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ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)の名曲名盤20選【代表曲・隠れた名曲】

今回はローリング・ストーンズのランキングを作成しました。

彼らはロックの猥雑さや雑食性を体現しているバンドです。

ロックの王道を往くバンドと言ってもいいでしょう。

なお記事ではUK盤を念頭に置いてレビューを書いています。

またリンク先の動画がアルバム・バージョンとは異なる場合もありますので、予めご了承ください。

 

1位「Street Fighting Man」(アルバム:Beggars Banquet)

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■曲名:Street Fighting Man
■曲名邦題:ストリート・ファイティング・マン
■アルバム名:Beggars Banquet(1968年)
■アルバム名邦題:ベガーズ・バンケット
■動画リンク:「Street Fighting Man」

彼らはこのアルバム以前から人気バンドでした。

事実デビューから全てのアルバムを3位以内に送り込んでいます。

しかし真の意味で王者の風格が出てきたのは、このあたりからかもしれません。

将来世界一のロックバンドになりそうな気配が漂い始めてきました。

このアルバムの前作は「Their Satanic Majesties Request」です。

当時流行っていたサイケデリックなコンセプト・アルバムでしたが、ファンからは失望の声が挙がりました。

多くのファンは「アウト・オブ・アワ・ヘッズ(Out of Our Heads)」や「アフターマス(Aftermath)」のような、ラフなサウンドを望んでいましたから。

しかしその後再度彼らは元の王道を歩き始めました。

この曲はベース以外全てアコースティック編成ですが、ふてぶてしいほどロックの本質を感じさせます。

ほぼアンプラグドな編成なのに、全然アコースティックな感じがしません(笑)

他のエレクトリック楽器のバンドをアコースティック編成でねじ伏せそうな、圧倒的なこの威圧感。

武器を持った相手を素手で制圧するかのごとし。

この曲あたりから彼らは同時代のバンドに格の違いを見せつけてきました。

 

2位「She’s a Rainbow」(アルバム:Their Satanic Majesties Request)

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■曲名:She’s a Rainbow
■曲名邦題:シーズ・ア・レインボー
■アルバム名:Their Satanic Majesties Request(1967年)
■アルバム名邦題:サタニック・マジェスティーズ
■動画リンク:「She’s a Rainbow」

一般的な人気では、ストーンズで最も愛されている曲かもしれません。

この曲の主役はミック・ジャガーとキース・リチャーズではなく、以下の2人です。

・ジョン・ポール・ジョーンズ(John Paul Jones):ストリングス編曲
・ニッキー・ホプキンス(Nicky Hopkins):ピアノ

特にハープシコードのようなニッキー・ホプキンスのピアノは、この曲をチェンバー・ポップに染めました。

当時ニッキー・ホプキンスは人気のセッション・プレイヤーでした。

彼はストーンズをはじめとして、ビートルズ(The Beatles)、キンクス(The Kinks)、ザ・フー(The Who)という「英国四大バンド」全てのレコーディングに参加した人です。

ニッキーはこの曲で決定的な仕事をしました。

さてこの時期の彼らは、時々こういうかわいらしい曲がありました。

同時期の「ビトウィーン・ザ・バトンズ(Between the Buttons)」に収録されている「コネクション(Connection)」という曲をご紹介しましょう。

The Rolling Stones – Connection

なんでもない曲かもしれませんが、個人的に偏愛している曲です。

 

3位「Tumbling Dice」(アルバム:Exile on Main St.)

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■曲名:Tumbling Dice
■曲名邦題:ダイスをころがせ
■アルバム名:Exile on Main St.(1972年)
■アルバム名邦題:メイン・ストリートのならず者
■動画リンク:「Tumbling Dice」

初めてこの曲を聞いた中学生の頃はそれほど好きな曲ではありませんでした。

しかし今では同率1位と思えるほど好きな曲です。

この曲はキースのギターが生み出すルーズなノリと、ゴスペルっぽい女性コーラスが目立ちます。

2:29からのギターと女性コーラスがコール・アンド・レスポンスになっているところは、まさに神展開ではないでしょうか

若い頃は何度も繰り返さなくてもいいと思ったものですが、いつの間かそこが一番のツボになっていました。

このアルバムはスワンプ・ロックの影響が色濃いのが特徴です。

しかしこの曲でのギター・プレイは本家アメリカのバンドを上回るほど、完璧にレイドバックしたノリを表現しています。

この頃キースは絶好調でした。

キースがボーカルをとる曲を1曲ご紹介しておきましょう。

The Rolling Stones – Happy

このアルバム全体にいえますが、スタジオ録音なのにライブ感がありますね。

 

4位「Sympathy for the Devil」(アルバム:Beggars Banquet)

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■曲名:Sympathy for the Devil
■曲名邦題:悪魔を憐れむ歌
■アルバム名:Beggars Banquet(1968年)
■アルバム名邦題:ベガーズ・バンケット
■動画リンク:「Sympathy for the Devil」

彼らにしては珍しいアフロ・サンバの曲です。

異色なのはリズムだけではありません

彼らの曲はキースのギター・リフが、サウンドの核といってもいいと思います。

しかしこの曲でのキースはリフを弾いていません。

代わりにロッキー・ディジョン(Rocky Dijon)のコンガと、ニッキー・ホプキンスのピアノがけん引しています。

ニッキー・ホプキンスは、後年こう振り返っています。

ニッキー・ホプキンスは、この曲での自身のピアノ演奏を非常に気に入っており「自分の生涯でのベスト5に入るプレイ」とまで語っている(1995年2月に「レコード・コレクターズ」で掲載されたインタビューにおいて)。

悪魔を憐れむ歌 ウィキペディア

一方キースは、ベースとギター・ソロを担当しています。

キースはビル・ワイマン(Bill Wyman)の演奏に満足できず、代わりにベースを弾きビルはマラカスを担当しました。

またこの曲はミックが書いた曲ですが、キースがリズムのテコ入れを提案したそうです。

元々はこんな曲でした。

The Rolling Stones – Sympathy For The Devil

キースのアドバイスによって、この曲は大化けしました。

当時のライブ動画もご紹介しておきましょう。

Rolling Stones – Sympathy For The Devil (Hyde Park,1969) Mick Taylor’s First Gig

ミックとキースは「ジャガー/リチャーズ(Jaggar-Richards)」とか「グリマー・ツインズ(The Glimmer Twins)」と呼ばれている名コンビです。

この名曲は2人の化学反応によって生まれました。

 

5位「Hot Stuff」(アルバム:Black And Blue)

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■曲名:Hot Stuff
■曲名邦題:ホット・スタッフ
■アルバム名:Black And Blue(1976年)
■アルバム名邦題:ブラック・アンド・ブルー
■動画リンク:「Hot Stuff」

1974年ギターのミック・テイラー(Mick Taylor)が脱退しました。

そこでこのアルバムのレコーディングは、新しいギタリストを選考するオーデションを兼ねることになりました。

当時その模様は「グレイト・ギタリスト・ハント」と呼ばれ、大きな話題になったようです。

有名ギタリストも参加したと言われていますが、最終的にアルバムのクレジットには、以下の3名が記載されています。

・ハーヴェイ・マンデル(Harvey Mandel)
・ウェイン・パーキンス(Wayne Perkins)
・ロン・ウッド(Ronnie Wood)

ちなみにこの「Hot Stuff」では、ハーヴェイ・マンデルがギターを弾いています。

一方ロンは「チェリー・オー・ベイビー(Cherry Oh Baby)」と「ヘイ・ネグリータ(Hey Negrita)」の2曲に参加しています。

私の感じだと、この時点ではハーヴェイの方が良いプレイをしているような気がしないでもありません。

ただバンドは結局、以前からの顔なじみで気心の知れたロンを、新しいメンバーに選びました。

今では私も音楽的相性の良さから、ロン・ウッドで異論ありません。

 

6位「Time Waits for No One」(アルバム:It’s Only Rock’n Roll)

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■曲名:Time Waits for No One
■曲名邦題:タイム・ウェイツ・フォー・ノー・ワン
■アルバム名:It’s Only Rock’n Roll(1974年)
■アルバム名邦題:イッツ・オンリー・ロックン・ロール
■動画リンク:「Time Waits for No One」

大学の時、私は音楽マニアが集うレコード屋でアルバイトをしていました。

そこに来る客は音楽に詳しい人が多く、私は逆立ちしても彼らに太刀打ちできません。

そんなある時、あるストーンズ中毒の常連と仲良くなりました。

ストーンズみたいなバンドは、首下まで漬かって初めて分かる感覚があります。

私は彼の家に遊びに行ってはストーンズの海賊盤を聞かされましたが、その時の経験が今になって活きています。

そういえば彼は「山羊の頭のスープ(Goats Head Soup)」に収録されている「悲しみのアンジー(Angie)」が代表曲だと言う奴は、ストーンズを分かっていないと言っていました。

一応リンクを貼っておきましょう。

The Rolling Stones – Angie

当時私は結構好きな曲だったので、ギクリとしたわけですが(笑)

その人とは音信不通となって久しいですが、教え子みたいな私が「Time Waits for No One」を選んだと知ったら、彼は何と言うでしょうね。

お前もようやく分かってきたなと言ってくれるでしょうか。

 

7位「Beast of Burden」(アルバム:Some Girls)

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■曲名:Beast of Burden
■曲名邦題:ビースト・オブ・バーデン
■アルバム名:Some Girls(1978年)
■アルバム名邦題:女たち
■動画リンク:「Beast of Burden」

このアルバムでは「ミス・ユー(Miss You)」が大ヒットしましたが、私はそれほど好きではありません。

またアルバム・タイトル曲も、他の曲に比べて出来が落ちるような気がします。

その2曲が好きな人には申し訳ありませんが、その2曲がなければと思うほど。

それほどこのアルバムはすばらしい曲がそろっています。

中でも白眉といえそうなのがこの曲。

「Tumbling Dice」と同じく、懐の深いレイドバックしたノリが味わえます。

私はミックとキースでは、リズム感覚が少し異なるように思います。

私の感じだとミックはディスコと粘りのあるリズムで、曲でいえば「ネイバーズ(Neighbours)」みたいな感じ。

一方キースは、タメの利いたファンクとレイドバックしていたり、間合いに意味を持たせる印象。

もちろんはっきりとは分けられませんが、少なくともこの曲はキース寄りだと感じがあります。

タイプの違う2人の存在が、このバンドに奥行きを与えています。

 

8位「You Can’t Always Get What You Want」(アルバム:Let It Bleed)

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■曲名:You Can’t Always Get What You Want
■曲名邦題:無情の世界
■アルバム名:Let It Bleed(1969年)
■アルバム名邦題:レット・イット・ブリード
■動画リンク:「You Can’t Always Get What You Want」

7分半という長さ以上に、スケールの大きさを感じさせてくれる曲です。

まず名門ロンドン・バッハ合唱団による壮大なコーラス。

そしてマデリン・ベル(Madeline Bell)、ドリス・トロイ(Doris Troy)、ナネット・ニューマン(Nanette Newman)という強力すぎる3人の女性コーラス。

アル・クーパー(Al Kooper)によるピアノとオルガン。

これらの名前だけで満腹感が味わえそうです。

またこの曲は歌詞もすばらしいので、要約した内容をご紹介したいと思います。

お前が望んだとしても必ずし手に入れられるとは限らない

ほとんどの場合は何も得られず無駄に終わるだろう

しかしもしお前が何度もトライし続けたら

たまには望むものが手に入るかもしれないな

彼らには女性蔑視を感じさせたり、暴力的な歌詞も多いように思います。

しかしそんなロクでもない歌詞がある一方で、時々すばらしい歌詞の曲があります。

昔私は彼らの歌詞集を買い、曲を聞きながらよく読んでいました。

特にこの曲や「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ(As Tears Go By)」や「イッツ・オンリー・ロックン・ロール(It’s Only Rock’n Roll)」の歌詞は、何度も繰り返し読んだものです。

歌詞を読むと、彼らが単なるバッドボーイズ・ロックではないことが分かります。

 

9位「Terrifying」(アルバム:Steel Wheels)

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■曲名:Terrifying
■曲名邦題:テリファイング
■アルバム名:Steel Wheels(1989年)
■アルバム名邦題:スティール・ホイールズ
■動画リンク:「Terrifying」

1989年の曲ですが、この記事で最も新しい曲です。

それ以降も良い曲がありますが、このアルバムまでを対象期間とさせていただきました。

ビル・ワイマンも、このアルバム限りで脱退してしまいましたし。

このアルバムのツアーで初めて日本でのライブが実現しましたが、初日の2月14日は「ザ・ローリング・ストーンズの日」なのだそうです。

それはさておきこの曲はリフが神の領域です。

キースのギターは、チャック・ベリー(Chuck Berry)からの影響が強いと言われます。

確かにチャック・ベリーの影響を感じるリフは少なくありません。

しかしキースぐらいになるとその影響だけに収まるはずもなく、誰からの影響か特定できない名リフも数多く存在しています。

彼は息を吐くように名リフを生み出す男ですが、これもその1曲。

ギターのリフは、オールドロックの骨格みたいなものです。

しかしこの曲がリリースされた1991年は、ありとあらゆるリフのパターンが出尽くした感があったかもしれません。

それ以上にリフ主体の時代はとうの昔に過ぎ去っていましたし。

しかしそんな中でキースはこんな曲をリフ主体の曲をさらりと出してきました。

リフ職人たるキースの面目躍如といえる曲です。

 

10位「Jumpin’ Jack Flash」(アルバム:Through The Past, Darkly (Big Hits Vol. 2))

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■曲名:Jumpin’ Jack Flash
■曲名邦題:ジャンピン・ジャック・フラッシュ
■アルバム名:Through The Past, Darkly (Big Hits Vol. 2)(1969年)
■アルバム名邦題:スルー・ザ・パスト・ダークリー(ビッグ・ヒッツ Vol.2)
■動画リンク:「Jumpin’ Jack Flash」

オリジナル・アルバムを全部持っている場合、ベスト盤を買うかどうか迷うものです。

ただこのアルバムについては、この曲が収録されていることで買った人も少なくないと思います。

ストーンズはアルバム未収録曲にも見過ごせない曲が多く、昔はこの編集盤でチェックしていました。

この曲はストーンズのど真ん中みたいな曲かもしれません。

私は誰かにストーンズとはどんなバンドか聞かれたら、この曲を聞かせると思います。

日本のストーンズ・フォロワーと呼ばれるバンドも、このあたりの影響が強いようですし。

中でも私が一番好きなのは、ストリート・スライダーズです。

THE STREET SLIDERS – Boys Jump The Midnight

どさくさまぎれにご紹介しましたが、いいバンドなので仕方ありません。

そういえば「Jumpin’ Jack Flash」」とか「Boys Jump The Midnight」とか、意味不明な曲名もカッコいいです。

 

11位「Waiting on a Friend」(アルバム:Tattoo You)

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■曲名:Waiting on a Friend
■曲名邦題:友を待つ
■アルバム名:Tattoo You(1981年)
■アルバム名邦題:刺青の男
■動画リンク:「Waiting on a Friend」

このレコーディングの時ミックはチャーリー・ワッツに対して、世界最高のサックス奏者は誰かと聞いたそうです。

チャーリーはソニー・ロリンズと答えました。

その時チャーリーは呼べるわけないだろうと思ったそうです。

ロリンズはセッション・プレイヤーではありませんし、気軽に呼べる存在ではありませんから。

しかし後日チャーリーがスタジオに行くと、そこにロリンズがいてびっくりしたそうです。

この曲では3:27からロリンズのプレイが始まります。

しかし私はロリンズ・ファンでもありますので、その立場から申し上げると、この曲ではロリンズの俺節が控えめな感じがします。

世界一のサックス奏者の凄みを実感したい方は、以下のランキングの1曲目を聞いてみてください。

ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)の名曲名盤10選

さてこの曲は歌詞で泣かせてくれます。

俺は女を待っているんじゃない

俺は友達を待っているんだ

娼婦や処女、修道女にだって興味はない

おれはただ一緒に泣いたり守ってやりたい友達がほしいだけだ

 

12位「Brown Sugar」(アルバム:Sticky Fingers)

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■曲名:Brown Sugar
■曲名邦題:ブラウン・シュガー
■アルバム名:Sticky Fingers(1971年)
■アルバム名邦題:スティッキー・フィンガーズ
■動画リンク:「Brown Sugar」

このアルバムは、ローリング・ストーンズ・レコード(Rolling Stones Records)からの第一弾です。

ただそのレーベルは、他にピーター・トッシュ(Peter Tosh)と契約したぐらいですが。

ミックとキースを魅了したピーター・トッシュの曲は、以下からどうぞ。

ピーター・トッシュ(Peter Tosh)の名曲名盤10選

彼らが以前所属していたのはデッカ・レコード(Decca Records)ですが、デッカはシングルをもう1枚リリースする権利を主張しました。

それに対してバンド側は「Cocksucker Blues」という卑猥なタイトルの曲を提供しました。

到底リリースできる曲名ではなく、バンド側からのいやがらせでしたが。

このアルバムからもう1曲ご紹介しておきましょう。

The Rolling Stones – Bitch

まあこちらも曲名にかなり問題がありますね。

さて今回選んだ「Brown Sugar」の歌詞は、奴隷船の輸送中に黒人女に手を出す船員の話です。

やっぱり若い黒人女は格別だな、やめられないぜみたいな内容です。

歌詞はロクでもありませんが、この曲のリフはストーンズ史上最高のリフの1つだと言われています。

 

13位「Gimme Shelter」(アルバム:Let It Bleed)

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■曲名:Gimme Shelter
■曲名邦題:ギミー・シェルター
■アルバム名:Let It Bleed(1969年)
■アルバム名邦題:レット・イット・ブリード
■動画リンク:「Gimme Shelter」

彼らの黒歴史で最も有名なのは「オルタモント・フリーコンサート(Altamont Free Concert)」通称「オルタモントの悲劇」です。

1969年12月6日、彼らはファンへのクリスマス・プレゼントとして、フリー・コンサートを開催しました。

場所はカルフォルニアのオルタモント・スピードウェイ。

会場の警備は荒くれ者ぞろいのアメリカのバイカーズ集団、ヘルス・エンジェルが担当することになりました。

しかし準備不足による運営の不備もあって、20万人とも50万人とも言われる観客の一部が暴走し始めました。

会場のあちこちで乱闘騒ぎが始まり、ドラッグをやりすぎて全裸で踊る乱痴気騒ぎなど、会場全体が混沌に飲み込まれました。

次第に観客が暴徒化し始めミックもステージに上がる前に殴られる始末です。

演奏が始まると観客は更にヒートアップし、ある男がステージのバンドに対して銃を向けました。

次の瞬間その男性は警備担当者によって殺害されてしまいます。

このフリー・コンサートでは、他の死因を含めて4名もの死者が出てしまいました。

みんなで音楽を楽しむことが平和の象徴だという考え方が、幻想だったことを思い知らされる痛ましい事件となりました。

後にこの事件は、ドキュメンタリー映画「ギミー・シェルター」として上演されています。

この「Gimme Shelter」の歌詞には「子供たちよ、たった一発の銃弾で戦争は起こるのだ」という箇所があります。

まさしくこの事件を予言するような曲だったのですね。

メリー・クレイトン(Merry Clayton)のコーラスが、この曲の切迫感を高めています。

 

14位「Ruby Tuesday」(アルバム:Through The Past, Darkly (Big Hits Vol. 2))

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■曲名:Ruby Tuesday
■曲名邦題:ルビー・チューズデイ
■アルバム名:Through The Past, Darkly (Big Hits Vol. 2)(1969年)
■アルバム名邦題:スルー・ザ・パスト・ダークリー(ビッグ・ヒッツ Vol.2)
■動画リンク:「Ruby Tuesday」

ロックの歴史を調べると、女性の存在がクローズアップされることがあります。

たとえばエリック・クラプトン(Eric Clapton)の名曲「いとしのレイラ(Layla)」のモデルになったパティ・ボイド(Patti Boyd)。

またミック・ジャガーがブライアン・フェリー(Bryan Ferry)から略奪し、後にミックの妻となったジェリー・ホール(Jerry Hall)。

この曲にもその種のエピソードがあります。

当時キースには、リンダ・キース(Linda Keith)という恋人がいました。

しかしキースは多忙だったこともあり、すれ違いの日々が続きました。

その間リンダは、ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)と付き合ってしまいます。

それを受けてキースは、この曲を書き上げました。

キースは「さよなら、ルビーチューズデイ」という歌詞を書き、リンダに別れを告げました。

ただ当時キースはアニタ・パレンバーグ(Anita Pallenberg)とも交際していたはずですが。

 

15位「Paint It, Black」(アルバム:Singles Collection: The London Years)

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■曲名:Paint It, Black
■曲名邦題:黒くぬれ!
■アルバム名:Singles Collection: The London Years(1989年)
■アルバム名邦題:シングル・コレクション (ザ・ロンドン・イヤーズ)
■動画リンク:「Paint It, Black」

このバンドは最初ブライアン・ジョーンズ(Brian Jones)がリーダーでした。

ブライアンは天才肌のプレイヤーで、ミックとキースを差し置いて初期の中心人物でした。

特にブルース・ギターに突出した才能を発揮し「リトル・レッド・ルースター(Little Red Rooster)」など、数多くの名演を残しています。

ブライアンは多くの楽器を演奏できるマルチ・プレイヤーでした。

この曲ではシタールを弾いています。

さて今回のランキングは、全盛期の誉れ高い中期の曲を多めにしました。

しかし初期が一番好きだという人もいます。

私も初期の曲を聞けばいつも必ず良いなと思いますが、どうしても「Beggars Banquet」以降ばかり聞き返しがちです。

初期の有名曲も、再演したライブ・バージョンの方が好きだったりしますし。

「アンダー・マイ・サム(Under My Thumb)」も「スティル・ライフ ~アメリカンコンサート’81~(Still Life American Concert 1981)」に収録されたライブ・バージョンの方が好きです。

ただこの曲と「Satisfaction」は別格で、初期のバージョンがすばらしすぎます。

「Satisfaction」については、リンクだけ貼っておきましょう。

The Rolling Stones – (I Can’t Get No) Satisfaction

さて「Paint It, Black」の方は、ブライアンのシタールが聞きものです。

他のバージョンではシタールが入っていないので、その点でいつも物足りないと感じます。

 

16位「Before They Make Me Run」(アルバム:Some Girls)

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■曲名:Before They Make Me Run
■曲名邦題:ビフォー・ゼイ・メイク・ミー・ラン
■アルバム名:Some Girls(1978年)
■アルバム名邦題:女たち
■動画リンク:「Before They Make Me Run」

当時のキースはドラッグ中毒が悪化して、完全にジャンキーと化していました。

1977年には大量のヘロインを所持しているところをカナダの警察に見つかり、ついに逮捕されてしまいました。

この件は「トロント事件」として知られ、所持していた量が多すぎたこともあり、終身刑もありえると予想されていたようです。

しかし実際の判決は、以下の通り。

チャーズはトロント裁判所で、カナダ盲人協会のためのチャリティ・コンサートを開くことを条件に保護観察処分という温情判決を受けた。

女たち (アルバム) ウィキペディア

寛大な判決が出た背景には、あるエピソードがありました。

当時のキースは、ある全盲の少女を支援していました。

その少女はキースを心配して判事のところに行き、罪を軽くしてくれるよう訴えました。

彼女の行動が判決に影響を与えた言われています。

その後キースはこの件で懲りたのか、ドラッグ中毒を克服する決意表明のようなこの曲を書きました。

この曲の歌詞にはこんな一節があります。

誰かに走らされる前に、自分の力で歩き出すんだ

今では麻薬どころかお酒も節制しているようですが、人は変わろうと思ったら変われるものなのですね。

 

17位「Emotional Rescue」(アルバム:Emotional Rescue)

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■曲名:Emotional Rescue
■曲名邦題:エモーショナル・レスキュー
■アルバム名:Emotional Rescue(1980年)
■アルバム名邦題:エモーショナル・レスキュー
■動画リンク:「Emotional Rescue」

ミックのファルセット・ボーカルが印象的な曲です。

おそらくヒットした「Miss You」の続編を意識したのでしょう。

ミックはロック史上最高のボーカリストの1人として知られ、カリスマ性も備えています。

彼のボーカルはセクシーだと評されますが、とにかく表現力が抜群で、こういうファルセットの曲も絶品です。

ただこの曲では表現力が行き過ぎていて、小ばかにしているように感じますが(笑)

この憎々しさとふてぶてしさが、不良バンドの頂点に君臨するストーンズのイメージを形づくっています。

この曲では珍しくベースが目立っていると思い、クレジットを確認してみたところ、ロン・ウッドがベースを弾いていました。

ビル・ワイマンはソロ・アルバムを聞く限り、才能のあるミュージシャンです。

しかし特に在籍末期はレコーディングでクレジットされる曲が激減していました。

ミックやキースより7歳年上のビルは「サイレント・ストーン」と呼ばれるほど寡黙で、あまり目立つ存在ではありません。

1993年ついにビルは脱退し、代わりにサポート・メンバーとしてダリル・ジョーンズ(Darryl Jones)が参加しました。

 

18位「Little T&A」(アルバム:Tattoo You)

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■曲名:Little T&A
■曲名邦題:リトルT&A
■アルバム名:Tattoo You(1981年)
■アルバム名邦題:刺青の男
■動画リンク:「Little T&A」

彼らのようにヒット曲や定番曲が多いバンドの場合、選曲で自分の色を出すのは難しいように思います。

定番曲だけで枠が埋まってしまいますから。

しかしそれではつまらないので、いくつか個人的なおすすめ曲をご紹介したいと思います。

一般的にこのアルバムでは「スタート・ミー・アップ(Start Me Up)」が有名です。

リンクを貼っておきましょう。

The Rolling Stones – Start Me Up

しかし私は「Little T&A」の方が好きです。

B級感覚の曲ですが、ストーンズの本質はB級的なカッコよさにあると信じる私にとって、ストーンズのど真ん中みたいな曲だと思っています。

この時期ミックとキースの関係が悪化していました。

そのためレコーディングは遅々として進まず、結局このアルバムは過去の曲をリメイクしたものが中心となりました。

つまりこのアルバムはアウトテイク集とか未発表曲集に近い位置づけの作品です。

それにしては良い曲ぞろいですが、特にこの曲はキラリと光る掘り出し物だと思います。

 

19位「Shine a Light」(アルバム:Exile on Main St.)

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■曲名:Shine a Light
■曲名邦題:ライトを照らせ
■アルバム名:Exile on Main St.(1972年)
■アルバム名邦題:メイン・ストリートのならず者
■動画リンク:「Shine a Light」

ストーンズの音楽には、様々なジャンルの要素が溶け込んでいます。

カントリー、レゲエ、ブルース、スワンプ・ロック、ソウル、ゴスペル、ディスコ、ファンクなど、挙げるとキリがありません。

特にこのアルバムには、原初のロックンロールが秘めていた雑食性と猥雑さが感じられます。

闇鍋的な魅力を持ったアルバムといえるかもしれません。

様々な写真をコラージュしたアルバム・ジャケットも、一つ一つの写真は奇妙でいびつですが、全体としてはすばらしいジャケットに仕上がっています。

アルバムの内容を的確に表現している名ジャケットではないでしょうか。

彼らはB面に少し趣向の違った曲を配置する傾向があります。

ストーンズのファンと話していると、最近このアルバムのB面にはまっているみたいな話になることがあります。

彼らのB面曲は宝の山なのですね。

このアルバムのおもしろさは、そうしたB面的な魅力をクローズアップしたところにあるかもしれません。

以下の曲や「オール・ダウン・ザ・ライン(All Down the Line)」のような王道の曲は、いびつでクセモノぞろいの曲の中でこそ輝くような気がします。

The Rolling Stones – Rocks Off

さて今回ご紹介した「Shine a Light」は、ミックがとレオン・ラッセル(Leon Russell)の共作曲で、プロデューサーのジミー・ミラー(Jimmy Miller)がドラムを叩いています。

 

20位「Dirty Work」(アルバム:Dirty Work)

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■曲名:Dirty Work
■曲名邦題:ダーティ・ワーク
■アルバム名:Dirty Work(1986年)
■アルバム名邦題:ダーティ・ワーク
■動画リンク:「Dirty Work」

彼らは「史上最高のロックバンド」と言われることがあります。

私の感覚ではそう呼ばれるのにふさわしいのは、以下の3バンドです。

・ビートルズ(The Beatles)
・クイーン(Queen)

そしてローリング・ストーンズです。

ストーンズは上記の中で、最もロックという言葉が似合っているかもしれません。

ローリング・ストーンズの本当の偉大さは、すぐれた楽曲を出し続けた継続性だと思います。

多作で曲の質が高いというのは、ファンからすると本当に幸せなことです。

このアルバムの頃は全盛期を過ぎたと言われていますが、B面にこんな曲が入っていますし。

最後の方で少しダブっぽい処理がありますが、これはこの時期ならではの特徴でした。

そこがツボの方は、以下の「アンダーカヴァー・オブ・ザ・ナイト(Undercover of the Night)」を聞いてみてください。

The Rolling Stones – Undercover of the Night

さて最後に彼らの近況について。

現時点の最新作は2023年の「ハックニー・ダイアモンズ(Hackney Diamonds)です。

チャーリー・ワッツも亡くなりましたが、まだ解散するという話は聞こえてきません。

ローリング・ストーンズぐらいになると新作を発表しなくても、解散しないでいてくれるだけでファン・サービスといえるかもしれません。

 

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