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チャーリー・パーカー(Charlie Parker)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はチャーリー・パーカーのランキングを作成しました。

この人は「ジャズ史上最高のインプロバイザー」などと言われています。

つまりこれ以上のアドリブ奏者はいないという意味です。

もちろん価値観や好みの問題もありますから、人によって異論があることでしょう。

ただ彼の演奏を聞く限り、有力候補の1人までは疑いようがないと思います。

 

1位「Leap Frog」(アルバム:Bird and Diz)

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■曲名:Leap Frog
■曲名邦題:リープ・フロッグ
■アルバム名:Bird and Diz(1952年)
■アルバム名邦題:バード・アンド・ディズ
■動画リンク:「Leap Frog」

パーカーぐらいになると、この曲が1位などと決められるものではありません。

ただ1曲目についてはガツンとくる曲にしたいと思っていました。

またどんなに演奏が良くても音が悪すぎると、それだけで聞く気にならない方もいらっしゃると思います。

そういう諸々のことを考えた結果、この曲を1位にすることにしました。

パーカーとディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)は、ビバップの創始者だと言われています。

ビバップとは何でしょうか。

モダン・ジャズのルーツと言われています。

渋さとか味わいとかおしゃれとか、そんなことにはこれっぽちも興味がないんだよ言わんばかりに音で殴ってきます。

一瞬の快楽を求めて有り金や命まるごと賭けることにためらいがない、スリルに全振りした極端で頭が飛んだ音楽。

実際パーカーはそういう刹那的な人でしたが、その代償にこういう音楽を記録に残してくれました。

さてこのアルバムは、ドラムがバディ・リッチ(Buddy Rich)という旧世代の人を起用したことが難点だと言われています。

しかし私は気になりません。

ビバップはハードバップほどプレイヤーの関係性が重要ではありませんし、ここでのパーカーは絶好調ですから。

 

2位「Koko」(アルバム:Complete Savoy Sessions)

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■曲名:Koko
■曲名邦題:ココ
■アルバム名:Complete Savoy Sessions(1999年)
■アルバム名邦題:コンプリート・サヴォイ・セッションズ
■動画リンク:「Koko」

パーカーの全盛期は、ダイヤル・セッションかサヴォイ・セッションのどちらかだと言われています。

どちらもレーベルの名前です。

今のように分かりやすく明確なアルバム単位ではないのですね。

サヴォイ時代は、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)との共演で知られています。

しかしこの曲でトランペットを吹いているのは、先程ご紹介したディジー・ガレスピー。

これには諸説あって、マイルスには難しい曲なのでディジーに交代したとか、たまたまその時マイルスは出かけていたのだとか、私にも真相は分かりません。

もう1曲サヴォイ時代から「ドナ・リー(Donna Lee)」という曲をご紹介しておきましょう。

こちらはマイルスがトランペットを吹いています。

Charlie Parker – Donna Lee

ちなみに「Donna Lee」はパーカーが書いたとされていますが、実際はマイルスが書いたようです。

 

3位「Confirmation」(アルバム:Now’s The Time)

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■曲名:Confirmation
■曲名邦題:コンファメーション
■アルバム名:Now’s The Time(1957年)
■アルバム名邦題:ナウズ・ザ・タイム
■動画リンク:「Confirmation」

この人は1940年代が全盛期だと言われています。

しかし1953年のこのアルバムを筆頭に、その後も多くの傑作を残しています。

特にこのアルバムは快演ぞろいで、今回は1曲しか取り上げていませんが以下の曲も聞き逃せません。

Charlie Parker – The Song is You

Charlie Parker – Now’s The Time

このアルバムは、ワンホーン・アルバムです。

また録音も悪くありません。

これからパーカーを聞いてみたいという人に、最もおすすめしたいアルバムです。

録音の悪さや雑な編集に振り回されることなく、ワンホーンでじっくりパーカーを堪能できます。

1940年代のようなデモーニッシュなところは希薄ですが、逆にアドリブは円熟味を増していますし。

 

4位「The Famous Alto Break」(アルバム:Charlie Parker on Dial: the Complete Sessions)

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■曲名:The Famous Alto Break
■曲名邦題:ザ・フェイマス・アルト・ブレイク
■アルバム名:Charlie Parker on Dial: the Complete Sessions(1993年)
■アルバム名邦題:チャーリー・パーカー・オン・ダイアル コンプリート
■動画リンク:「The Famous Alto Break」

ここまでは由緒正しい名演をご紹介してまいりました。

ここから2曲「パーカー修羅の道を往く」的な演奏をご紹介したいと思います。

この演奏は52秒と、1分足らずの短さです。

ただこの演奏には、パーカーの常人ならぬ特質が濃縮されているかもしれません。

パーカーの魅力はキレとイマジネーションの飛翔です。

チャーリー・パーカーには「バード」というニックネームがありますが、その由来についてある説では、鳥のように自由な演奏から名付けられたと言われています。

元々この曲は「チュニジアの夜(A Night in Tunisia)」の失敗テイク。

しかしパーカーの演奏があまりにすばらしかったことから、プロデューサのロス・ラッセル(Ross Russell)がボツにせず、こうして聞けることになりました。

醍醐味は12秒以降の部分です。

このキレとイマジネーションの飛翔は、まさしく「バード」ではないでしょうか。

このアルバムには、以下のようなビバップらしい名演もありますので、お時間のある方はどうぞ。

Charlie Parker – Bepop

Charlie Parker – The Hymn

「ビバップ(Bepop)」の方は、立っているのもやっとの状態なのに神がかり的な演奏をした伝説のラヴァーマン・セッションの演奏です。

 

5位「Lester Leaps In」(アルバム:Bird Is Free)

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■曲名:Lester Leaps In
■曲名邦題:レスター・リープス・イン
■アルバム名:Bird Is Free(1961年)
■アルバム名邦題:バード・イズ・フリー
■動画リンク:「Lester Leaps In」

パーカーはライブがすごいと言われていますが、録音がひどすぎて頭が痛くなる録音が少なくありません。

この演奏もかなり音質が悪いです。

しかしそれを考慮しても、この演奏はご紹介せずにはいられません。

パーカーのアナーキーさは、この曲を聞くとよく分かります。

最初から妙に高いテンションで始まりますが、まるで何かに憑りつかれているかのよう。

パーカーの死後約束事を廃して表現領域を拡張しようとした、フリー・ジャズという過激な音楽が生まれました。

しかしここでのパーカーの演奏は、ほとんどフリー・ジャズみたいなものかもしれません。

もしくは奔放すぎるシーツ・オブ・サウンド。

パーカーの演奏のすごさは、死と隣り合わせで突き進むような刹那的なところだと思います。

まるで一瞬一瞬で燃え尽きようとしているかのような。

パーカー中毒になると刺激を求めてライブ盤を聞き漁るようになりますが、日常生活に支障のない範囲で楽しみたいものです(笑)

 

6位「Moose The Mooche」(アルバム:Bird Symbols)

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■曲名:Moose The Mooche
■曲名邦題:ムース・ザ・ムーチェ
■アルバム名:Bird Symbols(1961年)
■アルバム名邦題:バード・シンボルズ
■動画リンク:「Moose The Mooche」

私が初めて買ったパーカーのアルバムです。

当時はあまり考えず適当に買ったのですが、今思えば運命的な出会いだったと思います。

もしこれが録音が粗雑な「52丁目のチャーリー・パーカー(Bird on 52nd Street)」だったら、すんなりと魅力に開眼できたかどうか。

ちなみにこのアルバムは、ダイアル・セッションから抜粋された編集盤です。

初期の代表曲が収録されていて、初期ベストみたいな位置づけの作品かもしれません。

他にも以下のような代表的名演が入っています。

Charlie Parker – Ornithology

私はパーカーの最高傑作はダイヤルのコンプリート盤だと思いますが、最初の一枚としてはおすすめしません。

未完成な演奏があったり唐突にボーカルが入ったり、同じ曲が何回も続きますし。

その点こちらの編集盤は、とても聞きやすくてよくまとまっています。

私はこのアルバムで慣れてから、コンプリート盤を聞きました。

一見遠回りに思えるかもしれませんが、結果的に近道を通ることができたように思います。

 

7位「Si Si」(アルバム:Swedish Schnapps)

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■曲名:Si Si
■曲名邦題:シ・シ
■アルバム名:Swedish Schnapps(1958年)
■アルバム名邦題:スウェディッシュ・シュナップス
■動画リンク:「Si Si」

ここまで私はパーカーのキレやスリルを強調してきました。

しかし彼の魅力はそれだけではありません。

ミディアムテンポのブルースも最高です。

ブルースがお好きな方には、このアルバムがおすすめです。

同じアルバムから、もう1曲ご紹介しておきましょう。

Charlie Parker – Au Privave

テンションの高さだけに頼った人ではないのですね。

よく聞けば演奏そのものは尋常ではないものの、ジャズにくつろぎを求める人にもおすすめできます。

正直この作品はパーカーの作品中、一番手や二番手ではないかもしれません。

しかし好きなアルバムを5枚選べと言われたら、思わず選んでしまいそうな愛すべき作品だと思います。

 

8位「Yardbird Suite」(アルバム:Bird Symbols)

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■曲名:Yardbird Suite
■曲名邦題:ヤードバード組曲
■アルバム名:Bird Symbols(1961年)
■アルバム名邦題:バード・シンボルズ
■動画リンク:「Yardbird Suite」

個人的な思い入れが強いせいか、今回このアルバムから2曲を選びました。

満遍なく名盤をご紹介する観点から「ジャズ・アット・マッセイ・ホール(Jazz at Massey Hall)」あたりから選んだ方がいいかもしれません。

一応そちらからも、1曲ご紹介しておきましょう。

Charlie Parker – Perdido

私がいつもこのブログで意識しているのは、初めてそのアーティストを聞いた人に気に入ってもらえるかどうか。

加えて、一番伝えたいことだけ伝わればと思っています。

今回私が伝えたいと思ったのは、パーカーのしびれるようなカッコ良さ。

そのカッコよさはジャンルを超えています。

この曲は伝説のロックバンド、ヤードバーズ(The Yardbirds)のバンド名の由来になったと言われています。

当時の才能ある若者を虜にしたヒップな魅力は、今でも健在だと思います。

 

9位「Just Friends」(アルバム:Charlie Parker with Strings)

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■曲名:Just Friends
■曲名邦題:ジャスト・フレンズ
■アルバム名:Charlie Parker with Strings(1949年)
■アルバム名邦題:チャーリー・パーカー・ウィズ・ストリングス
■動画リンク:「Just Friends」

アルト・サックスによるバラードを収録した企画盤です。

しかしストリングスを背負ったバラードも絶品ですね。

彼はアップ、ミディアム、スロー、どれも全部すばらしいです。

パーカーの演奏はクールに燃える演奏が多いですが、こういうハーフ・ビターなバラードも格別です。

レーベルがヴァーヴ・レコード(Verve Records)で、プロデューサーがノーマン・グランツ(Norman Granz)ということから、レーベルの企画かと思われるかもかもしれません。

私も最初そう思っていたのですが、このアルバムはパーカー自らが企画したそうです。

なんでもパーカー本人が、ストリングスとの共演を希望していたのだとか。

ただジミー・キャロル(Jimmy Carroll)の編曲には不満があったらしく、ライブで再現した時のストリング・アレンジは別の人に依頼しています。

 

10位「Chasin’ the Bird」(アルバム:The ‘Bird’ Returns)

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■曲名:Chasin’ the Bird
■曲名邦題:チェイシング・ザ・バード
■アルバム名:The ‘Bird’ Returns(1962年)
■アルバム名邦題:ザ・バード・リターンズ
■動画リンク:「Chasin’ the Bird」

最後に極私的名演をご紹介します。

今回は初心者向けに定番や有名曲を多めにしましたが、最後に少し自分の色を出してみました。

このアルバムには、マイルス・デイヴィス、ミルト・ジャクソン(Milt Jackson)、マックス・ローチ(Max Roach)などが参加しています。

私はこの曲のテーマのメロディが好きなのですが、ここではいい感じに野蛮に解釈されていますね。

他にも「フィエスタ(Fiesta)」の「Un Poquito De Tu Amor」など、まだまだご紹介したい演奏が多数あります。

最後にこの曲だけでもと思い、ご紹介してみました。

パーカーは1955年、34歳の若さで亡くなりました。

彼のフレーズは「パーカー・フレーズ」と呼ばれ、今でも多くのプレイヤーに引用されています。

しかし表面的にフレーズを真似たとしても、パーカーのようにはならないものです。

その再現困難性こそが、チャーリー・パーカーの凄さを示しているかもしれません。

ジャズという音楽はアドリブや即興演奏が重要な音楽ですが、その点この人はその最高到達地点といえるかもしれません。

耳を惹き付けすぎるので、BGMにもなりません。

一瞬で燃え尽くしたい、崖っぷちギリギリを攻めるスリルを味わえる音楽です。

 

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