今回はスパークルホースのランキングを作成しました。
このバンドはマイナーとは言いませんが、誰もが知っているほど有名な存在でもありません。
この記事では知名度とは関係なく、どうしてもご紹介したいと思って書きました。
- 1 1位「Ghost Of His Smile」(アルバム:Good Morning Spider)
- 2 2位「Gold Day」(アルバム:It’s a Wonderful Life)
- 3 3位「Don’t Take My Sunshine Away」(アルバム:Dreamt for Light Years in the Belly of a Mountain)
- 4 4位「Piano Fire(feat. PJ Harvey)」(アルバム:It’s a Wonderful Life)
- 5 5位「Tears On Fresh Fruit」(アルバム:Vivadixiesubmarinetransmissionplot)
- 6 6位「Chaos of the Universe」(アルバム:Bird Machine)
- 7 7位「Sick Of Goodbyes」(アルバム:Good Morning Spider)
- 8 8位「Rainmaker」(アルバム:Vivadixiesubmarinetransmissionplot)
- 9 9位「Ghost In The Sky」(アルバム:Dreamt for Light Years in the Belly of a Mountain)
- 10 10位「Evening Star Supercharger」(アルバム:Bird Machine)
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1位「Ghost Of His Smile」(アルバム:Good Morning Spider)
■アルバム名:Good Morning Spider
■アルバム名邦題:グッド・モーニング・スパイダー
■動画リンク:「Ghost Of His Smile」
普段このブログでは有名アーティストを取り上げることが多いです。
私はこのブログをアーティスト図鑑のようにしたいと思っています。
しかし知名度だけを基準に取り上げるアーティストを決めるつもりはありません。
中にはどうしても書きたいという気持ちを最優先して記事を書く場合もあります。
この記事もその1つ。
このバンドの記事を書かずして、このブログの意味はあるのだろうかと思えるほどです。
ただ一つ心配なことがあります。
それはこの記事が悲しみやダークな色合いを帯びること。
客観的な情報だけで書くと、そういう方向に傾いても不思議はありません。
もしこの記事に悲しみがにじんだとしても、音楽のすばらしさの方が先立つようにしたいと思っています。
2位「Gold Day」(アルバム:It’s a Wonderful Life)
■曲名:Gold Day
■アルバム名:It’s a Wonderful Life
■アルバム名邦題:イッツ・ア・ワンダフル・ライフ
■動画リンク:「Gold Day」
2010年3月6日スパークルホースの中心人物マーク・リンカス(Mark Linkous)は、自らの心臓を拳銃で撃ち抜きました。
享年47歳。
自殺するアーティストは美しい曲を書く人が多いように思います。
ニック・ドレイク(Nick Drake)、エリオット・スミス(Elliott Smith)、そしてマーク・リンカス。
ビル・エヴァンス(Bill Evans)は病死ですが、実態としては緩やかな自殺といえるものでした。
彼らは生と死の境界線から、すばらしい音楽を生み出しました。
もちろん自殺したアーティストだからといって、良い音楽を生み出せるわけではないでしょう。
しかし彼らの音楽に共通して純度の高い美を感じるのはなぜなのか。
このアルバム名は「It’s a Wonderful Life」つまり「素晴らしき哉、人生」という意味です。
そしてこの曲では、母親が我が子に対して「あなたの日々が黄金のようでありますように」と歌われています。
3位「Don’t Take My Sunshine Away」(アルバム:Dreamt for Light Years in the Belly of a Mountain)
■曲名:Don’t Take My Sunshine Away
■アルバム名:Dreamt for Light Years in the Belly of a Mountain
■動画リンク:「Don’t Take My Sunshine Away」
彼の音楽は繊細で刺さる感じが特徴ですが、それだけではありません。
この曲は幾分表情が和らいでいるように感じます。
しかしその分メロディメイカーとしての才能が浮かび上がっています。
このアルバムは前作2001年の「It’s a Wonderful Life」から5年後の2006年にリリースされました。
その間彼はうつ病が悪化して、思うような活動ができなかったようです。
生活が困窮した彼は家賃などの支払いをしようと、病に苦しむ中このアルバムを製作しました。
このアルバムは前作「It’s a Wonderful Life」に収録しなかったポップな曲をまとめた作品なのだそうです。
この作品は全英アルバムチャートで60位を記録しました。
大ヒットとはいえませんが、生活は少し落ち着きを取り戻すことができたと思われます。
4位「Piano Fire(feat. PJ Harvey)」(アルバム:It’s a Wonderful Life)
■曲名:Piano Fire(feat. PJ Harvey)
■アルバム名:It’s a Wonderful Life
■アルバム名邦題:イッツ・ア・ワンダフル・ライフ
■動画リンク:「Piano Fire(feat. PJ Harvey)」
この曲でマーク・リンカスは、PJ ハーヴェイ(PJ Harvey)とデュエットしています。
スパークルホースはマークの一人プロジェクトですが、多くのゲストが参加していました。
トム・ウェイツ(Tom Waits)、デイヴ・フリッドマン(Dave Fridmann)、ジョン・パリッシュ(John Parish)など、類が友を呼んでいる感じがしますね。
前作「Good Morning Spide」でも、ヴィック・チェスナット(Vic Chesnutt)が参加していました。
ただゲストが多い割りに散漫なところはありません。
参加者は彼の音楽をよく理解していて、その繊細で美しい世界を壊さないよう思慮深くふるまっているように感じます。
この曲でもPJ ハーヴェイは、マークに寄り添うかのように歌っています。
当時PJ ハーヴェイはスパークルホースより知名度がありました。
彼女との共演を通じて、スパークルホースへの注目度は高まったかもしれません。
5位「Tears On Fresh Fruit」(アルバム:Vivadixiesubmarinetransmissionplot)
■曲名:Tears On Fresh Fruit
■アルバム名:Vivadixiesubmarinetransmissionplot
■動画リンク:「Tears On Fresh Fruit」
デビュー・アルバムの曲です。
元々マーク・リンカスは、ダンシング・フッズ(Dancing Hoods)というバンドに在籍していました。
しかし彼は薬物中毒に苦しみ音楽業界への失望もあって、心機一転ロサンゼルスからバージニア州リッチモンドに移住しました。
彼は移住先で様々なミュージシャンと交流する中、音楽への情熱を取り戻しました。
また当時彼はトム・ウェイツに傾倒していました。
以下の曲は、音楽の道を諦めそうになっていた彼を救った曲なのだそうです。
Gavin Bryars & Tom Waits – Jesus’ Blood (never failed me yet)
ボーカル・スタイルこそ違いますが、スパークルホースに通じるところがありますね。
6位「Chaos of the Universe」(アルバム:Bird Machine)
■曲名:Chaos of the Universe
■アルバム名:Bird Machine
■動画リンク:「Chaos of the Universe」
このアルバムはマーク・リンカスの死後リリースされました。
ほぼ完成していた未発表音源を発表したラスト・アルバムです。
マーク・リンカスはこのアルバムのレコーディングが完成に近づいたある日、自ら命を絶ちました。
その後残された音源を弟と義妹が完成させました。
以下の記事によれば、弟はマット・リンカスという名前です。
見たことがある名前だと思って調べたところ、「Dreamt for Light Years in the Belly of a Mountain」のクレジットにMatthew Linkousという名前がありました。
おそらくマークの弟、マット・リンカスのことだと思われます。
アルバムに参加経験がある身内が、この遺作を完成させた1人なのですね。
7位「Sick Of Goodbyes」(アルバム:Good Morning Spider)
■曲名:Sick Of Goodbyes
■アルバム名:Good Morning Spider
■アルバム名邦題:グッド・モーニング・スパイダー
■動画リンク:「Sick Of Goodbyes」
彼はメランコリーの世界の住人でした。
このアルバム名の「Good Morning Spider」は「朝にクモを見るのは、悲しい日の予兆」という迷信から名付けられています。
一方彼はこういう人でした。
1997年に発表されたセカンド・アルバム『グッド・モーニング・スパイダー』の中の楽曲「St. Mary」は、リンカスが入院中に世話になったパディントンにある同名の病院[1]の看護師たちに捧げられている。
このアルバムには「Sunshine」という曲が収録されています。
当初このアルバムにはヴィック・チェスナットが参加予定でしたが、都合により彼は間に合いませんでした。
マーク・リンカスは、ヴィック・チェスナットから謝罪の電話を受けたそうです。
マークはヴィック・チェスナットの謝罪音声を上の曲で引用して、ヴィック・チェスナットが参加したことにしました。
詫びるヴィック・チェスナットに対して、レコーディングには間に合っただろうと言いたかったようですね。
ただ後年ヴィック・チェスナットも自ら命を絶ってしまいましたが。
マーク・リンカスは落ち込み虫でしたが、他人への感謝を忘れない人でした。
8位「Rainmaker」(アルバム:Vivadixiesubmarinetransmissionplot)
■曲名:Rainmaker
■アルバム名:Vivadixiesubmarinetransmissionplot
■動画リンク:「Rainmaker」
1995年にリリースされたデビュー・アルバムの曲です。
このバンドはトム・ヨーク(Thom Yorke)がお気に入りのバンドと公言したことで、一躍注目を浴びました。
その後1996年にはレディオヘッド(Radiohead)のツアーに、オープニングアクトとして同行しています。
ただこのツアーの時、マークはアルコールと薬物のオーバードーズで入院してしまいました。
しかし、このツアーの途中でマーク・リンカスがアルコールと薬物(抗うつ薬、バリウム、ヘロイン)の摂取によりオーバードーズを起こしてしまう。一時は心停止状態に陥り、意識の回復後も両足に麻痺が残る恐れがあった。複数回にわたる手術の結果、回復したものの、リンカスは半年の間車椅子での生活を強いられた。
上の引用に「一時は心停止状態に陥り」とありますが、心停止から3分経過したほぼ臨死状態でした。
日本の基準では、心臓が止まってもすぐに死亡宣告とはなりません。
心停止の2-3分後も、その状態が続いてから死亡宣告されます。
この時マーク・リンカスは生死の瀬戸際から生還したのですね。
9位「Ghost In The Sky」(アルバム:Dreamt for Light Years in the Belly of a Mountain)
■曲名:Ghost In The Sky
■アルバム名:Dreamt for Light Years in the Belly of a Mountain
■動画リンク:「Ghost In The Sky」
先程トム・ヨークが彼らを評価していたと書いた時、私はわだかまりを感じました。
私はトム・ヨークについて、最高の才能の持ち主だと思っています。
人気と実力を兼ね備えた人に言及されたこと自体は喜ぶべきかもしれません。
しかしマーク・リンカスの悲劇は、大物を引き合いに出して語られる立場に甘んじるべき人ではなかったこと。
スパークルホースはマイナーとは言いません。
しかし彼はその音楽的価値に比べて、知名度が低すぎるように感じます。
もしかしたら彼はトム・ヨークに並びうるほどの人だったかもしれませんから。
10位「Evening Star Supercharger」(アルバム:Bird Machine)
■曲名:Evening Star Supercharger
■アルバム名:Bird Machine
■動画リンク:「Evening Star Supercharger」
先程経緯を書いたように、このアルバムは死後にリリースされました。
しかしこのアルバムは、死後にリリースされた作品としては2作目です。
『ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル』を制作したものの、レコード会社によってリリースが中止された。この措置に対し、リンカスとデンジャー・マウスはパッケージのみを空のCD-Rと共に発売するという行動に出た[2]。
前作「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル(Dark Night of the Soul)も、彼の死後正式にリリースされました。
私はこのバンドを再評価してほしいと願っています。
同時に彼の音楽には憂鬱への引力があるので、それだけ注意していただければと思いますが。
ただこの曲には暖かみがあり、メランコリーへのいざないは感じません。
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