ(Brinsley Schwarz)
・ニック・ロウ(Nick Lowe)
・デイヴ・エドモンズ(Dave Edmunds)
・グレアム・パーカー(Graham Parker)
・イアン・デューリー&ザ・ブロックヘッズ(Ian Dury & the Blockheads)

しかし聞いていただければ分かると思いますが、ご紹介する曲の水準には全く影響がありません。

庶民的でどこか人懐こいところがある、そういうパブロックの魅力をご紹介したいと思います。

 

1位 Any Trouble「Honolulu」(アルバム:Where Are All The Nice Girls)

2位 Any Trouble「Honolulu」(アルバム:Where Are All The Nice Girls)

■アーティスト名:Any Trouble
■アーティスト名カナ:エニー・トラブル
■曲名:Honolulu
■アルバム名:Where Are All The Nice Girls
■動画リンク:Any Trouble「Honolulu」

パブロックはパワーポップと境界線があいまいです。

少しルーツ色が強めであか抜けないと、パワーポップではなく、パブロックと言われがちかもしれません。

このバンドなどは特に、パブロックとパワーポップの境界線にいるようなところがあります。

その手のバンドではモータース(The Motors)がいて、ファーストではパブロック、セカンドアルバムではパワーポップ寄りです。

さてこのバンドの話に戻すと、このバンドはクライヴ・グレッグソン(Clive Gregson)率いるマンチェスター出身のバンドです。

レーベルはご存知パブロックの総本山、スティッフ・レコード(Stiff Records)。

彼らはイギリスのメロディメイカー誌から「プリテンダーズ以来の最もエキサイティングな新しいロックンロールグループ」と絶賛されたんだそうです。

そういえばプリテンダーズ(The Pretenders)の初期も、パブロックっぽい魅力がありましたね。

 

2位 Lew Lewis Reformer「Do Just What You Want」(アルバム:Save The Wail)

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■アーティスト名:Lew Lewis Reformer
■アーティスト名カナ:ルー・ルイス・リフォーマー
■曲名:Do Just What You Want
■曲名邦題:ドゥ・ジャスト・ホワット・ユー・ウォント
■アルバム名:Save The Wail
■アルバム名邦題:セイヴ・ザ・ウェイル
■動画リンク:Lew Lewis Reformer「Do Just What You Want」

この人はエディ&ザ・ホット・ロッズの元メンバーでした。

担当楽器はハープ、つまりハーモニカとボーカルです。

ただし素行の悪さから、デビュー前に解雇されてしまったようですが。

確かに彼は後年郵便局に銀行強盗に押し入り、有罪判決を受けているぐらいなので、ヤバい人であることは間違いありません。

さてこの曲は、ロックンロールの魅力をギュっと凝縮したような曲です。

バンド全体が快調ですが、特に58秒のところからのハーモニカにご注目ください。

こんなにこんなかっこいいハーモニカを聞いたことがあるでしょうか。

病気と素行の悪さもあって多くの作品を発表できなかったことが、つくづく惜しまれる人です。

 

3位 Rockpile「Heart」(アルバム:Seconds of Pleasure)

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■アーティスト名:Rockpile
■アーティスト名カナ:ロックパイル
■曲名:Heart
■曲名邦題:ハート
■アルバム名:Seconds of Pleasure
■アルバム名邦題:セカンズ・オブ・プレジャー
■動画リンク:Rockpile「Heart」

彼らはパブロック界のスーパー・バンドです。

なにせニック・ロウ(Nick Lowe)とデイヴ・エドモンズ(David Edmunds)の2人が在籍していたのですから。

ただ2人の関係が悪化したことによって、アルバム1枚だけで終わってしまいました。

しかしそれにしてもこのアルバムは、極上のパブロック盤です。

他にも「想い出のシルエット(Now and Always)」「本を書くなら(When I Write The Book)」など、有名曲ぞろいです。

この曲は晴れやかなボーカルが魅力的ですが、誰が歌っているのかと思い調べたところ、ビリー・ブレムナー(Billy Bremner)でした。

演奏では、テリー・ウィリアムズ(Terry Williams)のドラムが、弾むようなビートを叩き出しています。

パブロックの教科書ともいえるアルバムかもしれません。

 

4位 Ducks Deluxe「Love’s Melody」(アルバム:Taxi to the Terminal Zone)

4位 Ducks Deluxe「Love’s Melody」(アルバム:Taxi to the Terminal Zone)

■アーティスト名:Ducks Deluxe
■アーティスト名カナ:ダックス・デラックス
■曲名:Love’s Melody
■曲名邦題:ラヴズ・メロディ
■アルバム名:Taxi to the Terminal Zone
■アルバム名邦題:タクシー・トゥ・ザ・ターミナル・ゾーン
■動画リンク:Ducks Deluxe「Love’s Melody」

パブロックの有名バンドですが、私はこのバンドの話を誰かとした記憶があまりありません。

話題に上りにくいバンドかもしれません。

この曲はそんな彼らの残した一番大きな輝きかもしれません。

他の曲と違って、とてもポップな曲です。

パワーポップに近い曲調ですが、ギリギリでパブロックと判断して取り上げました。

少しペラペラしたギターの音がパブロックっぽいです。

この曲を書いたアンディ・マクマスター(Andrew McMaster)は、後にモーターズ(Motors)でパワーポップっぽい名曲を量産しています。

気に入ったらモーターズの2枚目あたりをチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

5位 The Pirates「You Can’t Sit Down」(アルバム:Shakin With the Devil/Best of 1977-79)

9位 The Pirates「You Can’t Sit Down」(アルバム:Shakin With the Devil/Best of 1977-79)

■アーティスト名:The Pirates
■アーティスト名カナ:ザ・パイレーツ
■曲名:You Can’t Sit Down
■曲名邦題:ユー・キャント・シット・ダウン
■アルバム名:Shakin With the Devil/Best of 1977-79
■アルバム名邦題:シェイキン・ウィズ・ザ・デヴィル~ベスト・オブ・パイレーツ
■動画リンク:The Pirates「You Can’t Sit Down」

パイレーツ(The Pirates)は、ドクターフィールグッド(Dr. Feelgood)とセットで聞いていただきたいバンドです。

ドクターフィールグッドのギターを担当しているウィルコ・ジョンソン(Wilko Johnson)は、このバンドのミック・グリーン(Mick Green)から、ギターを鋭利に使う方法を学んでいますし。

パブロックは、塩と胡椒だけで味付けしたような簡素なロックンロールの宝庫です

その最良の例として、この曲を聞いてみてください。

パブロックという飾り気のない音楽が気に入るかどうか、リトマス紙となるバンドかもしれません。

この曲が気に入ったら少しお値段が張りますが、この二枚組アルバムをどうぞ。

 

6位 Eddie & the Hot Rods「Do Anything You Wanna Do」(アルバム:Life on the Line)

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■アーティスト名:Eddie & the Hot Rods
■アーティスト名カナ:エディ&ザ・ホット・ロッズ
■曲名:Do Anything You Wanna Do
■曲名邦題:ドゥ・エニシング・ユー・ウォナ・ドゥ
■アルバム名:Life on the Line
■アルバム名邦題:イチかバチか
■動画リンク:Eddie & the Hot Rods「Do Anything You Wanna Do」

彼らは立ち位置が微妙なバンドです。

パブロック、パワーポップ、パンクなど様々な文脈で語られがちですが、どこにも当てはまりにくいように思います。

ただ元々彼らは、ドクター・フィールグッドの影響を受けて、R&Bのカバー曲をやっていました。

私はパブロックが本来のバンドだと考えています。

さて先程この曲の邦題を初めて知りました。「イチかバチか」という邦題なのですね。

ちなみに曲名の「Do Anything You Wanna Do」は「何でもいいから、やりたいことをやれ」です。

当時の彼らの勢いが感じられる曲ではないでしょうか。

 

7位 Chris Spedding「School Days」(アルバム:Chris Spedding)

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■アーティスト名:Chris Spedding
■アーティスト名カナ:クリス・スペディング
■曲名:School Days
■曲名邦題:スクール・デイズ
■アルバム名:Chris Spedding
■アルバム名邦題:クリス・スペディング
■動画リンク:Chris Spedding「School Days」

この人はパンクやロカビリーなど、様々なセッションに顔を出しているせいで、彼自身の音楽性が見えにくいかもしれません。

ただ自分のアルバムでは、パブロックっぽい曲も少なくありません。

たとえばこの曲です。

どう聞いてもパブロックど真ん中ではないでしょうか。

イアン・デューリーあたりにもいえますが、このおとぼけ感もまたパブロックの醍醐味の1つです。

念のため「School Days」という曲名は、チャック・ベリーの曲の方が有名ですが、この曲はクリス自身が書いていてカバーではありません。

この人はカミソリのような鋭角なギターも弾ける人ですが、こういう肩の力が抜けた演奏も最高です。

ちなみにプロデュースは、ヒット請負人ミッキー・モスト(Mickie Most)。

このアルバムはそれほどヒットしたとは言い難いですが、内容的にはとても充実しています。

 

8位 The Winkies「Trust in Dick」(アルバム:The Winkies)

winkies

■アーティスト名:The Winkies
■アーティスト名カナ:ウィンキーズ
■曲名:Trust in Dick
■アルバム名:The Winkies
■アルバム名邦題:ウィンキーズ
■動画リンク:The Winkies「Trust in Dick」

パブロックはパブの音楽というぐらいの意味なので、統一された音楽性みたいなものはありません。

ただB級感覚がにじみ出てしまうバンドが多いように思います。

B級とは、A級に比べて劣っているという意味ではありません。

B級グルメみたいな感じで、いわゆる庶民派な感じがするという意味です。

さてこの曲を聞いて、ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)に似ている思う人も多いことでしょう。

パブロックには、彼らのようにB級ストーンズみたいなバンドが少なくなかったりします。

この曲でのストーンズっぷりは、ほほえましいぐらいではないでしょうか。

ただこの曲は、ストーンズの名曲群と並べても引けを取らないように思います。

B級な味わいという点では、本家を上回るかもしれません。

 

9位 The Bishops「Taste and Try」(アルバム:The London R & B Sessions (Live At The Hope And Anchor))

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■アーティスト名:The Bishops
■アーティスト名カナ:ビショップス
■曲名:Taste and Try
■曲名邦題:テイスト・アンド・トライ
■アルバム名:The London R & B Sessions (Live At The Hope And Anchor)
■アルバム名邦題:ザ・ロンドンR&Bセッションズ
■動画リンク:The Bishops「Taste and Try」

このライブ盤には、様々な人が参加しています。

この曲がすばらしいことは言うまでもありませんが、このアルバムをご紹介すること自体に意義を感じています。

実際この曲も良い曲の1つにすぎません。

今回はドクター・フィールグッドを除外していますが、代わりにこの曲でパブロックのソリッドな側面を代表させることにしました。

ちなみにライブ会場の「Hope And Anchor」とは、当時パブロックのバンドがよく出演していたライブハウスです。

オムニバスであることもあって、このアルバムを素通りしている方も多いかもしれません。

しかし素通りするのはもったいないアルバムです。

私はこのアルバム以上にパブロックの本質を伝えてくれる作品は、他にないように思います。

 

10位 Kilburn & the High Roads「Pam’s Moods」(アルバム:Handsome)

10位 Kilburn & the High Roads「Pam’s Moods」(アルバム:Handsome)

■アーティスト名:Kilburn & the High Roads
■アーティスト名カナ:キルバーン&ザ・ハイ・ローズ
■曲名:Pam’s Moods
■曲名邦題:パムズ・ムーズ
■アルバム名:ハンサム
■アルバム名邦題:Handsome
■動画リンク:Kilburn & the High Roads「Pam’s Moods」

最後に少し珍しい曲をご紹介します。

このバンドはイアン・デューリーが在籍していたことで有名なバンドです。

動画に乗っているアルバムジャケットでも、いかにも労働者階級らしき若者が「俺ってハンサムだろ」という感じでポーズをとっているのがおもしろいです。

この曲はイアン・デューリーのとぼけた側面が出ている曲です。

最後は少しスローダウンして終わらせてみました。

もしこのランキングで気に入った曲があったら、繰り返し聞いてみていただければと思います。

聞く度に味わいが増すのが、パブロックという音楽ですから。

 

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