今回はナイン・インチ・ネイルズのランキングを作成しました。
彼らは現在2人組です。
トレント・レズナー(Trent Reznor)
アッティカス・ロス(Atticus Ross)
しかし今回ご紹介する曲の多くは、トレント・レズナー1人時代の曲が多く、実質彼のソロ・ユニットと考えてもいいでしょう。
彼らの音楽は、好き嫌いが分かれるかもしれません。
しかし一度魅力が分かるようになると、良し悪しを超えてどうしても必要な音楽になります。
強烈な印象を与える曲が多いですが、表面的な刺激以上に深みが感じられる曲ばかりです。
- 1 1位「Starfuckers, Inc.」(アルバム:The Fragile)
- 2 2位「Mr. Self Destruct」(アルバム:The Downward Spiral)
- 3 3位「We’re In This Together」(アルバム:The Fragile)
- 4 4位「Wish」(EP:Broken)
- 5 5位「Something I Can Never Have」(アルバム:Still)
- 6 6位「March of the Pigs」(アルバム:The Downward Spiral)
- 7 7位「Head Like a Hole」(アルバム:Pretty Hate Machine)
- 8 8位「Only」(アルバム:With Teeth)
- 9 9位「Copy of a」(アルバム:Hesitation Marks)
- 10 10位「Hurt」(アルバム:The Downward Spiral)
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1位「Starfuckers, Inc.」(アルバム:The Fragile)
■曲名:Starfuckers, Inc.
■曲名邦題:スターファッカーズ、INC.
■アルバム名:The Fragile
■アルバム名邦題:ザ・フラジャイル
■動画リンク:「Starfuckers, Inc.」
私はずっと「Starfucker」という曲名だと思っていました。
改めて曲名を見たら「Starfuckers, Inc.」なのですね。
訳すと「人気者クソ野郎株式会社」みたいな意味でしょうか。
何のことだろうと思い歌詞を読んでみたところ、誰かをバカにしているようです。
一説によるとコートニー・ラブ(Courtney Love)とマリリン・マンソン(Marilyn Manson)のことだとか。
あくまで噂だしなと思いながらPVを見ると、リムジンに乗っているトレント・レズナーは、マリリン・マンソンみたいなメイクをしています。
それとマリリン・マンソンのCDをゴミ箱に捨てているシーンもありますね。
噂は本当かもと思ってウィキペディアを見ると、こう記載されていました。
マリリン・マンソンは『ザ・フラジャイル』がリリースされた際に批判的なコメントを出しており、トレント・レズナーとマリリン・マンソンの不仲は続いているものと思われていた。
しかし“スターファッカーズ・インク”のビデオ・クリップにマリリン・マンソンが出演したことで和解が表明された。
本当にこのPVで仲直りしたのか、私にはよく分かりません。
まあそんな余計なことを考えず、この曲を堪能すべきかもしれませんが。
2位「Mr. Self Destruct」(アルバム:The Downward Spiral)
■曲名:Mr. Self Destruct
■曲名邦題:ミスター セルフ ディストラクト
■アルバム名:The Downward Spiral
■アルバム名邦題:ザ・ダウンワード・スパイラル
■動画リンク:「Mr. Self Destruct」
眠気を吹き飛ばしたい時は、この曲をおすすめいたします。
この曲はインダストリアル・ロックの最高峰の1曲ではないでしょうか。
ただ負の感情が充満している感じがありますね。
アルバム・タイトルの「The Downward Spiral」とは「下方向スパイラル」という意味です。
どこまでも落ちていくようなイメージかもしれません。
そして冒頭の曲名は「Mr. Self Destruct」ですから「ミスター・自己破壊」。
このアルバムはコンセプト・アルバムです。
主人公は誰かに頭の中を支配されて、破滅的な生き方をするようささやかれています。
ちなみにこのアルバムの製作時期、メンバーのジェフ・ワード(Jeff Ward)が自殺していますし、トレント・レズナー自身も病んでいました。
ある種のドキュメンタリーみたいな作品かもしれません。
さて余談ですがこの曲名は、ソフト・セル(Soft Cell)の同名曲を参考にしたそうです。
参考にまで、そちらのリンクも貼っておきましょう。
3位「We’re In This Together」(アルバム:The Fragile)
■曲名:We’re In This Together
■曲名邦題:ウィ・アー・イン・ディス・トゥゲザー
■アルバム名:The Fragile
■アルバム名邦題:ザ・フラジャイル
■動画リンク:「We’re In This Together」
このアルバムは、前作から5年後にリリースされました。
その間トレント・レズナーは映画「ナチュラル・ボーン・キラーズ(Natural Born Killers)」、「ロスト・ハイウェイ(Lost Highway)」のサントラをプロデュースし、後者には「パーフェクト・ドラッグ(The Perfect Drug)」という楽曲を提供しました。
このアルバムは、二枚組としてリリースされました。
しかし楽曲はどれも練り込まれたものばかりで、100分超という長さでも退屈しません。
聞いていると自分の内圧が高まってくる曲が多く、長いのに密度が濃いという、リスナーの負担が大きいアルバムに仕上がっています(笑)
緊張感をほぐす目的か、ピアノのインストをうまく活用しているのも、このアルバムの特徴です。
1曲リンクを貼っておきましょう。
まるでエリック・サティか坂本龍一を思わせる曲ではないでしょうか。
確かにこの人の曲は、ノイズ・インダストリアルやダークなニューウェーヴ系サウンドが多いかもしれません。
しかしその根本には、独特の美意識があるように思います。
私はこの曲のダークな音像にも美しさを感じます。
4位「Wish」(EP:Broken)
■曲名:Wish
■曲名邦題:ウイッシュ
■EP名:Broken
■EP名邦題:ブロークン
■動画リンク:「Wish」
この曲は、8曲入りのEPから選曲しました。
収録時間も30分を超えていますし、他のアルバムとも曲が被っていませんから、ほぼオリジナル・アルバムと考えてもいいでしょう。
時期的には、1枚目と2枚目の間に発売されています。
このアルバムは、彼らのアルバムで最もメタル色が強いかもしれません。
このEPが発売された1992年は、メタルに変革の動きがあった年です。
あのパンテラ(Pantera)の「俗悪(Vulgar Display of Power)」がシーンに衝撃を与えた年ですから。
その頃からメタル、パンク、アメリカン・オルタナティヴ、ラウド・ロックなどが、混然一体となったメタルが増えてきました。
ただナイン・インチ・ネイルズは、その後また違う方向へと向いましたが。
さてどうでもいいことですが、私はトレントの声がレニー・クラヴィッツ(Lenny Kravitz)と似ていると思う時があります。
私はこの曲を聞くといつもレニーを思い出してしまいます。
5位「Something I Can Never Have」(アルバム:Still)
■曲名:Something I Can Never Have
■曲名邦題:サムシング・アイ・キャン・ネヴァー・ハヴ
■アルバム名:Still
■アルバム名邦題:スティル
■動画リンク:「Something I Can Never Have」
激しい曲が続きましたから、静かな曲もご紹介しておきましょう。
まずこのアルバムをご存知ない方も多いかもしれません。
元々は「And All That Could Have Been」の初回限定盤に付属していたボーナスCDで、後に単独アルバムとして発売されています。
しかしこのCDはあなどれません。
彼らの耽美的な側面を知るには、これ以上に最適なアルバムは他にありませんから。
既発表曲を静かめにセルフ・カバーしている曲も収録されています。
コクトー・ツインズ(Cocteau Twins)などが在籍していた4ADあたりの音がお好きな方に、おすすめいたします。
6位「March of the Pigs」(アルバム:The Downward Spiral)
■曲名:March of the Pigs
■曲名邦題:マーチ・オブ・ザ・ピッグス
■アルバム名:The Downward Spiral
■アルバム名邦題:ザ・ダウンワード・スパイラル
■動画リンク:「March of the Pigs」
私はこのアルバムがアメリカで売れたと知った時、とても驚きました。
はっきり言って万人向けの音楽ではないと思いましたから。
それにもかかわらずこのアルバムは、アルバムチャートで全米2位を獲得しています。
アメリカのリスナーは耳が肥えているのかもしれませんが、それ以上にアメリカ人のメンタルは大丈夫なのかと心配になっていました。
ただこういうことは、時々あります。
ちなみにこのアルバムは、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)の「ロウ(Low)」やピンク・フロイド(Pink Floyd)の「ザ・ウォール(The Wall)」に影響を受けているそうです。
上記どちらの作品も極めてダウナーで一般向けとはいえませんが、大ヒットしています。
多少ベクトルが合わなくても、音楽の力で境界線を飛び越えたのかもしれません。
トレント・レズナーもこの作品で、同じ壁を乗り越えたのではないでしょうか。
7位「Head Like a Hole」(アルバム:Pretty Hate Machine)
■曲名:Head Like a Hole
■曲名邦題:ヘッド・ライク・ア・ホール
■アルバム名:Pretty Hate Machine
■アルバム名邦題:プリティ・ヘイト・マシーン
■動画リンク:「Head Like a Hole」
デビュー・アルバムからの選曲です。
実はトレント・レズナーには初期の録音があって、後年「Purest Feeling」という海賊版として出回りました。
アルバム・タイトル曲だけ、リンクを貼っておきましょう。
Nine Inch Nails – Purest Feeling
デビュー・アルバムと収録曲がかなり重複していますが、サウンド的にはかなり異なっています。
私は上の曲を聞いて、チープなサウンドに肩すかしをくらいました。
正直デビュー・アルバムの曲に比べると、かなり出来が落ちるのではないかと。
彼らは1989年にデビューしていますから、おそらく1988年あたりの録音だと思われます。
しかし1年ほどでこのデビュー・アルバムの水準まで持ってくるとは、逆に著しい進歩といえるかもしれません。
さて「Head Like a Hole」は初期を代表する曲で、まだ後のような漆黒の深みはありませんが、爽快感のある曲だと思います。
8位「Only」(アルバム:With Teeth)
■曲名:Only
■曲名邦題:オンリー
■アルバム名:With Teeth
■アルバム名邦題:ウィズ・ティース
■動画リンク:「Only」
このアルバムから彼の音楽は大きく変わりました。
以前のようなヘヴィーで激しい音づくりが抑え気味になり、軽くてポップな曲が増えてきました。
この曲は新しい作風を代表する曲です。
もう1曲同系統の曲のリンクを貼っておきましょう。
Nine Inch Nails – The Hand That Feeds
この時前作から既に6年経過していましたが、その間トレント・レズナーは、アルコールと薬物の依存症を克服しようとしていました。
彼は治療が終わってから、前作のプロデューサーであるアラン・モルダー(Alan Moulder)と一緒に、このアルバムを製作しました。
困難を克服した後のせいか、内面にも変化が表れているかもしれません。
いくぶん表情が明るい感じがします。
たとえばこの曲の歌詞は、以下のような内容です。
私は自分を傷つけるためにあなたをつくり、それはうまくいった。
しかしもう自分を罵る必要はない、と。
確かに音楽面での鋭さは失われたかもしれませんが、それでも充分聞く価値のある作品に仕上がっています。
9位「Copy of a」(アルバム:Hesitation Marks)
■曲名:Copy of a
■曲名邦題:コピー・オブ・ア
■アルバム名:Hesitation Marks
■アルバム名邦題:ヘジテイション・マークス
■動画リンク:「Copy of a」
今回は初期の曲に偏ってしまったかもしれません。
彼は「The Fragile」以降も「イヤー・ゼロ〜零原点…(Year Zero)」などの充実作をリリースしています。
次第にポップな曲が多くなりましたが、その路線でもすばらしい曲が多く、人によっては今の方がいいと考える人がいてもおかしくありません。
私は「With Teeth」以降では、2013年のこのアルバムが最も気に入っています。
昔の激しくヘヴィーな作風とは異なりますが、質の高い楽曲がそろっていて、より音楽的に成熟しているように感じます。
何よりも彼の本質である透徹した美意識も健在ですし。
この曲はエレポップっぽい曲で、キュアー(The Cure)やデペッシュ・モード(Depeche Mode)あたりがお好きな方におすすめかもしれません。
またこの頃彼は、数多くの映画音楽を手がけていました。
有名なのは「ソーシャル・ネットワーク」ですが、このアルバムと同年「ドラゴン・タトゥーの女」で、グラミー賞を受賞しています。
彼はまだまだこれからの人のようです。
10位「Hurt」(アルバム:The Downward Spiral)
■曲名:Hurt
■曲名邦題:ハート
■アルバム名:The Downward Spiral
■アルバム名邦題:ザ・ダウンワード・スパイラル
■動画リンク:「Hurt」
やはりラストはこの曲しかありません。
先程ご紹介したこのアルバムの1曲目「Mr. Self Destruct」は曲名通り、自分への破壊衝動がテーマの曲です。
その後彼の怒りや悲しみは、外の世界と自己の内面との間で乱反射し、最後にラスト・ナンバーであるこの曲にたどり着きました。
この曲は「今日、自分を傷つけた」という歌詞で始まっています。
「まだ感覚があるのか確かめるために」と。
彼は自傷行為によって、まだ痛みがリアルであることを確認しています。
この曲の主人公はかろうじて踏みとどまっていますが、人々は次々に彼の元から立ち去っています。
そしてまだ残っている友に対して、彼はこう言い放っています。
「俺は君を傷つけるだろう」と。
この曲は、以下のような歌詞で終わっています。
もしもう一度やり直せるなら
100万マイル離れていたとしても
自分を維持し
道を探すことだろう
現在トレント・レズナーは存在の危機を脱して、多方面に活躍の場を広げています。
このアルバムに出会った時は、彼がそういうハッピーエンドを迎えることを想像だにできませんでした。
今辛い思いをしている人がいたら、この曲を聞いてしのいでいただければと思います。
アルバム・タイトル「The Downward Spiral」ように、どこまでも落ちていくように感じたとしても、今が一番底かもしれませんから。
今のどん底を起点に、これから人生が上向く可能性は誰にも否定できません。
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