今回はジミー・クリフのランキングを作成しました。
この人は「The Harder They Come」「Many Rivers To Cross」「I Can See Clearly Now」ばかりが、語られがちかもしれません。
確かにそれらもすばらしい曲だと思います。
今回は一面で語られがちなこの人について、様々な側面ひ光を当てたいと思います。
- 1 1位「Many Rivers To Cross」(アルバム:In Concert – The Best Of Jimmy Cliff)
- 2 2位「The Harder They Come」(アルバム:The Harder They Come)
- 3 3位「Footprints」(アルバム:Give Thankx)
- 4 4位「Guns of Brixton」(アルバム:Rebirth)
- 5 5位「On My Life」(アルバム:The Emi Years 1973-1975)
- 6 6位「You Can Get It If You Really Want」(アルバム:The Harder They Come)
- 7 7位「Sufferin’ In The Land」(アルバム:The Best of Jimmy Cliff)
- 8 8位「Wild World」(アルバム:The Best of Jimmy Cliff)
- 9 9位「Music Maker」(アルバム:The Emi Years 1973-1975)
- 10 10位「Can’t Stop Worrying, Can’t Stop Loving You」(アルバム:Struggling Man)
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1位「Many Rivers To Cross」(アルバム:In Concert – The Best Of Jimmy Cliff)
■曲名:Many Rivers To Cross
■曲名邦題:メニー・リヴァース・トゥ・クロス(遥かなる河)
■アルバム名:In Concert – The Best Of Jimmy Cliff
■アルバム名邦題:ベスト・オブ・ライヴ!
■動画リンク:「Many Rivers To Cross」
完全不滅、不朽の名曲です。
曲名は「渡らなければいけない多くの川」という意味。
人生には様々な困難があって、時には途方に暮れてしまうけれど、自分の意志を固く持って、その川を渡っていこうと訴えています。
彼がイギリスで成功しようと奮闘していた時の気持ちを歌った曲のようです。
彼はその後、成功を収めることができました。
イントロからオルガンをバックに、ハイトーン・ボーカルが始まります。
彼のボーカルは、高音が美しいですね。
オルガンやギター・ソロ演奏を差し挟みながらの7分余り、女性コーラスを背負った歌に聞きほれてしまいます。
アーネスト・ラングリン(Ernest Ranglin)を中心とした演奏陣も上質。
他にも「ワンダフル・ワールド、ビューティフル・ピープル(Wonderful World, Beautiful People)」「アンダー・ザ・サン、ムーン・アンド・スター(Under The Sun, Moon And Stars)」など、名曲がぎっしり詰まったライブ・アルバムです。
前者はランクイン予定でしたが、音源が見つからずご紹介できませんでした。
この曲が気に入った方は、ぜひアルバム単位でチェックしてみてください。
2位「The Harder They Come」(アルバム:The Harder They Come)
■曲名:The Harder They Come
■曲名邦題:ザ・ハーダー・ゼイ・カム
■アルバム名:The Harder They Come
■アルバム名邦題:ザ・ハーダー・ゼイ・カム
■動画リンク:「The Harder They Come」
このアルバムは、同名映画のサウンドトラックです。
映画はペリー・ヘンゼル監督によるジミー・クリフ主演作。
ジミーはレゲエ・シンガーとして成功しようと、田舎から出てきた青年を演じています。
彼はキングストンで横行している搾取のシステムから自由になろうともがきながらも、成功を目指して奮闘しています。
生きるために犯罪に手を染める一方で、彼はチャンスをつかみ、スターダムを駆け上がっていきました。
この映画はジャマイカの現状を発信したことで注目を浴びましたが、音楽も注目の的でした。
「ロッカーズ(Rockers)」と並ぶ、レゲエ映画の最高峰といえるでしょう。
この映画が公開されたのは1972年ですから、エリック・クラプトン(Eric Clapton)が「アイ・ショット・ザ・シェリフ(I Shot the Sheriff)」をヒットさせる2年前です。
翌年1973年には、ボブ・マーリィ(Bob Marley)がデビューしています。
つまりこのアルバムが、レゲエ・ブームの火付け役となったのですね。
ジミーには他にライブの模様を収録した「ボンゴマン(Bongo Man)」という映画もあります。
3位「Footprints」(アルバム:Give Thankx)
■曲名:Footprints
■曲名邦題:フットプリント
■アルバム名:Give Thankx
■アルバム名邦題:ギヴ・サンクス
■動画リンク:「Footprints」
一転ファルセット・ボーカルの曲です。
彼の最高傑作については「The Harder They Come」か「In Concert – The Best Of Jimmy Cliff」とで、意見が二分されています。
ただこの2枚以外聞いたことがない方も少なくないかもしれません。
私はこの作品について、最高傑作の一角に入るべき作品だと思います。
上の2枚は定番中の定番ですが、このアルバムはそれらと同等に評価されるべき傑作だと思います。
このアルバムの魅力は、スケールの大きさと精神的な開放感です。
レゲエというよりアフリカ回帰色の強い作品といえるでしょう。
私はこの曲を最も気に入っていますが、他にも「Universal Love (Beyond the Boundries)」などの名曲が収録されています。
4位「Guns of Brixton」(アルバム:Rebirth)
■曲名:Guns of Brixton
■曲名邦題:ガンズ・オブ・ブリクストン
■アルバム名:Rebirth
■アルバム名邦題:再生~REBIRTH
■動画リンク:「Guns of Brixton」
2012年のアルバムからの選曲です。
1980年代以降の主だった彼の業績をまとめておきましょう。
アルバム「パワー・アンド・ザ・グローリー(The Power and the Glory)」とシングル「レゲエ・ナイト(Reggae Night)」のヒット
アルバム「クリフハンガー(Cliff Hanger)」で、グラミー賞受賞
映画「クール・ランニング(Cool Runnings)」の主題歌「アイ・キャン・シー・クリアリー・ナウ(I Can See Clearly Now)」の大ヒット
Jimmy Cliff – I Can See Clearly Now
それらの曲も悪くありませんが、私は「この男はもっとどエラい奴だ」という思いがありました。
そんな時にリリースされたのが、このアルバム。
このアルバムではなんと、ランシド(Rancid)のティム・アームストロング(Tim Armstrong)がプロデュースしています。
今回ご紹介したこの曲は、ザ・クラッシュ(The Clash)のカバー。
2:17からボブ・ディラン(Bob Dylan)っぽい歌い方をしているところがいいですね。
久々の快作といえる出来です、
5位「On My Life」(アルバム:The Emi Years 1973-1975)
■曲名:On My Life
■曲名邦題:オン・マイ・ライフ
■アルバム名:The Emi Years 1973-1975
■動画リンク:「On My Life」
彼は1972年「The Harder They Come」でブレイクしました。
翌年1973年にはボブ・マーリィが世界に衝撃を与え、同年ジョン・レノンは「1970年代はレゲエの時代になる」という有名な言葉を残しています。
今ではレゲエは、1つのジャンルとして定着した感があります。
しかし当時のレゲエは、もっと得体の知れない音楽でした。
英米のロック・ポップスとは違った、深遠でポテンシャルの高い音楽というような。
しかし当時の彼はカリスマとしてふるまうことはありませんでした。
世界中のルードボーイを夢中にした「The Harder They Come」も、そういう役を演じていただけです。
本来の彼はもっと大らかで、屈託のない音楽をやる人でした。
こういう曲を聞いて、拍子抜けした人もいたかもしれません。
しかし私は、こういうナチュラルでポップな彼も大好きです。
イントロから軽やかなフルートが、曲を終始リードしていますね。
世界が求めていたイメージとは違っていたと思いますが、これはこれですばらしい曲だと思います。
6位「You Can Get It If You Really Want」(アルバム:The Harder They Come)
■曲名:You Can Get It If You Really Want
■曲名邦題:ユー・キャン・ゲット・イット
■アルバム名:The Harder They Come
■アルバム名邦題:ザ・ハーダー・ゼイ・カム
■動画リンク:「You Can Get It If You Really Want」
このアルバムは、レゲエ史上に残る傑作です。
昔私が持っていたランキング形式のレゲエ・ディスクガイドでは、このアルバムが1位でした。
この作品に収録されているのは、ジミーだけではありません。
当時のレゲエの名曲ばかりを収録したオムニバス・アルバムですから。
12曲収録されていますが、半数がジミーの曲で、残りは他のアーティストの曲です。
特に以下の曲は、レゲエの歴史に残る名曲だと思います。
The Melodians – Rivers of Babylon
The Slickers – Johnny Too Bad
The Maytals – Pressure Drop
ジミーは他にもアメリカのシンガーソングライターによくカバーされた「Sitting in Limbo」などの佳曲を提供しています。
Jimmy Cliff – Sitting in Limbo
今回選んだ「You Can Get It If You Really Want」には、当時のジミーの勢いが感じられます。
「本当に君が望めば、それを得ることができる」という曲名もいいですね。
7位「Sufferin’ In The Land」(アルバム:The Best of Jimmy Cliff)
■曲名:Sufferin’ In The Land
■曲名邦題:サッファリン・イン・ザ・ランド
■アルバム名:The Best of Jimmy Cliff
■アルバム名邦題:ザ・ベスト ~ ジミー・クリフ
■動画リンク:「Sufferin’ In The Land」
彼は1962年にシングル「Hurricane Hatty」デビューしています。
しばらくシングル数枚をリリースしていましたが、それほどヒットをした形跡はありません。
当時はこんなこともしていたそうです。
ジャマイカがイギリスから独立した年でもある1962年にデビュー。同年には、「ディアレスト・ビヴァリー」を発表。同名のレストランに売り込みをかけ、レコーディング費用を捻出したというエピソードがある。
なかなかのアイデア・マンではないでしょうか。
1965年彼はイギリスに渡り、そこでようやくファースト・アルバム「ハード・ロード・トゥ・トラベル(Hard Road to Travel)」を発表しました。
「Hard Road to Travel」とは「旅行への困難な道」という意味ですが、渡英するまで苦労したのですね(笑)
ともあれデビューしてからは、コンスタントにアルバムをリリースできるようになりました。
それが後のブレイクに繋がったというわけです。
当時は地道に実績を積み上げていた時期ですが、後にヒットする曲の多くはこの時期に書かれています。
この曲は「The Harder They Come」への収録は見送られましたが、なかなか楽しい曲ではないでしょうか。
8位「Wild World」(アルバム:The Best of Jimmy Cliff)
■曲名:Wild World
■曲名邦題:ワイルド・ワールド
■アルバム名:The Best of Jimmy Cliff
■アルバム名邦題:ザ・ベスト ~ ジミー・クリフ
■動画リンク:「Wild World」
初期の彼のアルバムの多くはCD化されていなかったり、現在入手が困難です。
私もほとんど入手できていません。
そこでベスト盤や編集盤が重宝されるわけですが、何枚か出ているベスト盤ではこのアルバムが一番良いと思います。
彼のこの曲も、このバージョンが一番好きです。
しかしこのアルバム・ジャケットでは、実に良い笑顔をしていますね。
実はコアなレゲエ・ファンと話しても、この人の話題になることは多くありません。
1970年代のレゲエが持っていた濁りみたいなものがありませんし、曲がポップすぎるせいもあるかもしれません。
以下の曲もポップスみたいですが、私は好きですけどね。
Jimmy Cliff – Let Your Yeah Be Yeah
また彼はラスタファリアンではなくブラック・モスリムであることも、レゲエ好きが敬遠する理由の1つかもしれません。
普通のレゲエ・ミュージシャンとは、少し違った魅力を持った人だと思います。
9位「Music Maker」(アルバム:The Emi Years 1973-1975)
■曲名:Music Maker
■曲名邦題:ミュージック・メイカー
■アルバム名:The Emi Years 1973-1975
■動画リンク:「Music Maker」
今回は初期の曲を多めにしようと思いました。
というのは、注目されていない割に良い曲が多いと思ったからです。
たとえばこの曲などはいかがでしょうか。
当時ボブ・マーリーは、レゲエのメッセージ性をすぐれた楽曲に乗せて、世界に発信していました。
一方先行していたはずのジミー・クリフは、こんなたわいない曲を歌っていました。
当時の彼はボブ・マーリーのライバルだと言われていましたが、音楽的には全くタイプが違います。
ジミーの音楽には楽天性と開放的でナチュラルな魅力がありました。
それが後に1978年の大傑作「Give Thankx」として結実するのですが、同じ年マーリーもよりナチュラル色を強めた「カヤ(Kaya)」を発表しています。
1970年代を牽引してきた両者が、最も接近した時期かもしれません。
しかしこのカリスマの2人がレゲエ・シーンをリードしていた1970年代は、レゲエにとってつくづく幸せな時代だったと思います。
10位「Can’t Stop Worrying, Can’t Stop Loving You」(アルバム:Struggling Man)
■曲名:Can’t Stop Worrying, Can’t Stop Loving You
■曲名邦題:キャント・ストップ・ウォ-リング
■アルバム名:Struggling Man
■アルバム名邦題:ストラグリン・マン
■動画リンク:「Can’t Stop Worrying, Can’t Stop Loving You」
最後に私的名曲をご紹介しておきましょう。
気に入っていただける方は少ないかもしれませんが、ごく一部の人には強くアピールする曲だと思います。
この曲はレゲエではなく、ディープ・ソウルに近いかもしれません。
このアルバムは、少し変わった構成になっています。
前半はレゲエ色が強く、後半はソウル色が強い曲が並んでいます。
この曲はレコードでいえばB面の曲で、ゴスペルの影響が感じられる曲です。
デイブ・メイソン(Dave Mason)カバーで、少し長い曲ですが、聞いていると身体の芯からじんわりと熱くなってきます。
今回彼の曲を聞きなおして思ったのは、この人は根っからのシンガーだということです。
彼はまず歌ありきなのですね。
彼の曲を聞くと、歌うことの喜びを強く感じます。
売れ線に走ったと言われた「クリフ・ハンガー(Cliff Hanger)」にさえ「Now and Forever」という、じっくり聞かせる曲があります。
確かにこの人は、純粋なレゲエとは言いがたいかもしれません。
しかし彼は歌の力で多くの人を魅了し、レゲエの普及に大きく貢献しました。
やはりボブ・マーリィのライバルは、この人しかいません。
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