今回はデイヴ・グルーシンのランキングを作成しました。
この記事ではフュージョンとAORの曲を中心に選曲しています。
意識して代表曲や有名曲を多めにしてみました。
美しく豊かなメロディをご堪能ください。
- 1 1位「Mountain Dance」(アルバム:Mountain Dance)
- 2 2位「Friends And Strangers」(アルバム:Mountain Dance)
- 3 3位「It Might Be You」(アルバム:Tootsie)
- 4 4位「Haunting Me」(アルバム:Night Lines)
- 5 5位「Catavento」(アルバム:One Of A Kind)
- 6 6位「Early A.M. Attitude」(アルバム:Harlequin)
- 7 7位「Before It’s Too Late (Antes Que Seja Tarde)」(アルバム:Harlequin)
- 8 8位「Bossa Baroque」(アルバム:Night Lines)
- 9 9位「Electro Phantasma」(アルバム:The Electric Horseman (Varèse Sarabande))
- 10 10位「First Time Love」(アルバム:Migration)
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- 13 note・SNS等
1位「Mountain Dance」(アルバム:Mountain Dance)

■曲名:Mountain Dance
■曲名邦題:マウンテン・ダンス
■アルバム名:Mountain Dance(1979年)
■アルバム名邦題:マウンテン・ダンス
■動画リンク:「Mountain Dance」
この曲は、元々同名アルバムに収録されていました。
しかし、ロバート・デ・ニーロが主演した1984年の映画「恋におちて(原題:Falling in Love)」の主題曲としても知られています。
この映画は、どちらも家庭を持つ大人の男女が、慎み深さを保ちながらも強く惹かれ合う様子を描いた作品です。
物語の中で、男性は妻に不倫を問い詰められ「何もしていない」と答えます。すると妻は「その方もっと悪い」と言い、夫を平手打ちしました。
一方、女性も「いっそのこと寝てしまえばよかった」とつぶやいています。
しかし2人は、互いに強く惹かれ合いながらも一線を越えないまま、辛い別れを決心をしました。
以下は、映画のラストの名シーンの動画です(ネタバレあり)。
Robert De Niro – Fall in Love(恋におちて)
この映画は、ロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープという稀代の名優の共演が話題を呼びました。
当初この曲は、仮のBGMとして使われていただけでした。
しかし、デイヴ・グルーシンの新曲に差し替えられることになった時、メリル・ストリープが猛烈に抗議。この曲を残すよう強く訴えたそうです。
結果的に、メリル・ストリープの判断は正しかったと言えるでしょう。
2位「Friends And Strangers」(アルバム:Mountain Dance)

■曲名:Friends And Strangers
■曲名邦題:フレンズ・アンド・ストレンジャース
■アルバム名:Mountain Dance(1979年)
■アルバム名邦題:マウンテン・ダンス
■動画リンク:「Friends And Strangers」
このアルバムはよく彼の最高傑作として挙げられます。
特に高く評価される理由は、代表曲「Mountain Dance」とこの「Friends And Strangers」の存在が大きいと思います。
盟友リー・リトナー作品でもおなじみの「Captain Caribe」も収録されていますし。
このアルバムは個々に印象的な曲が多いように思います。
そのせいか、多くのディスクガイドではよくこのアルバムを見かけます。
私も最高傑作の1枚だと思いますが、それ以上に最初の1枚として推したい作品です。
もしこのアルバムが気に入ったら、アルバム一枚トータルで魅力的なサントラを聞いてみてください。
3位「It Might Be You」(アルバム:Tootsie)

■曲名:It Might Be You
■曲名邦題:君に想いを
■アルバム名:Tootsie(1982年)
■アルバム名邦題:トッツィー
■動画リンク:「It Might Be You」
この曲は洗練とナイーヴさを備えたAORの人気シンガー、スティーブン・ビショップ(Stephen Bishop)がボーカルを務めています。
原題を直訳した「君かもしれない」の方が、この曲の優しくも切ない雰囲気をよく表しているかもしれません。
歌は最初「人生の伴侶たる女性はどこにいるのだろう」と、不安な様子から始まります。
しかし次第に思いが募るにつれ「人生を共に歩む人は君かもしれない」と気付き、最後には「それは君だ」と確信に変わりました。
この曲は、次第に確信へと変わる心の変遷を描いた美しいバラードです。
この曲も、先ほどの「Mountain Dance」と同様に、映画によく合っていると大きな反響を呼びました。
デイヴ・グルーシンはこの曲で作曲、アレンジ、キーボード(ピアノ)、すべて一人で手がけています。
彼はプロデューサー気質の人で、曲のイメージに合った歌詞を依頼し、最適なシンガーを起用し、この曲をうまくまとめ上げました。
プレイヤーとしても超一流でありながら「総合力」を備えた人といえるかもしれません。
4位「Haunting Me」(アルバム:Night Lines)

■曲名:Haunting Me
■曲名邦題:ホーンティング・ミー
■アルバム名:Night Lines(1984年)
■アルバム名邦題:ナイト・ラインズ
■動画リンク:「Haunting Me」
こちらもボーカル入りの曲です。
歌っているのはランディ・グッドラム(Randy Goodrum)で、スティーブン・ビショップと似た系統のシンガーです。
サウンドトラックではありませんが、やはりどこか映画的な雰囲気を感じます。
デイヴ・グルーシンにはいくつかベスト盤がありますが、どれも代表曲がコンパクトにまとまっている感じはしません。
彼はオーケストラやジャズ色の強い作品もあって、それらにも良い曲が沢山あります。
しかしベスト・アルバムとしてまとめる時その幅広さは不利に働き、その結果ベスト盤としてトータルの魅力に繋がりにくいように思います。
私はヒット曲や有名曲を過度に優遇しませんが、今回はそうした事情を考慮して、あえてベスト盤的な選曲にしてみました。
ただある程度曲調を統一した方が良いと考え、フュージョンとAORの曲を中心にしました。
5位「Catavento」(アルバム:One Of A Kind)

■曲名:Catavento
■曲名邦題:カタヴェント
■アルバム名:One Of A Kind(1977年)
■アルバム名邦題:ワン・オブ・ア・カインド
■動画リンク:「Catavento」
この曲を聞いたことがある方は意外と少なくないかもしれません。
それもそのはず、この曲はテレビ番組『鶴瓶・新野のぬかるみの世界』のテーマ曲に使われたそうです。
さて日本でデイヴ・グルーシンが知られている理由としては、渡辺貞夫との共演が大きいかもしれません。
渡辺貞夫と共演した楽曲は、以下の記事で聞くことができます。
この曲はナベサダと共演した時のように、明るい雰囲気と軽やかさが魅力的です。
デイヴ・グルーシンは、シリアスやテクニックに偏ったタイプのアーティストではありません。
ジャズを土台とし時にブラジル音楽に影響を受けながらも、常にメロディを大切にする人でした。
この曲が発表された1977年当時は、スムースジャズという言葉はまだ存在していませんでしたが、既にそういう音楽性を確立していたといえます。
このアルバムからもう1曲ご紹介しましょう。
6位「Early A.M. Attitude」(アルバム:Harlequin)

■曲名:Early A.M. Attitude
■曲名邦題:アーリー A.M. アティテュード
■アルバム名:Harlequin(1985年)
■アルバム名邦題:ハーレクイン
■動画リンク:「Early A.M. Attitude」
デイヴ・グルーシンは、よくボブ・ジェームスと比較されます。
両者について詳しく書くと長くなってしまうので、ここでは一点だけ触れたいと思います。
それはデイヴ・グルーシンの方が「映画的」であるということ。
その印象は、単にデイヴ・グルーシンが多くのサウンドトラックを手がけているからというだけではありません。
そもそもこの人のアルバムは、映画とは関係ない作品ですらサウンドトラックっぽいと感じます。
たとえば先ほど紹介した「Mountain Dance」やこのアルバムはサントラではありませんが、不思議と映画的な感じがしないでしょうか。
さてこのアルバムはリー・リトナーとの共同名義作品。
リー・リトナーについては、以下の記事も合わせてどうぞ。
共同名義なので年が近いと思われるかもしれませんが、両者はかなり年の差があります。
デイヴ・グルーシンとリー・リトナーは17歳違いですから、実は親子ほど年が離れているのですね。
年上のデイヴ・グルーシンは、リー・リトナーの才能をいち早く見抜き重用しました。
リー・リトナーはその期待に応え、後にデイヴ・グルーシンのレーベル、GRPレコードの看板アーティストへと成長しました。
フュージョン界最強の師弟関係と言っても過言ではないかもしれません。
7位「Before It’s Too Late (Antes Que Seja Tarde)」(アルバム:Harlequin)

■曲名:Before It’s Too Late (Antes Que Seja Tarde)
■曲名邦題:ビフォア・イッツ・トゥー・レイト
■アルバム名:Harlequin(1985年)
■アルバム名邦題:ハーレクイン
■動画リンク:「Before It’s Too Late (Antes Que Seja Tarde)」
この曲にはブラジルのアーティスト、イヴァン・リンス(Ivan Lins)が参加しています。
前述した通り、このアルバムはデイヴ・グルーシンとリー・リトナーの共同名義です。
しかしその中でイヴァン・リンスは自身が作曲した3曲に参加し、ボーカルも担当しています。
イヴァン・リンスについて興味のある方は、以下の記事も合わせてどうぞ。
このアルバムでイヴァン・リンスが参加した3曲は、決定的な違いを生み出しました。
デイヴ・グルーシンとリー・リトナーはLAフュージョンの代表格で、どちらかといえば両者は職人気質のアーティスト。
一方、イヴァン・リンスはブラジルらしいアイデンティティを持った天才肌のアーティストです。
出身国とタイプの違うアーティストが融合したこの曲は、言葉本来の意味でフュージョンでありクロスオーヴァーと呼ぶにふさわしいように思います。
8位「Bossa Baroque」(アルバム:Night Lines)

■曲名:Bossa Baroque
■曲名邦題:ボサ・バロック
■アルバム名:Night Lines(1984年)
■アルバム名邦題:ナイト・ラインズ
■動画リンク:「Bossa Baroque」
この曲は、バロックとボサノヴァを融合させた異色のハイブリッド作品です。
発表は1984年。個人的にはその少し前ぐらいから、デジタル処理された音がキツいと感じます。
私は一部を除き1983年から1989年ぐらいまでのデジタル全盛期の質感が、あまり好きではありません。
しかしグルーシンはその時期一部デジタル色を取り入れつつも、時代の音に飲み込まれずうまく取り入れるバランス感覚を備えた人でした。
たとえばこの曲が良い例です。
リズムはやや無機質ですが、それがうまく機能しており、むしろ無機質さを魅力に転化しています。
デジタル処理が「悪くない」どころか「デジタルだからこそ良い」と思える数少ない例外です。
同様の例で他に思い付くのは、後半無機質なリズムが暴走する以下の曲でしょうか。
9位「Electro Phantasma」(アルバム:The Electric Horseman (Varèse Sarabande))

■曲名:Electro Phantasma
■曲名邦題:エレクトロ・ファンタズマ
■アルバム名:The Electric Horseman (Varèse Sarabande)(1979年)
■アルバム名邦題:出逢い
■動画リンク:「Electro Phantasma」
この曲はフュージョンに分類できるかギリギリかもしれません。
ちなみに、今回選曲しなかったフュージョン以外で私が好きな曲は、以下の通り。
【ファンキーな曲】
Dave Grusin – Nothing But a Groove
【ジャズの曲】
Dave Grusin – Fascinating Rhythm
【オーケストラの曲】
Dave Grusin – Cuba Libre
映画音楽の仕事が多いアーティストの場合、どうしても多様なジャンルが混在するのは仕方ありません。
以前書いたエンニオ・モリコーネやフランシス・レイの記事でも、幅広い曲調が混在する記事になりました。
ただその中でデイヴ・グルーシンは、比較的フュージョンのイメージが強い人です。
そのため今回はその領域に絞ってランキングを作成しましたが、全体像をつかみたい方は上記の曲もチェックしてみてください。
10位「First Time Love」(アルバム:Migration)

■曲名:First Time Love
■曲名邦題:ファースト・タイム・ラヴ
■アルバム名:Migration(1989年)
■アルバム名邦題:マイグレーション
■動画リンク:「First Time Love」
今回改めて聞き直してみて、デイヴ・グルーシンの音楽は日本人好みだと感じました。
彼が紡ぎ出すリリカルで美しいメロディは、日本人のセンチメントと非常に相性が良いと思います。
じっくり集中して聞いても良いけれど、BGMとしても日常の様々なシーンで機能しますし。
この記事では前半は典型的なグルーシンらしい曲を中心に、後半は少し曲調に幅を持たせてみました。
そして最後を締めくくるのにふさわしいと思ったのがこの曲。
この曲には久石譲にも通じる「和の情緒」があります。
この曲名「First Time Love」は「初めての恋」という意味ですが、ドキドキする胸の高鳴りというより、静かに沸き起こる愛おしさが表現されています。
まるで曲を通じて、曲の登場人物の温厚な人柄が伝わってくるかのよう。
彼の音楽はごく自然に物語や人間の機微を表現していて、つくづく映画音楽に向いている人だと感じます。
デイヴ・グルーシンは、音楽そのものが映画的な人でした。
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