エレファントカシマシ(THE ELEPHANT KASHIMASHI)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回は、エレファントカシマシのランキングを作成しました。

もしかしたらヒット以前の曲をご存じない方は、後半の曲に面を食らうかもしれません。

私はそれら後半の曲を聞いていただきたくて、この記事を書きました。

なおスタジオ録音の動画が見つからないため、ライブ・バージョンでご紹介している曲もあります。

 

1位「今宵の月のように」(アルバム:明日に向かって走れ-月夜の歌-)

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■曲名:今宵の月のように
■アルバム名:明日に向かって走れ-月夜の歌-(1997年)
■動画リンク:「今宵の月のように」

この記事では、上位5曲にヒットしたポニーキャニオンと東芝EMI時代の曲、後半5曲に不遇だったEPICソニー時代の曲を配置しています。

最初に聞きやすい曲で耳を慣らしてから、人を選ぶ後半の曲を聞いていただいた方がいいと思ったからです。

後半の一部の曲は、いきなり聞くと面を食らってしまうだけでなく、拒否反応が出てしまうかもしれません。

さてこの「今宵の月のように」は、江角マキコ主演のフジテレビ系ドラマ「月の輝く夜だから」の主題歌として書き下ろされました。

当初は主演女優の江角マキコに合わせて「女性目線の歌詞で曲を作ってほしい」とオファーされていました。

しかし宮本浩次はどうしても女性の気持ちが分からず、試行錯誤した結果、いつも通り「ゴリゴリの男目線の曲」を提出しました。

なにせ曲の出だしからして「くだらねえとつぶやいて 醒めたつらして歩く」(作詞:宮本浩次)ですし(笑)。

それにもかかわらずあまりに曲が素晴らしかったためそのまま採用され、結果的に大ヒットとなりました。

いかにも不器用な宮本浩次らしいエピソードではないでしょうか。

 

2位「ガストロンジャー」(アルバム:good morning)

■曲名:ガストロンジャー
■アルバム名:good morning(2000年)
※動画はライブバージョンです
■動画リンク:「ガストロンジャー」

初期のEPICソニー時代の彼らは渋谷陽一氏の猛プッシュにもかかわらず、セールス面でとても苦戦しました。

その時期のアルバムの最高位は43位、シングルの最高位は93位にすぎません。

そのため彼らはEPICソニーから契約を打ち切られました。つまりクビになったのですね。

しかし幸いにもポニーキャニオンと契約することができ、彼らは今度こそ売れるバンドになると決意しました。

ただ、古参のファンは必ずしもこの変化を歓迎しませんでした。

売れてからの曲のすばらしさは認めざるを得ないものの、内心は複雑だったと思います。

そんな折見透かしたように放たれた、このぶち切れた曲はそうした不満に対する会心の一撃となり、古参ファンは溜飲を下げました。

売れずにクビになった後の彼らは、多くの人に支持される人気バンドに上り詰めました。

初期を支えていた古くからのファンは、その時既に少数派だったかもしれません。

しかし宮本浩次は、この曲で物足りなく感じていたファンを力ずくで納得させました。

あまりにも見事な伏線回収と言わざるを得ません。

 

3位「悲しみの果て」(アルバム:ココロに花を)

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■曲名:悲しみの果て
■アルバム名:ココロに花を(1996年)
■動画リンク:「悲しみの果て」

売れるバンドに変わろうとしていた時、共同プロデューサーとして参加したのが佐久間正英です。

佐久間正英は、BOØWYやTHE BLUE HEARTSをはじめとする多くの人気バンドを手がけた名プロデューサーです。

彼自身も、四人囃子やプラスチックスのメンバーとして活躍した、アーティスティックな実力派プロデューサーでした。

しかし彼は、自分のエゴや自意識がプロデュース作品に出ないことを美学とする人でした。

自分の刻印を押さないタイプで、その代わりにアーティストの魅力を引き出したり、足りない点を補うことを得意としていました。

その点でプロデューサーとしてのエルヴィス・コステロ(Elvis Costello)のスタンスと似ているかもしれません。

佐久間正英は独りよがりに陥りがちだったバンドのバランスを調整し、宮本浩次のソングライティングと歌声の新たな魅力を引き出して、ヒットする下地を整えました。

ただ佐久間正英のそのスタイルは、アーティストの素材が良くなくては成立しにくいかもしれません。

その点、エレカシは素材が飛び抜けていました。

素材を活かせるプロデューサーとの出会いで、バンドは存続の危機を乗り越えました。

2014年に佐久間氏が亡くなった際、バンドは大きな悲しみに包まれました。

その後、2015年に日比谷野外音楽堂で行われたライブで、宮本浩次は佐久間氏がプロデュースした「月夜の散歩」を歌う際、佐久間氏の思い出が脳裏をよぎり、涙で歌えなくなってしまった一幕がありました。

 

4位「風に吹かれて」(アルバム:明日に向かって走れ-月夜の歌-)

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■曲名:風に吹かれて
■アルバム名:明日に向かって走れ-月夜の歌-(1997年)
■動画リンク:「風に吹かれて」

このアルバム名の「明日に向かって走れ」は、吉田拓郎の同名曲から取られています。

吉田拓郎 – 明日(あす)に向って走れ

ちなみに「風に吹かれて」という曲名は、ボブ・ディラン(Bob Dylan)から取られています。

あと宮本浩次に影響を与えた人物で重要なのは、RCサクセションの忌野清志郎です。

宮本浩次の歌を聞くと、その影響があまりにも顕著すぎてほほえましく感じられるほど。

彼は歌謡曲やレッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)などオールド・ロックの影響を受けていて、そこに文学的な独自色を加えました。

その結果様々な影響を受けながら彼の個性が出来上がりました。

多くのアーティストは先人から強く影響されています。

しかし優れたアーティストは、その影響を通じて自分の個性をつちかっていくもの。

宮本浩次が様々な影響を消化した様子を思うにつけ、こうやって良い音楽が継承されていくのだと感じます。

 

5位「ヒトコイシクテ、アイヲモトメテ」(アルバム:愛と夢)

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■曲名:ヒトコイシクテ、アイヲモトメテ
■アルバム名:愛と夢(1998年)
■動画リンク:「ヒトコイシクテ、アイヲモトメテ」

宮本浩次がポニーキャニオン時代にメロディメイカーの才を開花させたのは、うれしい誤算だったといえるかもしれません。

そもそも彼は人一倍こびることを嫌う人でした。

ライブでもよく客と喧嘩しては演奏を止めていましたし。

しかし前レコード会社をクビになって無職になった時、彼はこのままではいけないと強く感じたようです。

これまで外に向けられていた攻撃的なメッセージは、売れて認められる方向へと180度転換しました。

そんな時、彼は子供の頃に親しんだ歌謡曲を思い出したようです。

宮本浩次は小学校時代、NHK東京児童合唱団に所属しており、昭和歌謡曲を愛する少年でした。

この曲のメロディには、そうした歌謡曲からの影響を感じます。

彼は窮地の時、音楽業界で生き延びる武器となるソングライティング力を開花させたのですね。

 

6位「ファイティングマン」(アルバム:THE ELEPHANT KASHIMASHI)

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■曲名:ファイティングマン
■アルバム名:THE ELEPHANT KASHIMASHI(1988年)
※動画はライブバージョンです
■動画リンク:「ファイティングマン」

ファースト・アルバムの曲です。

上に引用した動画は1988年9月10日、つまりデビューと同じ年のライブ映像です。

動画を見て「おかしい」と感じる方は少なくないかもしれません。

こんな熱い曲を演奏しているのに観客はとても静かで、ほとんど動いていないように感じられるからです。

当時の宮本浩次は、よく観客に喧嘩を売っていました。

喧嘩のきっかけは観客の野次の時もありましたが、手拍子禁止・立つこと一切禁止・一緒に歌うの禁止といった、宮本浩次のマイルールに起因するケースが少なくありませんでした。

宮本浩次の「黙って聞けよ、この奴隷が」といった罵倒は数知れず、1曲でライブを強制終了することもあったそうです。

そのため当時のエレカシのライブは、いつ打ち切られてもおかしくない緊張感が漂っていたといいます。

動けず静まり返った客席を宮本浩次がにらみつけながら歌う、そんな異様な空間だったのですね(笑)。

この動画からもそうした不自然な空気感がうかがえます。

 

7位「花男」(アルバム:THE ELEPHANT KASHIMASHI)

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■曲名:花男
■アルバム名:THE ELEPHANT KASHIMASHI(1988年)
■動画リンク:「花男」

ポニーキャニオン時代の彼らは人気バンドになりましたが、音楽的という点ではその頃の方が上かもしれません。

しかし初期のEPICソニー期の曲には、おおよそ音楽的とはいえない情念と独りよがりの思い込み、攻撃性がごちゃまぜで、音で殴りかかってくるようなところがありました。

音楽的とは言い難いけれどそれゆえに良い、そんな感じの音楽です。

そもそも宮本浩次という男には変な話「間違った言動ゆえに魅力的」みたいな側面があります。

昔の私はなぜかこの種の人と相性が良くて、今思えばかなり宮本浩次に似たタイプの友達が数人いました。

その時の経験からこういう人の中には人間的におもしろみがあったり、才能のある人が少なくなかったように思います。

私は田中宗一郎を批判したり、宮本浩次についてもいかがなものかと思うことがあります。

しかし同時に実際に会って酒を飲んだら楽しいだろうなと思ったりも。

そんな無法者と相性の良い私は、エレカシでこの曲が一番好きです。

 

8位「珍奇男」(アルバム:浮世の夢)

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■曲名:珍奇男
■アルバム名:浮世の夢(1989年)
■動画リンク:「珍奇男」

初期の彼らの音楽には、文学的な影響が色濃いという特徴がありました。

当時宮本浩次は、太宰治や永井荷風、森鴎外、夏目漱石といった文豪を愛読していたようです。

彼がそれらの文豪に共感したのは表現そのものだけでなく、世間になじめない自分や高すぎる理想を抱え、それゆえに高踏主義やデカダンスに傾倒した点にもあったと思われます。

この頃の宮本浩次には、日本語のロックに対する純粋で強すぎるこだわりがありました。

絶対にこびたくはない。独りよがりと言われてむしろ胸を張る。

認められたいものの、それが難しいことには薄々気づいており、焦りから自虐や自嘲に走りつつも、やはり認められたい、自分は評価されてしかるべきだという矛盾を抱えていました。

そうした悪酔いのような思い込みと葛藤は、時にとんでもない強烈な表現を生みました。

この頃の曲には、追い詰められた者特有の常人離れしたパワーを感じます。

この当時彼らの音楽には、煮ても焼いても喰えないような曲に力ずくでねじ伏せられ、結果的にどハマりしてしまう快感がありました。

 

9位「奴隷天国」(アルバム:奴隷天国)

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■曲名:奴隷天国
■アルバム名:奴隷天国(1993年)
※動画はライブバージョンです
■動画リンク:「奴隷天国」

この曲には、他のメンバーの存在を感じます。

このバンドの体制は、普通のバンドとはかなり性質が違います。

普通のバンドでは合議制で民主的な運営が多いと思いますが、このバンドは宮本浩次の独裁体制です。

通常、独裁的な運営体制はネガティブに語られがちかもしれません。

しかしこのバンドでは、それが必ずしも悪い意味ではないかもしれません。

まずこのバンドは、宮本浩次の圧倒的な個の力を土台としています。

バンドをクビになった時も、宮本浩次への信頼が浮かび上がったそうです。

1994年宮本浩次は他のメンバーをデニーズに呼び、レコード会社からクビにされたことを伝えました。

その時もバンドのメンバーは言葉少なく、宮本浩次を非難するどころか、「これからどうする」という不安や「バンドを辞めたい」とも言いませんでした。

宮本浩次はそのメンバーの様子を見て確信し「この4人で絶対売れてやろう」と言ったそうです。

宮本浩次はソロの方がレコード会社に拾ってもらいやすかったかもしれません。

しかし宮本浩次の「俺様主義」がそれを許しませんでした。

 

10位「東京の空」(アルバム:東京の空)

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■曲名:東京の空
■アルバム名:東京の空(1994年)
■動画リンク:「東京の空」

この曲は動画が見つからず、2分程度短縮されたバージョンしか見つかりませんでした。

この曲では、奇才近藤等則のトランペットと宮本浩次の歌と拮抗し、壮大なスケール感を生んでいます。

宮本浩次の歌は、ぶっとい髪の毛のような生命力が魅力です。

あまりに過剰なその歌声は、こうしたスケールの大きい曲の方がポテンシャルが引き出されるのかもしれません。

この後バンドは楽曲志向を強めて人気バンドになりましたが、この曲はアート方面に進んでも彼らが大成した可能性を示唆しています。

私は売れて良かったと思いますが、同時にそれによって切り捨てられた可能性を惜しんでいます。

私はこの曲の先にある風景を見てみたかったのですね。

宮本浩次は「エレカシで一番好きな曲は何か?」と問われた際、この「東京の空」を挙げたそうです。

この曲では宮本浩次の「俺節」がメロディを超えて強く訴えかけてきます。

この記事では前半は聞きやすい曲を、後半はとっつきにくい曲を配置しました。

しかし前半のメロディの良い曲を通過した後にこの曲を聞くと、売れ線を決意した時の葛藤が伝わってくるような気がしないでしょうか。

型からあふれるこの豊かな奔流を切り捨て、きっちり枠に収めなければいけないのかというような。

それは誰にも訪れる「何かを得るためには、何かを失わなければいけない」といった類の人生の選択だったかもしれません。

最後に、優れたメロディメイカーであることを改めて証明した以下の曲をご紹介して、この記事を終えたいと思います。

エレファントカシマシ – 俺たちの明日

 

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