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リトル・フィート(Little Feat)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はリトル・フィートのランキングを作成しました。

私はこのバンドを3つの時期に分けて考えています。

まず最初にファーストから「Dixie Chicken」で、ローウェル・ジョージが主導権を握っていた時期。

次に「Feats Don’t Fail Me Now」「The Last Record Album」「Time Loves a Hero」「Down on the Farm」など、ビル・ペインやポール・バレアが主導権を握っていた時期。

最後に再結成後の「Let It Roll」以降です。

この記事では、最初のローウェル・ジョージが主導権を握っていた時期を中心に取り上げました。

もし気に入ったら、他の時期もチェックしてみてください。

 

1位「Dixie Chicken」(アルバム:Dixie Chicken)

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■曲名:Dixie Chicken
■曲名邦題:ディキシー・チキン
■アルバム名:Dixie Chicken(1973年)
■アルバム名邦題:ディキシー・チキン
■動画リンク:「Dixie Chicken」

このアルバムから彼らの音楽は大きく変わりました。

従来からの変更点は、アメリカ南部の音楽を大胆に導入したことです。

「ディキシー・チキン」とは「南部の鳥」という意味。

スワンプ・ロックでは、よく鶏の鳴き声を模したピアノが入っていますが、この曲でもイントロでピアノがカンカンと鳴っています。

他に南部の音楽の影響を感じるのは、分厚い女性コーラスです。

この曲でもバック・コーラスの枠を超える存在感を放っています。

彼らはカルフォルニアのバンドなので、生粋の南部のバンドではありません。

しかしよそ者の南部音楽にしては、本場の味わいを醸していました。

 

2位「Willin’」(アルバム:Sailin’ Shoes)

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■曲名:Willin’
■曲名邦題:ウィリン
■アルバム名:Sailin’ Shoes(1972年)
■アルバム名邦題:セイリン・シューズ
■動画リンク:「Willin’」

この曲を書いたローウェル・ジョージ(Lowell George)は、元々フランク・ザッパ(Frank Zappa)率いる「マザーズ・オブ・インヴェンション(The Mothers of Invention)」のメンバーでした。

当時この曲を麻薬嫌いのフランク・ザッパに聞かせたところ、ドラッグの運び屋という内容を理由に却下されたそうです。

それどころかローウェルはザッパのバンドをクビになってしまいました。

そこで彼はリトル・フィートを結成し、ファースト・アルバムにこの曲を収録しました。

そして彼は三度セカンド・アルバムでもこの曲を再演しています。

執念というか、よほどの自信作だったのでしょう。

改めて歌詞を読んでみると、ドラッグについては匂わせる程度だと感じました。

「Willin’」とは「喜んで」という意味です。

いつでも、どんな天気でも、何でも、喜んで運ぶよという感じの歌詞です。

確かに白いブツとか草とか、匂わせている部分もなくはありませんが。

 

3位「Truck Stop Girl」(アルバム:Little Feat)

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■曲名:Truck Stop Girl
■曲名邦題:トラック・ストップ・ガール
■アルバム名:Little Feat(1971年)
■アルバム名邦題:リトル・フィート・ファースト
■動画リンク:「Truck Stop Girl」

先程の「Willin’」と同じく、トラック・ドライバーをテーマにした曲です。

こちらはトラック・ドライバーが「Truck Stop」と呼ばれる、給油したり食事がとれる場所で働いている女性に恋をしたという内容の曲です。

なぜそれほどトラックにこだわっているのかと思って、ローウェル・ジョージの生い立ちを調べてみました。

するとガソリン・スタンドでアルバイトしていたことが判明しました。

この曲は、その頃の思い出を元に書かれたかもしれません。

ちなみにこの曲は、ザ・バーズ(The Byrds)が「タイトルのないアルバム(Untitled)」に収録されているカバー曲の方が有名です。

The Byrds – Truck Stop Girl

有名曲が2曲あるにもかかわらず、このデビュー・アルバムは過小評価されているかもしれません。

 

4位「Easy to Slip」(アルバム:Sailin’ Shoes)

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■曲名:Easy to Slip
■曲名邦題:イージー・トゥ・スリップ
■アルバム名:Sailin’ Shoes(1972年)
■アルバム名邦題:セイリン・シューズ
■動画リンク:「Easy to Slip」

このバンドについて、アメリカのローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)という呼ぶ人がいます。

確かに「Sailin’ Shoes」と「Dixie Chicken」は、ストーンズとの共通点を感じます。

「Dixie Chicken」は、ストーンズの「レット・イット・ブリード(Let It Bleed)」をヒントにしたのかもしれません。

「Roll Um Easy」は「No Expectations」みたいですし、この曲のイントロも「Street Fighting Man」に近いものを感じます。

またこのアルバムから彼らのトレードマークといえる、ネオンパーク(NeonPark)のイラストをアルバム・ジャケットに採用しました。

おそらくフランク・ザッパが「いたち野郎(Weasels Ripped My Flesh)」で、ネオンパークを起用したのを真似たのだと思われます。

後にこのバンドは、オンリーワンの個性派バンドになりました。

しかしその個性は他からの影響を消化した上で生まれたようです。

 

5位「Texas Rose Cafe」(アルバム:Sailin’ Shoes)

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■曲名:Texas Rose Cafe
■曲名邦題:テキサス・ローズ・カフェ
■アルバム名:Sailin’ Shoes(1972年)
■アルバム名邦題:セイリン・シューズ
■動画リンク:「Texas Rose Cafe」

実在するカフェについて歌った曲です。

なんでも、あるヒッピー御用達のレストランをローウェル・ジョージが気に入って曲にしたのだとか。

そうしたいきさつのせいか、この曲の歌詞には映像喚起力があります。

あとこのアルバムには他にも、音のすき間を感じさせる曲が多いように思います。

たとえばこの曲の最初の30秒ほどをお聞きください。

ボーカル以外にも多くの楽器が入っていますが、演奏は意外なほどスカスカな印象です。

まるで音の空間を埋め尽くしてしまわないよう、皆で示し合わせ注意深く音を抑制しているかのよう。

ただそうした豊かな行間のせいで、創造力をかき立てる音楽空間が出来上がりました。

また1:56からプログレッシブな展開になりますが、こういうところはザッパっぽいように感じます。

趣味の良いミニシアターで、ニューシネマの映画を見ているような気分にさせてくれる曲です。

 

6位「Two Trains」(アルバム:Dixie Chicken)

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■曲名:Two Trains
■曲名邦題:トゥー・トレインズ
■アルバム名:Dixie Chicken(1973年)
■アルバム名邦題:ディキシー・チキン
■動画リンク:「Two Trains」

このアルバムから彼らはメンバー構成を変えてきました。

新たにギタリストのポール・バレア(Paul Barrere)とパーカッション奏者のサム・クレイトン(Sam Clayton)が加わりました。

この変更は、彼らが目指していた方向性を示唆していたように思います。

ポールはロックだけでなく、ジャズやケイジャンなどの幅広い背景を持った人です。

ポールは早速このアルバムの曲づくりに参加して、次作「Feats Don’t Fail Me Now」では「Skin it Back」という、後期を代表する名曲を書き上げました。

Little Feat – Skin It Back

彼は後のフュージョンのキーマンといえる人です。

またパーカショニストを加入させたのは、リズムを強化する意図があると思われます。

ベースもロイ・エストラーダ(Roy Estrada)から、ケニー・グラッドニー(Kenny Gradney)に替わりました。

こうした変更後、少しリズムが粘っこくなったように感じます。

 

7位「I’ve Been the One」(アルバム:Little Feat)

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■曲名:I’ve Been the One
■曲名邦題:アイヴ・ビーン・ザ・ワン
■アルバム名:Little Feat(1971年)
■アルバム名邦題:リトル・フィート・ファースト
■動画リンク:「I’ve Been the One」

ローウェル・ジョージはザッパのバンドに加入する前、ファクトリー(The Factory)というバンドで既にデビューをはたしていました。

ファクトリーの曲のリンクを貼っておきましょう。

Lowell George & The Factory – Smile, Let Your Life Begin

ファクトリーではフォーク・ロックっぽい音楽をやっています。

その後ザッパがファクトリーをプロデュースしたことがきっかけで、ローウェルはザッパのバンドに加入することになりました。

ローウェル・ジョージは尺八やシタールなどに興味を持ち、ウェストコースト・ジャズも好む一面も持っていました。

かなり雑多な音楽のバックグラウンドがある人です。

リトル・フィートも最初は多種多様な曲をやっていたそうですが、レコード会社と契約する時、曲のばらつきに難色を示されたそうです。

そこで彼らは音楽性を絞り込んで、ようやくレコード会社と契約するに至りました。

その結果生まれたのが、このファースト・アルバムです。

後に比べてややこじんまりとした印象を受けるのは、そうした経緯が関係しているかもしれません。

 

8位「Long Distance Love」(アルバム:The Last Record Album)

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■曲名:Long Distance Love
■曲名邦題:ロング・ディスタンス・ラヴ
■アルバム名:The Last Record Album(1975年)
■アルバム名邦題:ラスト・レコード・アルバム
■動画リンク:「Long Distance Love」

この記事はサード・アルバムまでの曲が多くなりました。

補足として、後期からこの曲をご紹介しておきましょう。

私は後期も嫌いではありませんが、強く推したい曲が多くないように感じました。

楽曲重視から演奏重視に変わったせいがあるかもしれません。

たとえば「The Last Record Album」の「Romance Dance」などは演奏は最高ですが、もう少し楽曲が良ければと感じますし。

Little Feat – Romance Dance

その変化の背景には、初期のメインソングライター、ローウェル・ジョージの立ち位置の変化があるかもしれません。

この頃のローウェル・ジョージは以前ほどの存在感がなくなり、メンバーの1人に落ち着いています。

どうやらドラッグの影響で体調が思わしくなかったようですが。

この曲はそんな不調時のローウェル・ジョージが書いた名曲です。

 

9位「Fat Man in the Bathtub」(アルバム:Dixie Chicken)

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■曲名:Fat Man in the Bathtub
■曲名邦題:ファット・マン・イン・ザ・バスタブ
■アルバム名:Dixie Chicken(1973年)
■アルバム名邦題:ディキシー・チキン
■動画リンク:「Fat Man in the Bathtub」

先程このアルバムは、アメリカ南部の音楽の影響を受けていると書きました。

具体的にはニューオリンズの音楽の影響を感じます。

ニューオリンズの音楽は雑食感があって、セカンドラインと呼ばれる独特なリズムもその特徴の1つ。

この曲のイントロを聞けば、どういうリズムかお分かりいただけると思います。

もしこの曲を気に入ったら、アラン・トゥーサン(Allen Toussaint)、ドクター・ジョン(Dr. John)、ミーターズ(The Meters)あたりを聞いてみるといいでしょう。

ドクター・ジョンについては、以下の記事を書きました。

ドクター・ジョン(Dr. John)の名曲名盤10選

しかしこのバンドにはリズム以外に、彼ら独自の魅力もありました。

それはローウェル・ジョージの異端を感じさせるスライド・ギター。

この曲でも彼のスライドが縦横無尽に披露されていて、この曲に奔放さを加えています。

 

10位「Trouble」(アルバム:Sailin’ Shoes)

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■曲名:Trouble
■曲名邦題:トラブル
■アルバム名:Sailin’ Shoes(1972年)
■アルバム名邦題:セイリン・シューズ
■動画リンク:「Trouble」

「Dixie Chicken」以降の彼らは、フュージョンっぽい演奏が多くなりました。

この記事では初期の曲を多めになりましたが、演奏面では「Dixie Chicken」以降の方が良いかもしれません。

今回ランキングを作成するにあなり、もっと後期の曲を多くすることも考えました。

しかし最終的には多様性よりも、私が好きなリトル・フィート像をご提示したいと思いました。

そこで初期の情感とリズム、スライドの魅力に焦点を当ててみました。

たとえばこのシンプルな曲に込められた情感はいかがでしょうか。

シンプルさゆえに素材が際立つ、カントリー・バラードの傑作です。

こうした情感が初期の最大の魅力だと思います。

 

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