今回はストロークスのランキングを作成しました。
この人たちは2000年代を代表するロックバンドです。
特にファーストアルバムは、ロックンロール・リバイバルを象徴するアルバムだと言われています。
当時はロックバンドであっても、良いメロディを特徴としたバンドが人気を獲得していました。
そんな中、ストロークスを筆頭としたガレージロックの影響を感じさせるバンドが次々に出てきて、シーンを席巻していきました。
ただストロークスの魅力は、そうしたガレージロック的な魅力だけではありません。
今回は様々な角度から、このバンドの魅力に迫っていきたいと思います。
- 1 1位「One Way Trigger」(アルバム:Comedown Machine)
- 2 2位「Last Nite」(アルバム:Is This It)
- 3 3位「Hard to Explain」(アルバム:Is This It)
- 4 4位「Reptilia」(アルバム:Room on Fire)
- 5 5位「The Adults Are Talking」(アルバム:The New Abnormal)
- 6 6位「Take It or Leave It」(アルバム:Is This It)
- 7 7位「Red Light」(アルバム:First Impressions of Earth)
- 8 8位「Selfless」(アルバム:The New Abnormal)
- 9 9位「Under Cover of Darkness」(アルバム:Angles)
- 10 10位「12:51」(アルバム:Room on Fire)
- 11 11位「Razorblade」(アルバム:First Impressions of Earth)
- 12 12位「I’ll Try Anything Once」(シングル:Heart in a Cage)
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1位「One Way Trigger」(アルバム:Comedown Machine)
■曲名:One Way Trigger
■曲名邦題:ワン・ウェイ・トリガー
■アルバム名:Comedown Machine
■アルバム名邦題:カムダウン・マシン
■動画リンク:「One Way Trigger」
ストロークスはファーストアルバムが代表作と言われています。
確かにすばらしいアルバムです。
彼らはその後どんなに良いアルバムを発表しても、物足りないと言われてしまう宿命を背負ってしまいました。
しかし私の中ではこのアルバムぐらいから、ファーストアルバムの呪いを意識しなくなりました。
今回ストロークスのランキングを作成しようと思った時に、きっと「Last Nite」が1位になるのだろうと思いました。
しかしこの曲があることを忘れていました。
異論もあるでしょうが、私の中ではこの曲はファーストアルバムのどの曲をも超えています。
ただこの曲がストロークスらしいかと言ったら、一般的なストロークスらしさはありません。
しかし近作のストロークスは何でもありです。
色眼鏡を外すと、この曲はとても魅力的に響いてきます。
特に珍しいファルセットのボーカルは鳥肌ものです。
タイプは異なりますが、ザ・スミス(The Smiths)のモリッシー(Morrissey)のような、少しふっきれたボーカルがすばらしいです。
2位「Last Nite」(アルバム:Is This It)
■曲名:Last Nite
■曲名邦題:ラスト・ナイト
■アルバム名:Is This It
■アルバム名邦題:イズ・ディス・イット
■動画リンク:「Last Nite」
ストロークスはこのアルバムを発表したことで2000年代を代表するバンドになっただけでなく、ロック史上に太字で残るバンドになりました。
このアルバムが発売された時に、伝説がつくられる瞬間に立ち会っているような気がしたものです。
どの曲も捨て曲がなく、それどころか全曲が名曲です。
名曲の中で更に大名曲が紛れ込んでいるという怪物アルバムでした。
その筆頭ともいえるのがこの曲です。
改めて聞くと単純な曲です。
ただ刻むギターと、少し弾む軽快なリズムの上で、フックのあるメロディが歌われています。
こんなシンプルな曲がこのレベルに仕上がったこと自体、この時期の彼らに特別な魔法が働いていたことを示しています。
踊りやすい曲なので、当時はクラブでもよくかかっていました。
最後にギターの刻みで終わるところもかっこいいですね。
3位「Hard to Explain」(アルバム:Is This It)
■曲名:Hard to Explain
■曲名邦題:ハード・トゥ・エクスプレイン
■アルバム名:Is This It
■アルバム名邦題:イズ・ディス・イット
■動画リンク:「Hard to Explain」
まずはイントロでの音を80年代風に劣化させた処理が衝撃的でした。
ギターの刻みは、まさにこれが初期のストロークスの醍醐味だという鉄板サウンドです。
そこに血管がぶちぎれそうなボーカルが乗っかっていたのが、初期の彼らの必勝パターンです。
サビになると熱狂の渦に叩き込まれてしまいます。
このアルバムが発売された2001年は、トラヴィス(Travis)が「インヴィジブル・バンド(The Invisible Band)」を発表し、翌年はコールドプレイ(Coldplay)が「静寂の世界(A Rush of Blood to The Head)」を大ヒットさせた時代でした。
私はどちらのバンドも大好きですが、叙情的なメロディの曲が好まれる風潮があったかもしれません。
そんな中に彼らは登場しました。
たしか当時雑誌クッキーシーン(COOKIE SCENE)だったと思うのですが、付録CDにこの曲が入っていて、趣味の良い曲に混じって異物感のある存在感を放っていた記憶があります。
ロックンロール・リバイバルのシーンをつくった曲であり、アルバムだと思います。
4位「Reptilia」(アルバム:Room on Fire)
■曲名:Reptilia
■曲名邦題:レプティリア
■アルバム名:Room on Fire
■アルバム名邦題:ルーム・オン・ファイア
■動画リンク:「Reptilia」
セカンドアルバムからの選曲です。
セカンドアルバムでは、当初ナイジェル・ゴッドリッチ(Nigel Godrich)をプロデューサーに迎えて製作されましたが、意見が合いませんでした。
結局はファーストアルバムのプロデューサーを務めたゴードン・ラファエル(Gordon Raphael)に交代しました。
その結果やはりというか、ファーストアルバムと似た路線の曲が多くなっています。
最初は比較的肩の力を抜いて歌っていると思ったら、サビではジュリアンががなり立てて歌っています。
サビの爆発を堪能する曲です。
「そうそうこれでないと」とうなづく人も多いはず。
しかしのどに負担がかかりそうな歌い方ですね。
5位「The Adults Are Talking」(アルバム:The New Abnormal)
■曲名:The Adults Are Talking
■曲名邦題:ジ・アダルツ・アー・トーキング
■アルバム名:The New Abnormal
■アルバム名邦題:ザ・ニュー・アブノーマル
■動画リンク:「The Adults Are Talking」
前作から実に7年ぶりのアルバムです。
その間に聞こえてきたのは、メンバー間の不和の噂ばかりでした。
もちろんそれは噂ではなく、本当だったかもしれません。
その間ジュリアンは自分のバンド、ジュリアン・カサブランカス + ザ ヴォイズ(Julian Casablancas + The Voidz)で、アルバムを2枚リリースしました。
ザ・ヴォイズ(The Voidz)と改名したあたりで、もうストロークスは終わったかもしれないと思った人もいたはずです。
しかし無事新作が出ました。
しかも胸がすく快作です。
まあプロデュースがリック・ルービン(Rick Rubin)という時点で、悪い作品にはならないだろうと思っていましたが。
この曲の最後はこう締めくくられています。
「それでは古いキーと古いテンポ、全て元に戻りましょう。OK」
6位「Take It or Leave It」(アルバム:Is This It)
■曲名:Take It or Leave It
■曲名邦題:テイク・イット・オア・リーヴ・イット
■アルバム名:Is This It
■アルバム名邦題:イズ・ディス・イット
■動画リンク:「Take It or Leave It」
この曲は少し音が割れたような音の肌触りが最高です。
ファーストアルバムのガレージっぽさを代表する曲です。
ジュリアンは甘いルックスに似合わない、ざらついた声質の持ち主ですが、その彼のボーカルが映える曲です。
どことなくニルヴァーナ(Nirvana)の曲みたいなところがあるかもしれません。
イントロの少し脱力した展開から、2本のギターのからみが始まるところがかっこいいです。
そしてサビでは、目をひんひんむいたかのようなテンションで「取るのか取らないのか」とがなり立てて歌われています。
歌詞は女の子がらみのたわいない内容です。
しかしアルバムの最後で聞くと「俺たちの音楽がいいと思うのか思わないのかはっきりしろ」みたいな感じに聞こえてしまいます。
もちろんすばらしいに決まっていますけどね。
7位「Red Light」(アルバム:First Impressions of Earth)
■曲名:Red Light
■曲名邦題:レッド・ライト
■アルバム名:First Impressions of Earth
■アルバム名邦題:ファースト・インプレッションズ・オブ・アース
■動画リンク:「Red Light」
サードアルバムからの選曲です。
この曲はあまり触れられる機会が多くありません。
私が個人的に好きな曲なので取り上げました。私にとって不思議と気になる曲です。
これもモリッシーが歌いそうな曲かもしれません。
このアルバムは、前作である2枚目がデビューアルバムの二番煎じだという批判を受けてつくられたかもしれません。
音楽の幅を感じさせてくれます。
「アスク・ミー・エニシング(Ask Me Anything)」や「アイズ・オブ・ザ・ワールド(Ize Of The World)」のような少し異色の曲が入っています。
特に後者はアルバムを代表する曲と言っていいでしょう。
この曲については、以前の曲とガラリと変わっているわけではありませんが、ギターが少しクリアーなトーンになってきたように思います。
そうした細部から少しずつ、しかし確実に変わり始めてきていることを感じさせてくれる曲です。
8位「Selfless」(アルバム:The New Abnormal)
■曲名:Selfless
■曲名邦題:セルフレス
■アルバム名:The New Abnormal
■アルバム名邦題:ザ・ニュー・アブノーマル
■動画リンク:「Selfless」
このアルバムは原点回帰だと思った人が多いようです。
私も同感です。
「ブルックリン・ブリッジ・トゥ・コーラス(Brooklyn Bridge to Chorus)」では、ダサかっこいい1980年代テイストも健在です。
また「Bad Decisions(バッド・デシジョンズ)」は、セカンド・アルバムの頃のような明るい表情を持ったロックンロール・チューンですしね。
しかしこの曲には、初期とは違う魅力も刻まれています。
初期とは違う魅力とは、ファルセット・ボーカルとギターのクリアーなトーンです。
1:03にジュリアンのファルセットからギターがメロディを引き継ぐ箇所は、鳥肌ものではないでしょうか。
試行錯誤していた時期は、無駄になっていないようですね。
9位「Under Cover of Darkness」(アルバム:Angles)
■曲名:Under Cover of Darkness
■曲名邦題:アンダー・カヴァー・オブ・ダークネス
■アルバム名:Angles
■アルバム名邦題:アングルズ
■動画リンク:「Under Cover of Darkness」
このアルバムは出た当時、不満の声が聞かれたアルバムです。
前作と5年も間隔が開いていますし、待ちくたびれた頃にようやく届いたということで、期待したファンも多かったはずです。
全体にポップな曲が増えて、鋭さが消えた感じがします。
ギターの音は「Red Light」あたりで兆候をみせていたように、ガレージっぽさを脱却しようという流れが、ついにはここまできたかという感じがします。
基本的に彼らのファンは、ファーストの頃のような少しざらついた激しい音が好きなのだと思います。
だからみんな不満の声を上げたのでしょう。
ただ逆転の発想で、以前のような激しさを求めなければ、良曲が多いアルバムだと思います。
たとえばこの曲なんてどうでしょう。
不満な方の気持ちも分かりますが、たまに聞き返すと悪くないと感じるアルバムです。
10位「12:51」(アルバム:Room on Fire)
■曲名:12:51
■曲名邦題:12:51
■アルバム名:Room on Fire
■アルバム名邦題:ルーム・オン・ファイア
■動画リンク:「12:51」
セカンドアルバムは、先ほど申し上げたように前作の続編みたいだと言われています。
発表当時私は、確かに前作と路線は似ているけれど、少しポップ寄りになったかなと思いました。
たとえばこの曲です。
次作ではいくぶんポップ路線から離れたものの、その後また大きくポップ路線に揺り戻したことを考えると、ファンが思う以上にこのバンドの体質はポップ寄りなのかもしれません。
この曲もエイティーズ、たとえばカーズみたいなところがある曲です。
途中に入るハンドクラッピングも、キャッチーでいいですね。
とても楽曲の魅力がある曲だと思います。
しかし一方で、もっとガリガリゴリゴリしたガレージサウンドでやってほしかったような気もしますけどね。
11位「Razorblade」(アルバム:First Impressions of Earth)
■曲名:Razorblade
■曲名邦題:レーザーブレード
■アルバム名:First Impressions of Earth
■アルバム名邦題:ファースト・インプレッションズ・オブ・アース
■動画リンク:「Razorblade」
サードアルバムは彼らのアルバム中でも、根強い支持があります。
確かにマンネリを打破したアルバムだと思います。
このアルバムでは、音楽の幅を広げることがテーマであったことは疑いようがありません。
大黒柱ジュリアンの主導体制から、バンド全体で様々な魅力が引き出されたようなアルバムだと思います。
作曲にも他のメンバーが参加し始めましたし、演奏面でもより多彩になりました。
以前はジュリアンが全ての曲をつくり、その曲に合わせて、比較的型にはまったサウンドが多かったように思います。
それは悪いことでなく、むしろ良かった面もありますが。
しかし他のバンドのメンバーは、必ずしも同じ志向ではなかったはずです。
12位「I’ll Try Anything Once」(シングル:Heart in a Cage)
■曲名:I’ll Try Anything Once
■収録シングル名:Heart in a Cage
■収録シングル名邦題:ハート・イン・ア・ケイジ
■動画リンク:「I’ll Try Anything Once」
最後に隠れた名曲をご紹介します。
熱心なファンならばご存知だと思いますが、この曲はソフィア・コッポラ監督の映画「Somewhere」で使われた曲です。
オリジナルアルバムには収録されていませんが、シングル「Heart in a Cage」にも収録されています。
「First Impressions of Earth」に入っていた「ユー・オンリー・リヴ・ワンス(You Only Live Once)」のDEMOバージョンがこの曲です。
曲名が違うことから分かるように、曲調はかなり異なっていて、こちらはスローナンバーです。
「You Only Live Once」もかなり良い曲だと思いますが、私はこちらのDEMOバージョンに軍配を上げます。
ストロークスの中では「トライング・ユア・ラック(Trying Your Luck)」と並ぶ良質な叙情性が感じられる曲です。
まあストロークスというよりは、ジュリアンの曲という感じもしますが。
改めてジュリアンのボーカリストとしての色気を感じさせてくれる名曲だと思います。
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