今回はエンニオ・モリコーネのランキングを作成しました。
この人の音楽には不思議な魅力があります。
それは悲しくないのに、聞いているうちに涙腺が刺激されるということ。
ただ音楽を聞いているだけで、自然と自分の人生を重ね合わてしまうような、感情への浸透力があります。
映画音楽という枠を超えて、聞き手に訴えかけてくる種類の音楽かもしれません。
映画音楽の巨匠、モリコーネの名曲をご堪能ください。
- 1 1位「Tema D’amore – Version 2」(アルバム:Nuovo Cinema Paradiso)
- 2 2位「Toto e Alfredo – Version 2」(アルバム:Nuovo Cinema Paradiso)
- 3 3位「Gabriel’s Oboe」(アルバム:The Mission)
- 4 4位「The Untouchables (End Title)」(アルバム:The Untouchables)
- 5 5位「Metti Una Sera a Cena」(アルバム:Metti Una Sera a Cena)
- 6 6位「1900’s Theme」(アルバム:The Legend of 1900)
- 7 7位「Romanzo」(アルバム:Novecento)
- 8 8位「L’Ultimo」(アルバム:Ideato, Scritto e Diretto da Ennio Morricone)
- 9 9位「De Amor Se Muere」(アルバム:Grandes Exitos Musicales de Ennio Morricone – Vol. 1)
- 10 10位「Deborah’s Theme」(アルバム:Once Upon a Time in America)
- 11 11位「La Califfa (Main Theme)」(アルバム:La Califfa)
- 12 12位「Playing Love (Piano Version)」(アルバム:The Legend of 1900)
- 13 番外編 選外となった曲を少々
- 14 ランキング一覧
1位「Tema D’amore – Version 2」(アルバム:Nuovo Cinema Paradiso)
■曲名:Tema D’amore – Version 2
■曲名邦題:ニュー・シネマ・パラダイス 愛のテーマ
■アルバム名:Nuovo Cinema Paradiso
■アルバム名邦題:ニュー・シネマ・パラダイス
■動画リンク:「Tema D’amore – Version 2」
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音楽には音楽の仕事自体をテーマにした曲があります。
たとえばシルバー(Silver)の「ミュージシャン(Musician (Not an Easy Life)」という曲では「ミュージシャンという生き方は楽ではない」と歌われています。
ただ映画ほど多くはありません。
映画では映画をテーマにした作品は、一大ジャンルになっている感があります。
こんなページを見つけました。
おそらく音楽より映画の方が、人生を描きやすいということでしょう。
映画は映像と音楽の両面から、よりリアルに人の生き方を表現することが可能です。
普通の映画で音楽は、主にストーリーや描写を補完する役割にすぎません。
しかし時には映像をも凌駕する表現力を持った音楽を生み出せる人がいます。
それがエンニオ・モリコーネという人です。
モリコーネは音楽だけで、人生や様々な心の模様を表現できる稀有な音楽家です。
特にこの曲などは、音楽表現の極北ともいえるかもしれません。
この曲にはいくつかすばらしいカバー曲がありますが、1曲だけリンクを貼っておきましょう。
Pat Metheny & Charlie Haden – Cinema Paradiso
ただこの曲のカバーとしては、渡辺香津美の方が良い出来かもしれません。
そちらはいずれ渡辺香津美ランキングで取り上げる予定です。
それまで待てない方は検索して聞いてみてください。
2位「Toto e Alfredo – Version 2」(アルバム:Nuovo Cinema Paradiso)
■曲名:Toto e Alfredo – Version 2
■曲名邦題:トトとアルフレード
■アルバム名:Nuovo Cinema Paradiso
■アルバム名邦題:ニュー・シネマ・パラダイス
■動画リンク:「Toto e Alfredo – Version 2」
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この映画は年齢の離れた男同士の友情の物語です。
トトとはこの映画の主人公のことで、この映画ではトトの一生が描かれています。
アルフレッドはトトにとって、映画技師の仕事や映画の魅力を教えた年の離れた友人です。
父親のいないトトにとってアルフレッドの存在は、父親兼親友みたいなものだったかもしれません。
この曲では2人が映画を接点に、心を通わせていく過程が表現されています。
上のアルバムジャケットを見ると、どういう様子がお分かりいただけることでしょう。
しかしこの曲のなんとみずみずしいことか。
まるで喜びをそのまま曲に純化したかのようです。
この曲には多くのバリエーションがありますが、私は最も心が浮き立つこのバーションが一番好きです。
3位「Gabriel’s Oboe」(アルバム:The Mission)
■曲名:Gabriel’s Oboe
■曲名邦題:ガブリエルのオーボエ
■アルバム名:The Mission
■アルバム名邦題:ミッション
■動画リンク:「Gabriel’s Oboe」
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モリコーネの代表作として有名な曲です。
この曲はフィギュアスケートでよく使われていますから、そちらでご存知の方も多いかもしれません
少し調べただけで安藤美樹、三原舞依、浅田舞などが、この曲で演技していることが分かりました。
1つだけ動画のリンクを貼っておきましょう。
荒川静香の演技と生演奏の共演がすばらしい、感動的な映像です。
荒川静香 2012 Capodanno on Ice “ガブリエルのオーボエ”
この曲は映画の中で、ジェレミー・アイアンズ(Jeremy Irons)演じるガブリエル神父が、オーボエを奏でるシーンで使用されています。
この映画はキリスト教の布教をしようとする宣教師の葛藤を描いた重厚なテーマの作品です。
以下の通り様々な賞を受賞し、傑作だと言われています。
1986年度カンヌ国際映画祭パルム・ドール、アカデミー撮影賞、ゴールデングローブ賞 脚本賞、ゴールデングローブ賞 作曲賞、英国アカデミー賞 作曲賞受賞。
ただ残念ながら、私の好みではありませんでした。
ただこの曲を筆頭に音楽は大変すばらしく、音楽だけで元が取れたと思えるほどでした。
映画ファンの中には、誰が監督であってもモリコーネの音楽だったら観に行くという人がいるそうですが、私もそういう人の気持ちが分かる気がしたものです。
4位「The Untouchables (End Title)」(アルバム:The Untouchables)
■曲名:The Untouchables (End Title)
■曲名邦題:アンタッチャブル (エンド・タイトル)
■アルバム名:The Untouchables
■アルバム名邦題:アンタッチャブル
■動画リンク:「The Untouchables (End Title)」
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この時期の彼は、毎年のように傑作を発表していました。
・ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ Once Upon a Time in America (1984)
・ミッション The Mission (1986)
・アンタッチャブル The Untouchables (1987)
・ニュー・シネマ・パラダイス Nuovo cinema Paradiso (1988)
しかしすごい傑作群ですね。
中でもこのアルバムは最も受賞歴が華やかです。
「Nuovo Cinema Paradiso」は2つの賞を受賞しているのに対して、このアルバムは受賞とノミネートが合計で4つですし。
ただこの人の存在の大きさを思うと、それでも少なすぎるような気もします。
ちなみにこの人はおそらく映画音楽の歴史でも最も偉大な1人ですが、アカデミー賞作曲賞の初受賞は87歳時の「ヘイトフル・エイト(The Hateful Eight)」です。
つまり上の黄金期の作品の全てが、アカデミー賞を受賞していません。
「Nuovo Cinema Paradiso」がノミネートさえされなかったことを考えると、アカデミー賞という存在自体どうかという気がしますが。
もしかしたら曲の魅力以外のロジックがあるのかもしれません。
以前映画に詳しい友人から聞いた話では、映画音楽は映画の中で機能するかどうかが一番重要で、音楽そのものの良し悪しで決まるものではないという意見が根強いんだそうです。
つまり機能が大切だと。
まあ分からなくもありません。
その点このサントラはモリコーネの作品でも機能面に優れていて、そのせいか受賞こそ逃しましたが、アカデミー賞にノミネートされています。
この曲は機能面と曲の魅力が両立している名曲だと思います。
5位「Metti Una Sera a Cena」(アルバム:Metti Una Sera a Cena)
■曲名:Metti Una Sera a Cena
■曲名邦題:ある夕食のテーブル
■アルバム名:Metti Una Sera a Cena
■アルバム名邦題:ある夕食のテーブル
■動画リンク:「Metti Una Sera a Cena」
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ここまではオーケストラの曲を多く取り上げてきましたが、ここで少し趣向を変えてみます。
この曲はモンド・ラウンジ系の中で、モリコーネの代表作と言える曲です。
モリコーネは正統的なクラシック音楽だけでなく、こういう路線でも名曲が少なくありません。
この曲以外では以下の曲などもおすすめです。
他にもジャズ、ロック、ファンク、ジャンク音楽など、かなりバラエティに富んだ作風の曲を提供してきました。
古くからのファンは、マカロニ・ウェスタン路線の曲に思い入れがあるかもしれません。
今回はモリコーネの多様性をどうお伝えしたらいいか、とても悩みました。
多様な面をご紹介しようとすると、様々なタイプの曲を並べるだけでランキングが埋まってしまいます。
しかしそれでは掘り下げられないと思いました。
そこで私が力を入れてご紹介したいオーケストレーションの曲に重点を入れようと考えました。
時々こうしたモンド/ラウンジ系の曲で変化を付けるといいのではないかと。
さてこの曲は、イタリアの映画音楽を代表するシンガー、エッダ・デッロルソ(Edda Dell’orso)のボーカルをフィーチャーした曲です。
この人は「ダバダバ・スキャット」で有名な人です。
この曲でも甘美なストリングスを背景に、艶のあるスキャットが炸裂していますね。
ちなみにエッダはモリコーネのお気に入りらしく、度々起用されています。
「エッダ・デッロルソ・シングス・エンニオ・モリコーネ(Edda Dell’Orso Sings Ennio Morricone)」というエッダの歌った曲だけを編集盤も発売されています。
この曲が気に入った方は、そちらもチェックしてみてください。
6位「1900’s Theme」(アルバム:The Legend of 1900)
■曲名:1900’s Theme
■曲名邦題:“1900”のテーマ
■アルバム名:The Legend of 1900
■アルバム名邦題:海の上のピアニスト
■動画リンク:「1900’s Theme」
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このアルバムを非難する人は少なくありません。
というのは映画で使われているのにもかかわらず、サントラに収録されていない名曲が多いからです。
Amazonのレビューを読んでみると、なぜあの曲が入っていないのかという話題ばかりでした。
裏を返していえば、それだけ皆さん映画の中で使われていた曲に思い入れがあるということでしょう。
全部をフォローすることは難しいですが、2曲だけアルバム未収録曲のリンクを貼っておきます。
「マジック・ワルツ(Magic Waltz)」
「タランテラ(Tarantella In 3rd Class)」
とはいえこのアルバム収録曲にも良い曲が目白押しです。
特にロックがお好きな方は「ロスト・ボーイズ・コーリング(Lost Boys Calling)」という曲をおすすめいたします。
その曲のクレジットを挙げておきましょう。
・作曲:エンニオ・モリコーネ
・作詞・歌:ロジャー・ウォーターズ(Roger Waters)
・ギター:エドワード・ヴァン・ヘイレン(Edward Van Halen)
・プロデュース:パトリック・レナード(Patrick Leonard)
※マドンナのプロデュースで有名な人
かなり出自がバラバラですが、出来上がった曲はロジャー色の強い曲ですので、ピンク・フロイド(Pink Floyd))ファンはぜひ聞いてみてください。
さてそれらの曲を差し置いて、私がこのアルバムで一番好きなのがこの曲。
私は普段あまりクラシックを聞きませんが、オーケストラとピアノが共演している曲などはいいなと思うことがあります。
この曲でもオーケストラの演奏の後、1:06から入るピアノはなかなか感動的ではないでしょうか。
圧倒的な歌心のオーケストラとピアノが交差する瞬間が、とてもドラマティックです。
7位「Romanzo」(アルバム:Novecento)
■曲名:Romanzo
■曲名邦題:ロマンツォ (1900年のテーマ)
■アルバム名:Novecento
■アルバム名邦題:1900年
■動画リンク:「Romanzo」
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この曲は励まされるというか、人生に迷った時にそっと背中を押してくれる気がする音楽です。
特に2:05からのトランペットの高く澄んだ音は気高く、心に突き刺さりますね。
そういえばモリコーネの父親はトランぺッターでした。
さてこの映画は、ベルナルド・ベルトルッチ(Bernardo Bertolucci)の監督作品です。
イタリアのファシズムの台頭や世界大戦などの時代を背景に、出身階層の異なる幼馴染2人の人生が描かれているそうです。
一度観てみたい思うものの、5時間を超える上演時間だそうで尻込みしてしまいますね。
ただモリコーネの音楽は、こういう大きな時代の変化の中、必死に生きようとする人間を描くのに向いているように思います。
ちなみにモリコーネは1928年生まれ。
第二次世界大戦が終結したのが1945年ですから、彼自身が戦争の中で多感な時期を過ごしてきたのですね。
彼はイタリア生まれで、実際にファシズムの時代を生き延びてきました。
音楽に説得力があるのも当然のことかもしれません。
8位「L’Ultimo」(アルバム:Ideato, Scritto e Diretto da Ennio Morricone)
■曲名:L’Ultimo
■曲名邦題:星空に
■アルバム名:Ideato, Scritto e Diretto da Ennio Morricone
■アルバム名邦題:イデアット・スクリット・デレット
■動画リンク:「L’Ultimo」
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モリコーネ自身が選んだコンピレーションアルバムからの選曲です。
日本未公開作品からも曲が選ばれていて、モンド・ラウンジの第一人者、小柳帝がライナーノーツを書いています。
モリコーネはとても多作な人で、生涯に手掛けた作品数は428作品とも500以上とも言われています。
全部を網羅するのは、ほぼ不可能に近いかもしれません。
今回私もかなり聞いたつもりですが、せいぜい数十作にすぎませんし。
重要作は押さえているとは思いますが、本格的にこの人の音楽をご紹介しようとするのであれば、数十作程度では物足りないように思います。
ちなみに映画のDVDとサントラの両方がリリースされている作品は、それほど多くありません。
DVDとサントラのどちらか、もしくはどちらも日本発売していないというケースも多く、そういうマイナーな作品の曲は、こういうコンピレーションでチェックするしかありませんでした。
前からモリコーネのコンピは見つけたら買っていましたが、中でも掘り出し物だと思ったのがこの曲です。
ドラムが少し邪魔ですが、1:13ぐらいから飛翔するかのようなストリングスを聞くと気分が上がります。
9位「De Amor Se Muere」(アルバム:Grandes Exitos Musicales de Ennio Morricone – Vol. 1)
■曲名:De Amor Se Muere
■アルバム名:Grandes Exitos Musicales de Ennio Morricone – Vol. 1
■動画リンク:「De Amor Se Muere」
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モリコーネ作品は膨大で、ご紹介したい曲があっても動画がないというケースも多々あります。
当初この曲も探しましたが、見つかりませんでした。
しかし粘って試行錯誤して探してみたところ、別の曲名で投稿されているのを見つけました。
動画の曲名は「morire d’amore」となっていますが、曲は「De Amor Se Muere」です。
この曲を見つけた時が、この記事を書く中で最も狂喜した瞬間でした。
というのはこの曲のメランコリーな曲調が個人的にはツボで、隠れ名曲としてご紹介したいと思っていたからです。
さてこのアルバムは編集盤です。
この曲がどのサウンドトラックの曲かは分かりませんでしたが、私はこのコンピレーションで知りました。
上記の編集盤には他にも「キ・マイ(Chi Mai)」などの有名曲が入っていますので、買って損はありません。
モリコーネの編集盤としては他に「私の大好きなモリコーネ・ミュージック 小泉純一郎選曲 チャリティー・アルバム」が大変売れたようですね。
ただ私の好みでは「エンニオ・モリコーネ・イン・ラウンジ(Ennio Morricone in Lounge)」シリーズあたりが一番おすすめです。
イージー・リスニング的にモリコーネを楽しみたい方はそちらをどうぞ。
10位「Deborah’s Theme」(アルバム:Once Upon a Time in America)
■曲名:Deborah’s Theme
■曲名邦題:デボラのテーマ
■アルバム名:Once Upon a Time in America
■アルバム名邦題:ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ
■動画リンク:「Deborah’s Theme」
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この人の代表作がどれか。
おそらく多くの人が「Nuovo Cinema Paradiso」を挙げると思います。
ではその次はどの作品でしょうか。
人によって意見が分かれるところだと思いますが、私はこのサントラを次点に挙げたいと思います。
とにかく良い曲が多いという理由から。
ではこのアルバムに他にどういう名曲が収録されているか、2曲だけご紹介しておきましょう。
「アマポーラ ~愛のテーマ(Amapola)」
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(Once Upon a Time in America)」
モリコーネはこの映画の監督、セルジオ・レオーネ(Sergio Leone)との仕事によって、一躍人気作曲家の仲間入りを果たしました。
「荒野の用心棒(Per Un Pugno Di Dollari)」「夕陽のガンマン(Per Qualche Dollaro In Piu)」など、数多くのマカロニ・ウェスタン映画に音楽を提供しました。
この映画でもセルジオ・レオーネ監督と組んでいます。
ちなみにこの映画はセルジオ・レオーネの遺作となってしまいましたが、彼の集大成ともいえるすばらしい作品です。
もしこの映画をご覧になっていない方は、上の動画だけでも見てみてください。
モリコーネの音楽は、思いがあふれた時に流れる音楽であることがご理解いただけることと思います。
断片的なシーンばかりですが、きっと映画が見たくなると思います。
11位「La Califfa (Main Theme)」(アルバム:La Califfa)
■曲名:La Califfa (Main Theme)
■曲名邦題:ラ・カリファ
■アルバム名:La Califfa
■アルバム名邦題:ラ・カリファ
■動画リンク:「La Califfa (Main Theme)」
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モリコーネの曲はよく映画とは関係なく独り歩きしているように思います。
その極端な例がこの曲です。
これまでご紹介した映画の多くは映画も有名ですし、観ている方も多いことでしょう。
しかしこの曲をご存知の方も、映画の方はほぼ見ていないはずです。
そもそも「La Califfa」という映画があることさえご存知ない方が大多数ではないでしょうか。
少なくとも現時点では日本語のDVDも発売されていません。
しかしこの曲の場合、映画とは違う文脈で再評価されていますから、それでも全然問題ありません。
私は知りませんでしたが、この曲はテレビ番組「ルーヴル美術館」で使われたことで有名なんだそうです。
またサラ・ブライトマン(Sarah Brightman)の歌詞ありバージョンでも知られています。
この曲をお好きな方はぜひ聞いてみてください。
この曲は純粋な美しさという点では、モリコーネ作品の中でも1位2位争う曲ではないかと思います。
12位「Playing Love (Piano Version)」(アルバム:The Legend of 1900)
■曲名:Playing Love (Piano Version)
■曲名邦題:愛を奏でて(ピアノ編)
■アルバム名:海の上のピアニスト
■アルバム名邦題:The Legend of 1900
■動画リンク:「Playing Love (Piano Version)」
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この映画では「Nuovo Cinema Paradiso」の監督、ジュゼッペ・トルナトーレ(Giuseppe Tornatore)とモリコーネが再びタッグを組んでいます。
モリコーネは職業作曲家ですから、必ずしも映画の好き嫌いだけで仕事を引き受けているわけではありません。
先程ご紹介したセルジオ・レオーネとのコンビも有名ですが、モリコーネは必ずしも彼の映画を好んでいたわけではありませんでした。
しかしこのジュゼッペ・トルナトーレ作品については、かなり高く評価していたようです。
モリコーネはジュゼッペ・トルナトーレ映画の全作品に音楽を提供していますが、ジュゼッペ・トルナトーレ側も映画の構想段階でモリコーネに相談していたそうです。
その二人三脚のような関係性が伺えるのがこの曲です。
ぜひ上の動画をご覧ください。
途中でピアノが止まるシーンがありますが、音楽だけ聞くとなぜそこで止まるのか分かりません。
しかし上の動画を見ると、むしろその音が止まるシーンこそが、この曲のハイライトだとお分かりいただけると思います。
沈黙に込められた万感の思い。
これまで述べてきたように、モリコーネの曲は映画と切り離しても成立する楽曲の魅力があります。
しかし映画の中で機能し一緒に輝くことこそが、本来モリコーネが望んでいたことなのかもしれません。
番外編 選外となった曲を少々
ランキングは以上です。
ただ映画音楽の巨匠モリコーネをご紹介するには、12曲だけではいささか物足りないかもしれません。
熱心なモリコーネのファン(モリコニアン)の方にも、ご納得いただける自信もありませんし。
そこで5曲だけ追加でリンクを貼っておきます。
それ以外に聞く価値のある曲は、上記の文章の中で適宜言及しました。
そこでもご紹介できなかった曲を、以下に列記いたします。
いずれランキングに組み込むかもしれませんので、私の備忘録代わりという意味もあります。
では余力のある方だけどうぞ。
「リーガンのテーマ(Regan’s Theme)」(エクソシスト2(Exorcist II: The Heretic)より)
「ローマ・バルドラーカ(Roma Baldracca)」(ある愛の断層(Questa Specie D’Amore)より)
※少し音量が大きめですのでご注意ください
「天国の日々(Days of Heaven)」(天国の日々(Days of Heaven)より)
「Sorridimi, Sorridimi」(アニタと子猫と(Viaggio Con Anita)より)
「マレーナ(Malena)」(マレーナ(Malena)より)
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