今回はライアン・アダムスのランキングを作成しました。
この人のソングライティング能力は半端ありません。
元々彼はウィスキータウン(Whiskeytown)というオルタナ・カントリーのバンドに在籍していました。
しかしソロになってからは、更に曲づくりの才能が磨かれたように思います。
- 1 1位「The Rescue Blues」(アルバム:Gold)
- 2 2位「Let It Ride」(アルバム:Cold Roses)
- 3 3位「Come Pick Me Up」(アルバム:Heartbreaker)
- 4 4位「New York, New York」(アルバム:Gold)
- 5 5位「Two Hearts」(アルバム:Easy Tiger)
- 6 6位「Nuclear」(アルバム:Demolition)
- 7 7位「Chains of Love」(アルバム:Ashes & Fire)
- 8 8位「This Is It」(アルバム:Rock N Roll)
- 9 9位「Trouble」(アルバム:Ryan Adams)
- 10 10位「Wonderwall」(アルバム:Love Is Hell)
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1位「The Rescue Blues」(アルバム:Gold)
■曲名:The Rescue Blues
■曲名邦題:レスキュー・ブルース
■アルバム名:Gold
■アルバム名邦題:ゴールド
■動画リンク:「The Rescue Blues」
彼のソロ・キャリアの成功は、このアルバムから始まったといってもいいでしょう。
なにせ名曲ぞろいです。
後で取り上げた「New York, New York」以外にも「サムハウ、サムデイ(Somehow, Someday)」「ホエン・ザ・スターズ・ゴー・ブルー(When the Stars Go Blue)」など、どれを取り上げるかかなり迷いました。
悩んだ末、私はこの曲を1位にしました。
この曲はまるでゴスペル・ミュージックみたいではないでしょうか。
実際歌詞も「救済」がテーマです。
人々は救いを求めているけれど、僕に救済のブルースを歌うよう言うのはやめてくれという内容です。
基本的にこの人は、人々の思いを背負おうするタイプの人ではありません。
あくまで個人の心情を歌に込めるタイプの人だと思います。
2位「Let It Ride」(アルバム:Cold Roses)
■曲名:Let It Ride
■曲名邦題:レット・イット・ライド
■アルバム名:Cold Roses
■アルバム名邦題:コールド・ローゼズ
■動画リンク:「Let It Ride」
彼は多作なことで知られています。
このアルバムがリリースされた2005年には「29」「ジャクソンビル・シティ・ナイツ(Jacksonville City Nights)」そしてこのアルバムと、3枚ものアルバムをリリースしました。
しかもこの「Cold Roses」にいたっては、2枚組です。
どうやらいくらでも曲を書けるタイプのようですね。
ただ注目すべきは量ではなく、量産しても質を伴っていること。
現にこのアルバムは、彼の最高傑作と呼ばれています。
この人の曲の魅力は、独特の情感を含んだメロディです。
多くのアルバム収録曲はスローですが、今回は軽快なシングル曲を選んでみました。
この曲は「ラッキー・ユー(Lucky You)」という映画で使用されました。
3位「Come Pick Me Up」(アルバム:Heartbreaker)
■曲名:Come Pick Me Up
■曲名邦題:カム・ピック・ミー・アップ
■アルバム名:Heartbreaker
■アルバム名邦題:ハートブレイカー
■動画リンク:「Come Pick Me Up」
この人は元々ウィスキータウンというバンドに在籍していました。
オルタナ・カントリーを代表するバンドとして知られていますが、いずれそちらでも記事を書きたいと思っています。
このアルバムはウィスキータウン(Whiskeytown)の最終作「ニューモニア(Pneumonia)」と共通点が多いです。
当時いかに彼がバンドにとって重要な存在だったかうかがえますね。
ウィスキータウンは、グラム・パーソンズ(Gram Parsons)から強く影響を受けていました。
ライアンの好みを強く反映していたせいかもしれません。
例えばソロになってからの「Cold Roses」のジャケット一つとっても、グラム・パーソンズからの影響が伺えますから。
グラム・パーソンズは、エミルー・ハリス(Emmylou Harris)とデュエットで、数多くのすばらしい曲を残しています。
このアルバムでは、あこがれのエミルーと「オー・マイ・スウィート・キャロライナ(Oh My Sweet Carolina)」という曲でのデュエットしています。
そちらもリンクを貼っておきましょう。
Ryan Adams – Oh My Sweet Carolina
今回ご紹介した「Come Pick Me Up」の方でも、サビでキム・リッチー(Kim Richey)のコーラスが入っています。
女性シンガーとのデュエット路線は2枚目以降少なくなりましたが、個人的には少し残念に思います。
4位「New York, New York」(アルバム:Gold)
■曲名:New York, New York
■曲名邦題:ニューヨーク・ニューヨーク
■アルバム名:Gold
■アルバム名邦題:ゴールド
■動画リンク:「New York, New York」
初期の代表曲です。
この曲はPVが大きな話題を集めました。
ただ動画はニューヨークの街並みを背景に、ライアンがギターを弾いて歌っているだけというもの。
動画の冒頭に「この動画は2001年9月7日に撮影された」という文字がなければ気付かないでしょう。
実はこの4日後、アルカイダによる同時多発テロで、ワールドトレードセンターに飛行機が激突するという大事件がありました。
9.11と呼ばれている事件です。
以下の写真で炎上しているのが、双子のワールドトレードセンターです。
この曲のPVでライアンは、ワールドトレードセンターをバックに歌っています。
この曲の主人公は夢を抱いてニューヨークに来たけれど、成功できずニューヨークを去ることを決心した男です。
主人公はニューヨークには良い思い出がなく、地獄だとさえ呼んでいます。
しかしそれでもなぜかニューヨークを愛していると。
事件による話題性と涙腺を刺激する歌詞で、一躍この曲は大きな注目を浴びました。
アメリカ人にとって、事件を象徴するメモリアルな曲です。
5位「Two Hearts」(アルバム:Easy Tiger)
■曲名:Two Hearts
■曲名邦題:トゥー・ハーツ
■アルバム名:Easy Tiger
■アルバム名邦題:イージー・タイガー
■動画リンク:「Two Hearts」
彼は「Gold」以来、ある程度のセールスが得られるようになりました。
しかしトップテン入りするようになったのは、このアルバムからです。
以前の彼の音楽は上質ではありましたが、音楽の振れ幅が大きかったり地味すぎて、ビック・セールスを狙える感じがしませんでした。
さて彼は2004年から「カーディナルズ(The Cardinals)」というバンドを率いています。
ライアンと彼らの関係は、ニール・ヤング(Neil Young)とクレイジー・ホース(Crazy Horse)にも似た相性の良さを感じます。
カーディナルズは特にフォーキーな曲で良いサポートをしている曲が多いですが、こういうロックっぽい曲でも情感あふれる演奏を提供しています。
ちなみにカーディナルズには、ニール・カサール(Neal Casal)という、今は亡きすばらしいシンガーソングライターも在籍していました。
もしライアンが気に入ったら、ぜひニール・カサールのソロ・アルバムもチェックしてみてください。
そういえば昔友人に、大のニール・カサール狂の男がいました。
彼は今何をしているのか、久々に連絡を取ってみたくなりました。
6位「Nuclear」(アルバム:Demolition)
■曲名:Nuclear
■曲名邦題:ニュークリア
■アルバム名:Demolition
■アルバム名邦題:デモリション
■動画リンク:「Nuclear」
「ポール・ウェスターバーグ(Paul Westerberg)みたいだった頃」とでも呼びたくなる初期の曲です。
ただ少しオルタナ・ロック色も感じられますね。
このアルバムは、寄せ集めの曲でつくられた作品です。
彼はこの頃「The Suicide Handbook」というアルバムを完成させていました。
しかし所属レーベルのロスト・ハイウェイ(Lost Highway Records)から「悲しすぎる」という理由でリリースを拒否されています。
更に同年彼は「48 Hours」「The Pinkhearts」「The Swedish Sessions」という4枚のアルバムをつくり上げましたが、このアルバムはそれら4枚のアルバムからの曲がかき集められました。
ただ彼にとってそれはとても辛い決断だったようです。
このアルバムが出来たことより、元のアルバムが「解体」されたと考えているようです。
そういえばアルバム名「Demolition」の意味は「解体」という意味ですし。
7位「Chains of Love」(アルバム:Ashes & Fire)
■曲名:Chains of Love
■曲名邦題:チェインズ・オブ・ラヴ
■アルバム名:Ashes & Fire
■アルバム名邦題:アッシズ&ファイア
■動画リンク:「Chains of Love」
彼は2009年カーディナルズとの関係を解消しました。
理由としてはメニエール病による難聴、音楽業界やメディアに失望したことなどが挙げられています。
カーディナルズとはその後何度も共演しているので、ケンカ別れではなさそうですが。
このアルバムで彼はフォーク路線に回帰しています。
彼の紡ぎ出すメロディを好む人にとっては、とても満足できるアルバムでしょう。
実際名曲ぞろいで、比較的地味な内容ですがアルバムチャートで7位を記録しています。
今回はその中でも、フォーク・ロックっぽい曲を取り上げてみました。
彼はこの作品前に詩集を2冊発表したり、マンディ・ムーアと結婚したりなどで、人生を謳歌していたようです。
その充実ぶりが、この曲にも表れているような気がしますね。
ちなみにプロデューサーは、オールドロック・ファンにおなじみのグリン・ジョーンズ(Glyn Johns)。
グリンはライアンの初期作品をプロデュースを担当した、イーサン・ジョンズ(Ethan Johns)の父親です。
親子で同じアーティストをプロデュースするというのは、かなり珍しいかもしれません。
8位「This Is It」(アルバム:Rock N Roll)
■曲名:This Is It
■曲名邦題:ディス・イズ・イット
■アルバム名:Rock N Roll
■アルバム名邦題:ロックンロール
■動画リンク:「This Is It」
この人の魅力は、フォーキーな曲での美しく味わい深いメロディです。
ただ今回私はこの人の魅力を訴える上で、即効性のある曲をご紹介したいと思いました。
そのためロック色の強い曲を多めにしています。
1曲ロックンロールっぽい曲を選んでみました。
同系統の曲を、あと2曲ご紹介しておきましょう。
Ryan Adams – Gimme A Sign
Ryan Adams & The Cardinals – Magick
確かにこうしたロックンロール・ナンバーは、彼の中では傍流かもしれません。
ただこういう曲でも彼の魅力はそのままです。
9位「Trouble」(アルバム:Ryan Adams)
■曲名:Trouble
■曲名邦題:トラブル
■アルバム名:Ryan Adams
■アルバム名邦題:ライアン・アダムス
■動画リンク:「Trouble」
この人は気難しい性格だと言われています。
扱いにくさでは、オアシス(Oasis)のギャラガー兄弟をしのぐといわれるほど。
確かにこの人の行動は気まぐれで、行き当たりばったりなところが目立つかもしれません。
おそらく衝動的に行動するタイプではないかと思われます。
加えて、多動性も併せ持っている感じでしょうか。
近年の彼は、元妻マンディ・ムーア(Mandy Moore)を含む数人の女性から訴えられています。
性的関係を強要したり、精神的な虐待を行っていたようです。
これらの女性問題は、MeToo運動の流れから次々に表面化していきました。
さてこの曲のタイトルは「Trouble」です。
歌詞でも「私たちは死んでいなくなってしまった方がいいかもしれない」と歌われています。
あまりの精神状態がよろしくない感じがしますね。
アルバム・ジャケットも、なにやら鬼気迫る感じですし。
彼のやったことは残念ですが、この作品は全米第4位を記録し、彼のアルバムとしては最高位を記録しています。
10位「Wonderwall」(アルバム:Love Is Hell)
■曲名:Wonderwall
■曲名邦題:ワンダーウォール
■アルバム名:Love Is Hell
■アルバム名邦題:ラヴ・イズ・ヘル
■動画リンク:「Wonderwall」
ご存知オアシスの名曲のカバーです。
このカバーは、本家ノエル・ギャラガー(Noel Gallagher)からも絶賛されています。
ライアン・アダムスによる“Wonderwall”のカヴァーについては次のように語っている。
「ブルースや哀愁をあの曲に持ち込んだよな。あの曲を書いた時は、すごく速くレコーディングしたんだ。
その数年後に彼がライヴでカヴァーしててさ、誰かが会場で『あの曲をやってるぞ』って俺を呼んだんだ。
彼はそこにブルースと物悲しさを持ち込んでいて、それを聴いて、ブッ飛ばされたよ。マジでね。彼は自分のものにしたんだ
ノエルの言う通り、ライアンはこの曲の持つポテンシャルを見事引き出しました。
ライアンは湿り気を帯びた歌唱で、この曲の哀感を見事表現しています。
原曲にも比肩する傑作といえる出来ではないでしょうか。
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