今回はホワイト・ストライプスのランキングを作成しました。
彼らはガレージロック・リバイバルの代表的なバンドとして、数多くのすばらしい作品を残しました。
一方で彼らはとてもユニークな存在でした。
2人組でブルースの影響が色濃いガレージ・パンクを演奏。
イメージカラーへのこだわり。
元夫婦なのに兄妹という設定。
極上のロックンロールをご堪能ください。
- 1 1位「Hotel Yorba」(アルバム:White Blood Cells)
- 2 2位「Seven Nation Army」(アルバム:Elephant)
- 3 3位「Stop Breaking Down」(アルバム:The White Stripes)
- 4 4位「Little Room」(アルバム:White Blood Cells)
- 5 5位「Hypnotize」(アルバム:Elephant)
- 6 6位「Blue Orchid」(アルバム:Get Behind Me Satan)
- 7 7位「Icky Thump」(アルバム:Icky Thump)
- 8 8位「I’m Bound to Pack It Up」(アルバム:De Stijl)
- 9 9位「You’re Pretty Good Looking (For a Girl)」(アルバム:De Stijl)
- 10 10位「You Don’t Know What Love Is (You Just Do as You’re Told)」(アルバム:Icky Thump)
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1位「Hotel Yorba」(アルバム:White Blood Cells)
■曲名:Hotel Yorba
■曲名邦題:ホテル・ヨーバ
■アルバム名:White Blood Cells
■アルバム名邦題:ホワイト・ブラッド・セルズ
■動画リンク:「Hotel Yorba」
当初彼らは全然売れていませんでした。
ファースト・アルバムから聞いていた人は、少数派ではないでしょうか。
彼らは「Seven Nation Army」でブレイクしたと言われています。
しかしその以前にこの曲が全米シングルチャートで26位まで上がったことで、飛躍的に知名度が高まっていました。
この小ヒットをきっかけに、彼らはグラミー賞を受賞するようなバンドにまでなりました。
ちなみに彼らはアルバム未収録曲が多く、シングルになっているものだけでも10曲以上あります。
さてこの曲「Hotel Yorba」とは、デトロイトに実在するホテルのことです。
動画にも少し出てきますが、全体が分かりにくいので写真を貼っておきましょう。
ジャックによると、ビートルズが宿泊したという噂があるそうですが、そんなはずないだろうというぐらいしょぼいホテルなのだとか。
確かに豪華ホテルとは言い難い感じですが、写真を見る限り不思議な味わいが感じられますね。
2位「Seven Nation Army」(アルバム:Elephant)
■曲名:Seven Nation Army
■曲名邦題:セヴン・ネイション・アーミー
■アルバム名:Elephant
■アルバム名邦題:エレファント
■動画リンク:「Seven Nation Army」
彼らはこの作品が全米アルバムチャート1位を獲得し、この曲もシングルチャート7位を記録しました。
この曲はジャックのギターが聞きどころです。
51秒のところからのギターが、この曲を決定的名曲にしています。
彼らの正規メンバーは、以下の2人しかいません。
ジャック・ホワイト(Jack White):ギター担当
メグ・ホワイト(Meg White):ドラム担当
つまりベースレスなのですが、ベースの不在を感じません。
ガレージ・ロックはベースなしでもいいかもしれませんが、それ以上にギターの引き出しが多いことが、物足りなさを感じさせない理由ではないでしょうか。
エレクトリック・ギターとアコースティック・ギターの使い分けだけでなく、時にはこの曲のようにドラマティックな演出をしていてあきさせません。
この曲ではギターをオーバー・ダビングしていますし。
彼はキーボードやピアノなどの演奏もできますが、特にギターの活用方法に長けています。
3位「Stop Breaking Down」(アルバム:The White Stripes)
■曲名:Stop Breaking Down
■曲名邦題:ストップ・ブレイキング・ダウン
■アルバム名:The White Stripes
■アルバム名邦題:ザ・ホワイト・ストライプス
■動画リンク:「Stop Breaking Down」
初期2枚の彼らは、特にブルース色が濃いめです。
彼らがカバーしたブルース・ミュージシャンを挙げておきましょう。
・ロバート・ジョンソン(Robert Johnson)
・サン・ハウス(Son House)
・ブラインド・ウィリー・マクテル(Blind Willie McTell)
ブラインド・ウィリー・マクテルはともかく、他の2人はデルタ・ブルースの人で、この曲もロバート・ジョンソンのカバー曲です。
デルタ・ブルースはミシッシッピー・ブルースとも言われ、弾き語りだけの演奏も多いです。
ただそのギターの演奏は変幻自在で、弾き語りなのに表現力が尋常ではありません。
それはこのバンドの魅力にも通じます。
2人だけなのにバンドサウンドみたいな感じがしますし。
少ない人数でも多彩な方法論は、デルタ・ブルースからヒントを得ているのかもしれません。
4位「Little Room」(アルバム:White Blood Cells)
■曲名:Little Room
■曲名邦題:リトル・ルーム
■アルバム名:White Blood Cells
■アルバム名邦題:ホワイト・ブラッド・セルズ
■動画リンク:「Little Room」
ジャックはガレージ・ロックの影響を受けていて、特にイギー・ポップ(Iggy Pop)がお気に入りだそうです。
特にイギー・ポップのファンで、ストゥージズのアルバム『ファンハウス』を「今までに作られた最高のロック・アルバム」と言っている。
狭義のガレージ・ロックは、1960年代中盤以降のアメリカで出てきた音楽のこと。
アマチュアのバンドも多く、パンクの源流とも言われています。
レニー・ケイ(LennyKaye)が編集した「ナゲッツ(Nuggets: Original Artyfacts from the First Psychedelic Era, 1965–1968)」というアルバムを聞くと、どういう音楽か分かります。
初期衝動そのままのピュアなロックンロールといってもいいかもしれません。
この曲は50秒ととても短いですが、これぞガレージ・ロックという音。
短くても不完全な感じがしても、全然問題ではありません。
初期衝動がしっかり表現されているかどうか、その点でこの曲は満点です。
5位「Hypnotize」(アルバム:Elephant)
■曲名:Hypnotize
■曲名邦題:ヒプノタイズ
■アルバム名:Elephant
■アルバム名邦題:エレファント
■動画リンク:「Hypnotize」
おそらく彼らの最高傑作を聞かれたら「White Blood Cells」か、このアルバムを挙げる人が多いでしょう。
ジャックはギタリストとしての評価が高いですが、私はボーカリストとしての魅力にも注目しています。
ジャックのボーカルは、様々なバリエーションを持っています。
少し鼻にかかった高音部を特徴とした歌い方、先程の「Blue Orchid」のようなファルセット、この曲も少し歌い方を変えているような。
少し演技がかったような歌い方をしています。
彼らの魅力の根底には、ボーカルとギターの多彩な表現があります。
メグ・ホワイトをボーカルに起用した曲もありますし。
そういう緩急や変化の中でこそ、こういうストレートな曲が映えるのかもしれません。
6位「Blue Orchid」(アルバム:Get Behind Me Satan)
■曲名:Blue Orchid
■曲名邦題:ブルー・オーキッド
■アルバム名:Get Behind Me Satan
■アルバム名邦題:ゲット・ビハインド・ミー・サタン
■動画リンク:「Blue Orchid」
私はメグ・ホワイトのドラムをどう評価したらいいのか、少し分からないところがあります。
メグのドラムはお世辞にもテクニックがあるとは思いませんし、彼女特有のノリみたいなものも感じられません。
しかしウィキペディアにこういう記述がありました。
ジャックとは対照的にメグのドラミングスタイルは非常にシンプルなものである。
映画『スクール・オブ・ロック』でネタにされるなど、彼女のドラマーとしての能力には懐疑的な声も存在する一方、デイヴ・グロールは「史上最高のドラマー」だとして最大級の賛辞を送っている[7]。
また、アルバム『イッキー・サンプ』のミキシングを行ったジョー・チッカレリは「ジャックが他のドラマーと演奏してもザ・ホワイト・ストライプスのような音にならない。彼女はバンドの音の半分を超えた存在だ」と語っている[8]。
彼らが彼女の演奏のどこを評価しているのか、正直私には分かりません。
ドラム単独では、耳を引く演奏ではないように思われますし。
ただ彼女のドラムには、テクニックなど無用といわんばかりのプリミティヴさがあります。
細部までこだわったジャックのギターと、あまり難しいことは考えていないようなメグの組み合わせは、不思議な組み合わせかもしれません。
その奇妙な組み合わせのおかげで、彼らの音楽には唯一無二の存在感があります。
7位「Icky Thump」(アルバム:Icky Thump)
■曲名:Icky Thump
■曲名邦題:イッキー・サンプ
■アルバム名:Icky Thump
■アルバム名邦題:イッキー・サンプ
■動画リンク:「Icky Thump」
後期の彼らの音楽は、レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)化してきたように思います。
この曲もそういう1曲。
ジャックのボーカルは、少しロバート・プラント(Robert Plant)に寄せてきた感じがします。
また2:03からのもったいぶったキメも、1970年代のハードロックっぽい感じがしないでしょうか。
ギターも少しメタリックになりましたし、2:15ぐらいから一瞬入る無国籍なキーボードも、ジョン・ポール・ジョーンズ(John Paul Jones)っぽいですよね。
しかしレッド・ツェッペリンのモノマネとは思いません。
ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン(The Jon Spencer Blues Explosion)にも言えますが、現代的なセンスが見え隠れしていると思うからです。
たとえば3:12からの音響的なギターの使い方などには、今どきの感覚を感じます。
8位「I’m Bound to Pack It Up」(アルバム:De Stijl)
■曲名:I’m Bound to Pack It Up
■曲名邦題:アイム・バウンド・パック・イット・アップ
■アルバム名:De Stijl
■アルバム名邦題:デ・ステイル
■動画リンク:「I’m Bound to Pack It Up」
彼らは男女の2人組ということで、どういう関係か気になる方もいらっしゃるかもしれません。
彼らは公式には姉妹でジャックが兄、メグが妹として活動しています。
しかし実際には彼らは元夫婦だったようで、デビュー後少しして離婚しています。
それからの2人の関係について引用しておきましょう。
「彼女は、俺が、どんな凄いことを成し遂げても、一緒に喜んでくれるタイプでは絶対になかった。
いつも俺のことを、『はいはい、それがどうしたの?』って感じで見ていたんだ。ホワイト・ストライプス時代のすべての瞬間が本当にそんな感じだったんだ。
例えばスタジオでレコーディングしていて俺が『やばい!今俺達新しい世界を開いたよ!』と言ったとしても、メグは無言でそこで座っているだけだった。
一応補足しておくと、だからといってジャックはメグの存在を否定しているわけではありません。
彼女の子供のようなピュアさが、インスピレーションの源泉だったというようなことを言っています。
さてこの曲の歌詞は、そういう関係をふまえて読むと意味深かもしれません。
この曲では男性側が孤軍奮闘しているけれど、相手とは意思疎通がとれていない様子が歌われています。
その後ジャックとメグはそれぞれ違う相手と再婚していますが、両者ともに同じ2013年離婚しています。
当事者にしか分からない不思議な関係なのかもしれません。
9位「You’re Pretty Good Looking (For a Girl)」(アルバム:De Stijl)
■曲名:You’re Pretty Good Looking (For a Girl)
■曲名邦題:ユー・アー・プリティ・グッド・ルッキング
■アルバム名:De Stijl
■アルバム名邦題:デ・ステイル
■動画リンク:「You’re Pretty Good Looking (For a Girl)」
彼らは売れる前から自分たちのイメージにこだわっていました。
まずアルバム・ジャケットはどれも秀逸ですが、赤、黒、白の3色ばかりです。
また彼らは夫婦なのに兄と妹という設定でデビューしていますが、ばれた後もその設定のままでインタビューに応じていました。
同じラモーンズ姓を名乗り革ジャン・ファッションで統一していた、ラモーンズみたいな存在を目指していたのかもしれません。
古いビンテージ機材にこだわり、スタジオ入りしても時間をかけずにレコーディングしています。
彼らのような音楽は、変にスタジオでこねくり回さない方がいいので、それが正解という気がします。
そして彼らの解散理由は以下のようなもの。
2011年2月2日にHP上にて解散を発表した。解散理由は、”今まで築き上げてきた自分たちの音楽・アートを最高の形で残したいため”としている。
どことなく任務完了といった風情が漂っていますね。
10位「You Don’t Know What Love Is (You Just Do as You’re Told)」(アルバム:Icky Thump)
■曲名:You Don’t Know What Love Is (You Just Do as You’re Told)
■曲名邦題:ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ(ユー・ジャスト・ドゥ・アズ・ユーアー・トールド)
■アルバム名:Icky Thump
■アルバム名邦題:イッキー・サンプ
■動画リンク:「You Don’t Know What Love Is (You Just Do as You’re Told)」
彼らのラスト・アルバムです。
心地よいミディアムテンポが印象的ですが、特に3:12からのギターがすばらしい。
この後彼らは「アンダー・ザ・グレイト・ホワイト・ノーザン・ライツ(Under Great White Northern Lights)」というライブ・アルバムをリリースし、その翌年解散しています。
「Icky Thump」がリリースされたのが2007年で、翌年ジャックはソロ名義のシングル「Another Way to Die」を発表しています。
リンクを貼っておきましょう。
Alicia Keys & Jack White – Another Way To Die
ホワイト・ストライプスと全然違うタイプの曲ですね。
既にこの頃には解散に向けて動いていたと思われます。
先程このバンドでは多くの制約があったことを書きました。
イメージ戦略的にも、音楽的にも。
またその制約の中で、かなりの工夫をしていたことにも触れました。
先程の解散の理由には説得力が感じられます。
ホワイト・ストライプスという枠の中でできることは、おおよそやり尽くしたような感じがしますから。
解散後ジャックが始めたラカンターズ(The Raconteurs)も、先程のソロ・シングル同様違う音楽性のバンドです。
違う音楽をやるなら、違うバンド名にしようといった感じでしょうか。
最後までスタイリッシュなイメージを維持してくれて良かったです。
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