エリオット・スミスはアメリカのシンガーソングライターです。
元々はヒートマイザー(Heatmiser)というバンドの一員でしたが、その後1994年にソロデビューしています。
1997年に彼の曲は映画音楽に使われたことで、一躍注目を浴びました。
しかし彼の音楽はあまりにも内向的でパーソナルな色彩が強いため、セールスの観点では判断できないものがあります。
彼の音楽は一度その魅力を知ると、もう手放せなくなるようなところがあります。
この人はよくニック・ドレイクと比較されますが、ニック・ドレイクの音楽と同様に、これからもずっと聞き継がれていく音楽だと思います。
1人でいて揺れ動く感情の処理ができない時に、そばにいて寄り添ってくれる音楽かもしれません。
- 1 1位「Say Yes」(アルバム:Either/Or)
- 2 2位「Somebody That I Used to Know」(アルバム:Figure 8)
- 3 3位「No Name #3」(アルバム:Roman Candle)
- 4 4位「Baby Britain」(アルバム:XO)
- 5 5位「In the Lost and Found (Honky Bach)/The Roost」(アルバム:Figure 8)
- 6 6位「Coming Up Roses」(アルバム:Elliott Smith)
- 7 7位「Waltz #2 (XO)」(アルバム:XO)
- 8 8位「I Figured You Out」(アルバム:Either/Or: Expanded Edition)
- 9 9位「Everything Means Nothing to Me」(アルバム:Figure 8)
- 10 10位「Miss Misery」(アルバム:Good Will Hunting)
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1位「Say Yes」(アルバム:Either/Or)
■曲名:Say Yes
■曲名邦題:セイ・イエス
■アルバム名:Either/Or
■アルバム名邦題:イーザー/オア
■動画リンク:「Say Yes」
この曲は映画「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(Good Will Hunting)」で使われたことで知られています。
映画のサントラと「イーザー/オア(Either/Or)」とは4曲が重複していますが、その中の1曲です。
この曲は心に傷を抱えた主人公が、初めて女性とデートするシーンで流れる曲です。
歌詞の内容は「自分が必要とされているかどうか、全ては彼女が決める。イエスと言って」というような内容です。
この映画ですばらしい演技を見せたマット・デイモン(Matt Damon)と、エリオット・スミスの心情が見事にシンクロした瞬間の結晶の曲です。
2位「Somebody That I Used to Know」(アルバム:Figure 8)
■曲名:Somebody That I Used to Know
■曲名邦題:サムバディ・ザット・アイ・ユーズド・トゥ・ノウ
■アルバム名:Figure 8
■アルバム名邦題:フィギュア8
■動画リンク:「Somebody That I Used to Know」
この曲が2位とは意外かもしれません。
あまり触れられる曲ではありませんが、私は昔からずっとこの曲がすばらしいと周囲に主張してきました。
おそらく彼の曲で私が一番聞いた回数が多いはずです。
正直なところエリオット・スミスのアルバムは通して聞くと、その繊細さゆえに辛くなることがあります。
しかし時にはこの曲のような軽快な曲もあります。
イントロのギターはまるでサイモン&ガーファンクルみたいです。
歌い出しの声色も、心なしか少し明るい色合いが感じられます。
3位「No Name #3」(アルバム:Roman Candle)
■曲名:No Name #3
■アルバム名:Roman Candle
■アルバム名邦題:ローマン・キャンドル
■動画リンク:「No Name #3」
この人のアルバムをデビューから順番に聞いていくと、次第にアレンジがバンドサウンドっぽくなっていくのに気がつきます。
私は曲は後期の方が好きですが、サウンド自体は初期の簡素な方が好みです。
特にファーストアルバムあたりでは、ギターの弦の上を左指が滑る生々しい音が、とても心地よいです。
また初期はメロディが断片的というか、後年ほどしっかりと曲がつくりこまれていません。
その種の曲でこの曲は筆頭といえる存在です。
初期ならではのラフな魅力が感じられる曲です。
4位「Baby Britain」(アルバム:XO)
■曲名:Baby Britain
■曲名邦題:ベイビー・ブリテン
■アルバム名:XO
■アルバム名邦題:エックス・オー
■動画リンク:「Baby Britain」
まるでポール・マッカートニー(Paul Mccartney)の曲みたいなピアノから始まります。
この曲は彼らしくない曲かもしれません。
私がエリオット・スミスのポップな側面が好きであることがまる分かりです。
しかしすばらしい曲だと思わないでしょうか。
他の曲では陰鬱で焦燥感が感じられる曲が多いかもしれません。私はそういう曲も大好きです。
この曲はそういう曲の合間でこそ輝く曲かもしれません。
5位「In the Lost and Found (Honky Bach)/The Roost」(アルバム:Figure 8)
■曲名:In the Lost and Found (Honky Bach)/The Roost
■曲名邦題:イン・ザ・ロスト・アンド・ファウンド(ホンキー・バッハ)/ザ・ルースト
■アルバム名:Figure 8
■アルバム名邦題:フィギュア8
■動画リンク:「In the Lost and Found (Honky Bach)/The Roost」
これも軽快でかわいらしい曲です。
エリオット・スミスはポップになると、どことなくビートルズ(The Beatles)っぽい面が現れるように思います。
この曲なんかも、ビートルズのホワイトアルバム(The Beatles)あたりに収録されていてもおかしくありません。
しかしこの曲はピアノがすばらしいですね。
軽妙にご機嫌よく跳ねまわるピアノはスミス本人の演奏です。
6位「Coming Up Roses」(アルバム:Elliott Smith)
■曲名:Coming Up Roses
■曲名邦題:カミング・アップ・ローゼズ
■アルバム名:Elliott Smith
■アルバム名邦題:エリオット・スミス
■動画リンク:「Coming Up Roses」
初期の彼を聞く楽しみは、ダイヤの原石といった感じのメロディの断片から、一瞬のきらめきを見つけることです。
しかしその時期はそれほど長くありません。
彼は急速にソングライティング能力を高めていきます。私はこの曲あたりが転換点のように感じます。
この曲では、この頃にしてはまとまりが良い曲に仕上がっています。
「カミング・アップ・ローゼズ(Coming Up Roses)」という名前は、オウズリー(Owsley)ことWill Owsley(ウィル・オウズリー)のアルバム名で知っている人も多いかもしれません。
「Coming Up Roses」とは日本語の「バラ色の未来」に似たニューアンスの言葉で、「うまくいく」とか「成功する」という意味の言葉です。
しかしオウズリーは自殺し、エリオット・スミスも自殺という説が濃厚です。
「Coming Up Roses」という言葉には、未来が明るくあってほしいという切実な願いが込められているのかもしれません。
7位「Waltz #2 (XO)」(アルバム:XO)
■曲名:Waltz #2 (XO)
■曲名邦題:ワルツ#2(XO)
■アルバム名:XO
■アルバム名邦題:エックス・オー
■動画リンク:「Waltz #2 (XO)」
サードアルバムのタイトル曲です。
この曲はこの人のロマンティックな側面が出ている曲です。
前のアルバムの「Coming Up Roses」ぐらいからしっかりした曲をつくるようになってきていましたが、その成果がこの曲にも表れています。
私はこの「XO」というアルバムが最高傑作だと思っています。
まず曲の出来がいいですし、次作ではややアレンジが過剰になりますが、このアルバムではいい塩梅です。
以前よりバンドっぽいサウンドになっていますが、まだ彼個人とバンドのバランスが良かったと思います。
8位「I Figured You Out」(アルバム:Either/Or: Expanded Edition)
■曲名:I Figured You Out
■アルバム名:Either/Or: Expanded Edition)
■アルバム名邦題:イーザー/オア エクスパンデッド・エディション
■動画リンク:「I Figured You Out」
今回ご紹介した中では隠れた名曲と言えるかもしれません。
オリジナルアルバムに入っていません。
知る人ぞ知る曲なので、熱心なファンの方ならご存知の曲でしょう。
元々メアリー・ルー・ロード(Mary Lou Lord)に提供した曲で、エリオット・スミスのプロデュースで「Martian Saints」に収録されています。
1995年にスミス自身でレコーディングをしたのがこの曲です。
ニール・ヤング(Neil Young)では「溢れる愛(Lotta Love)」みたいな位置づけの曲かもしれません。
メアリー・ルー・ロードはカートコバーンの元カノでしたし、エリオット・スミスとの交流といい、業の深い男性との縁がある人ですね。
9位「Everything Means Nothing to Me」(アルバム:Figure 8)
■曲名:Everything Means Nothing to Me
■曲名邦題:エヴリシング・ミーンズ・ナッシング・トゥ・ミー
■アルバム名:Figure 8
■アルバム名邦題:フィギュア8
■動画リンク:「Everything Means Nothing to Me」
この曲はとても透明感のある曲です。
クラシックっぽいピアノとストリングスの使い方が、とても効果的です。
自己の内面に深く落ち込んでいく過程を、美しく切り取った曲です。
実際に歌詞でも、「全ては私にとって何の意味もない」と歌われています。
あまり精神状態が良くなかった時の曲かもしれません。
私は「フィギュア8(Figure 8)」というアルバムが大好きな一方で、少しアレンジが過剰かなと思うことがあります。
しかしこの曲のようにアレンジが功を奏している曲もあります。
10位「Miss Misery」(アルバム:Good Will Hunting)
■曲名:Miss Misery
■曲名邦題:ミス・ミザリー
■アルバム名:Good Will Hunting
■アルバム名邦題:グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
■動画リンク:「Miss Misery」
この曲は彼の出世作といえる曲です。
「グッド・ウィル・ハンティング」の主題曲として、アカデミー賞にノミネートされました。
この曲は彼が映画のために書き下ろした曲です。
しかしこんな内向的で繊細な曲がノミネートされるなんて、どこか場違いな感じがしてしまいます。
曲名だって「Miss Misery」つまり「みじめなお嬢さん」みたいな感じですしね。
この曲の主人公はそのみじめな女性に向かって「俺がいなくて寂しいかい」と呼び掛けています。
そして「もし戻ってほしいなら、俺は戻るよ」と歌っています。
この曲の動画を見ると、主人公の男性はあやしい人物として、警察官にマークされて後をつけられています。
男性もろくでもない人物であることを示唆しています。
つまりみじめだったり、ろくでもない2人を歌った曲というわけです。しかしそこに向けられた視線には辛辣さは感じられません。
彼はアカデミー賞の受賞を逃しても、残念そうなそぶりはなかったそうです。
このような傍から見たらろくでもないように見えるけれど、小さな繋がりを歌った曲に、アカデミー賞という華やかな場所で、強すぎる光が当てられなくて良かったかもしれません。
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