今回はクルセイダーズのランキングを作成しました。
彼らは一般的にフュージョンとして分類されることが多いグループです。
一方で積極的にゲストボーカルを招いていて、AORファンにも人気があります。
今回はインストとボーカル曲を半々で取り上げました。
このバンドの2つの魅力をぜひご堪能ください。
- 1 1位「Street Life」(アルバム:Street Life)
- 2 2位「Last Call」(アルバム:Rhapsody and Blues)
- 3 3位「Spiral」(アルバム:Those Southern Knights)
- 4 4位「I’m So Glad I’m Standing Here Today」(アルバム:Standing Tall)
- 5 5位「Free As The Wind」(アルバム:Free As The Wind)
- 6 6位「Fairy Tales」(アルバム:Images)
- 7 7位「Keep That Same Old Feeling」(アルバム:Those Southern Knights)
- 8 8位「Soul Shadows」(アルバム:Rhapsody and Blues)
- 9 9位「So Far Away」(アルバム:Scratch)
- 10 10位「(No Matter How High I Get) I’ll Still Be Lookin’ Up To You」(アルバム:The Vocal Album)
1位「Street Life」(アルバム:Street Life)
■曲名:Street Life
■曲名邦題:ストリート・ライフ
■アルバム名:Street Life
■アルバム名邦題:ストリート・ライフ
■動画リンク:「Street Life」
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このグループの代表曲であると共に、ボーカルを務めたランディ・クロフォード(Randy Crawford)の代表作です。
クエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)の「ジャッキー・ブラウン(Jackie Brown)」で使われたことで、ご存知の方も多いかもしれません。
上の動画ではアルバムバージョンではなく、シングルバージョンを取り上げています。
オリジナルは11分超えですから、ご紹介するには長すぎると思いました。
ただこの曲が気に入ったら、長いバージョンの方も聞いてみることをおすすめします。
アルバムバージョンではウィルトン・フェルダー(Wilton Felder)を始めとした演奏が、ボーカルに負けない出来だからです。
「Street Life」を直訳すると「路上生活」ですが、ホームレスみたいなイメージではありません。
歌詞を読むとヒリヒリするような現実と向き合った生き方というようなイメージです。
私は歌詞の「そこには無数の選択肢がある。あなたの人生が終わるまで」という箇所が好きです。
2位「Last Call」(アルバム:Rhapsody and Blues)
■曲名:Last Call
■曲名邦題:ラスト・コール
■アルバム名:Rhapsody and Blues
■アルバム名邦題:ラプソディ&ブルース
■動画リンク:「Last Call」
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この曲はジョー・サンプル(Joe Sample)の作品です。
この曲のすばらしいメロディを演奏しているのは、サックスのウィルトン・フェルダーです。
ウィルトン・フェルダーはトム・スコット(Tom Scott)ほど強烈にファンキーではありませんが、いい塩梅でソウル的な味わいのある演奏をする人です。
それにメロディを解釈することにも長けています。
この曲でもジョーが書いた秀逸なメロディを、肩の力を抜いて小粋に表現しています。
良い曲を書く人がいて、それを最大限に表現できるサックスプレイヤーが演奏をする。
それがこのバンドの勝利の方程式だと思います。
またこの曲ではジョー・サンプル自身、すばらしいプレイを披露しています。
ただジョー・サンプルは、すばらしいプレイヤーであるものの、あまり黒い演奏をするタイプではありません。
ただそこはウィルトン・フェルダーの黒さでカバーしていて、様々な面で互いに補い合っている感じがします。
この2人がグループの要であることを、改めて再確認できる曲です。
3位「Spiral」(アルバム:Those Southern Knights)
■曲名:Spiral
■曲名邦題:スパイラル
■アルバム名:Those Southern Knights
■アルバム名邦題:南から来た十字軍
■動画リンク:「Spiral」
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ラリー・カールトン(Larry Carlton)の伝説的なギターソロで有名な曲です。
ラリー・カールトンは言わずと知れたフュージョンギターの名手です。
もしこれを読んでいる方がフュージョンファンならば、この曲は聞いておいた方がいいかもしれません。
このバンドの代表曲という範囲を超えて、フュージョンというジャンルを代表する名演の1つだからです。
まずは1:31からのギターソロをお聞きください。
私の語彙では表現が難しいですが、この演奏に言葉は不要だと思います。
ひたすら気持ちよさそうに歌っていますね。
その後のジョー・サンプルのエレピは、少しキラキラしすぎているところがあるものの、これも名演といえるでしょう。
それから忘れてはいけないのが、4:35ぐらからのロバート・“ポップス”・ポップウェル(Robert “Pops” Popwell)のベースプレイです。
全員が神がかった演奏をしています。
ジャズやフュージョンに名曲はなく名演だけがあると言われますが、この曲などはまさにそういう演奏だと思います。
4位「I’m So Glad I’m Standing Here Today」(アルバム:Standing Tall)
■曲名:I’m So Glad I’m Standing Here Today
■曲名邦題:明日への道標
■アルバム名:Standing Tall
■アルバム名邦題:スタンディング・トール
■動画リンク:「I’m So Glad I’m Standing Here Today」
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再度ボーカルナンバーに戻ります。
この曲はジョー・コッカー(Joe Cocker)が客演しています。
ジョーコッカーは迫力のある歌唱が魅力ですが、この曲では抑え気味で歌い、大人の苦みを表現しています。
この頃は主要メンバーが次々に脱退していました。
もうラリー・カールトンもウェイン・ヘンダーソン(Wayne Henderson)もいません。
ジャケットにはジョー・サンプル、ウィルトン・フェルダー、スティックス・フーパー(Stix Hooper)の3人が写っていますが、この2年後にはフーパーも脱退してしまいます。
このアルバムではその不足を補うかのように、ボーカルナンバーが増えています。
ボーカル入りの曲は過去最高の7曲中3曲になりました。
このボーカル曲の出来はどれも上々ですが、黄金期の終わりの始まりを感じてしまうアルバムです。
5位「Free As The Wind」(アルバム:Free As The Wind)
■曲名:Free As The Wind
■曲名邦題:旋風(かぜ)に舞う
■アルバム名:Free As The Wind
■アルバム名邦題:旋風(かぜ)に舞う
■動画リンク:「Free As The Wind」
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彼らの全盛期については、人によって意見が分かれます。
一般的な人気は「Street Life」「Rhapsody and Blues」「Standing Tall」あたりかもしれません。
しかし純粋なフュージョンファンは「Scratch」「サザン・コンフォート(Southern Comfort)」「チェイン・リアクション(Chain Reaction)」「Those Southern Knights」「Free as the Wind」あたりを好むようです。
後者の時期はメンバーが豪華です。
この曲も後者の時代の曲です。
この曲はスティックス・フーパーのドラムが一番の聞きどころになっています。
彼の曲といってもいいでしょう。
その他のプレイヤーでは、どんな曲でも存在感を発揮するラリー・カールトンがやはりすばらしい。
ラリーはバンドの顔だっただけに、彼の脱退はバンドにとって相当痛かったに違いありません。
凄腕プレイヤーが入れ替わり立ち代わり実力を見せつけていて、圧倒されてしまう曲です。
6位「Fairy Tales」(アルバム:Images)
■曲名:Fairy Tales
■曲名邦題:フェアリー・テイルズ
■アルバム名:Images
■アルバム名邦題:イメージ
■動画リンク:「Fairy Tales」
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彼らも他の人気グループと同じように、次第にポップ寄りの音楽性にシフトしていきました。
前期の彼らは、やぼったいところと都会的な部分が、奇妙に共存していたところがありました。
ところがこのアルバムで、一気に都会派寄りのサウンドに傾いたように思います。
実際この路線はセールス的に大きな成果を挙げて、彼らはこのアルバムから都会派路線に進むことになりました。
この曲はその転換点にあたる曲です。
彼らは多くのメンバーが曲を書きますが、中でもジョー・サンプルが一番決定的な曲を書いているように思います。
「Street Life」も彼の曲ですし、この曲もそうです。
都会派路線では、ジョーの重要性が更に増してきたように思います。
7位「Keep That Same Old Feeling」(アルバム:Those Southern Knights)
■曲名:Keep That Same Old Feeling
■曲名邦題:キープ・ザット・セイム・オールド・フィーリング
■アルバム名:Those Southern Knights
■アルバム名邦題:南から来た十字軍
■動画リンク:「Keep That Same Old Feeling」
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この曲は「Street Life」に先立ってボーカルを導入した曲です。
とはいってもサウンドの一部みたいな使い方なので、しっかり歌っているというスタイルではありません。
ただこの頃からボーカルものと相性が良かったことが伺えます。
この頃の彼らは大まかにはフュージョンだと思いますが、私はいつもソウルのインストみたいな感じで聞いています。
その点は少しスタッフ(Stuff)あたりに似ているかもしれません。
フュージョンのグループの中には、超絶的な技巧が売りのグループもあります。
それはそれで爽快さがあって好きですが、クルセイダーズは決してテクニックに偏重しているタイプではありません。
グループ全体でまとまりの良い演奏をするところに、このバンドの最大の魅力があります。
この曲などは適度に肩の力が抜けていて、彼ららしい名曲だと思います。
8位「Soul Shadows」(アルバム:Rhapsody and Blues)
■曲名:Soul Shadows
■曲名邦題:ソウル・シャドウズ
■アルバム名:Rhapsody and Blues
■アルバム名邦題:ラプソディ&ブルース
■動画リンク:「Soul Shadows」
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この曲もショートバージョンの動画をご紹介しています。
こちらもボーカル入りです。
彼らは「Street Life」でブレイクしてから、アルバムにボーカル曲を入れるようになりました。
実はそれ以前からもボーカル入りの曲はありましたが、本腰を入れてきたような感じがします。
ただ安易に売れ線狙いをしている感じはしません。
たとえばこの曲は「Street Life」の次の作品ですが、それほど売れ線っぽい曲とも思えませんしね。
この曲ではビル・ウィザース(Bill Withers)がゲストボーカルとして起用されています。
この曲が気に入った方は、以下のランキングもご覧ください。
ビル・ウィザース(Bill Withers)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】
この曲は「Street Life」ほど一般受けしないでしょうが、味わい深さでは上回っているかもしれません。
この曲も「Street Life」と同じくジョー・サンプルの手による曲で、歌詞はウィル・ジェニングス(Will Jenning)が書いています。
この曲の歌詞では、偉大なジャズメンへの尊敬の念と、彼らから影響を受けていることが歌われています。
クルセイダーズは元々ジャズ・クルセイダーズ(The Jazz Crusaders)という名前で、ジャズを演奏していたグループです。
前作のヒットで彼らは一躍人気グループになりましたが、自分たちのルーツであるジャズを忘れていないというメッセージかもしれません。
9位「So Far Away」(アルバム:Scratch)
■曲名:So Far Away
■曲名邦題:ソー・ファー・アウェイ
■アルバム名:Scratch
■アルバム名邦題:スクラッチ
■動画リンク:「So Far Away」
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最初の数作で彼らは、様々な試行錯誤をしていました。
その為構成がおかしかったり、無駄に曲が長かったり、演奏自体にも後に比べて少しカタい部分がありました。
すばらしい演奏力を持っているのに、その魅力を活かしきれていなかった印象があります。
その転機となったのが、このライブアルバムです。
この曲はキャロル・キング(Carole King)の有名なヒット曲のカバーです。
曲が始まってしばらくはアンニュイな展開が続きますが、その後この曲の最大の山場がやってきます。
2:02からウィルトン・フェルダーが1分近くロングトーンで吹いていますが、観客が大変盛り上がっています。
観客もいいぞやれやれみたいな感じですね。
ライブという環境でシンプルに演奏の魅力を伝えられたことが、このアルバムの勝因だと思います。
彼らの快進撃はここから始まりました。
10位「(No Matter How High I Get) I’ll Still Be Lookin’ Up To You」(アルバム:The Vocal Album)
■曲名:(No Matter How High I Get) I’ll Still Be Lookin’ Up To You
■曲名邦題:想いつづけて
■アルバム名:The Vocal Album
■アルバム名邦題:ヴォーカル・アルバム
■動画リンク:「(No Matter How High I Get) I’ll Still Be Lookin’ Up To You」
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この曲もボーカルナンバーです。
ちなみにこのアルバムはボーカル曲だけを収録していますから、歌なしではきついという方にもおすすめできるアルバムです。
この曲で歌っているのは、ボビー・ウーマック(Bobby Womack)とオルトリーナ・グレイソン(Alltrinna Grayson)の2人です。
ボビーはもちろんのこと、オルトリーナ・グレイソンは、まるでアレサ・フランクリン(Aretha Franklin)のようなすばらしい歌唱を披露しています。
この曲はウィルトンのサックス以外は、クルセイダーズらしいところがありません。
そのためこの曲をランキングに入れていいものか、最後まで迷いました。
作詞作曲もボビー・ウーマックとポール・キッシュ(Paul Kish)ですから、彼らが書いた曲ではありませんしね。
ただ圧倒的にすばらしい出来なので、これをご紹介しないのはもったいないと思いました。
ゴスペル的な高揚感が味わえる曲です。