今回はジョージ・ベンソンのランキングを作成しました。
この人はジャズ/フュージョンギタリストという側面と、ボーカリストとしての側面があります。
今回はどちらも取り上げました。
この度改めて聞きなおしたところ、この人のコアの魅力はフィーリングに優れていることと、ニューアンスに富んでいることだと思いました。
「フィーリング」や「ニューアンス」という言葉は、非常にあいまいな言葉かもしれません。
しかし彼の曲では、はっきりと具体的な成果として表れています。
このランキングの曲を聞き終わった時には、なんとなく理解していただけるのではないかと思います。
洗練されていてとても聞きやすい一方で、決して味気なくならないのはそのせいです。
その感覚をぜひ体感してみてください。
- 1 1位「Nothing’s Gonna Change My Love for You」(アルバム:20/20)
- 2 2位「Love X Love」(アルバム:Give Me the Night)
- 3 3位「My Cherie Amour」(アルバム:Tell It Like It Is)
- 4 4位「Gonna Love You More」(アルバム:In Flight)
- 5 5位「Breezin’」(アルバム:Breezin’)
- 6 6位「You Are the Love Of My Life」(アルバム:20/20)
- 7 7位「We All Remember Wes」(アルバム:Weekend in L.A.)
- 8 8位「Turn Your Love Around」(アルバム:The George Benson Collection)
- 9 9位「Love Ballad」(アルバム:Livin’ Inside Your Love)
- 10 10位「Flute Song」(アルバム:Benson & Farrell)
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1位「Nothing’s Gonna Change My Love for You」(アルバム:20/20)
■曲名:Nothing’s Gonna Change My Love for You
■曲名邦題:変わらぬ想い
■アルバム名:20/20
■アルバム名邦題:20/20
■動画リンク:「Nothing’s Gonna Change My Love for You」
■Amazon:このアルバムについて、他のレビューを読みたい方はこちらから
硬派なファンは、もっとバリバリとギターを弾いている曲がいいと思うかもしれません。
このランキングでもそういう曲を取り上げています。
しかし一方でこの曲の魅力には抗いがたいものがあります。
この人はジャズ/フュージョンギタリストであると共に、一流のボーカリストでもあります。
ただ彼のボーカルは確かにすばらしいのですが、刻印を押すような強烈な個性はありません。
派手に熱唱するタイプでもありませんし、モノマネできそうな特徴もありません。
きちんとメロディを解釈しているタイプのシンガーだと思います。
私はスバリ仕事人タイプだと思います。
彼はあるセッションにギタリストとして呼ばれて、曲に合いそうな演奏をいくつかした後「どれでも好きなテイクを使ってくれればいいよ」とだけ言って立ち去ったというエピソードがあります。
このエピソードからも分かるとおり、彼には表現者としてのエゴはそれほど強くないのかもしれません。
このテイクを使えと指定したり、ちょっと演奏してすぐに帰るとか、そういうのではなさそうですね。
しかし「俺は俺の仕事をするだけ」という、仕事人としてのプライドを持っている人。
そんな感じでしょうか。
私はこの歌にもそういうプロ意識を感じます。
2位「Love X Love」(アルバム:Give Me the Night)
■曲名:Love X Love
■曲名邦題:愛の幾何学
■アルバム名:Give Me the Night
■アルバム名邦題:ギヴ・ミー・ザ・ナイト
■動画リンク:「Love X Love」
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私が一番好きなアルバムは、このアルバムです。
一応1曲だけに絞りましたが、タイトル曲の「Give Me the Night」やイヴァン・リンス(Ivan Lins)の名曲のカバー「Dinorah, Dinorah」など、名曲が目白押しです。
このアルバムは、マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)との仕事で知られている、クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)がプロデュースを手がけています。
私はクインシー・ジョーンズのプロデュース作品で、いつも感心することがあります。
それは曲の粒をそろえてくるところです。
それに関しては執念みたいなものさえ感じます。
この曲はクインシーの右腕であるヒートウェイヴ(Heatwave)のロッド・テンパートン(Rod Temperton)が曲を提供しています。
なかなかすばらしい楽曲ではないでしょうか。
またこのアルバムでロッド・テンパートンは、ジョージ・ベンソン最大のヒット曲「Give Me the Night」も提供しています。
ジョージベンソンは、素材の良さを活かすことができる名料理人みたいな人です。
この作品では、良い素材を提供することにこだわりを持つクインシーとの相性が良かったと思います。
3位「My Cherie Amour」(アルバム:Tell It Like It Is)
■曲名:My Cherie Amour
■曲名邦題:マイ・シェリー・アモール
■アルバム名:Tell It Like It Is
■アルバム名邦題: テル・イット・ライク・イット・イズ
■動画リンク:「My Cherie Amour」
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もし彼の隠れた名曲を教えてほしいと言われたら、私は真っ先にこの曲を挙げるでしょう。
他には以下のような曲などもおすすめです。
「ホワイト・ラビット(White Rabbit)」アルバム:ホワイト・ラビット(White Rabbit)
「オール・クリアー(All Clear)」アルバム:ビヨンド・ザ・ブルー・ホライゾン(Beyond the Blue Horizon)
あとは10位に挙げた「Flute Song」も隠れた名曲といえるかもしれません。
なにせこの人はアルバムが多いので、隠れた名曲はいくらでも見つかります。
この曲の原曲は、スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)です。ひかえめに言って大名曲です。
先程から彼の歌はクセがないみたいなことを書いていますが、このギターもかなり原曲に忠実な演奏です。
そもそもこの人は、オリジナル曲を魔改造するタイプではありません。
しかし原曲のメロディを改変しないこの演奏はつまらないでしょうか?
おそらくそんなことはないと思います。
メロディこそオリジナルに忠実だけど、演奏に込められたニューアンスの味わい深さが半端ありません。
隠し味が利いた料理みたいな曲です。
4位「Gonna Love You More」(アルバム:In Flight)
■曲名:Gonna Love You More
■曲名邦題:君のとりこに
■アルバム名:In Flight
■アルバム名邦題:イン・フライト
■動画リンク:「Gonna Love You More」
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まずイントロからして、とてもすばらしいです。
このアルバムはヒット作の次のアルバムで、路線もほぼ同じです。
アルバム全体に、前作のヒットをきちんと次につなげようという意志を感じます。
この人はキャリア全般に渡って、ほとんど駄作のない人です。
ただ全盛期といえるのは1976年の「Breezin’」から1983年の「ユア・アイズ(In Your Eyes)」あたりになると思います。
それもこの質の高いアルバムで、前作のヒットをきちんと次につなげたからこそです。
このアルバムではナット・キング・コール(Nat King Cole)で有名な「ネイチャー・ボーイ(Nature Boy)」など、すばらしい曲がずらりとそろっています。
さてこの曲ですが、曲名を訳すと「もっと愛してやるつもりだ」みたいな感じでしょうか。
この人は大変な色男で、実際にかなり女性人気があったようです。
特に1970年代のアルバムジャケットの写真は、まさに色男シリーズという感じがしますね。
色男がすばらしい歌とギターを披露する。まさに絶頂期でした。
5位「Breezin’」(アルバム:Breezin’)
■曲名:Breezin’
■曲名邦題:ブリージン
■アルバム名:Breezin’
■アルバム名邦題:ブリージン
■動画リンク:「Breezin’」
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彼はこのアルバムでブレイクしました。
このアルバム前の最高アルバム順位は51位ですが、このアルバムは世界各国で1位を記録し、シングル「マスカレード(This Masquerade)」も大ヒットしました。
このアルバムは彼の15枚目です。遅咲きだったかもしれません。
成功の要因は、ワーナー・ブラザーズ(Warner Bros.)に移籍して、優秀な制作陣が得られたことです。
キーマンは以下の3人です。
プロデューサー:トミー・リピューマ(Tommy LiPuma)
編曲:クラウス・オガーマン(Claus Ogermann)
録音:アル・シュミット(Al Schmitt)
特にトミー・リピューマは、既にマイケル・フランクス(Michael Franks)を手掛けており、このアルバムと同年にスタッフ(Stuff)のデビューアルバムも担当していました。
洗練された都会派サウンドのプロデュースでは、当時随一の存在でした。
以前は音楽性が一定ではありませんでしたが、ここにきてようやく必勝パターンを見つけたようです。
ジョージ・ベンソンののギターは、とても音色がいいのが特徴です。
それをここまで活かしたプロデュースは、さすがというほかありません。
6位「You Are the Love Of My Life」(アルバム:20/20)
■曲名:You Are the Love Of My Life
■曲名邦題:ラヴ・オブ・マイ・ライフ
■アルバム名:20/20
■アルバム名邦題:20/20
■動画リンク:「You Are the Love Of My Life」
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このアルバムはとにかく参加ミュージシャンが多いです。
数えてみたところ、本人以外に70人のプレイヤーが参加しています。
プロデューサーなどの制作陣も13人参加しています。
私はこんなブログをやっているぐらいですから、アルバム参加プレイヤーを見る機会は多い方だと思いますが、こんなに多いのはとても珍しいです。
名前を挙げるとキリがありませんので挙げませんが、ビッグネームも多数参加しています。
ほとんど映画かというような制作体制です。
この曲はマリーナ・ショウ(Marlena Shaw)とのデュエットです。
何やらドラマで使われていそうな曲だと思っていたところ、実際「Santa Barbara」というメロドラマで使われていた曲だそうです。
日本ではAORファンの間では人気の高い曲です。
この時期のディオンヌ・ワーウィック(Dionne Warwick)に似た感じの曲かもしれません。
7位「We All Remember Wes」(アルバム:Weekend in L.A.)
■曲名:We All Remember Wes
■曲名邦題:我等のウェス
■アルバム名:Weekend in L.A.
■アルバム名邦題:メローなロスの週末
■動画リンク:「We All Remember Wes」
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この曲はライブアルバムからで、歌なしのインストです。
作曲はスティーヴィー・ワンダーとのことですが、スティーヴィーのアルバムには収録されていない曲です。
元々はスティーヴィーが、ロニー・フォスター(Ronnie Foster)のために書いた曲です。
当時ロニー・フォスターは、ジョージ・ベンソンのバンドのメンバーでした。
ロニーはジョージ・ベンソンがウェス・モンゴメリー(Wes Montgomery)亡き後のジャズギター界を背負ってもらいたいという期待を込めて、彼にこの曲を贈ったんだそうです。
ウェス・モンゴメリーとはジャズギターのレジェンドで、1968年に死去しています。
元々ジョージ・ベンソンは、ウェス・モンゴメリーにかなりの影響を受けていますし、二代目ウェス・モンゴメリーとしては最適な人材といえるでしょう。
このアルバムはライブアルバムですが、歌ものに混じってすばらしいギターの腕前を披露してくれています。
アルバムタイトル曲「Weekend in L.A.」とどちらにするか迷いましたが、現時点ではこちらにしておきます。
もし興味のある方は、アルバム単位で聞いてみてください。
おそらく失望することはないと思います。
8位「Turn Your Love Around」(アルバム:The George Benson Collection)
■曲名:Turn Your Love Around
■曲名邦題:ターン・ユア・ラヴ
■アルバム名:G.B.Collection
■アルバム名邦題:The George Benson Collection
■動画リンク:「Turn Your Love Around」
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1970年代に都会的なサウンドで人気を博した彼は、1980年代に入ると徐々にブラックコンテンポラリー(ブラコン)色を強めます。
ブラコンとは、都会的で少し大人向けのソウルミュージックです。
その代表作がこの曲です。
この頃彼は38歳でしたから、そうした路線変更もうなづけますね。
その戦略は功を奏して、この曲は大ヒットしました。
ちなみにこの曲はEAST END×YURIの「DA.YO.NE」のサンプリング元となっていることで有名です。
どこを引用しているのかは、以下でチェックしてみてください。
結構ガッツリ流用していますので、すぐに気がつくと思います。
あと申し上げておきたいのは、このアルバムはただのベスト盤ではないということです。
新曲2曲だけでなく、このベスト盤でしか聞けない曲が数多く収録されていますし、そもそもこの曲もオリジナルアルバムに収録されていません。
ベスト盤嫌いな人も、ぜひチェックしてみていただければと思います。
9位「Love Ballad」(アルバム:Livin’ Inside Your Love)
■曲名:Love Ballad
■曲名邦題:愛のバラード
■アルバム名:Livin’ Inside Your Love
■アルバム名邦題:インサイド・ユア・ラヴ
■動画リンク:「Love Ballad」
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彼のボーカルには1つ、飛び道具といえる武器があります。
それはスキャットです。
スキャットとは「ドゥビドゥビ」などのように、意味のある言葉ではなく、擬音で歌うことです。
「楽器の演奏のように歌うこと」と思っていただいた方がいいかもしれません。
この曲は彼の奔放なスキャットを堪能できる曲です。
スキャットでは、ギターの演奏に少し寄せたイメージで歌っている感じがします。
1:32からスキャットが始まると、彼にしては珍しく熱唱しています。
またギターがスキャットとユニゾンで演奏されていて、本当にすばらしいです。
冒頭で私はこの人はフィーリングに優れた人だと申し上げましたが、この曲を聞けばご納得いただけるかもしれません。
10位「Flute Song」(アルバム:Benson & Farrell)
■曲名:Flute Song
■曲名邦題:地平線のかなたに
■アルバム名:Benson & Farrell
■アルバム名邦題:ベンソン&ファレル
■動画リンク:「Flute Song」
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これは隠れた名曲の1曲です。
このアルバムはジョー・ファレル(Joe Farrell)との共同名義の作品です。
ジョー・ファレルはサックス/フルートプレイヤーですが、ここでは曲名通りフルートの演奏をしています。
このアルバムはCTIから発売されています。
CTI時代は路線がなかなか定まらず、彼が迷走していたと言われている時期です。
ただその頃でも、彼のギターは聞きごたえがあるものが多く、どれも買って損をしないものばかりです。
たとえばこの曲なんかどうでしょう。
1:36からの彼のギターは、なかなかすばらしいです。
今回取り上げた中でも、ギターが一番野性味があって尖っている演奏かもしれません。
後年の余裕のある演奏とはまた違った魅力が感じられるのではないでしょうか。
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