今回はパブロックについて取り上げます。
パブロックとは、イギリスのパブという酒場で演奏されるロックを指した言葉です。
つまり大きな場所で演奏される大掛かりな音楽ではなく、少人数で演奏される日常生活に身近な音楽ということ。
イギリスのパブは、主に労働者階級の人たちが1日の疲れを癒しに集まる場所です。
そこで演奏される音楽は過剰な装飾がなく、シンプルでルーツ音楽が溶け込んでいる味わい深い曲が多いです。
今回はそんなパブロックの名曲をご紹介してみました。
ただし以下のような単独で記事を予定している人は除外しています。
・ドクター・フィールグッド(Dr. Feelgood)
・ブリンズリー・シュウォーツ(Brinsley Schwarz)
・ニック・ロウ(Nick Lowe)
・デイヴ・エドモンズ(Dave Edmunds)
・グレアム・パーカー(Graham Parker)
・イアン・デューリー&ザ・ブロックヘッズ(Ian Dury & the Blockheads)
庶民的で人懐こい音楽をご堪能ください。
- 1 1位 Any Trouble「Honolulu」(アルバム:Where Are All The Nice Girls)
- 2 2位 Lew Lewis Reformer「Do Just What You Want」(アルバム:Save The Wail)
- 3 3位 Rockpile「Heart」(アルバム:Seconds of Pleasure)
- 4 4位 Ducks Deluxe「Love’s Melody」(アルバム:Taxi to the Terminal Zone)
- 5 5位 The Pirates「You Can’t Sit Down」(アルバム:Shakin With the Devil/Best of 1977-79)
- 6 6位 Eddie & the Hot Rods「Do Anything You Wanna Do」(アルバム:Life on the Line)
- 7 7位 Chris Spedding「School Days」(アルバム:Chris Spedding)
- 8 8位 The Winkies「Trust in Dick」(アルバム:The Winkies)
- 9 9位 The Bishops「Taste and Try」(アルバム:The London R & B Sessions (Live At The Hope And Anchor))
- 10 10位 Kilburn & the High Roads「Pam’s Moods」(アルバム:Handsome)
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1位 Any Trouble「Honolulu」(アルバム:Where Are All The Nice Girls)
■アーティスト名:Any Trouble
■アーティスト名カナ:エニー・トラブル
■曲名:Honolulu
■アルバム名:Where Are All The Nice Girls(1980年)
■動画リンク:Any Trouble「Honolulu」
パブロックはパワーポップとの境界線があいまいです。
ルーツ色が強めであか抜けない場合はパワーポップではなく、パブロックになるかもしれません。
このバンドなどは特にパブロックとパワーポップの分類が難しいように思います。
この手のバンドでは他にモータース(The Motors)がいて、ファーストではパブロック、セカンドではパワーポップ寄りです。
さてこのバンドの話に戻すと、このバンドはクライヴ・グレッグソン(Clive Gregson)率いるマンチェスターのバンドです。
レーベルはパブロックの総本山、スティッフ・レコード(Stiff Records)。
彼らはイギリスのメロディメイカー誌から「プリテンダーズ以来の最もエキサイティングな新しいロックンロールグループ」と絶賛されたそうです。
そういえばプリテンダーズ(The Pretenders)の初期も、パブロックっぽいところが魅力でした。
2位 Lew Lewis Reformer「Do Just What You Want」(アルバム:Save The Wail)
■アーティスト名:Lew Lewis Reformer
■アーティスト名カナ:ルー・ルイス・リフォーマー
■曲名:Do Just What You Want
■曲名邦題:ドゥ・ジャスト・ホワット・ユー・ウォント
■アルバム名:Save The Wail(1979年)
■アルバム名邦題:セイヴ・ザ・ウェイル
■動画リンク:Lew Lewis Reformer「Do Just What You Want」
この人はエディ&ザ・ホット・ロッズの元メンバー。
担当楽器はハープ、つまりハーモニカとボーカルです。
ただし素行の悪さから、デビュー前に解雇されたようですが。
確かに彼は後年郵便局に銀行強盗に押し入って有罪判決を受けているので、ヤバい人であるのは間違いありません。
さてこの曲は、ロックンロールの魅力をギュっと凝縮したような濃い曲です。
特に58秒からのハーモニカにご注目ください。
こんなにこんなかっこいいハーモニカはめったに聞けません。
病気と素行の悪さもあって、多くの作品を残せなかったのがつくづく惜しまれます。
3位 Rockpile「Heart」(アルバム:Seconds of Pleasure)
■アーティスト名:Rockpile
■アーティスト名カナ:ロックパイル
■曲名:Heart
■曲名邦題:ハート
■アルバム名:Seconds of Pleasure(1980年)
■アルバム名邦題:セカンズ・オブ・プレジャー
■動画リンク:Rockpile「Heart」
彼らはパブロック界のスーパー・バンド的存在です。
なにせニック・ロウ(Nick Lowe)とデイヴ・エドモンズ(David Edmunds)の2人が在籍していたのですから。
ただ2人の関係が悪化したことによって、このアルバム1枚で解散しました。
しかしそれにしてもこのアルバムは、極上のパブロック盤です。
他にも「想い出のシルエット(Now and Always)」「本を書くなら(When I Write The Book)」など、有名曲ぞろいです。
この曲は晴れやかなボーカルが魅力的ですが、誰が歌っているのかと思い調べたところ、ビリー・ブレムナー(Billy Bremner)でした。
演奏面ではテリー・ウィリアムズ(Terry Williams)のドラムが、心弾むビートを叩き出しています。
パブロックの教科書といえるアルバムかもしれません。
4位 Ducks Deluxe「Love’s Melody」(アルバム:Taxi to the Terminal Zone)
■アーティスト名:Ducks Deluxe
■アーティスト名カナ:ダックス・デラックス
■曲名:Love’s Melody
■曲名邦題:ラヴズ・メロディ
■アルバム名:Taxi to the Terminal Zone(1975年)
■アルバム名邦題:タクシー・トゥ・ザ・ターミナル・ゾーン
■動画リンク:Ducks Deluxe「Love’s Melody」
パブロックの有名バンドですが、私はこのバンドの話を誰かとした記憶がありません。
話題に上りにくいバンドかもしれませんね。
この曲はそんな彼らの残した最も大きな輝きといえそうです。
他の曲と違って非常にポップな曲です。
パワーポップに近い曲調ですが、ギリギリパブロックと判断して取り上げました。
少しペラペラしたギターの音がパブロックっぽいですし。
この曲を書いたアンディ・マクマスター(Andrew McMaster)は、後にモーターズ(Motors)でパワーポップっぽい名曲を量産しました。
興味のある方はモーターズの2枚目をチェックしてみてはいかがでしょうか。
5位 The Pirates「You Can’t Sit Down」(アルバム:Shakin With the Devil/Best of 1977-79)
■アーティスト名:The Pirates
■アーティスト名カナ:ザ・パイレーツ
■曲名:You Can’t Sit Down
■曲名邦題:ユー・キャント・シット・ダウン
■アルバム名:Shakin With the Devil/Best of 1977-79
■アルバム名邦題:シェイキン・ウィズ・ザ・デヴィル~ベスト・オブ・パイレーツ
■動画リンク:The Pirates「You Can’t Sit Down」
パイレーツ(The Pirates)は、ドクター・フィールグッド(Dr. Feelgood)が好きな方におすすめしたいバンドです。
ドクター・フィールグッドのギタリスト、ウィルコ・ジョンソン(Wilko Johnson)は、このバンドのミック・グリーン(Mick Green)から、鋭利なギターを学びました。
パブロックは、塩と胡椒だけで味付けした料理のような簡素なロックンロールの宝庫です
その最良の例として、この曲をお聞きください。
パブロックという贅肉をそぎ落とした飾り気のない音楽が気に入るかどうか、リトマス紙となるバンドかもしれません。
この曲が気に入ったらこの二枚組アルバムに直行です。
6位 Eddie & the Hot Rods「Do Anything You Wanna Do」(アルバム:Life on the Line)
■アーティスト名:Eddie & the Hot Rods
■アーティスト名カナ:エディ&ザ・ホット・ロッズ
■曲名:Do Anything You Wanna Do
■曲名邦題:ドゥ・エニシング・ユー・ウォナ・ドゥ
■アルバム名:Life on the Line(1977年)
■アルバム名邦題:イチかバチか
■動画リンク:Eddie & the Hot Rods「Do Anything You Wanna Do」
彼らは立ち位置が微妙なバンドです。
パブロック、パワーポップ、パンクなど様々な文脈で語られがちですが、どこにも当てはまりにくいように思います。
ただ元々彼らはドクター・フィールグッドの影響を受けていたようで、R&Bのカバー曲をやっていました。
私はパブロックが本来の姿だと考えています。
さて先程このアルバムの邦題を初めて知りましたが「イチかバチか」という日本語タイトルなのですね。
ちなみに曲名の「Do Anything You Wanna Do」は「何でもいいから、やりたいことをやれ」という意味です。
こうした姿勢はパンクバンド的といえるかもしれません。
7位 Chris Spedding「School Days」(アルバム:Chris Spedding)
■アーティスト名:Chris Spedding
■アーティスト名カナ:クリス・スペディング
■曲名:School Days
■曲名邦題:スクール・デイズ
■アルバム名:Chris Spedding(1976年)
■アルバム名邦題:クリス・スペディング
■動画リンク:Chris Spedding「School Days」
この人はパンクやロカビリーなど、様々なセッションに顔を出しています。
そのため彼本来の音楽性が見えにくいかもしれません。
彼自身のアルバムでは、パブロックっぽい曲が少なくありません。
たとえばこの曲です。
どう聞いてもパブロックど真ん中ではないでしょうか。
イアン・デューリーにもいえますが、このおとぼけ感もまたパブロックの醍醐味の1つです。
念のため「School Days」という曲名は、チャック・ベリーの曲が有名ですが、この曲はそのカバー曲ではありません。
この人はカミソリのような鋭角な演奏も魅力ですが、こういう肩の力が抜けた演奏も最高です。
ちなみにプロデュースは、ヒット請負人ミッキー・モスト(Mickie Most)。
このアルバムはそれほどヒットしていませんが、内容的にはとても充実しています。
8位 The Winkies「Trust in Dick」(アルバム:The Winkies)
■アーティスト名:The Winkies
■アーティスト名カナ:ウィンキーズ
■曲名:Trust in Dick
■アルバム名:The Winkies(1975年)
■アルバム名邦題:ウィンキーズ
■動画リンク:The Winkies「Trust in Dick」
パブロックは統一された音楽性みたいなものはありません。
ただB級感覚がを感じるバンドが多いように思います。
ここでいうB級とは、A級に比べて劣っているという意味ではありません。
B級グルメみたいな庶民派という意味です。
さてこの曲を聞いて、ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)に似ている思う人が多いことでしょう。
パブロックには、彼らのようにB級ストーンズみたいなバンドが少なくありません。
この曲でのストーンズっぷりは、ほほえましいぐらいではないでしょうか。
この曲はB級な味わいにおいて、本家を上回るかもしれません。
9位 The Bishops「Taste and Try」(アルバム:The London R & B Sessions (Live At The Hope And Anchor))
■アーティスト名:The Bishops
■アーティスト名カナ:ビショップス
■曲名:Taste and Try
■曲名邦題:テイスト・アンド・トライ
■アルバム名:The London R & B Sessions (Live At The Hope And Anchor)(1980年)
■アルバム名邦題:ザ・ロンドンR&Bセッションズ
■動画リンク:The Bishops「Taste and Try」
このライブ盤には、様々な人が参加しています。
私はこのアルバムを紹介すること自体に意義を感じています。
今回はドクター・フィールグッドを除外していますが、代わりにこの曲でパブロックのソリッドな側面を代表させてみました。
ライブ会場の「Hope And Anchor」とは、当時パブロックのバンドがよく出演していたライブハウスです。
オムニバスであることもあって、このアルバムを素通りしている方も多いかもしれません。
しかし素通りするのはもったいないアルバムです。
このアルバム以上にパブロックの本質を伝えてくれる作品は、他にないとさえ思います。
10位 Kilburn & the High Roads「Pam’s Moods」(アルバム:Handsome)
■アーティスト名:Kilburn & the High Roads
■アーティスト名カナ:キルバーン&ザ・ハイ・ローズ
■曲名:Pam’s Moods
■曲名邦題:パムズ・ムーズ
■アルバム名:ハンサム
■アルバム名邦題:Handsome(1977年)
■動画リンク:Kilburn & the High Roads「Pam’s Moods」
最後に少し珍しい曲をご紹介します。
このバンドはイアン・デューリーが在籍していたことで知られています。
アルバムジャケットで「俺ってハンサムだろ」といわんばかりにポーズをとっているのもほほえましいですね。
この曲ではイアン・デューリーのとぼけた味わいがよく出ています。
最後は少しスローダウンして終わらせてみました。
もしこのランキングで気に入った曲があったら、繰り返し聞いてみてください。
聞く度に味わいが増すのが、パブロックという音楽だと思いますから。
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