今回はローリング・ストーンズのランキングを作成しました。
彼らはロックの猥雑さや雑食性を体現しているバンドです。
まさしくロックの王道を往くバンドと言ってもいいでしょう。
なお各アルバムについては、UK盤を想定してレビューを書いています。
またご紹介している音源が、アルバム・バージョンとは違う場合もありますので、ご了承ください。
- 1 1位「Street Fighting Man」(アルバム:Beggars Banquet)
- 2 2位「She’s a Rainbow」(アルバム:Their Satanic Majesties Request)
- 3 3位「Tumbling Dice」(アルバム:Exile on Main St.)
- 4 4位「Sympathy for the Devil」(アルバム:Beggars Banquet)
- 5 5位「Hot Stuff」(アルバム:Black And Blue)
- 6 6位「Time Waits for No One」(アルバム:It’s Only Rock’n Roll)
- 7 7位「Beast of Burden」(アルバム:Some Girls)
- 8 8位「You Can’t Always Get What You Want」(アルバム:Let It Bleed)
- 9 9位「Terrifying」(アルバム:Steel Wheels)
- 10 10位「Jumpin’ Jack Flash」(アルバム:Through The Past, Darkly (Big Hits Vol. 2))
- 11 11位「Waiting on a Friend」(アルバム:Tattoo You)
- 12 12位「Brown Sugar」(アルバム:Sticky Fingers)
- 13 13位「Gimme Shelter」(アルバム:Let It Bleed)
- 14 14位「Ruby Tuesday」(アルバム:Through The Past, Darkly (Big Hits Vol. 2))
- 15 15位「Paint It, Black」(アルバム:Singles Collection: The London Years)
- 16 16位「Before They Make Me Run」(アルバム:Some Girls)
- 17 17位「Emotional Rescue」(アルバム:Emotional Rescue)
- 18 18位「Little T&A」(アルバム:Tattoo You)
- 19 19位「Shine a Light」(アルバム:Exile on Main St.)
- 20 20位「Dirty Work」(アルバム:Dirty Work)
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1位「Street Fighting Man」(アルバム:Beggars Banquet)
■曲名:Street Fighting Man
■曲名邦題:ストリート・ファイティング・マン
■アルバム名:Beggars Banquet
■アルバム名邦題:ベガーズ・バンケット
■動画リンク:「Street Fighting Man」
このアルバム以前から、彼らは人気バンドでした。
事実デビューから全てのアルバムを、アルバム・チャートの3位以内に送り込んでいます。
しかし本当の意味で王者の風格が出てきたのは、このあたりからだと思います。
もしかしたら、世界一のロックバンドかもしれないと。
このアルバムの前作は「Their Satanic Majesties Request」です。
当時流行っていたサイケデリックなコンセプト・アルバムでしたが、ファンからは失望の声が挙がりました。
ファンは「アウト・オブ・アワ・ヘッズ(Out of Our Heads)」や「アフターマス(Aftermath)」のような、ラフなサウンドを望んでいましたから。
しかし彼らはこのアルバムから、素の実力を現してきました。
この曲はベース以外全てアコースティックですが、どう聞いてもロックの王道です。
ほぼアンプラグドな編成なのに、全然アコースティックな感じがしません(笑)
他のエレクトリック楽器のバンドを、アコースティック編成でねじ伏せる、この圧倒的な威圧感。
武器を持った相手を、素手で制圧するかのごとし。
この頃から彼らは格の違いを見せつけてきました。
2位「She’s a Rainbow」(アルバム:Their Satanic Majesties Request)
■曲名:She’s a Rainbow
■曲名邦題:シーズ・ア・レインボー
■アルバム名:Their Satanic Majesties Request
■アルバム名邦題:サタニック・マジェスティーズ
■動画リンク:「She’s a Rainbow」
一般的な人気では、ストーンズで最も愛されている曲かもしれません。
この曲の主役はミックとキースではなく、以下の2人です。
・ジョン・ポール・ジョーンズ(John Paul Jones):ストリングス編曲
・ニッキー・ホプキンス(Nicky Hopkins):ピアノ
特にニッキー・ホプキンスのピアノは、この曲を完璧なチェンバー・ポップに彩っています。
当時ニッキー・ホプキンスは、人気のセッション・プレイヤーでした。
彼はストーンズをはじめとして、ビートルズ(The Beatles)、キンクス(The Kinks)、ザ・フー(The Who)という「英国四大バンド」全てのレコーディングに参加しています。
確かに楽曲自体もすばらしい出来かもしれません。
しかしここでのニッキーは楽曲の質を左右する、決定的な仕事をしています。
さてこの時期の彼らは、時々こういうかわいらしい曲がありました。
同時期の「ビトウィーン・ザ・バトンズ(Between the Buttons)」に収録されている「コネクション(Connection)」という曲をご紹介しましょう。
The Rolling Stones – Connection
なんでもない曲かもしれませんが、個人的に偏愛している曲です。
3位「Tumbling Dice」(アルバム:Exile on Main St.)
■曲名:Tumbling Dice
■曲名邦題:ダイスをころがせ
■アルバム名:Exile on Main St.
■アルバム名邦題:メイン・ストリートのならず者
■動画リンク:「Tumbling Dice」
この曲は最初はそれほど良い曲だと思いませんでした。
しかし今では限りなく1位に近い程好きな曲になっています。
この曲はキースのギターが生み出すルーズなノリと、ゴスペルっぽい女性コーラスが目立っています。
2:29からのギターと女性コーラスがコール・アンド・レスポンスになっているところは、まさに神展開ではないでしょうか
そこの箇所は、若い頃は何度も繰り返さなくてもいいと思ったものですが、いつの間かそこが一番のツボになっていました。
このアルバムは、スワンプ・ロックの影響を受けています。
しかしこの曲でのギター・プレイは、本家アメリカのバンドを上回るほど、完璧にレイドバックしたノリを表現しています。
この頃キースは絶好調でした。
キースがボーカルをとる曲を、1曲ご紹介しておきましょう。
このアルバム全曲にいえますが、スタジオ録音なのにライブ感がありますね。
4位「Sympathy for the Devil」(アルバム:Beggars Banquet)
■曲名:Sympathy for the Devil
■曲名邦題:悪魔を憐れむ歌
■アルバム名:Beggars Banquet
■アルバム名邦題:ベガーズ・バンケット
■動画リンク:「Sympathy for the Devil」
彼らにしては珍しいアフロ・サンバの曲です。
異色なのはリズムだけではありません
彼らの曲ではキースのギター・リフが、サウンド面の核といってもいいでしょう。
しかしこの曲でのキースは、リフを弾いていません。
代わりにロッキー・ディジョン(Rocky Dijon)のコンガと、ニッキー・ホプキンスのピアノが曲をけん引しています。
ニッキー・ホプキンスは、後年こう振り返っています。
ニッキー・ホプキンスは、この曲での自身のピアノ演奏を非常に気に入っており「自分の生涯でのベスト5に入るプレイ」とまで語っている(1995年2月に「レコード・コレクターズ」で掲載されたインタビューにおいて)。
一方キースは、ベースとギター・ソロを担当しています。
キースはビル・ワイマン(Bill Wyman)の演奏に満足できず、代わりにキースがベースを弾き、ビルはマラカスを担当することになりました。
またこの曲はミックが書いた曲ですが、キースがリズム面のテコ入れを提案したそうです。
元々はこんな曲でした。
The Rolling Stones – Sympathy For The Devil
キースのアドバイスによって、この曲は大化けしたようです。
ミックとキースの2人は「ジャガー/リチャーズ(Jaggar-Richards)」とか「グリマー・ツインズ(The Glimmer Twins)」と呼ばれている名コンビです。
この名曲は2人の化学反応によって生まれました。
5位「Hot Stuff」(アルバム:Black And Blue)
■曲名:Hot Stuff
■曲名邦題:ホット・スタッフ
■アルバム名:Black And Blue
■アルバム名邦題:ブラック・アンド・ブルー
■動画リンク:「Hot Stuff」
1974年ギターのミック・テイラー(Mick Taylor)が脱退しました。
そこでこのアルバムのレコーディングは、新しいギタリストを選考するオーデションを兼ねることになりました。
当時その模様は「グレイト・ギタリスト・ハント」と呼ばれ、大きな話題になったようです。
有名ギタリストも数多く参加したと言われていますが、最終的にアルバムのクレジットには、以下の3名のギタリストが記載されています。
・ハーヴェイ・マンデル(Harvey Mandel)
・ウェイン・パーキンス(Wayne Perkins)
・ロン・ウッド(Ronnie Wood)
ちなみにこの「Hot Stuff」では、ハーヴェイ・マンデルがギターを弾いています。
一方ロンは「チェリー・オー・ベイビー(Cherry Oh Baby)」「ヘイ・ネグリータ(Hey Negrita)」の2曲に参加しています。
私の感覚だと、この時点ではハーヴェイの方が良いプレイをしているような気がしないでもありません。
ただバンドは結局、以前からの顔なじみで気心の知れたロンを、新しいメンバーに選びました。
今では私も音楽的相性の良さから、ロン・ウッドで異論ありませんが。
6位「Time Waits for No One」(アルバム:It’s Only Rock’n Roll)
■曲名:Time Waits for No One
■曲名邦題:タイム・ウェイツ・フォー・ノー・ワン
■アルバム名:It’s Only Rock’n Roll
■アルバム名邦題:イッツ・オンリー・ロックン・ロール
■動画リンク:「Time Waits for No One」
大学の時、私は音楽マニアが集うレコード屋でアルバイトをしていました。
そこに来る客は音楽に詳しい人が多く、私は知識と理解力、どちらも彼らに太刀打ちできません。
そんなある時、ストーンズ中毒の常連と仲良くなりました。
ストーンズみたいなバンドは、首下まで漬かって初めて見てくるものがあります。
私は彼からストーンズの海賊盤の魅力を叩き込まれましたが、その時の経験が今になって活きています。
彼は「山羊の頭のスープ(Goats Head Soup)」に収録されている「悲しみのアンジー(Angie)」が代表曲だという奴は、ストーンズを分かっていないと言っていました。
一応リンクを貼っておきましょう。
当時私は好きな曲だったので、ギクリとしたわけですが(笑)
その人とは音信不通となって久しいですが、教え子といえる私が「Time Waits for No One」を選んだと知ったら、彼は何と言うでしょうね。
ミック・テイラーのギターがいいから当然だと、喜んでくれるでしょうか。
7位「Beast of Burden」(アルバム:Some Girls)
■曲名:Beast of Burden
■曲名邦題:ビースト・オブ・バーデン
■アルバム名:Some Girls
■アルバム名邦題:女たち
■動画リンク:「Beast of Burden」
このアルバムでは「ミス・ユー(Miss You)」が大ヒットしましたが、私はそれほど良い曲とは思いません。
またアルバム・タイトル曲も、他の曲に比べて出来が落ちるように思います。
その2曲が好きな人には申し訳ありませんが、その2曲がなければと思ってしまうほどです。
ただ私はこのアルバムの後半が大好物で、特にこの曲はアルバムでも白眉といえるでしょう。
まずイントロのギターの後、チャーリー・ワッツ(Charlie Watts)のドラムの入り方がすばらしいですね。
「Tumbling Dice」と同じく、レイドバックしたノリが味わえます。
私はミックとキースでは、リズム感覚が少し異なるように思います。
私の感じだとミックは、ディスコと粘りのあるリズムで、曲でいえば「ネイバーズ(Neighbours)」みたいな感じ。
一方キースは、タメの利いたファンクとレイドバックした印象。
もちろん明確に分けられるとは思いませんが、少なくともこの曲はキース寄りだと思います。
タイプの違う2人の存在が、このバンドに奥行きを与えています。
8位「You Can’t Always Get What You Want」(アルバム:Let It Bleed)
■曲名:You Can’t Always Get What You Want
■曲名邦題:無情の世界
■アルバム名:Let It Bleed
■アルバム名邦題:レット・イット・ブリード
■動画リンク:「You Can’t Always Get What You Want」
7分半という長さ以上に、スケールの大きさを感じさせてくれる曲です。
名門ロンドン・バッハ合唱団による壮大なコーラス。
マデリン・ベル(Madeline Bell)、ドリス・トロイ(Doris Troy)、ナネット・ニューマン(Nanette Newman)という強力すぎる3人の女性コーラス。
アル・クーパー(Al Kooper)によるピアノとオルガン。
名前だけで、満腹感が味わえます。
またこの曲は歌詞もすばらしいので、要約をご紹介したいと思います。
お前が望んだとしても、必ずしも手に入るとは限らない
ほとんどの場合は、手に入らずに終わるだろう
しかしもしお前がトライし続けたら
たまには望むものが手に入るかもしれないな
彼らには女性蔑視を感じさせたり、暴力的な歌詞も多いように思います。
しかしそんなロクでもない歌詞がある一方で、時々すばらしい歌詞の曲があります。
昔私は彼らの歌詞集を買い、曲を聞きながらよく読んでいました。
特にこの曲や「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ(As Tears Go By)」や「イッツ・オンリー・ロックン・ロール(It’s Only Rock’n Roll)」の歌詞は、何度も読み返したものです。
歌詞を読むと、彼らが単なるバッドボーイズ・ロックではないことが分かります。
9位「Terrifying」(アルバム:Steel Wheels)
■曲名:Terrifying
■曲名邦題:テリファイング
■アルバム名:Steel Wheels
■アルバム名邦題:スティール・ホイールズ
■動画リンク:「Terrifying」
1989年の曲ですが、今回ご紹介した中で最も新しい曲です。
それ以降も良い曲がありますが、このアルバムまでを対象期間とさせていただきました。
ビル・ワイマンも、このアルバム限りで脱退してしまいましたし。
このアルバムのツアーで初めて日本でのライブが実現しましたが、初日の2月14日は「ザ・ローリング・ストーンズの日」なのだそうです。
それはさておき、この曲はリフが神の領域です。
キースのギターは、よくチャック・ベリー(Chuck Berry)からの影響が強いと言われます。
確かにチャック・ベリーの影響を感じるリフは少なくありません。
しかしキースぐらいになるとその影響だけに収まるはずもなく、誰からの影響か特定できない名リフが数多く存在しています。
これもその1曲。
ギターのリフは、オールドロックの骨格みたいなものです。
しかしこの曲がリリースされた1991年は、ありとあらゆるリフのパターンが出尽くしていたかもしれません。
それ以上に、もはやリフ主体で勝負する時代ではありませんでしたし。
しかしそんな中でキースは、リフ一本やりのこんな曲をさらりと出してきました。
リフ職人たるキースの面目躍如といった感じの曲です。
10位「Jumpin’ Jack Flash」(アルバム:Through The Past, Darkly (Big Hits Vol. 2))
■曲名:Jumpin’ Jack Flash
■曲名邦題:ジャンピン・ジャック・フラッシュ
■アルバム名:Through The Past, Darkly (Big Hits Vol. 2)
■アルバム名邦題:スルー・ザ・パスト・ダークリー(ビッグ・ヒッツ Vol.2)
■動画リンク:「Jumpin’ Jack Flash」
オリジナル・アルバムを全部持っている場合、ベスト盤を買うかどうか迷うものです。
ただこのアルバムについては、この曲が収録されていることで買った人も多いのではないかと思います。
ストーンズはアルバム未収録曲にも見過ごせない曲が多く、昔はこの編集盤でチェックしていました。
この曲はストーンズのど真ん中みたいな曲かもしれません。
私は誰かにストーンズとはどんなバンドか聞かれたら、この曲を聞かせると思います。
日本のストーンズ・フォロワーと呼ばれるバンドも、このあたりの影響が強いようですし。
中でも私が一番好きなのは、ストリート・スライダーズです。
THE STREET SLIDERS – Boys Jump The Midnight
どさくさまぎれにご紹介してみましたが、いいバンドですよね。
しかし「Jumpin’ Jack Flash」」とか「Boys Jump The Midnight」とか、意味不明な曲名もかっこいいです。
11位「Waiting on a Friend」(アルバム:Tattoo You)
■曲名:Waiting on a Friend
■曲名邦題:友を待つ
■アルバム名:Tattoo You
■アルバム名邦題:刺青の男
■動画リンク:「Waiting on a Friend」
このレコーディングの時ミックはチャーリー・ワッツに対して、世界最高のサックス奏者は誰かと聞いたそうです。
チャーリーはソニー・ロリンズと答えました。
ただその時チャーリーは、呼べるわけないと思ったそうです。
ロリンズはセッション・プレイヤーではありませんし、気軽に呼べる存在ではありませんから。
しかし後日チャーリーがスタジオに行くと、そこにロリンズがいて、びっくりしたのだそうです。
この曲では3:27からロリンズのプレイが始まります。
しかし私はロリンズ・ファンでもありますので、その立場から申し上げると、ロリンズの俺節が控えめな感じがします。
世界一のサックス奏者の凄さを実感したい方は、以下のランキングの1曲目を聞いてみてください。
ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)の名曲名盤10選
さてこの曲は歌詞で泣かせてくれます。
俺は女を待っているんじゃない
俺は友達を待っているのさ
娼婦や処女、修道女にだって興味はない
おれはただ一緒に泣いたり、守りたい友達がほしいだけだ
12位「Brown Sugar」(アルバム:Sticky Fingers)
■曲名:Brown Sugar
■曲名邦題:ブラウン・シュガー
■アルバム名:Sticky Fingers
■アルバム名邦題:スティッキー・フィンガーズ
■動画リンク:「Brown Sugar」
このアルバムは、ローリング・ストーンズ・レコード(Rolling Stones Records)からの第一弾です。
ただこのレーベルは、他にピーター・トッシュ(Peter Tosh)と契約したぐらいですが。
ピータートッシュに関しては、以下のランキング記事を書きました。
ミックとキースの2人を魅了したトッシュの曲は、以下からどうぞ。
彼らが以前所属していたのはデッカ・レコード(Decca Records)ですが、デッカはシングルをもう1枚リリースする権利を主張しました。
それに対してバンド側は「Cocksucker Blues」という卑猥なタイトルの曲を提供しました。
到底リリースできる曲名ではなく、バンド側のいやがらせだったようですが。
このアルバムから、もう1曲ご紹介しておきましょう。
まあ、こちらも曲名に問題ありますね。
さて今回選んだ「Brown Sugar」は、奴隷船で輸送中に黒人女に手を出す船員の話です。
やっぱり若い黒人女は格別だな、やめられないぜみたいな内容です。
歌詞はロクでもありませんが、この曲のリフは、ストーンズ史上最高のリフの1つだと言われています。
13位「Gimme Shelter」(アルバム:Let It Bleed)
■曲名:Gimme Shelter
■曲名邦題:ギミー・シェルター
■アルバム名:Let It Bleed
■アルバム名邦題:レット・イット・ブリード
■動画リンク:「Gimme Shelter」
彼らの黒歴史で最も有名なのは「オルタモント・フリーコンサート(Altamont Free Concert)」通称「オルタモントの悲劇」です。
1969年12月6日、彼らはファンへのクリスマス・プレゼントとして、フリー・コンサートを開催しました。
場所はカルフォルニアのオルタモント・スピードウェイ。
アメリカのバイカーズ集団、ヘルス・エンジェルが警備を担当することになりました。
しかし準備不足もあり、20万人とも50万人とも言われる観客の一部が暴走し始めました。
会場のあちらこちらで乱闘騒ぎが始まり、ドラッグをやりすぎて全裸で踊る乱痴気騒ぎなど、会場全体が混沌としてきました。
次第に観客が暴徒化し始め、ミックもステージに上がる前に殴られる始末です。
ストーンズの演奏が始まると観客は更にヒートアップし、ある男がステージのバンドに対して銃を向けました。
その男性は警備担当者によって、殺害されてしまいます。
このフリー・コンサートでは、他の死因を含めて4名もの死者が出てしまいました。
みんなで音楽を楽しむことが平和の象徴だとする考え方が、幻想だったことを思い知らせる痛ましい事件となりました。
後にこの事件は、ドキュメンタリー映画「ギミー・シェルター」として上演されています。
この「Gimme Shelter」の歌詞には「子供たちよ、たった一発の銃弾で戦争は起こるのだ」という箇所があります。
まさしくこの事件を予言するような曲だったのですね。
メリー・クレイトン(Merry Clayton)のコーラスが、この曲の切迫感を高めています。
14位「Ruby Tuesday」(アルバム:Through The Past, Darkly (Big Hits Vol. 2))
■曲名:Ruby Tuesday
■曲名邦題:ルビー・チューズデイ
■アルバム名:Through The Past, Darkly (Big Hits Vol. 2)
■アルバム名邦題:スルー・ザ・パスト・ダークリー(ビッグ・ヒッツ Vol.2)
■動画リンク:「Ruby Tuesday」
少し殺伐としてきましたので、少しスローダウンしておきましょう。
ロックの歴史を調べていくと、時々女性の存在がクローズアップされることがあります。
エリック・クラプトン(Eric Clapton)の名曲「いとしのレイラ(Layla)」のモデルになったパティ・ボイド(Patti Boyd)。
またミック・ジャガーがブライアン・フェリー(Bryan Ferry)から略奪し、後にミックの妻となったジェリー・ホール(Jerry Hall)。
この曲にもその種のエピソードがあります。
当時キースには、リンダ・キース(Linda Keith)という恋人がいました。
しかしキースは多忙だったこともあり、すれ違いの日々が続いていました。
その間リンダは、ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)と付き合ってしまいます。
それを受けてキースは、この曲を書き上げました。
「さよなら、ルビーチューズデイ」という箇所がありますが、キースはこの曲でリンダに別れを告げました。
ただ当時のキースは、アニタ・パレンバーグ(Anita Pallenberg)とも交際していたはずですけどね。
15位「Paint It, Black」(アルバム:Singles Collection: The London Years)
■曲名:Paint It, Black
■曲名邦題:黒くぬれ!
■アルバム名:Singles Collection: The London Years
■アルバム名邦題:シングル・コレクション (ザ・ロンドン・イヤーズ)
■動画リンク:「Paint It, Black」
このバンドは最初ブライアン・ジョーンズ(Brian Jones)がリーダーでした。
ブライアンは天才肌のプレイヤーで、ミックとキースを差し置いて、初期のバンドで中心的な役割を果たしていました。
特にブルース・ギターに突出した才能を発揮し「リトル・レッド・ルースター(Little Red Rooster)」など、数多くの名演を残しています。
ブライアンはマルチ・プレイヤーで、多くの楽器を演奏することができました。
この曲ではシタールを弾いています。
さて今回のランキングは、全盛期の誉れ高い中期の曲を多めにしました。
しかし初期が一番良いという人もいます。
私も聞くといつも良いと思いますが、どうしても「Beggars Banquet」以降ばかり聞いてしまいます。
初期の有名曲も、再演したライブ・バージョンの方が好きだったりしますし。
「アンダー・マイ・サム(Under My Thumb)」も「スティル・ライフ ~アメリカンコンサート’81~(Still Life American Concert 1981)」に収録されたライブ・バージョンの方が好きです。
ただこの曲と「Satisfaction」は別格で、初期のバージョンがすばらしすぎます。
「Satisfaction」については、リンクだけ貼っておきましょう。
The Rolling Stones – (I Can’t Get No) Satisfaction
さて「Paint It, Black」の方は、ブライアンのシタールが聞きものです。
他のバージョンではシタールが入っていないので、その点でいつも物足りないと思ってしまいます。
16位「Before They Make Me Run」(アルバム:Some Girls)
■曲名:Before They Make Me Run
■曲名邦題:ビフォー・ゼイ・メイク・ミー・ラン
■アルバム名:Some Girls
■アルバム名邦題:女たち
■動画リンク:「Before They Make Me Run」
当時のキースはドラッグ中毒が悪化して、完全にジャンキーと化していました。
1977年には大量のヘロインを所持しているところをカナダの警察に見つかり、逮捕されてしまいました。
この件は「トロント事件」として知られ、所持していた量が多すぎたこともあり、終身刑もありえると予想されていたようです。
しかし実際の判決は、以下の通り。
チャーズはトロント裁判所で、カナダ盲人協会のためのチャリティ・コンサートを開くことを条件に保護観察処分という温情判決を受けた。
寛大な判決が出た背景には、あるエピソードがありました。
当時のキースは、ある全盲の少女を支援していました。
その少女はキースが逮捕されたことを心配し、この裁判の判事のところに行き、罪を軽くしてくれるよう懸命に訴えました。
それが判決に影響したと言われています。
その後キースはこの件で懲りたのか、ドラッグ中毒を克服しようと、決意表明のようなこの曲を書きました。
この曲にこんな歌詞があります。
誰かに走らされる前に、自分の力で歩き出すんだ
今では麻薬どころかお酒も節制しているようですが、人は変わろうと思ったら変われるものなのですね。
17位「Emotional Rescue」(アルバム:Emotional Rescue)
■曲名:Emotional Rescue
■曲名邦題:エモーショナル・レスキュー
■アルバム名:Emotional Rescue
■アルバム名邦題:エモーショナル・レスキュー
■動画リンク:「Emotional Rescue」
ミックのファルセット・ボーカルが印象的な、ディスコの影響を感じる曲です。
おそらく前作でシングル「Miss You」がヒットしたこともあって、その続編を意識したのでしょう。
ミックはロック史上最高のボーカリストの1人として知られ、カリスマ性も兼ね備えています。
彼のボーカルはセクシーだと評されますが、とにかく表現力が抜群で、こういうファルセットの曲も絶品です。
ただこの曲では表現力が行き過ぎて、小ばかにしているように感じますね(笑)
この憎々しさとふてぶてしさが、不良バンドの頂点に君臨するストーンズのイメージを形づくっています。
この曲では珍しくベースが目立っていると思い、クレジットを確認してみたところ、ロン・ウッドがベースを弾いていました。
ビル・ワイマンはソロ活動を聞く限り、才能のあるミュージシャンです。
しかしストーンズでの貢献度が見えにくく、特に在籍末期はレコーディングで参加する曲が激減していました。
ミックやキースより7歳年上のビルは「サイレント・ストーン」と呼ばれるほど寡黙で、あまり目立つ存在ではありませんでした。
1993年ついにビルは脱退し、代わりにサポート・メンバーとしてダリル・ジョーンズ(Darryl Jones)が参加しています。
18位「Little T&A」(アルバム:Tattoo You)
■曲名:Little T&A
■曲名邦題:リトルT&A
■アルバム名:Tattoo You
■アルバム名邦題:刺青の男
■動画リンク:「Little T&A」
彼らのようにヒット曲や定番曲が多いバンドの場合、選曲で自分の色を出すのは難しいものです。
定番曲だけで、曲の枠が埋まってしまいますから。
しかしそれではつまらないので、後半ではいくつか個人的なおすすめ曲をご紹介したいと思います。
このランキングはベスト・アルバムとは、立ち位置が違いますし。
一般的にこのアルバムでは「スタート・ミー・アップ(Start Me Up)」が知られています。
リンクを貼っておきましょう。
The Rolling Stones – Start Me Up
しかし私は「Little T&A」の方が好きです。
典型的なB級な曲ですが、ストーンズの本質はB級的なカッコよさにあると信じる私にとって、ストーンズのど真ん中にあたる曲だと思っています。
この時期、ミックとキースの関係が悪化していました。
その関係でレコーディングが進まず、結局このアルバムは、過去の曲をリメイクしたものが中心となりました。
つまりアウトテイク集とか未発表曲集に近いアルバムなのですが、この曲はキラリと光る掘り出し物だと思います。
19位「Shine a Light」(アルバム:Exile on Main St.)
■曲名:Shine a Light
■曲名邦題:ライトを照らせ
■アルバム名:Exile on Main St.
■アルバム名邦題:メイン・ストリートのならず者
■動画リンク:「Shine a Light」
ストーンズの音楽には、様々なジャンルの要素が溶け込んでいます。
カントリー、レゲエ、ブルース、スワンプ・ロック、ソウル、ゴスペル、ディスコ、ファンクなど、挙げるとキリがありません。
特にこのアルバムには、原初のロックンロールが秘めていた雑食性と猥雑さが感じられます。
闇鍋的な魅力を持ったアルバムといえるかもしれません。
様々な写真をコラージュしたアルバム・ジャケットも、一つ一つの写真は奇妙でいびつなだけですが、全体としてはすばらしいジャケットに仕上がっています。
アルバムの内容を的確に表現している名ジャケットではないでしょうか。
彼らはB面に少し趣向の違った曲を配置する傾向があります。
ストーンズのファンと話していると、最近このアルバムのB面にはまっているんだよねみたいな話になることがあります。
彼らのB面曲は宝の山なのですね。
このアルバムのおもしろさは、そのB面的な部分を拡大したところにあるかもしれません。
以下の曲や「オール・ダウン・ザ・ライン(All Down the Line)」のような王道の曲は、クセモノぞろいの曲の中でこそ輝くような気がします。
The Rolling Stones – Rocks Off
さて今回ご紹介した「Shine a Light」は、ミックがとレオン・ラッセル(Leon Russell)が共作した曲で、プロデューサーのジミー・ミラー(Jimmy Miller)がドラムを叩いています。
20位「Dirty Work」(アルバム:Dirty Work)
■曲名:Dirty Work
■曲名邦題:ダーティ・ワーク
■アルバム名:Dirty Work
■アルバム名邦題:ダーティ・ワーク
■動画リンク:「Dirty Work」
彼らは「史上最高のロックバンド」と言われることがあります。
私の感覚では、そう呼ばれるのにふさわしいバンドは、以下の3バンドです。
・ビートルズ(The Beatles)
・クイーン(Queen)
そしてストーンズです。
ストーンズは上記の中で、最もロックという言葉が似合うバンドかもしれません。
ローリング・ストーンズの本当の偉大さは、すぐれた楽曲を出し続けた継続性だと思います。
多作で曲の質が高いというのは、ファンからすると本当に幸せなことです。
このアルバムの頃は全盛期を過ぎたと言われていますが、B面にはこんな曲が入っていますし。
最後の方で少しダブっぽい処理がありますが、これはこの時期ならではの特徴でした。
そこがツボの方は、以下の「アンダーカヴァー・オブ・ザ・ナイト(Undercover of the Night)」を聞いてみてください。
The Rolling Stones – Undercover of the Night
さて最後に彼らの近況について。
アルバムとしては、2016年の「ブルー&ロンサム(Blue & Lonesome)」が現時点の最新作です。
チャーリー・ワッツも亡くなりましたが、解散するという話は聞こえてきません。
ということは、新作を期待できるのかもしれませんね。
ニュー・アルバムを楽しみに待ちたいと思います。
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