今回はソニック・ユースのランキングを作成しました。
彼らの音楽は、凛とした知性を感じさせてくれます。
彼らはルーツ音楽と隔絶することによって、逆にグランジなど新しいオルタナ・ロックの潮流を生み出しました。
この記事では入門者を想定し、ポップな曲を多めに選曲しました。
- 1 1位「Teenage Riot」(アルバム:Daydream Nation)
- 2 2位「Schizophrenia」(アルバム:Sister)
- 3 3位「Pattern Recognition」(アルバム:Sonic Nurse)
- 4 4位「Bull in the Heather」(アルバム:Experimental Jet Set, Trash & No Star)
- 5 5位「Dirty Boots」(アルバム:GOO)
- 6 6位「Incinerate」(アルバム:Rather Ripped)
- 7 7位「Free City Rhymes」(アルバム:NYC Ghosts & Flowers)
- 8 8位「Computer Age」(アルバム:Bridge: Tribute Neil Young)
- 9 9位「Sunday」(アルバム:A Thousand Leaves)
- 10 10位「The Diamond Sea」(アルバム:Washing Machine)
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1位「Teenage Riot」(アルバム:Daydream Nation)
■曲名:Teenage Riot
■曲名邦題:ティーン・エイジ・ライオット
■アルバム名:Daydream Nation
■アルバム名邦題:デイドリーム・ネイション
■動画リンク:「Teenage Riot」
このアルバムは2枚組です。
この時期、彼らの創作意欲はピークに達していました。
彼らはこのアルバムまでインディーズ・レーベルに所属していました。
配給やセールスに不安のあるインディーズでは、2枚組は異例といえます。
しかしこの作品は最高傑作との誉れが高く、アメリカではチャートインしなかったものの、イギリスでは21位を記録しました。
1988年の各誌年間ベスト・アルバムでも軒並み上位を獲得しました。
ローリングストーン誌では2位、CMJでは1位を記録しています。
同時期にリリースされたチッコーネ・ユース(Ciccone Youth)名義の「The Whitey Album」の方も名作ですし。
この後彼らはその圧倒的なアーティスト・パワーを交渉材料にして、メジャーのゲフィン・レコード(Geffen Records)との間で優位な契約を締結しました。
2位「Schizophrenia」(アルバム:Sister)
■曲名:Schizophrenia
■曲名邦題:スキツォフレニア
■アルバム名:Sister
■アルバム名邦題:シスター
■動画リンク:「Schizophrenia」
この記事では入門者に彼らの魅力をお伝えするため、ポップな曲を中心に選曲しました。
特にこの曲などは、グラスゴーのギターポップみたいではないでしょうか。
彼らの音楽のジャンルは、大まかにいえばオルタナティヴ・ロックといえるでしょう。
しかしその中には様々な要素が含まれています。
たとえば思い付くまま挙げると、ポスト・ロック、音響派、アメリカン・オルタナティヴ、そしてグランジのゴッドファーザー。
グランジは、グラスゴーの音楽との親和性が高いことで知られています。
実際カート・コバーン(Kurt Cobain)はグラスゴーのギターポップを好んでいました。
グランジとグラスゴーは、従兄のような関係かもしれません。
しかしそうした系譜は、グランジを先導したソニック・ユースの時点で既に始まっていたようですね。
3位「Pattern Recognition」(アルバム:Sonic Nurse)
■曲名:Pattern Recognition
■曲名邦題:パターン・レコグニション
■アルバム名:Sonic Nurse
■アルバム名邦題:ソニック・ナース
■動画リンク:「Pattern Recognition」
ソニック・ユースのポップな側面を代表する曲です。
この曲の魅力はイントロにあります。
このバンドのサウンド面のカギを握っているのは、パンクの流れを汲む2本のギターの絡み。
テレヴィジョン(Television)フォロワーといえるかもしれません。
彼らの強味は音響への鋭敏な感覚を活かしたギターサウンド、そしてソングライティング能力です。
彼らの音楽はシリアスに評価する向きが多く、そのせいでポップな楽曲についてあまり触れられていない感じがします。
もちろん彼らの音楽はポップというだけで語ることはできません。
しかしポップな曲が増えても、彼らは作品の水準を維持しました。
私はこのアルバムを最高傑作とは思いませんが、最初の1枚としておすすめします。
4位「Bull in the Heather」(アルバム:Experimental Jet Set, Trash & No Star)
■曲名:Bull in the Heather
■曲名邦題:ブル・イン・ザ・ヘザー
■アルバム名:Experimental Jet Set, Trash & No Star
■アルバム名邦題:エクスペリメンタル・ジェット・セット、トラッシュ・アンド・ノー・スター
■動画リンク:「Bull in the Heather」
このバンドの軸は、サーストン・ムーア(Thurston Moore)とキム・ゴードン(Kim Gordon)夫妻です。
その2人を、リー・ラナルド(Lee Ranaldo)とスティーヴ・シェリー(Steve Shelley)の2人が、主に演奏面で支えているという構図です。
リーはボーカル面の貢献も大きいですね。
またキムはベーシスト以外でも、ボーカリストとして存在感を放っています。
彼女のボーカルは決して甘くはなく、彼らの音楽に含まれる切迫感を表現していました。
また彼女はファッション面でも際立った存在で、このバンドがヒップという印象を与える影の立役者でした。
現在サーストンとキム夫妻は離婚しています。
確かにこの2人のどちらが抜けても、ソニック・ユースとはいえないと思います。
5位「Dirty Boots」(アルバム:GOO)
■曲名:Dirty Boots
■曲名邦題:ダーティ・ブーツ
■アルバム名:GOO
■アルバム名邦題:GOO
■動画リンク:「Dirty Boots」
メジャー・レーベル移籍後の第一弾です。
彼らはメジャーと契約する際、特に創作の自由を重視したようです。
そのせいか、このアルバムはインディーズ時代と比べて本来の魅力が失われていません。
そのそもこのアルバム・ジャケットはシリアル・キラーの2人、モリーン・ヒンドレーとデヴィッド・スミスの写真をイラスト化したものです。
よくこんなジャケットを許可したなと思いますが、単にレーベルは知らなかっただけかもしれません。
ともあれ、このアルバムから彼らは広く知られる存在になりました。
次作「ダーティ(Dirty)」からも、1曲ご紹介しておきましょう。
幸先の良いメジャー・デビューだったと思います。
6位「Incinerate」(アルバム:Rather Ripped)
■曲名:Incinerate
■曲名邦題:インシネレイト
■アルバム名:Rather Ripped
■アルバム名邦題:ラザー・リップト
■動画リンク:「Incinerate」
彼らは「Sonic Nurse」あたりからポップ路線に移行し始めました。
中でも、ついにここまで来たかと思ったのがこの曲。
ただ聞けばお分かりいただけるように、決して悪い曲ではありません。
それどころか名曲といえる出来です。
ポップな曲が好きな方は「Sonic Nurse」「Rather Ripped」「ジ・エターナル(The Eternal)」あたりがおすすめです。
しかし初期にこだわる立場からすると、いささかポップすぎるような感じがしないでもありません。
昔の彼らは未完成だったけれど、可能性を感じる音楽でした。
逆に晩年の彼らは完成されていましたが、可能性が狭まってきたかもしれません。
しかし音楽的には常に充実していました。
7位「Free City Rhymes」(アルバム:NYC Ghosts & Flowers)
■曲名:Free City Rhymes
■曲名邦題:フリー・シティ・ライムス
■アルバム名:NYC Ghosts & Flowers
■アルバム名邦題:NYC ゴースツ&フラワーズ
■動画リンク:「Free City Rhymes」
この曲は、ジム・オルーク(Jim O’Rourke)が参加したことが大きな話題を呼びました。
彼らは音響面に強味があるバンドです。
特に初期の「コンフュージョン・イズ・セックス(Confusion Is Sex)」「バッド・ムーン・ライジング(Bad Moon Rising)」「Evol」では音響面が魅力でした。
その意味でジム・オルークとは、相性の良い組み合わせだったと思います。
この曲は音響面ですぐれた名曲です。
彼らはアルバムによって「激しい」「美しい」「ポップ」のバランスが異なります。
このアルバムや次作の「ムーレイ・ストリート(Murray Street)」は「美しい」の比率が大きいように感じます。
ただセールス的には苦戦し、後にポップ路線に移行する伏線となったかもしれません。
8位「Computer Age」(アルバム:Bridge: Tribute Neil Young)
■曲名:Computer Age
■曲名邦題:コンピューター・エイジ
■アルバム名:Bridge: Tribute Neil Young
■動画リンク:「Computer Age」
ニール・ヤングのトリビュート・アルバムからの曲です。
オリジナルも引用しておきましょう。
彼らが解散することになった原因は、サーストンの不倫です。
キムの証言をご紹介しましょう。
『まずはもう片方の女を切り捨てて、その後、わたしがどうしたいのかと決めるところまでさえ行けなかったのね』とキムは振り返っている。
『サーストンは彼女との二重生活をずっと繰り広げていたわけ。本当にまるで心ここにあらずという感じだったわ』。
その後、サーストンは家を出て行き、家に残ったキムはヒップホップを聴きまくったという。
離婚後彼女は乳がんが見つかりました。
まさに泣きっ面に蜂です。
しかし一体サーストンはどうしてしまったのでしょうか。
9位「Sunday」(アルバム:A Thousand Leaves)
■曲名:Sunday
■曲名邦題:サンデー
■アルバム名:A Thousand Leaves
■アルバム名邦題:ア・サウザンド・リーヴズ
■動画リンク:「Sunday」
先程の続きを書きます。
そもそもサーストンとキムは、とても仲が良いことで知られていました。
私はサーストンがキムへの愛情を語ったインタビューを読んだことがあります。
ウィキペディアにも、以下のような記述があります。
キムについて歌ったレイプマンの”Kim Gordon’s Panties”と言う曲がある(なお、レイプマンとのスプリット・ギグ時に、彼らがこの曲を演奏したことにサーストンが激怒し、後でボーカルのスティーヴ・アルビニをボコボコにした、という真偽不明のエピソードもある)。
まあ事実かは分かりませんが。
ベタ惚れから一変しての不倫ですから、キムのショックは大きかったと思われます。
通常人気バンドが解散すると、再結成が噂されるものです。
しかし再結成の噂が出る都度、キムは否定しています。
10位「The Diamond Sea」(アルバム:Washing Machine)
■曲名:The Diamond Sea
■曲名邦題:ザ・ダイアモンド・シー
■アルバム名:Washing Machine
■アルバム名邦題:ウォッシング・マシーン
■動画リンク:「The Diamond Sea」
このバンドの中心人物は、サーストン・ムーアです。
彼が曲づくりの中心であり、バンドの方向性を左右する存在でした。
またギタリストとしては、ジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)に影響を受けた変則チューニングを駆使して、独特のギター・サウンドを生み出しました。
現在サーストン・ムーアは、ソロを中心に活動しています。
その作品の多くはすばらしく、いまだ彼の才能が枯れていないことをうかがわせます。
ただソニック・ユースという過去の偉業を意識しなければ。
私はソロの曲にも好きな曲はありますが、バンド特有のマジックは感じません。
それは私が過去に固執しすぎているせいもあると思います。
しかし私は、つい解散後リリースされたソニック・ユースの未発表曲集「In/Out/In」の方を聞きたくなるのですね。
さて最後に19:35というとても長い曲をご紹介します。
決して聞きやすい曲とはいえませんが、聞ける方は最後まで聞いみてください。
私はこの曲にソニックユースというバンドでしか成しえなかった、何か特別なものを感じます。
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