今回はローラ・ニーロのランキングを作成しました。
彼女の最高傑作は、初期の「Eli and the Thirteenth Confession」「New York Tendaberry」「Gonna Take a Miracle」のどれかだと言われています。
しかしこの記事では、キャリア全体から選曲しました。
中期と後期にも良い曲が沢山あります。
- 1 1位「Luckie」(アルバム:Eli and the Thirteenth Confession)
- 2 2位「The Bells」(アルバム:Gonna Take a Miracle)
- 3 3位「Brown Earth」(アルバム:Christmas and the Beads of Sweat)
- 4 4位「My Innocence」(アルバム:Nested)
- 5 5位「Sophia」(アルバム:Mother’s Spiritual)
- 6 6位「Angel in the Dark」(アルバム:Angel in the Dark)
- 7 7位「Wedding Bell Blues」(アルバム:The First Songs)
- 8 8位「The Descent of Luna Rose」(アルバム:Walk the Dog and Light the Light)
- 9 9位「Get Me My Cap」(アルバム:Smile)
- 10 10位「You Don’t Love Me When I Cry」(アルバム:New York Tendaberry)
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1位「Luckie」(アルバム:Eli and the Thirteenth Confession)
■曲名:Luckie
■曲名邦題:ラッキー
■アルバム名:Eli and the Thirteenth Confession
■アルバム名邦題:イーライと13番目の懺悔
■動画リンク:「Luckie」
このアルバムは以下を含め、ほぼ同じ水準の曲がそろっています。
Laura Nyro – Stoned Soul Picnic
彼女は展開が奇妙な曲が多いです。
それでいて難解にならないのは、メロディの魅力ゆえかもしれません。
この「Luckie」でも冒頭で歌い上げた後、ジャズ風の歌いまわしになり、その後も変化に富んだ展開が続きます。
彼女は形式にとらわれず、売れてからも自由奔放な人でした。
ニーロは自分を有名人として売りこもうとすることに不快感を覚え、24歳で音楽業界からの引退を表明した。
その後どうにか活動を再開していますが。
彼女は天才肌の人で、創作面と人生どちらも自由であることを望んでいました。
2位「The Bells」(アルバム:Gonna Take a Miracle)
■曲名:The Bells
■曲名邦題:ザ・ベルズ
■アルバム名:Gonna Take a Miracle
■アルバム名邦題:ゴナ・テイク・ア・ミラクル
■動画リンク:「The Bells」
このアルバムは、R&B女性ボーカル・グループのラベル(Labelle)との共同名義です。
ラベル側から共演の話が持ちかけた時、彼女はこんな反応だったようです。
グループのパティ・ラベルを連れて取材の部屋に入ると、ニーロは「パティ・ラベル! パティ・ラベル!」と大はしゃぎで、ラベルが参加したレコード、歌った曲はすべて知っているといわんばかりの勢いで二人の会話はいつまでも止まらなかったとウィッカムは証言している[2]。
もちろん即共演決定です。
古いR&Bやポップスのカバー・アルバムという方針は早い段階で決まりました。
加えてプロデュースは、フィリー・ソウルのケニー・ギャンブル(Kenneth Gamble)とレオン・ハフ(Leon Huff)。
高いモチベーション、人材、製作体制、楽曲など、傑作となる条件が充分だったといえるでしょう。
このアルバムには「ジミー・マック(Jimmy Mack)」「ゴナ・テイク・ア・ミラクル(Gonna Take a Miracle)」などの名曲が収録されています
後者だけリンクを貼っておきましょう。
Laura Nyro – Gonna Take a Miracle
3位「Brown Earth」(アルバム:Christmas and the Beads of Sweat)
■曲名:Brown Earth
■曲名邦題:褐色の大地
■アルバム名:Christmas and the Beads of Sweat
■アルバム名邦題:魂の叫び
■動画リンク:「Brown Earth」
このアルバムは「New York Tendaberry」と「Gonna Take a Miracle」の間に発表されました。
プロデュースは、フェリックス・キャヴァリエ(Felix Cavaliere)とアリフ・マーディン(Arif Mardin)。
私は彼らを起用した意図が分かる気がします。
前作「New York Tendaberry」は傑作でしたが、万人に受け入れられる音楽ではありませんでした。
ただ彼女の才能には疑いありません。
レコード会社は、彼女の才能をより一般向けにできないかと考えたかもしれません。
そこでソウル・ミュージックに造詣の深い2人を送り込んだと。
結果的に出来上がったこの作品は、思慮深い中庸さを感じさせる音楽に仕上がりました。
聞けば聞くほど味わいが増す隠れた逸品です。
4位「My Innocence」(アルバム:Nested)
■曲名:My Innocence
■曲名邦題:マイ・イノセンス
■アルバム名:Nested
■アルバム名邦題:愛の営み
■動画リンク:「My Innocence」
彼女は初期の作品が高く評価されています。
一方「Smile」「Nested」などの中期の作品は、あまり高く評価されていません。
私はこのブログで全盛期限定で掘り下げる場合と、キャリア全体から広く取り上げる場合があります。
今回は後者のパターンです。
初期以降にも必須と思う曲が多すぎますから。
評価の低い中期のこの曲はポップすぎてつまらないでしょうか。
私はそう思いません。
私は難解であったりシリアスな音楽を必要以上に持ち上げる風潮に疑問を持っています。
この曲はウェストコースト・サウンドっぽいのも聞きやすく、ぜひおすすめしたいと思いました。
5位「Sophia」(アルバム:Mother’s Spiritual)
■曲名:Sophia
■曲名邦題:ソフィア
■アルバム名:Mother’s Spiritual
■アルバム名邦題:マザーズ・スピリチュアル
■動画リンク:「Sophia」
この時期の彼女は、プライベートや思想が歌に反映されていました。
ニーロの関心は情熱と愛から環境主義、母性、フェミニズムを含む、より政治的、社会学的な性質の主題に変わった。
そもそもアルバム名からして「母親のスピリチュアル」で、1曲目は息子に捧げた曲です。
スローな曲では母性を感じさせる曲が多いですが、私は「ライト・トゥ・ヴォート(The Right to Vote)」やこの曲のような、アップの曲に注目しています。
この曲はギターのカッティングがいいですね。
クラブユースにも使えそうな曲です。
彼女には隠れ名曲が沢山ありますが、その中でもトップクラスにおすすめしたい曲です。
6位「Angel in the Dark」(アルバム:Angel in the Dark)
■曲名:Angel in the Dark
■曲名邦題:エンジェル・イン・ザ・ダーク
■アルバム名:Angel in the Dark
■アルバム名邦題:エンジェル・イン・ザ・ダーク
■動画リンク:「Angel in the Dark」
彼女の死後リリースされた遺作です。
レコーディング時期は晩年の1994年と1995年ですから、死後に急遽寄せ集めた編集盤ではなく、実質ラスト・アルバムといってもいいかもしれません。
彼女はフィフス・ディメンション(The Fifth Dimension)などに提供した曲が大ヒットしました。
彼女は歌と作曲の才能を評価されて、アル・クーパー(Al Kooper)脱退後、ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ(Blood, Sweat & Tears)に加入寸前だったと言われています。
シンガーソングライターは、歌と曲が良ければそれだけで高く評価されるものです。
彼女は最後までその2つを強力な武器に、質の高い作品をリリースし続けました。
私は思い入れのあるアーティストの晩年作では、たとえ出来が良くなくても良いところを探そうとします。
しかしこの人の場合、苦しい弁明の必要はありません。
最後まで一線級の作品をつくり続けた人だと思います。
7位「Wedding Bell Blues」(アルバム:The First Songs)
■曲名:Wedding Bell Blues
■曲名邦題:ウェディング・ベル・ブルース
■アルバム名:The First Songs
■アルバム名邦題:ファースト・ソングス
■動画リンク:「Wedding Bell Blues」
彼女のデビュー・アルバムは「モア・ザン・ナ・ニュー・ディスカバリー(More Than a New Discovery)」。
この「The First Songs」は、アルバム・ジャケットと曲順を入れ替えただけの同じアルバムです。
さて彼女は子供の頃、あまり幸せではなかったようです。
「5歳の時から自分の小さな世界、音楽の世界を作っていた」とニーロは1970年にビルボード誌に語り、彼女にとって音楽を作ることは困難な子供時代に対処する手段だったとして、「私は明るく、ハッピーな子供ではなかった」と付け加えている[10]。
彼女は幸せとはいえない子供時代を、音楽に熱中することで乗り越えようとしました。
その後は友達と街角でドゥーワップを歌うことに、ささやかな幸せを見出すようになりました。
この曲では恋人にキスだけでは物足りないから、結婚してほしいと歌っています。
彼女のような美人にそう言われたら、男性も舞い上がってしまうことでしょう。
ただ彼女はバイセクシャルですが。
8位「The Descent of Luna Rose」(アルバム:Walk the Dog and Light the Light)
■曲名:The Descent of Luna Rose
■曲名邦題:月の女神
■アルバム名:Walk the Dog and Light the Light
■アルバム名邦題:抱擁〜犬の散歩はお願いね、そして明かりはつけておいて
■動画リンク:「The Descent of Luna Rose」
彼女は元々ニーナ・シモン(Nina Simone)やビリー・ホリデイ(Billie Holiday)など、ジャズから強く影響されていました。
しかしその後はソウル・ミュージックに傾倒しました。
一時期マーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)に傾倒したキャロル・キング(Carole King)より前に、チャック・レイニー(Chuck Rainey)など、洗練されたプレイヤーを起用しました。
その集大成といえるのが、ライブ・アルバム「光の季節(Season of Lights)」
そのライブ盤はアーバン・ソウルの良作です。
このブログではスタジオ録音を重視しているため、選外としました。
ただそのライブもすばらしいので、このランキングの曲が気に入ったらそちらもチェックしてみてください。
9位「Get Me My Cap」(アルバム:Smile)
■曲名:Get Me My Cap
■曲名邦題:ゲット・ミ―・マイ・キャップ
■アルバム名:Smile
■アルバム名邦題:スマイル
■動画リンク:「Get Me My Cap」
この曲はボーナストラックですので、CDを買う際にはお確かめください。
このアルバムは、前作から5年ぶりの1976年に発表されています。
それまでの彼女は毎年アルバムを発表しているので、かなりブランクが開いたといえるでしょう。
しかしその時期は彼女にとって、波瀾万丈の激動期でした。
彼女はその間に結婚、音楽業界からの引退、離婚、母の死を経験しました。
特に母の死はトラウマとなり、後年まで彼女を苦しめたそうです。
その後発表されたこのアルバム・タイトルは「Smile」つまり「笑え」ということ。
その後彼女は田舎暮らしを楽しんでいましたが、若くしてがんを患いました。
ニーロは1997年4月8日にコネチカット州ダンベリーで卵巣がんにより49歳で死去したが[28]、これは母親が死去したのと同じ年齢だった。遺灰はダンベリーの自宅の庭に植わった楓の木の下に撒かれた[29]。
10位「You Don’t Love Me When I Cry」(アルバム:New York Tendaberry)
■曲名:You Don’t Love Me When I Cry
■曲名邦題:ユー・ドント・ラヴ・ミー・ホエン・アイ・クライ
■アルバム名:New York Tendaberry
■アルバム名邦題:ニューヨーク・テンダベリー
■動画リンク:「You Don’t Love Me When I Cry」
彼女は歌と音楽どちらもレンジが広いのが特徴の人でした。
日本では歌のレンジが広い女性シンガーソングライターは、和製ローラ・ニーロと呼ばれることがあります。
古くは吉田美奈子、矢野顕子、その後も倉橋ヨエコは、直接影響を受けたかどうかは別として、彼女と同じ系譜にあると思います。
倉橋ヨエコをご存じない方は、以下からお聞きください。
倉橋ヨエコ(Kurahashi Yoeko)の名曲名盤10選
先程申し上げたようにローラ・ニーロは作曲と歌、どちらも一流の人でした。
加えて誰にも明らかな才気がある。
和製ローラ・ニーロと呼ばれるだけで、大変な才能の持ち主でなくてはいけません。
彼女が後続の女性SSWに与えた影響は計り知れませんが、その影響は時に抑圧的ではないかと思われるほど。
さてこの曲は本来、1位にすべき曲かもしれません。
この記事の目的は、万人に彼女の魅力を知っていただくことにあります。
そのため、こうした人を選ぶ曲を1位に置けませんでした。
しかし最後であれば、いや最後だからこそ、この強いモメントでリスナーの心に爪跡を残したいと思いました。
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