今回はジョニ・ミッチェルのランキングを作成しました。
彼女は「Both Sides, Now」を筆頭に、フォーキーでしっとりした歌を歌うイメージがあるように思います。
そういう曲にも良い曲は少なくありません。
しかしこの記事ではミディアムテンポ以上の曲限定でご紹介してみました。
対象期間はデビューから1970年代までに限定しました。
- 1 1位「All I Want」(アルバム:Blue)
- 2 2位「Coyote」(アルバムHejira)
- 3 3位「Carey」(アルバム:Blue)
- 4 4位「Talk to Me」(アルバム:Don Juan’s Reckless Daughter)
- 5 5位「Big Yellow Taxi」(アルバム:Ladies of the Canyon)
- 6 6位「Help Me」(アルバム:Court and Spark)
- 7 7位「The Jungle Line」(アルバム:The Hissing of Summer Lawns)
- 8 8位「Chelsea Morning」(アルバム:Clouds)
- 9 9位「Car on a Hill」(アルバム:Court and Spark)
- 10 10位「The Dry Cleaner from Des Moines」(アルバム:Mingus)
- 11 番外編「The Circle Game」(アルバム:Ladies of the Canyon)
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1位「All I Want」(アルバム:Blue)

■曲名:All I Want
■曲名邦題:オール・アイ・ウォント
■アルバム名:Blue(1971年)
■アルバム名邦題:ブルー
■動画リンク:「All I Want」
この曲はアップテンポといえるかどうか微妙ですが、こちらでご紹介することにしました。
まずこの曲はジョニとジェームス・テイラー(James Taylor)両者のギターが聞きものです。
ジョニはアパラチアン・ダルシマーを弾いていますが、冒頭から音のテンションが明らかにおかしいですね。
このアルバムは「Blue」というタイトル。
アルバム・タイトル曲は以前恋仲だったデヴィッド・ブルー(David Blue)というシンガーソングライターのことを歌っているようです。
そしてこの曲はレナード・コーエン(Leonard Cohen)との恋愛について歌っていると言われています。
更にはこの曲でギターを弾いているジェームス・テイラー(James Taylor)とも交際していました。
この曲では「あなたの髪を洗ってあげたい」という生々しい歌詞がありますし。
彼女は恋多き女と言われていますが、情報量が多すぎますね。
2位「Coyote」(アルバムHejira)

■曲名:Coyote
■曲名邦題:コヨーテ
■アルバム名:Hejira(1976年)
■アルバム名邦題:逃避行
■動画リンク:「Coyote」
この曲はザ・バンド(The Band)のラスト・ワルツ(The Last Waltz)でも演奏されました。
私は渋谷陽一さんのディスクガイドで知り、このアルバムを買いました。
この曲はジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)の参加によって、とてもスリリングな曲に仕上がっています。
まずイントロからお聞きください。
ギターの後にポーンという音が入っていますが、これはジャコのハーモニクスだと思われます。
ジャコ・パストリアスはフュージョンに留まらず、全ジャンル統一チャンピオンに近いベーシスト。
この曲でも自由すぎるベースプレイを披露しています。
ちなみにライブ盤「シャドウズ・アンド・ライト(Shadows and Light)」は、今回あえて対象外とさせていただきました。
この記事でジャコ・パストリアスの演奏が気になった方は、そのライブをおすすめいたします。
3位「Carey」(アルバム:Blue)

■曲名:Carey
■曲名邦題:ケアリー
■アルバム名:Blue(1971年)
■アルバム名邦題:ブルー
■動画リンク:「Carey」
まず「この風はアフリカからの風」という出だしの歌詞がすばらしいですね。
この曲の主人公は、誰かと一緒に世界中を旅しているようです。
次はどこの都市に旅をしようかと自由気ままな旅を歌った曲ですが、最後にオチがあります。
最後はこう終わります。
「でもあなたは私の視界から消えてしまうのね」
おそらく「あなた」とは一緒に旅をしていた男性のこと。
奔放な女性のもとから恋人が去っていくことを示唆しています。
ただ男性にすがりつく様子はなく、あっさりとしている感じが印象的です。
4位「Talk to Me」(アルバム:Don Juan’s Reckless Daughter)

■曲名:Talk to Me
■曲名邦題:トーク・トゥ・ミー
■アルバム名:Don Juan’s Reckless Daughter(1977年)
■アルバム名邦題:ドンファンのじゃじゃ馬娘
■動画リンク:「Talk to Me」
こちらもジャコが参加している曲です。
ジャコが参加した曲を聞くと、いつも感じることがあります。
それは周囲に合わせようとしていないこと。
ただジャコが参加していたウェザー・リポート(Weather Report)では、ある程度グループ表現に合わせていました。
しかしジョニとの共演では、良くも悪くも自分気ままな演奏をしています。
先程の「Coyote」も同様ですが、ジョニのギターとジャコのベースが同じ意図の下演奏しているかといったら、全然そんなことなさそうですし。
この曲はギターとベースばかり活躍している曲ですが、演奏の一体感はありません。
ジャコはいつものゴリゴリしたりオラついたフレーズは少し控えめにしています。
その代わりにロングトーンを中心に弾いていますが、そもそもベースなのにロングトーン中心の演奏ってなんだという感じですね。
一方でジョニもジョニです。
2:48ぐらいのところでジョニがニワトリみたいな音を出すところは何なんでしょうか。
その後ジャコのベースもジョニに反応して、ニワトリっぽいフレーズを返して、ここだけしっかり反応しています。
それまでお互いに協調性のない演奏をしていたのに、そこだけ合わせるんかいと思いました。
協調性のない才人同士の合わせ方は凡人には理解不能です。
5位「Big Yellow Taxi」(アルバム:Ladies of the Canyon)

■曲名:Big Yellow Taxi
■曲名邦題:ビッグ・イエロー・タクシー
■アルバム名:Ladies of the Canyon(1970年)
■アルバム名邦題:レディズ・オブ・ザ・キャニオン
■動画リンク:「Big Yellow Taxi」
この曲はよくカバーされています。
ボブ・ディラン(Bob Dylan)が「ディラン(Dylan)」というアルバムでカバーしていますし、日本では羊毛とおはながカバーしています。
ミルト・ホーランド(Milt Holland)のパーカッションが、ユーモラスな効果を上げています。
少しヒッピーっぽい曲だと思っていましたが、実際この曲のテーマは環境問題とのこと。
当時からヒッピーは環境問題に敏感です。
私は彼女のしっとりした曲も好きですが、こういう明るめでポップな曲と半々ぐらいだったらと常々思っていました。
それだったら自分の記事でそういう曲を集めてしまおうと思い、この度ランキングを作成しました。
ファーストの「ジョニ・ミッチェル(Song to a Seagull)」以外には、必ずこういうアップテンポの曲が含まれています。
今回漏れた「バラにおくる(For the Roses)」の「恋するラジオ(You Turn Me On, I’m a Radio)」はここで紹介しておきましょう。
Joni Mitchell – You Turn Me On I’m A Radio
6位「Help Me」(アルバム:Court and Spark)

■曲名:Help Me
■曲名邦題:ヘルプ・ミー
■アルバム名:Court and Spark(1974年)
■アルバム名邦題:コート・アンド・スパーク
■動画リンク:「Help Me」
ジョニはカナダ出身のアーティストなので、カナダ・チャートということになりますが、この曲は6位を記録しています。
彼女の最大のヒット曲です。
「Help Me」という曲名から、何事かと思われるかもしれません。
歌詞は「私は再び恋に堕ちようとしている。そうなると私はクレイジーになるだろう。私はあまりに早く恋に落ちてしまうから」という内容です。
いかにも恋多き女らしい歌詞ですね。
彼女の恋愛遍歴の相手はイケメンばかりで、音楽的才能も備えている人ばかりです。
難易度の高い男を次々に落としているジョニは、それほど美人で魅力的な人なのかと思うかもしれません。
しかし彼女はジャケットで損をしています。
あまりいい感じのジャケットがありません。
この曲の動画を見ていただくと、表情が魅力的な人だと思われます。
特に2:42のところのジョニの笑顔はすばらしく、こういう笑顔で次々に男たちが落ちたのではないかと想像します。
7位「The Jungle Line」(アルバム:The Hissing of Summer Lawns)

■曲名:The Jungle Line
■曲名邦題:ジャングル・ライン
■アルバム名:The Hissing of Summer Lawns(1975年)
■アルバム名邦題:夏草の誘い
■動画リンク:「The Jungle Line」
前作「Court and Spark」が大ヒットを記録したにもかかわらず、彼女はその大ヒット路線を1作だけで終わらせました。
大ヒットしたら同じ路線を継続するのがセオリーです。
代わりに次のアルバムでは、こういう一風変わった曲をやってくれました。
なにやら歓声が入っていたり、アフリカっぽいドラムが入っています。
アフリカの国ブルンジのドラムらしいですね。
彼女はアフリカン・テイストがお気に入りらしく、次のアルバムでもこういう曲をやっています。
元々彼女には少しストレンジな要素を好む人でした。
スローでフォーキーな曲でも、ギターのチューニングがおかしいですし。
あのプリンス(Prince)はジョニのファンというのは有名な話ですが、どちらも天才でストレンジ好みという共通点があります。
8位「Chelsea Morning」(アルバム:Clouds)

■曲名:Chelsea Morning
■曲名邦題:チェルシーの朝
■アルバム名:Clouds(1969年)
■アルバム名邦題:青春の光と影
■動画リンク:「Chelsea Morning」
このアルバムでは「青春の光と影(Both Sides, Now)」という曲が知られています。
Joni Mitchell – Both Sides Now
しかし私はこちらの曲の方が好みです。
ファースト・アルバムには、こういうポップな曲が入っていませんでした。
この曲はシングルカットを意識して書いたのではないかと思われます。
クセのないフォークロックという感じの曲です。
曲名「チェルシーの朝」とありますが、チェルシーとは彼女の思い出の場所みたいですね。
彼女はジョニ・アンダーソンという名前のフォークシンガーとして活動していましたが、その間結婚と離婚を経験し、それからニューヨークのチェルシーに移り住みました。
この曲には「私たちは現在形で話しましょう」という一節があります。
都会で心機一転まっすぐ音楽の道を進もうという気持ちが、よく表れている曲かもしれません。
9位「Car on a Hill」(アルバム:Court and Spark)

■曲名:Car on a Hill
■曲名邦題:丘の上の車
■アルバム名:Court and Spark(1974年)
■アルバム名邦題:コート・アンド・スパーク
■動画リンク:「Car on a Hill」
ジョニの転機になったアルバムです。
前作ぐらいから兆候はありましたが、このアルバムはシティポップにシフトしました。
バックの人材も当時売れっ子だったフュージョン系の新進気鋭のプレイヤーがそろいました。
まずトム・スコット(Tom Scott)、そしてラリー・カールトン(Larry Carlton)、ウィルトン・フェルダー(Wilton Felder)、ジョー・サンプル(Joe Sample)などのクルセイダーズ(The Crusaders)勢も参加しています。
この曲はあまり触れられる機会が多くありませんが、なかなか良い曲だと思っています。
まずイントロからフュージョンらしい演奏が始まります。
彼女が書いた曲も軽やかな曲が増えていますし。
このアルバムはジョニの最高傑作にとして取り上げられることが多いですが、セールス的にも1位を獲得しています。
しかし彼女はこの路線をあっさりと捨て去りました。
次作からはジャコ・パストリアスと組んで、より自由でアヴァンギャルドな音楽に移行しました。
10位「The Dry Cleaner from Des Moines」(アルバム:Mingus)

■曲名:The Dry Cleaner from Des Moines
■曲名邦題:デ・モインのおしゃれ賭博師
■アルバム名:Mingus(1979年)
■アルバム名邦題:ミンガス
■動画リンク:「The Dry Cleaner from Des Moines」
このアルバムはジャズの巨人チャールズ・ミンガス(Charles Mingus)に捧げられています。
ミンガスに興味のある方は、以下の記事をご覧ください。
チャールズ・ミンガス(Charles Mingus)の名曲名盤5選+5
さて「Court and Spark」には「トゥイステッド(Twisted)」というジャズ風の曲がありました。
この曲もその系譜です。
ジャズ寄りになりすぎず自分のスタンスで歌っていて、ジャズとポップスの中間を表現しています。
この曲にもジャコが参加しています。
恋多き女ジョニはこの時ジャコと交際していました。
頻繁に交際相手を変えてきたジョニにしては珍しく、長い年月に渡る交際だったようです。
ジャコとの共演は次作のライブ・アルバム「Shadows and Light」でピークに達した感があります。
しかしその次の「ワイルド・シングス・ラン・ファスト(Wild Things Run Fast)」では、クレジットにジャコの名前はありませんでした。
おそらく2人の関係は終わったのだと思われます。
番外編「The Circle Game」(アルバム:Ladies of the Canyon)

■曲名:The Circle Game
■曲名邦題:サークル・ゲーム
■アルバム名:Ladies of the Canyon(1970年)
■アルバム名邦題:レディズ・オブ・ザ・キャニオン
■動画リンク:「The Circle Game」
さて最後にランキング外で、フォーキーでしっとりした曲もとりあげてみたいと思います。
私はスローでフォーキーな曲を軽視しているわけではありません。
彼女はすぐれたボーカリストです。
もし彼女の声質の美しさを味わいたい場合、こういう曲が最適かもしれません。
そういえばエリック・アンダースンのアルバムでも、彼女は神々しいコーラスを披露していました。
この「The Circle Game」においても、ジョニの声の美しいことといったら言葉が見つかりません。
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