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フレディ・ハバード(Freddie Hubbard)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はフレディ・ハバードのランキングを作成しました。

この人について、クールで尖ったイメージをお持ちの方は少なくないかもしれません。

確かに私もそう感じます。

そこでこの記事では、あえて多様な魅力をご紹介してみました。

文章を動画にしたYoutubeラジオもご用意しています。

 

1位「Asiatic Raes」(アルバム:Goin’ Up)

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■曲名:Asiatic Raes
■曲名邦題:エイジアティック・レエズ
■アルバム名:Goin’ Up(1961年)
■アルバム名邦題:ゴーイン・アップ
■動画リンク:「Asiatic Raes」

この曲はケニー・ドーハムが書いたジャズ・スタンダード「蓮の花(Lotus Blossom)」という曲名で知られています。

「Asiatic Raes」と「Lotus Blossom」は曲名こそ違いますが、同じ曲を指しています。

私はオーティス・レディング(Otis Redding)の記事で、その歌手の特徴を把握するために、同じ曲を歌う他のシンガーと比較することがあると書きました。

その方法はジャズでは特に有効です。

実際長年ジャズを聞いてきた方は、そうやってプレイヤーの個性を把握していると思います。

入門者の方が聞き比べられるよう、ハバード以外の2曲リンクを貼っておきましょう。

Kenny Dorham – Lotus Blossom
Sonny Rollins – Asiatic Raes

ケニー・ドーハムの演奏は、口下手な人が不器用ながらも一生懸命訴えている感じがしないでしょうか。

その不器用さゆえに聞き手の心を打つような。

それは同じくトランペット奏者のフレディ・ハバードとは真逆といえるかもしれません。

2つ目のソニー・ロリンズの演奏は、ルーズでユーモラスなロリンズ節が楽しいです。

人によって同じ曲がこうも変わるとは、ジャズは本当におもしろいですね。

 

2位「Open Sesame」(アルバム:Open Sesame)

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■曲名:Open Sesame
■曲名邦題:オープン・セサミ
■アルバム名:Open Sesame(1960年)
■アルバム名邦題:オープン・セサミ
■動画リンク:「Open Sesame」

初リーダー作のオープニングを飾る人気曲です。

アルバム名と曲名である「Open Sesame」とは「アラビアンナイト」の「アリババと40人の盗賊」に登場する、宝がある洞窟の扉を開く魔法の呪文のこと。

日本では「開けゴマ」と翻訳される「未知なる扉を開く」という意味の言葉です。

当時ハバードは若干22歳でしたが未熟さはなく、完成の域に達しているどころか、既に一流といえる演奏を披露しました。

当時新進気鋭のルーキーだった彼に「Open Sesame」というアルバム名はふさわしいですね。

しかしこの曲を書きテナー・サックスで参加したティナ・ブルックス(Tina Brooks)の貢献は軽視できません。

とかくティナ・ブルックスはB級扱いされがちです。

しかしそれは悪い意味ではなく、良い意味でB級的な味わいを評価されています。

この時ティナ・ブルックスはハバードより6歳年上で、ジャズをよく分かっている感じがしました。

プロ野球でいえば、入団したばかりのドラフト注目選手が野球を熟知した先輩のサポートを得て、生き生きと実力を発揮しているのに似ています。

 

3位「Red Clay」(アルバム:Red Clay)

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■曲名:Red Clay
■曲名邦題:レッド・クレイ
■アルバム名:Red Clay(1970年)
■アルバム名邦題:レッド・クレイ
■動画リンク:「Red Clay」

この記事では、デビューから1970年代前半までを対象期間としました。

その間彼は様々なレーベルから作品を発表しました。

私による大まかな分類ですが、以下の3つのレーベルの時期が重要だと考えています。

・ブルーノート(Blue Note)
・アトランティック(Atlantic)
・CTI

ブルーノートはハードバップらしい作風が特徴で、アトランティックは興味深い過渡期、CTIはフュージョン/ジャズロック色が強い作風が魅力です。

彼はどの時期も興味深い作品を残しました。

ただここではハバードについてどの時期が好きか、私の立場をはっきりしておきましょう。

私はブルーノートの時期を一番愛聴しています。

ただ一般的には同じぐらいCTIの頃の人気が高く、CTI期で発表されたこの曲は彼の代表曲と言われています。

この曲が気に入った方は、ぜひCTIの諸作もチェックしてみてください。

 

4位「The Return of the Prodigal Son」(アルバム:Backlash)

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■曲名:The Return of the Prodigal Son
■曲名邦題:放蕩息子の帰還
■アルバム名:Backlash(1967年)
■アルバム名邦題:バックラッシュ
■動画リンク:「The Return of the Prodigal Son」

アトランティック期の曲です。

この曲が発表された1967年は、ハードバップが急速に時代遅れになろうとしていた時期かもしれません。

その後ハードバップは再評価されて今も変わらず聞かれていますが、当時は明日をも知れない空気があったようです。

当時多くのジャズ・ミュージシャンは、自分がどの方向に進むべきか摸索していました。

この「踊れるジャズ」と言われる曲も、過度期の魅力的な成果の1つ。

この記事では初めてハバードを聞いた方を想定して、彼の魅力を知っていただきたいと思い書いています。

その趣旨からすると、この曲はご紹介せざるを得ません。

ただこのアルバムでは、以下のボサノヴァ・ナンバーも同じく重要な有名曲です。

Freddie Hubbard – Little Sunflower

この時期はトップクラスのジャズメンも時代の空気を読み、方向性を暗中模索していた、とてもおもしろい時期でした。

ハズレも多い一方思わぬ発見も多く、掘っていて一番楽しい時期かもしれません。

 

5位「You’re My Everything」(アルバム:Hub-Tones)

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■曲名:You’re My Everything
■曲名邦題:ユーアー・マイ・エヴリシング
■アルバム名:Hub-Tones(1963年)
■アルバム名邦題:ハブ・トーンズ
■動画リンク:「You’re My Everything」

一般的にハバードはバラードのイメージがそれほど強くないかもしれません。

しかし意外とバラードの名演が多く、この記事でも取り上げきれないほどです。

もう1曲ご紹介しておきましょう。

Freddie Hubbard – I Wished I Knew

この人のバラードは、クールな特徴が少し残っているのが魅力です。

ただ情感は豊かですが、過剰な感情移入はなく、思い入れたっぷりな演奏にはなりません。

クールになりすぎない、適度に抑制が利いたいい塩梅の演奏には中庸的な美しさを感じます。

古びない現代性を備えた演奏といえるかもしれません。

彼はバラードでも一流のプレイヤーであることを証明しました。

あと彼のバラードは尖った曲やブルースなど、他の曲との関係性の中でこそ輝きます。

 

6位「Birdlike」(アルバム:Ready for Freddie)

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■曲名:Birdlike
■曲名邦題:バードライク
■アルバム名:Ready for Freddie(1962年)
■アルバム名邦題:レディ・フォー・フレディ
■動画リンク:「Birdlike」

とかくこの人はイメージで語られがちかもしれません。

そのイメージとはクールで少し尖ったカッコいい演奏をする人。

そういう私もこの記事を書く前は、イメージが先行していたところがありました。

ブルーノートの後ハードバップでなくなってからも、狭い範囲で彼を分かっていたつもりだったように思います。

いささか表面的だった感はいなめませんが、そのイメージは間違いではないと思います。

ただこの記事を書くにあたり、虚心坦懐に彼の演奏を聞き返した結果、狭いイメージの外にも良い曲が沢山あると感じました。

たとえば彼にはブルースにも良い演奏が多く、この曲以外も名演が沢山あります。

この曲は曲名から伺えるようにチャーリー・パーカー(Charles Parker)に捧げられています。

確かにパーカーのブルース・ナンバーに似た感じがしますね。

この記事ではハバードについて一面的にならないよう自らを戒め、意識的に多様な魅力をご紹介してみました。

 

7位「Hub Cap」(アルバム:Hub Cap)

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■曲名:Hub Cap
■曲名邦題:ハブ・キャップ
■アルバム名:Hub Cap(1961年)
■アルバム名邦題:ハブ・キャップ
■動画リンク:「Hub Cap」

アップテンポの曲をご紹介します。

速い曲でもブリリアントで余裕を感じさせるところは、クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)を彷彿とさせます。

さて彼の最高傑作を選ぶのは、いささか難しいかもしれません。

私の好みからすると、初期の3作「Open Sesame」「Goin’ Up」「Hub Cap」はどれも捨てがたい。

あと「Ready for Freddie」「Hub-Tones」も同水準の作品といえるでしょう。

おおよそ1962年ぐらいまでが特に私の好きな時期ですが、それ以降では「Red Clay」も有力候補だと思います。

ただ高い水準で安定しているとはいえ、最高傑作を選ぼうとする時、決定打に欠ける面はいなめません。

もしかしたら客演したアルバムの方が、知名度は高いかもしれませんし。

客演を含めた有力候補として2枚挙げておきましょう。

エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)「アウト・トゥ・ランチ(Out to Lunch!)」
ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)「処女航海(Maiden Voyage)」

ハバードは上記2作で良い仕事をしていますが、自分の作品ではないため主役感はありません。

やはりハバードについては、リーダー作を聞いた方が良いような気がします。

 

8位「Cunga Black」(アルバム:Blue Spirits)

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■曲名:Cunga Black
■曲名邦題:クンガ・ブラック
■アルバム名:Blue Spirits(1967年)
■アルバム名邦題:ブルー・スピリッツ
■動画リンク:「Cunga Black」

フレディ・ハバードは、作曲面でも才能を発揮しました。

実際このアルバムでも全曲彼が書いていますし、代表曲「Red Clay」も彼が作曲した曲です。

また他に彼の特徴を挙げると、意外と自分名義のワンホーン作品が少ないこと。

他の客演したアルバムでは度々ワンホーンで活躍していますし、本来ワンホーン向きのプレイヤーだと思いますが。

この人は他のプレイヤーとの相互触発を重視しているのかもしれません。

彼の相棒としては、このアルバムにも参加しているサックスとフルート奏者、ジェームス・スポルディング(James Spaulding)が真っ先に思い浮かびます。

「ブレイキング・ポイント(Breaking Point!)」やこのアルバムでは、2人の間に生まれた化学反応を感じます。

ジェームス・スポルディングはハバードとの共演で、時に起爆剤となったり、刺激や違いを生み出しました。

この曲で彼はフルートを演奏していますが、ハバードとの対比がこの曲をワンランク引き上げています。

 

9位「Sky Dive」(アルバム:Sky Dive)

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■曲名:Sky Dive
■曲名邦題:スカイ・ダイヴ
■アルバム名:Sky Dive(1973年)
■アルバム名邦題:スカイ・ダイヴ
■動画リンク:「Sky Dive」

CTI時代から聞きやすい曲を選んでみました。

ハバードは天才肌のプレイヤーで、技巧的にも大変優れています。

その語り口はクールで、最初から新主流派やモードと親和性が高そうな資質がありました。

この人はマイルス・デイヴィス(Miles Davis)と、少し似たタイプの人だったかもしれません。

両者とも白いとは言いませんが、プレイの黒さが売りの人ではないように思います。

ジャズにおける黒さとは、身体感覚からにじみ出てくる何ものか。

たとえばグラント・グリーン(Grant Green)の演奏からは、いつも匂い立つような黒さを感じます。

黒さを武器にしないプレイヤーは、音楽全体でのアプローチを重視したり、時には過激な演奏に傾いたり、メロディを重視するかリズム面を工夫する傾向があります。

今回改めてハバードの音楽遍歴を追ってみると、彼は様々な方法を試して次なる方向性を模索していたように感じました。

黒い演奏が特徴の人は、変化に順応するのが難しい場合があります。

それに比べて黒さを前面に押し出さない人は、変化に順応しやすいような気がします。

 

10位「The Things We Did Last Summer」(アルバム:The Hub of Hubbard)

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■曲名:The Things We Did Last Summer
■曲名邦題:ザ・シングス・ウイ・ディッド・ラスト・サマー
■アルバム名:The Hub of Hubbard(1970年)
■アルバム名邦題:ザ・ハブ・オブ・ハバード
■動画リンク:「The Things We Did Last Summer」

私はこの曲を聞いた時、レッド・ガーランド(Red Garland)の以下の曲を思い出しました。

Red Garland – St . James Infirmary

レッド・ガーランドは小粋なピアニストですが、私は普段とは違う詩情あふれる演奏に驚き心を打たれました。

同じ事はこの「The Things We Did Last Summer」にも感じます。

ハバードは言いたいことを伝えることにおいては、天才的なプレイヤーです。

しかしその能力の高さは、時に彼の弱点になったかもしれません。

彼の弱点とは、器用であるがゆえに演奏以外の部分、たとえば人となりや本心が伝わりにくいこと。

それは初期の小沢健二における「もどかしさ」のような、器用な人が陥りがちな罠かもしれません。

器用なアーティストが皆そうなる訳ではありませんが、この人やウィントン・マルサリス(Wynton Marsalis)には、伝えようとすればするほど伝わらないジレンマを感じます。

逆に別のアーティストではやぼったくて技術がおぼつかなくても、がっつり言いたいことが伝わってくることがあります。

今の時代、音楽からアーティストの人となりを感じ取る必要はありません。

音楽が良ければそれだけで充分ですから。

それに音楽から音楽以外の部分を読み取ろうとしても、おそらく理解にはほど遠く、単に誤解するだけかもしれません。

しかしジャズという面倒くさくも極めて人間くさい音楽を踏み込んで聞こうとする時、あえてその人の人間性や息づかいまで読み取ろうとする愚を恐れず、無駄と知りながら思いをはせてもいいかもしれません。

天才でクールでカッコいい彼の魅力を補完する最後のワン・ピースとして、枯れた味わいを持ったこの曲をご紹介して記事を終えたいと思います。

 

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