今回はエリック・クラプトンのランキングを作成しました。
予め申し上げておくと、以下は対象期間外とさせていただきました。
・ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ(John Mayall&the Bluesbreakers)
・クリーム(Cream)
・ブラインド・フェイス(Blind Faith)
・デレク・アンド・ザ・ドミノス(Derek and the Dominos)
上記の時代については、改めて別記事でご紹介する予定です。
- 1 1位「Bad Love」(アルバム:Journeyman)
- 2 2位「Tears in Heaven」(アルバム:Unplugged)
- 3 3位「Let It Grow」(アルバム:461 Ocean Boulevard)
- 4 4位「Pretty Blue Eyes」(アルバム:There’s One in Every Crowd)
- 5 5位「Lay Down Sally」(アルバム:Slowhand)
- 6 6位「Ain’t Going Down」(アルバム:Money and Cigarettes)
- 7 7位「Holy Mother」(アルバム:August)
- 8 8位「I Shot the Sheriff」(アルバム:461 Ocean Boulevard)
- 9 9位「Promises」(アルバム:Backless)
- 10 10位「Change the World」(アルバム:Clapton Chronicles: The Best of Eric Clapton)
- 11 番外編「Signe」(アルバム:Unplugged)
- 12 関連記事
- 13 記事一覧
- 14 他ブログ・SNS等
1位「Bad Love」(アルバム:Journeyman)

■曲名:Bad Love
■曲名邦題:バッド・ラヴ
■アルバム名:Journeyman(1989年)
■アルバム名邦題:ジャーニーマン
■動画リンク:「Bad Love」
「1980年代のレイラ」と呼ばれている曲です。
「いとしのレイラ(Layla)」では、親友ジョージ・ハリスン(George Harrison)の妻パティ・ボイドへの片思いが、狂おしく歌われていました。
そのアピールが届いたのか、クラプトンはジョージと離婚したパティと結婚することができました。
しかしその結果は必ずしもハッピーエンドとはならなかったようです。
クラプトンはイボンヌ・ケリーと不倫したり、パティにも暴力をふるうことがあり、幸せな結婚生活とはいえませんでした。
その後新たな不倫相手ロリー・デル・サントとの間に息子コナーを授かっています。
さてこの曲では「もう悪い恋愛は充分だ」と歌われています。
おそらくロリー・デル・サントのことだと思われます。
不倫して「悪い恋愛」とは、いささか身勝手な感じがしないでもありません。
ちなみにパティとは1988年に離婚していますが、子供をもうけたロリーとは結婚しませんでした。
その後彼は53歳の時、22歳の女性と再婚しています。
2位「Tears in Heaven」(アルバム:Unplugged)

■曲名:Tears in Heaven
■曲名邦題:ティアーズ・イン・ヘヴン
■アルバム名:Unplugged(1992年)
■アルバム名邦題:アンプラグド〜アコースティック・クラプトン
■動画リンク:「Tears in Heaven」
息子コナー・クラプトンを失うという悲しい出来事を受けて書かれた曲です。
彼は1980年代半ばまでドラッグと酒におぼれ、自堕落な日々を送っていました。
しかし息子が生まれたことで父親としての自覚が芽生え、それらの問題を見事克服し、この頃はクリーンになっていたようです。
その矢先、息子のコナーが高層ビルの53階から転落しました。
コナーはわずか4歳半という若さ。
その時クラプトンは46歳になっており、かわいい盛りの息子の死はさぞかしこたえたことでしょう。
この曲は息子に向けて「天国でお前に会えたら、お父さんだと気づいてくれるだろうか」と歌われています。
それから「強くならなければいけない。生き続けないといけない」と続けています。
3位「Let It Grow」(アルバム:461 Ocean Boulevard)

■曲名:Let It Grow
■曲名邦題:レット・イット・グロウ
■アルバム名:461 Ocean Boulevard(1974年)
■アルバム名邦題:461 オーシャン・ブールヴァード
■動画リンク:「Let It Grow」
このアルバムは、彼の最高傑作だと言われています。
人気の秘密は、ヒット曲「I Shot the Sheriff」が収録されていること。
しかし私はこちらの曲の方が好みです。
ベスト盤には入っていませんので、アルバムを未聴の方は、ここで聞いていただければと思います。
まだ結婚していませんでしたが、当時彼はパティとの同居生活を始めていました。
この曲では「愛を育てよう」と歌われています。
この曲のギターは、彼にしては珍しく情念を感じさせます。
特に3:34からのアルペジオは、レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)の「天国への階段(Stairway to Heaven)」を思わせますね。
4位「Pretty Blue Eyes」(アルバム:There’s One in Every Crowd)

■曲名:Pretty Blue Eyes
■曲名邦題:可愛いブルー・アイズ
■アルバム名:There’s One in Every Crowd(1975年)
■アルバム名邦題:安息の地を求めて
■動画リンク:「Pretty Blue Eyes」
クラプトンは、ジェフ・ベック(Jeff Beck)、ジミー・ペイジ(Jimmy Page)と共に、3大ギタリストと呼ばれています。
3大ギタリストについては、ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)を入れた方がいいとか、いやリッチー・ブラックモア(Ritchie Blackmore)だろうとか、様々な意見があることでしょう。
私は同じヤードバーズ(The Yardbirds)から、3人の偉大なギタリストが生まれた偶然性を考慮して、そのままでいいと思う派です。
そもそも偉大なギタリストを3人に絞ること自体、無理があるように思いますし。
ただ彼は「461 Ocean Boulevard」あたりから、少しずつ音楽性が変わりました。
ギターの演奏より、楽曲全体を重視する方向へとシフトしています。
またテンションの高さで聞かせる演奏が減り、レイドバックした演奏が多くなりました。
ただその路線は思いのほか好評で、従来とは違う評価を獲得しました。
5位「Lay Down Sally」(アルバム:Slowhand)

■曲名:Lay Down Sally
■曲名邦題:レイ・ダウン・サリー
■アルバム名:Slowhand(1977年)
■アルバム名邦題:スローハンド
■動画リンク:「Lay Down Sally」
アルバム・タイトルの「Slowhand」は、速弾きしてもゆっくり弾いているように見えることから付けられたニックネームです。
このアルバムでは他にも「コカイン(Cocaine)」など有名曲はありますが、最後まで迷った「ワンダフル・トゥナイト(Wonderful Tonight)」はリンクだけ貼っておきましょう。
Eric Clapton – Wonderful Tonight
「Lay Down Sally」ではマーシー・レヴィ(Marcy Levy)という女性ボーカルが目立っていて、まるでデュエットのようです。
彼はマーシーと度々共演していて、この曲ではソングライティングにも加えています。
彼女は後で取り上げる「Promises」でもすばらしい歌を披露していますし、クラプトンと相性が良い人なのかもしれません。
またこのアルバムでは他に、イヴォンヌ・エリマン(Yvonne Elliman)という女性ボーカルも参加しています。
クラプトンの声はシブいですが少し地味なので、女性ボーカルで彩りを添えると魅力が引き立ちます。
6位「Ain’t Going Down」(アルバム:Money and Cigarettes)

■曲名:Ain’t Going Down
■曲名邦題:エイント・ゴーイング・ダウン
■アルバム名:Money and Cigarettes(1983年)
■アルバム名邦題:マネー・アンド・シガレッツ
■動画リンク:「Ain’t Going Down」
キャリアの最初期からクラプトンは突出したギタリストでした。
ソロ活動以前に参加したどのバンドでも、ロック史に残る傑作を残してきました。
そんな中、強いて低迷期を挙げるとすると1980年代かもしれません。
このアルバムと、フィル・コリンズ(Phil Collins)がプロデュースした「ビハインド・ザ・サン(Behind the Sun)」「オーガスト(August)」は評価が高くありません。
とはいえ、この曲のようにギターが目立つ良い曲もあります。
久しぶりにこのアルバムでこの曲を見つけた時、私は狂喜しました。
このアルバムは「ロックン・ロール・ハート(I’ve Got A Rock ‘N’ Roll Heart)」の印象が強いアルバムですが、私はこちらの方が好みです。
次作の「Behind the Sun」もファンには不評でしたが、そちらでは「フォーエヴァー・マン(Forever Man)」がロックっぽい良曲です。
7位「Holy Mother」(アルバム:August)

■曲名:Holy Mother
■曲名邦題:ホリー・マザー(リチャード・マニュエルに捧ぐ)
■アルバム名:August(1986年)
■アルバム名邦題:オーガスト
■動画リンク:「Holy Mother」
ザ・バンド(The Band)のリチャード・マニュエル(Richard Manuel)に捧げられた曲です。
リチャードは自ら命を絶ちました。
クラプトンはザ・バンドから、かなりの影響を受けていました。
クラプトンはアルバム「ノー・リーズン・トゥ・クライ(No Reason to Cry)」で、リチャードと「ビューティフル・シング(Beautiful Thing)」を共作しています。
リチャード以外のザ・バンドのメンバーでは、リック・ダンコ(Rick Danko)と名曲「オール・アワ・パスト・タイムズ(All Our Past Times)」、ロビー・ロバートソン(Robbie Robertson)とは「イッツ・イン・ザ・ウェイ・ザット・ユー・ユーズ・イット(It’s in the Way That You Use It)」を共作しています。
リチャードは、ザ・バンドの中で最ももの静かな男でした。
ジョージ・ハリスンを含め、クラプトンはそういう人と相性が良いのかもしれません。
クラプトン自身も内向的な性格のようですし。
この曲でクラプトンは、聖なる母に嘆きを聞いてほしいと訴えています。
彼はこういうセンチメンタルな曲を書く傾向のある人で、そのあたりが玄人筋から疎まれる原因かもしれません。
実は私も昔こういう曲をあまり好きではありませんでしたが、最近は普通に聞いて感動しています。
ソロ時代のクラプトンの魅力を語る時、こういうセンチメンタルな側面は避けては通れません。
8位「I Shot the Sheriff」(アルバム:461 Ocean Boulevard)

■曲名:I Shot the Sheriff
■曲名邦題:アイ・ショット・ザ・シェリフ
■アルバム名:461 Ocean Boulevard(1974年)
■アルバム名邦題:461 オーシャン・ブールヴァード
■動画リンク:「I Shot the Sheriff」
この曲のオリジナルはボブ・マーリー(Bob Marley)です。
Bob Marley – I Shot The Sheriff
オリジナルが収録されている「バーニン(Burnin’)」は、1973年10月19日のリリース。
クラプトンはこの曲を1974年の春頃に録音していますから、すぐにカバーしたのですね。
ただこの曲が正統派のレゲエかといえば、いささか違うように思います。
曲のメロディを借りていても、オリジナルのディープで沈み込むリズムとは異なります。
ただクラプトンのバージョンの方が、楽曲の魅力は伝わりやすいかもしれません。
これはブルースのカバー曲などにもいえますが、彼はコアでディープな音楽を、普通の人にも分かりやすく伝えることに長けています。
そもそもクラプトンは影響を受けやすい人です。
J・J・ケイル(J. J. Cale)から強く影響されていた時期もありました。
ボックスセットでサンタナ(Santana)と共演した演奏では、途中から明らかにサンタナ寄りに傾いていましたし。
彼は受けた影響を広く受け入れられるよう一般化するのが上手な人だと思います。
9位「Promises」(アルバム:Backless)

■曲名:Promises
■曲名邦題:プロミセス
■アルバム名:Backless(1978年)
■アルバム名邦題:バックレス
■動画リンク:「Promises」
ここまで聞いていただいた人はこういう感想を持ったのではないでしょうか。
ソロ時代のクラプトンとは、
1.センチメンタルで
2.軽めのレイドバックした曲が多く
3.時々ロックっぽい演奏をする
という特徴があります。
しかしそれだけでは、今のような大スターにはなっていないかもしれません。
私はクラプトンの魅力は総合力だと思います。
つまりボーカル、ギター、作曲能力、どれも一流だということです。
たとえばこの曲などはいかがでしょうか。
ボーカルの飄々とした魅力、時々差し込まれる味わい深いギター、マーシー・レヴィのバック・ボーカルもいい感じです。
こんな地味な曲を、このレベルに持っていけるクラプトン恐るべしです。
10位「Change the World」(アルバム:Clapton Chronicles: The Best of Eric Clapton)

■曲名:Change the World
■曲名邦題:チェンジ・ザ・ワールド
■アルバム名:Clapton Chronicles: The Best of Eric Clapton(1999年)
■動画リンク:「Change the World」
やはりこの曲は外せません。
この曲のオリジナルは、アメリカのカントリー・シンガー、ワイノナ・ジャッド(Wynonna Judd)です。
Wynonna Judd – Change the World
この曲は映画「フェノミナン(Phenomenon)」で音楽総監督を務めていたロビー・ロバートソンからの提案で、カバーすることになったのだそうです。
シングルカットされていないこの曲を提案したロビーは、さすがの慧眼ですね。
またこの曲は、ベイビーフェイス(Babyface)がプロデュースしたことも話題になりました。
現在のクラプトン人気は保守的なリスナー層が支えているようですが、その路線を象徴する曲といえるでしょう。
クリス・レアあたりのファン層と、少し被っているかもしれません。
番外編「Signe」(アルバム:Unplugged)

■曲名:Signe
■曲名邦題:サイン
■アルバム名:Unplugged(1992年)
■アルバム名邦題:アンプラグド〜アコースティック・クラプトン
■動画リンク:「Signe」
最後にギタリストとしての魅力を堪能できる曲をご紹介しましょう。
この曲が収録されている「Unplugged」は、アコースティック楽器だけが使用されています。
クラプトンはソロ活動後、ギタリストとして強く主張しなくなりました。
しかしこの曲を聞けば、いまだ最高峰のギタリストだということが分かります。
アコースティック・ギターで大勢の聴衆をうならせる、ロック・レジェンドの演奏に思わずうなります。
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