今回はダイナソーJr.のランキングを作成しました。
彼らは奔放な爆音ギターと鼻にかかったボーカル、泣きメロが魅力のバンドです。
この記事では最初の解散までの時期を対象に選曲しました。
グランジやオルタナ・ロック好きは必聴のバンドです。
- 1 1位「The Wagon」(アルバム:Green Mind)
- 2 2位「Out There」(アルバム:Where You Been)
- 3 3位「Freak Scene」(アルバム:Bug)
- 4 4位「Water」(アルバム:Green Mind)
- 5 5位「Just Like Heaven」(アルバム:You’re Living All Over Me)
- 6 6位「Can’t We Move This」(アルバム:Hand It Over)
- 7 7位「Forget The Swan」(アルバム:Dinosaur)
- 8 8位「Muck」(アルバム:Green Mind)
- 9 9位「I Don’t Think So」(アルバム:Without A Sound)
- 10 10位「Goin’ Home」(アルバム:Where You Been)
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1位「The Wagon」(アルバム:Green Mind)
■曲名:The Wagon
■曲名邦題:ザ・ワゴン
■アルバム名:Green Mind
■アルバム名邦題:グリーン・マインド
■動画リンク:「The Wagon」
1991年にリリースされた通算4作目のメジャー・デビュー・アルバムです。
聞きやすくてポップな曲がそろっているので、最初の1枚としてもおすすめです。
このアルバムはその1曲目。
ギターをかき鳴らした後、すぐにJ・マスシスが歌い始めているのが印象的ですね。
なお彼の名前の発音はJ・マスキスの方が近いようですが、昔からのファンにおなじみのJ・マスシスの方で表記します。
曲名の「The Wagon」とは、車のステーション・ワゴンのこと。
彼らは親にワゴン車を借りてツアーに出ようとしています。
歌詞では行きたい場所があると歌われていますが、その車に乗って行くつもりなのでしょう。
とかくJ・マスシスは無気力だと言われますが、この曲の歌詞ではそうでもない感じがしますね。
ただ疾走感があるのにヨレヨレなのが、いかにも彼ららしいかもしれませんが。
リズムは走り気味ですが、彼らの場合はむしろその方がいいような気がします(笑)
2位「Out There」(アルバム:Where You Been)
■曲名:Out There
■曲名邦題:アウト・ゼア
■アルバム名:Where You Been
■アルバム名邦題:ホエア・ユー・ビーン
■動画リンク:「Out There」
J・マスシスのギターを堪能したい曲です。
彼のギタープレイは、少しニール・ヤング(Neil Young)と似ていているかもしれません。
この動画では2:29からは彼のギターに注目です。
彼の演奏はテクニック的に優れているというものではありません。
映像を見たところアームを多用していて、悪酔いに似た効果を上げていますね。
酩酊、爆裂、情念、荒れ球ギターとでも呼びたい演奏です。
もしかしたら彼がバンドをやっているのは、ギターを弾きまくりたいだけなのかも。
彼は元々ドラマーなのでリズム感が悪いはずありませんが、かなり独特なリズム感覚の持ち主かもしれません。
ただうねりに身を任せているだけのような彼のタイム感覚を感じます。
3位「Freak Scene」(アルバム:Bug)
■曲名:Freak Scene
■曲名邦題:フリーク・シーン
■アルバム名:Bug
■アルバム名邦題:バグ
■動画リンク:「Freak Scene」
彼の曲はいささかワンパターンかもしれません。
曲のメロディや展開が似ている曲が多いように思います。
ただそれは彼らの必勝パターンなので、決して悪いこととは思いませんが。
この曲はこのパターンの原型といえる曲です。
このアルバムは彼らの3枚目ですが、この曲は初めてのシングルカット。
当時彼らはインディレーベルに所属しており、J・マスシスは22歳という若さでした。
大学生だったJ・マスシスはどうしても就職したくなかったらしく、就職代わりにメジャー契約で食べていくつもりだったかもしれません。
そこで売れそうなこの曲を書いて、シングルカットしたような気が。
結果この曲はイギリスのインディチャートでヒットしました。
彼らの評価は更に高まり、ついにメジャーレーベルからのオファーが届きました。
4位「Water」(アルバム:Green Mind)
■曲名:Water
■曲名邦題:ウォーター
■アルバム名:Green Mind
■アルバム名邦題:グリーン・マインド
■動画リンク:「Water」
ここまで定番パターンの曲をご紹介しました。
この曲はそれに比べると地味で淡々としていますが、なかなか味わい深い曲だと思います。
このアルバムは彼らの代表作であると共に、最高傑作だと言われています。
ただ彼らのアルバムは平均水準が高く、デビュー・アルバム以外ならどれでもいいと思いますが。
この4枚目はアルバム・ジャケットが良いこともまた魅力です。
ちなみにこのジャケはJoseph Szaboの「Priscilla, Jones Beach, 1969」という写真をトリミングしたもの。
ビーチにいる女の子を撮影した写真なのですね。
トリミング前の写真もご紹介しておきましょう。
https://www.jacksonfineart.com/artists/joseph-szabo/priscilla-jones-beach-1969/
5位「Just Like Heaven」(アルバム:You’re Living All Over Me)
■曲名:Just Like Heaven
■曲名邦題:ジャスト・ライク・ヘブン
■アルバム名:You’re Living All Over Me
■アルバム名邦題:ユー・アー・リビング・オール・オーバー・ミー
■動画リンク:「Just Like Heaven」
ザ・キュアーの代表曲のカバーです。
そちらのバージョンのリンクも貼っておきましょう。
当時バンドにはJ・マスシス以外に、ルー・バーロウ(Lou Barlow)という中心メンバーがいました。
ルー・バーロウは、セバドー(Sebadoh)、フォーク・インプロージョン(The Folk Implosion)で知られる、J・マスシスと同等の才能を持った人です。
しかしこのバンドではほぼすべての曲をJ・マスシスが書き、ルー・バーロウはアルバムに1-2曲の提供と稀にボーカルを任されるだけでした。
彼はJ・マスシスとの関係が悪化した結果、次作「Bug」の後に脱退しました。
ルー・バーロウはバンドに少し違った視点からの変化をもたらせる人でした。
彼の不在はバンドにとって、長期的には大きく影響したかもしれません。
この記事は1997年に発表された「Hand It Over」の後、解散するまでの時期を対象にしました。
ただその後彼らは再結成し、その第一弾「Beyond」ではルー・バーロウが復帰しています。
6位「Can’t We Move This」(アルバム:Hand It Over)
■曲名:Can’t We Move This
■曲名邦題:キャント・ウィ・ムーヴ・ディス
■アルバム名:Hand It Over
■アルバム名邦題:ハンド・イット・オーヴァー
■動画リンク:「Can’t We Move This」
ルー・バーロウが脱退した後このバンドは、実質的にJ・マスシスのソロ・プロジェクトになりました。
ドラムのマーフは「Green Mind」まで在籍していましたが、そのアルバムでは3曲だけしか参加できず、その後バンドを脱退することになりました。
フー・ファイターズ(Foo Fighters)でもそうですが、リーダーがドラムが得意な場合、ドラム担当は居心地が良くないかもしれません。
J・マスシスは、このアルバムを最後にバンドを解散することにしました。
その後J・マスシスはJ.マスシス+ザ・フォグ(J Mascis + The Fog)を結成しましたが、その後ダイナソーJr.を再結成しています。
現在J・マスシスはどちらの活動に軸足を置いているのか、私には分かりません。
2021年にダイナソーJr.名義でアルバムを発表したと思ったら、2024年にはソロ名義でアルバムを出していますし。
さてこのアルバムは、ダイナソーJr.第一期のラストを飾るアルバム。
この曲とどちらにするか迷った曲もご紹介します。
7位「Forget The Swan」(アルバム:Dinosaur)
■曲名:Forget The Swan
■曲名邦題:フォーゲット・ザ・スワン
■アルバム名:Dinosaur
■アルバム名邦題:ダイナソー
■動画リンク:「Forget The Swan」
彼らの前身バンドは、同じ高校に通うJ・マスシスとルー・バーロウが結成した「Deep Wound」です。
「Deep Wound」時代はハードコア・パンクをやっていました。
その頃の曲のリンクを貼っておきましょう。
その後彼らは「Dinosaur」と改名しましたが、同名のバンドがあるので「Jr.」を付けることになり、今のバンド名に落ち着きました。
この「Dinosaur」は彼らのファースト・アルバムです。
当時はバンド名も同名の「Dinosaur」だったのですね。
この曲は初期の人気曲でそれほど激しくはありませんが、ローファイなサウンドが新鮮に響きます。
8位「Muck」(アルバム:Green Mind)
■曲名:Muck
■曲名邦題:マック
■アルバム名:Green Mind
■アルバム名邦題:グリーン・マインド
■動画リンク:「Muck」
彼らの必勝パターンとは少し異なる曲です。
彼らの必勝パターンとは、3位までの曲を聞けばおおよそご理解いただけると思います。
端的にまとめると、ヨレたり走り気味のリズム、奔放な爆裂ギターと鼻にかかった声、泣きメロといったところでしょうか
しかしこの曲はファンキーなところが魅力。
このドラムを叩いているのはJ・マスシスです。
それどころか彼はこの曲でボーカル、ギター、ベース、ドラム、そしてプロデューサーまで兼務しています。
1人バンドみたいですね(笑)
ただ出来上がった音楽が良ければ、リスナーはワンマンでも支持せざるを得ません。
9位「I Don’t Think So」(アルバム:Without A Sound)
■曲名:I Don’t Think So
■曲名邦題:アイ・ドント・シンク・ソー
■アルバム名:Without A Sound
■アルバム名邦題:ウィズアウト・ア・サウンド
■動画リンク:「I Don’t Think So」
今回ご紹介した中で最もポップな曲です。
ほぼギターポップといってもいいかもしれません。
さてここで彼らのジャンルについて、私の考えを書きたいと思います。
彼らの音楽をオルタナ・ロックといえばそうだと思いますが、それではおおまかすぎるかもしれません。
グランジに分類する人が多いですが、私はアメリカン・オルタナティヴの方がしっくりきます。
もちろん私の感覚にすぎませんので、決めつけるつもりはありません。
その後「Green Mind」以降は、ポップな曲の割合が増えています。
私は初めてこの曲を聞いた時、ついにここまできたかと思いました。
ただこのブログは入門者の方に向けて選曲する方針ですから、この順位ならばと異色の曲をご紹介してみました。
ポップではありますが、その分楽曲の魅力が光ります。
10位「Goin’ Home」(アルバム:Where You Been)
■曲名:Goin’ Home
■曲名邦題:ゴーイン・ホーム
■アルバム名:Where You Been
■アルバム名邦題:ホエア・ユー・ビーン
■動画リンク:「Goin’ Home」
最後にJ・マスシスのキャラクターについて触れたいと思います。
彼は洋楽誌などで、よくいじられていました。
実際インタビューは無気力発言のオンパレードでしたし。
この曲の歌詞は、ある女性に呼び出されて行ってみたらすっぽかされたと悟る男性の話です。
どれだけ待っても彼女は現れず、彼はこう理解します。
「そういことか。俺は家に帰るよ」。
そして彼は思います。「俺は一人ぼっちだ、何もほしくない」と。
彼の自己評価の低さ、そしてダメダメ感が伝わってくる感じがしないでしょうか。
しかしそういう人を見て、ダメなのは自分だけでないと安堵することはないでしょうか。
ちなみにこの曲の歌詞にはオチがあります。
彼は風の噂で彼女が自分のことを恋しがっていると聞いたそうです。
彼らは音楽だけで充分魅力的です。
しかし同時にダメな自分を許せて、ある種の人にとっては救われたように思える。
そんなささやかな救済にも似た副作用を与えるような気がします。
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