今回はピエール・バルーのランキングを作成しました。
この人はフランスのシンガーソングライターです。
ブラジル音楽の影響を受けつつも、それだけにとどまらない音楽性。
そしてボヘミアン気質と気骨を合わせ持った人でした。
- 1 1位「Un homme et une femme(A Man and a Woman)(Instrumental)」(アルバム:Un homme et une femme(A Man and a Woman))
- 2 2位「Samba Saravah」(アルバム:Un homme et une femme(A Man and a Woman))
- 3 3位「Le p’tit cine」(アルバム:Ca Va , Ca Vient)
- 4 4位「La nuit des masques」(アルバム:Viking bank)
- 5 5位「Pepe」(アルバム:Le pollen)
- 6 6位「Ce n’est que de l’eau」(アルバム:Ca Va , Ca Vient)
- 7 7位「Ca Va , Ca Vient」(アルバム:Ca Va , Ca Vient)
- 8 8位「Fascinated Groove」(アルバム:the fascinations)
- 9 9位「On n’a rien a faire」(アルバム:Saudade (Un Manque Habite))
- 10 10位「Vivre!」(アルバム:Vivre)
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1位「Un homme et une femme(A Man and a Woman)(Instrumental)」(アルバム:Un homme et une femme(A Man and a Woman))
■曲名:Un homme et une femme(A Man and a Woman)(Instrumental)
■曲名邦題:男と女 (インストゥルメンタル)
■アルバム名:Un homme et une femme(A Man and a Woman)
■アルバム名邦題:男と女
■動画リンク:「Un homme et une femme(A Man and a Woman)(Instrumental)」
曲名に「(Instrumental)」とありますが、ピエール・バルーはこの曲でスキャットを披露しています。
スキャットとは人間の声による器楽的な表現。
そのためボーカルが入っていてもインスト扱いなのですね。
しかもこの曲は、音楽の歴史でも最も有名なスキャットの1つ。
ピエール・バルーはこの曲のイメージが強いですし、映画音楽の歴史的においても重要ですので、1位に推させていただきました。
また大人の恋愛を描いたこの映画も、音楽に負けず劣らずすばらしい出来です。
当時は28歳だった監督のクロード・ルルーシュは、資金集めに奔走しこの映画を製作しました。
そこに音楽担当として参加したのが、フランシス・レイ(Francis Lai)とピエール・バルー。
フランシス・レイに興味がある方は、以下の記事をご覧ください。
2位「Samba Saravah」(アルバム:Un homme et une femme(A Man and a Woman))
■曲名:Samba Saravah
■曲名邦題:男と女のサンバ
■アルバム名:Un homme et une femme(A Man and a Woman)
■アルバム名邦題:男と女
■動画リンク:「Samba Saravah」
この曲も映画「男と女」の収録曲。
「男と女」は1966年に公開されましたが、同年ピエール・バルーはサラヴァ・レーベル(Saravah)を設立しています。
映画で成功した後に設立したのではなく、まだ無名な時期に売り込もうとしていたようです。
サラヴァは、ブリジット・フォンテーヌ(Brigitte Fontaine)など大衆的な人気は獲得できなくとも、一部の人を強く惹きつけるレーベルでした。
ここでサラヴァ・レーベルの設立理念をご紹介します。
印税や版権収入は新しい才能を発掘するためにすべて使われ、優れたアルバムができることにより20年30年間一定の収入を得る、というスロー・ビジネスをいち早く考えたのがサラヴァである。(事実、サラヴァ・レコードのスローガンは「スロー・ビズの王様(Les rois du slow-bizz)」である。)
ただビジネスにおいてはどうしても初期にある程度資金繰りの目途を付けておかなければなりません。
その点サラヴァは早い段階で映画「男と女」がカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞して、事業を軌道に乗せることができました。
その後クロード・ルルーシュ、フランシス・レイ、ピエール・バルーの3人は「白い恋人たち(13 jours en France)」などのヒット作を生みました。
3位「Le p’tit cine」(アルバム:Ca Va , Ca Vient)
■曲名:Le p’tit cine
■曲名邦題:小さな映画館
■アルバム名:Ca Va , Ca Vient
■アルバム名邦題:サ・ヴァ、サ・ヴィアン
■動画リンク:「Le p’tit cine」
このアルバムもサウンドトラックですが、映画の知名度が高くないせいかサントラという感じがしません。
また収録されている楽曲も通常の映画音楽のように同じ曲の変奏や断片的な曲はほぼなく、映画とは関係なく楽しめます。
私は彼の最高傑作だと思っています。
ちなみにウィキペディアのディスコグラフィの分類は、少し分かりにくいかもしれません。
スタジオ・アルバム、サントラ、コンピレーションにバラバラで記載されていて、時系列で把握しにくいように思います。
時系列で整理すると、以下の順番になると思います。
・サウダージ(Saudade (Un Manque Habité)
・VIVRE〜生きる(Vivre)
・サ・ヴァ、サ・ヴィアン(Ca Va , Ca Vient)
・ヴァイキング・バンク(Viking bank)
・ル・ポレン (花粉)(Le pollen)
この記事では人気作「Le pollen」までを対象にしました。
4位「La nuit des masques」(アルバム:Viking bank)
■曲名:La nuit des masques
■曲名邦題:仮面の夜
■アルバム名:Viking bank
■アルバム名邦題:ヴァイキング・バンク
■動画リンク:「La nuit des masques」
最初にアルバム・ジャケットについて、上の画像は顔が上を向いていますね。
しかしGoogleで画像検索すると、顔が左を向いている画像が多数ヒットします。
ただ私が所有しているCDは上を向いていますし、レーベルロゴを見ると上を向いているのが正しいことが分かります。
まあ角度を直したくなる気持ちも分かりますが(笑)
それはさておき前作「Ca Va , Ca Vient」は1971年にリリースされました。
一方このアルバムは1977年の発売ですから、前作からかなりブランクが開きました。
この曲はそうでもありませんが、アルバム全体ではコンテンポラリーな音楽性にシフトしています。
この曲はシコ・ブアルキ(Chico Buarque)のカバー。
ピエール・バルーは当時の妻ドミニクとデュエットしています。
5位「Pepe」(アルバム:Le pollen)
■曲名:Pepe
■曲名邦題:ペペ
■アルバム名:Le pollen
■アルバム名邦題:ル・ポレン (花粉)
■動画リンク:「Pepe」
1982年にリリースされたこのアルバムを最高傑作とする人は少なくありません。
私は「Ca Va , Ca Vient」を推しますが、このアルバムも有力候補だと思います。
そして何より誇らしいのは、このアルバムには日本人アーティストが大挙参加していること。
ムーンライダースのメンバーや清水靖晃、この曲では高橋幸宏がドラムを叩いています。
当時日本の先端的なアーティストの中には、ヨーロッパに強く憧れる人が数多くいました。
そのせいかこのアルバムには、ピエール・バルーへの敬意を感じます。
しかしそれだけではありません。
ピエール・バルーの個性を活かすだけではなく、ニューウェーヴの影響も感じます。
6位「Ce n’est que de l’eau」(アルバム:Ca Va , Ca Vient)
■曲名:Ce n’est que de l’eau
■曲名邦題:おいしい水
■アルバム名:Ca Va , Ca Vient
■アルバム名邦題:サ・ヴァ、サ・ヴィアン
■動画リンク:「Ce n’est que de l’eau」
彼は放浪癖のある人で、14歳から世界を放浪していたそうです。
彼はブラジルを訪れた後本国に戻ると、バーデン・パウエル(Baden Powell)など、ブラジルのアーティストと交流するようになりました。
その結果として次第に彼はボサノヴァ色を強めていきましした。
フランス人によるホサノヴァは「フレンチ・ボッサ」と言われることがあります。
しかし彼のボサノヴァは一般的な「フレンチ・ボッサ」とも異なるかもしれません。
ボサノヴァにも様々な種類があります。
一般的には商業的で聞きやすくおしゃれなボサノヴァが多いかもしれません。
しかしボサノヴァの創始者ジョアン・ジルベルト(Joao Gilberto)は、少し違ったタイプでした。
たとえばシャイで極度に内省的、時にはむき出しの生々しさも。
ピエール・バルーの音楽には、元来ボサノヴァが持っていた異端性を感じます。
7位「Ca Va , Ca Vient」(アルバム:Ca Va , Ca Vient)
■曲名:Ca Va , Ca Vient
■曲名邦題:サ・ヴァ、サ・ヴィアン
■アルバム名:Ca Va , Ca Vient
■アルバム名邦題:サ・ヴァ、サ・ヴィアン
■動画リンク:「Ca Va , Ca Vient」
初期の彼はブラジル音楽の影響が色濃かったと思います。
しかしこのアルバムでは少し傾向が変わりました。
このアルバムではボサノヴァっぽい曲が激減しました。
しかしその変化は吉と出たかもしれません。
この曲などはブラジル音楽というより、イタリアのフェリーニの世界に近いように思います。
もしくは古いアメリカの音楽。
ちなみに「Ca Va , Ca Vient」とは「行ったり来たり」という意味で、レーベル名のサラヴァは「祝福」という意味。
この曲には日常的なささいな幸福、小確幸を感じさせてくれますね。
それは息子を肩車をしているアルバム・ジャケットにも表れています。
8位「Fascinated Groove」(アルバム:the fascinations)
■アーティスト名:the fascinations
■アーティスト名カナ:ザ・ファシネイションズ
■曲名:Fascinated Groove
■アルバム名:the fascinations
■動画リンク:「Fascinated Groove」
ここまでは本人名義の作品から選曲しました。
ここで例外的に2004年にゲスト・シンガーとして参加した隠れ名曲をご紹します。
ザ・ファシネイションズはヴィブラフォン奏者、渡辺雅美が結成したバンドです
スルーするのはもったいないと思い、ご紹介することにしました。
さてピエール・バルーのボーカルは上手いとはいえませんし、音域も狭い。
ただし下手というわけではなく、そういうスタイルということ。
現在彼のようなスタイルのシンガーはいますが、彼はその先駆けだったかもしれません。
彼の歌は細部に込められたニューアンスと粋な感覚、モノローグのような内省にあるような気がします。
9位「On n’a rien a faire」(アルバム:Saudade (Un Manque Habite))
■曲名:On n’a rien a faire
■曲名邦題:そうするしかない
■アルバム名:Saudade (Un Manque Habite)
■アルバム名邦題:サウダージ
■動画リンク:「On n’a rien a faire」
彼のファースト・アルバムは、1966年に発売された「Vivre」だと言われています。
ただどれがファースト・アルバムかは、意外と判断が難しいかもしれません。
特に初期音源の編集盤がある場合は、人によって判断が異なるものです。
同様のファースト・アルバム問題はスペアミント(Spearmint)の記事でも取り上げました。
私はレア・テイクと初期シングルを収録したこの「Saudade (Un Manque Habite)」が、実質的なファースト・アルバムだと思っています。
あきらかに「Vivre」より古い録音の曲ばかりですし。
この頃はフレンチ・ポップとボサノヴァの曲が混在していました。
ボサノヴァでは、以下の曲が注目です。
Pierre Barouh – Saudade (Un manque habite)
10位「Vivre!」(アルバム:Vivre)
■曲名:Vivre!
■曲名邦題:生きる
■アルバム名:Vivre
■アルバム名邦題:VIVRE〜生きる
■動画リンク:「Vivre!」
当初このアルバムから「Chanson ouverte a mon directeur artistique」という曲をご紹介する予定でした。
しかし動画が見つかりませんでしたので、代わりにアルバム・タイトル曲をご紹介します。
「Chanson ouverte à mon directeur artistique」の邦題は「アート・ディレクターへの公開歌」。
少し引用が長くなりますが、歌詞の一部をご紹介します。
ご存知のようにニュースは大変便利なものですが
なぜ解説したり 警戒心をあおったりする必要があるのか不思議ですなぜこんなに多くの専門家や評論家 記者が情報を
時にはテーマを変え 専門を変え 目まぐるしく与え続けなくては
ならないのでしょう無視するより告発した方が良いとおっしゃいますが
思想をエサに自分の地位を向上させる連中はどうです一方ではその思想の為に血を流す者がいて
他方ではテレビカメラの前で自分を売り込んでいるだからそんな歌は恥ずかしい
そんな歌は歌えないのです「Vivre!」のライナーノーツより引用
私はそれほど強く政治に関心がある人ではありませんが、彼の憤りは分かるような気がします。
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