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キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はキャノンボール・アダレイのランキングを作成しました。

彼は日本では過小評価されているかもしれません。

それは彼の音楽的な変遷だったり、演奏の明るさに由来するかもしれません。

日本人好みの哀愁ハードバップ路線とは少し違った持ち味がある人です。

 

1位「Autumn Leaves」(アルバム:Somethin’ Else)

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■曲名:Autumn Leaves
■曲名邦題:枯葉
■アルバム名:Somethin’ Else
■アルバム名邦題:サムシン・エルス
■動画リンク:「Autumn Leaves」

このアルバムを語る時、誰もが実質的にはマイルス・デイビス(Miles Davis)の作品だと言います。

ジャズの帝王として君臨する前の若き日のマイルスは、一時期ヘロイン中毒で苦しんでいました。

経済的にもかなり困窮していたようです。

そのマイルスに手を差し伸べたのが、ブルーノート・レコード(Blue Note Records)の創始者、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)。

彼はマイルスに録音を機会を与えて支援しました。

その後マイルスは一躍注目を浴び、大手のコロンビア(Columbia Records)と契約することに。

しかしマイルスはアルフレッド・ライオンに恩を返そうと、キャノンボール名義のこのアルバムをブルーノートに残しました。

しかもこの曲はシャンソンをジャズのスタンダードにした決定的名演。

精緻の極みといえるマイルスの演奏は、語りすぎないことで多くを語る至高の名演です。

一方この曲のキャノンボールの演奏を大味だと言う人もいます。

高級食パンに濃厚なクリームを塗ったというような。

しかし私はキャノンボールの音色の明るさがマイルスの陰りとの対比で、うまく機能しているように思います。

この曲調ではキャノンボールの良さが出にくかったと思いますが、それでもある程度聞かせるのが彼の底堅さ。

キャノンボールは明るく開放的なところに強味がある人でした。

 

2位「Limehouse Blues」(アルバム:Cannonball Adderley Quintet In Chicago)

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■曲名:Limehouse Blues
■曲名邦題:ライムハウス・ブルース
■アルバム名:Cannonball Adderley Quintet In Chicago
■アルバム名邦題:キャノンボール・アダレイ・クインテット・イン・シカゴ
■動画リンク:「Limehouse Blues」

このアルバムはジョン・コルトレーン(John Coltrane)との共同名義です。

キャノンボールはアルト・サックスで、ジョン・コルトレーンはテナー・サックスです。

音の高い方がキャノンボール、低い方がコルトレーンで、ソロは最初がキャノンボールで次がコルトレーン。

キャノンボールとコルトレーンは同じマイルスのグループ出身ということもあって、よく比較されます。

マイルスバンドでの評価はジョン・コルトレーンの圧勝です。

ジャズ名盤として名高い「カインド・オブ・ブルー(Kind of Blue)」でも、ジョン・コルトレーンの方が高く評価されました。

しかしそれはマイルスやコルトレーンの土俵だったせいかもしれません。

その証拠にこの曲を聞くと互角だと感じます。

私は今回改めてキャノンボールを聞き直して思ったことがあります。

それはキャノンボールは自分がリーダー作の時に輝く人だということ。

逆にいえば他人の土俵の上では、実力を発揮しにくいタイプかもしれません。

 

3位「Stars Fell On Alabama」(アルバム:Cannonball Adderley Quintet In Chicago)

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■曲名:Stars Fell On Alabama
■曲名邦題:アラバマに星墜ちて
■アルバム名:Cannonball Adderley Quintet In Chicago
■アルバム名邦題:キャノンボール・アダレイ・クインテット・イン・シカゴ
■動画リンク:「Stars Fell On Alabama」

もし彼の最高傑作を聞かれたら、私はこのアルバムだと即答します。

実際彼の作品で最も聞く機会が多いアルバムですし。

キャノンボールはアップとスローどちらも魅力ですが、スローでは少しベン・ウェブスター(Ben Webster)にも似たスウィートな魅力があります。

先程マイルス・デイビスと比較してキャノンボールを低く評価する人がいると書きました。

そういう人は彼の演奏について大味というようなことを言います。

しかし私はむしろそこがいいじゃないかなと思っています。

この人の演奏は極上のバターが乗ったホットケーキに似ているかもしれません。

暖かくとろけるような幸福感を感じます。

 

4位「Toy」(アルバム:Know What I Mean?)

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■曲名:Toy
■曲名邦題:トイ
■アルバム名:Know What I Mean?
■アルバム名邦題:ノウ・ホワット・アイ・ミーン
■動画リンク:「Toy」

個人的に好きな小粋な曲です。

ここで彼本人について、少し触れておきましょう。

彼の名前はキャノンボール・アダレイという、まるでアメコミのキャラクターみたいです。

あだ名の『キャノンボール』の由来は、キャンニバル(cannibal:大食漢)に由来する。

キャノンボール・アダレイ ウィキペディア

当初は「大食漢アダレイ」でしたが、後に語感が似ている「Cannonball」つまり「砲弾アダレイ」と変化したようです。

そういえばピーター・バラカンはこの人の名前を好きではないようですが、音楽そのものは好きなのだそうです。

アルバム・ジャケットから分かるように、彼はかなりのぽっちゃりさんでした。

しかも彼は大食いだけでなく早食いでもあったようですが、その食生活は彼の健康に深刻な問題をもたらしました。

大食癖に起因する糖尿病と、偏頭痛に若い頃から悩まされていたが、1975年に脳内出血が原因となり脳卒中で亡くなる[7]。

キャノンボール・アダレイ ウィキペディア

彼は惜しくも46歳で生涯を終えました。

 

5位「Things Are Getting Better」(アルバム:Things Are Getting Better)

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■曲名:Things Are Getting Better
■曲名邦題:シングス・アー・ゲティング・ベター
■アルバム名:Things Are Getting Better
■アルバム名邦題:シングス・アー・ゲティング・ベター
■動画リンク:「Things Are Getting Better」

このアルバムはミルト・ジャクソン(Milt Jackson)と共演作。

快作といえる出来です。

両者は共にソウルフルで、かなり相性が良いように思います。

さてここで彼のプレイについて、再度私の考えを述べたいと思います。

彼のプレイは楽天的なところが魅力。

しかしそれだけではありません。

楽器の特性もありますが、音のヌケが良くアドリブに安定感があること、それもまた彼の強みです。

しかもテクニックも兼ね備えていますし。

そうした彼のプレイ・スタイルは、緊張感や陰りが強めの曲調では活きません。

また彼は器用な人ですが、日本のジャズ・ファンは不器用でマイナー調のプレイヤーを高く評価する傾向があります。

そのせいもあって、日本ではいま一つ評価されにくいような気がします。

 

6位「Bohemia After Dark」(アルバム:Cannonball Adderley Quintet In San Francisco)

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■曲名:Bohemia After Dark
■曲名邦題:ボヘミア・アフターダーク
■アルバム名:Cannonball Adderley Quintet In San Francisco
■アルバム名邦題:キャノンボール・アダレイ・イン・サンフランシスコ
■動画リンク:「Bohemia After Dark」

彼はアメリカ、フロリダ州の出身です。

早くから地元では有名な存在だったようですが、1955年彼は満を持してニューヨークに移住しました。

彼はニューヨークでこの曲を書いたオスカー・ペティフォード(Oscar Pettiford)のバンドに参加しました。

そのライブで彼の演奏は評判を呼び、一気に知名度が高まりました。

当時の彼は今よりテクニカルな演奏をしていて、チャーリー・パーカー(Charlie Parker)を思わせるプレイで観客を圧倒していたようです

このアルバムは1959年にリリースされました。

当時の彼は後年のソウルフルでファンキーな頃と違って、アドリブのキレを売りにしていました。

この曲ではその頃の名残りを感じます。

 

7位「Nardis」(アルバム:Portrait of Cannonball)

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■曲名:Nardis
■曲名邦題:ナーディス
■アルバム名:Portrait of Cannonball
■アルバム名邦題:ポートレイト・オブ・キャノンボール
■動画リンク:「Nardis」

この曲はマイルス・デイビスが作曲したと言われています。

しかし実際にはビル・エバンス(Bill Evans)が書いた説がささやかれています。

個人的にはいかにもビル・エバンスが書きそうと感じますが、単なる印象ですのでマイルスが書いたことも否定しません。

この曲は数多あるバージョンの中で、記念すべき最初の録音です。

キャノンボールは知的な人でした。

彼は高校で教師をしながら音楽活動をしていて、当時のジャズメンとしては珍しく大学院に進学しています。

そうした彼の知的素養は、マイルス・デイビスやビル・エバンスと相性が良かったかもしれません。

普段の彼のプレイは両者とは異なりますが、この曲などはなかなか良い出来です。

 

8位「Manha De Carnaval」(アルバム:Swingin’ In Seattle, Live At The Penthouse)

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■曲名:Manha De Carnaval
■曲名邦題:カーニバルの朝
■アルバム名:Swingin’ In Seattle, Live At The Penthouse
■アルバム名邦題:スウィンギン・イン・シアトル : ライヴ・アット・ザ・ペントハウス 1966-1967
■動画リンク:「Manha De Carnaval」

ボサノヴァの曲です。

当時のジャズ・ミュージシャンは、ボサノヴァの曲をよく取り上げていました。

キャノンボールはポール・デスモンド(Paul Desmond)などと違って、本来ボサノヴァは得意ではなかったかもしれません。

先程も書きましたが、それでもこの人はある程度聞かせてくれます。

実際彼は「Cannonball’s Bossa Nova」などで、それなりの音楽的成果を残しています。

そのアルバムから1曲ご紹介しておきましょう。

Cannonball Adderley – Clouds

順応性と地力のあるこの人ならではの演奏だと思います。

 

9位「Waltz for Debby」(アルバム:Know What I Mean?)

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■曲名:Waltz for Debby
■曲名邦題:ワルツ・フォー・デビイ
■アルバム名:Know What I Mean?
■アルバム名邦題:ノウ・ホワット・アイ・ミーン
■動画リンク:「Waltz for Debby」

ビル・エバンスが書いた著名なジャズ・スタンダードです。

このアルバムはビル・エバンスとの共演作です。

そのせいかジャケットにエバンスの「サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード(Sunday At The Village Vanguard)」の写真が飾られていますね。

この曲の決定版はエバンス本人のバージョン。

しかしこちらのバージョンではキャノンボールの演奏もすばらしく、ホーン入りならばこのバージョンがおすすめです。

ビル・エバンスは、とても人気のあるジャズ・ピアニストです。

しかしこれまで私が話したことがあるジャズ・ファンの間では、意外とビル・エバンスを絶賛する人ばかりではありませんでした。

特に明快なスイング感覚を好む人は、手放しで絶賛できないというような。

その点このバージョンはキャノンボールらしい明るい空気感が、時に生真面目になるエバンスを補っています。

 

10位「Work Song」(アルバム:Them Dirty Blues)

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■曲名:Work Song
■曲名邦題:ワーク・ソング
■アルバム名:Them Dirty Blues
■アルバム名邦題:ゼム・ダーティ・ブルース
■動画リンク:「Work Song」

彼はハードバップ期とソウルジャズ期が人気ですが、私は前者の時期が好みです。

それはこの記事の選曲を見ても、お分かりいただけると思います。

ソウルジャズは嫌いではありませんが、私はアドリブを聞いていただきたいと意図しました。

この曲も作曲者のナット・アダレイのハードバップ・バージョンの方が好みかもしれません。

Nat Adderley – Work Song

またソウルジャズやファンキージャズとも呼ばれるこの時期では、以下の曲が特に有名です。

Cannonball Adderley – Mercy, Mercy, Mercy

私はソウルジャズ期では「Them Dirty Blues」が一番好きです。

このアルバムは楽想とアドリブのバランスが良く、ハードバップが好きな方にもおすすめです。

弟のナット・アダレイとも息が合っています。

 

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