今回はリー・リトナーのランキングを作成しました。
この記事では彼の2つの側面について書きたいと思います。
1つは突出した個の力を持ったギタリストとしての側面、もう1つは全体を統括するバランサーとしての側面。
彼はそのどちらにおいても傑出したアーティストでした。
- 1 1位「Captain Fingers」(アルバム:Captain Fingers)
- 2 2位「Is It You?」(アルバム:Rit)
- 3 3位「Sugarloaf Express」(アルバム:The Captain’s Journey)
- 4 4位「Matchmakers」(アルバム:The Captain’s Journey)
- 5 5位「French Roast」(アルバム:Feel the Night)
- 6 6位「It’s a Natural Thing」(アルバム:Friendship)
- 7 7位「Early A.M. Attitude」(アルバム:Harlequin)
- 8 8位「No Sympathy」(アルバム:Rit)
- 9 9位「Rio Funk」(アルバム:Rio)
- 10 10位「Captain Caribe/Getaway」(アルバム:Gentle Thoughts)
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1位「Captain Fingers」(アルバム:Captain Fingers)
■曲名:Captain Fingers
■曲名邦題:キャプテン・フィンガーズ
■アルバム名:Captain Fingers
■アルバム名邦題:キャプテン・フィンガーズ
■動画リンク:「Captain Fingers」
セカンド・アルバムからの曲です。
アルバム名「キャプテン・フィンガーズ」は、彼のニックネームとしても知られています。
後年のAORのイメージの強い方はご存じない方は、この奔放な演奏に驚くかもしれません。
「Rit」やフォープレイ(Fourplay)を聞く限り、彼はグループ中で活きるタイプのように思われます。
しかし初期の彼は個の力で圧倒する存在でした。
後の演奏に比べてテクニカルでキメを多用し、ゴリ押しフレーズをてんこ盛りにした推進力のあるプレイ。
この曲ではその勢いとエゴイズム、そして若干オラついた印象を受けます。
アウト・ボクシングが得意な名ボクサーの中には、キャリア初期にインファイトでKOを量産してきたタイプがいます。
この人の場合も似た変化があったのかもしれません。
後年のリー・リトナーにもテクニカルな演奏はありますが、ここまでギラギラした印象はありません。
「キャプテン指」というニックネームも伊達ではありませんね。
2位「Is It You?」(アルバム:Rit)
■曲名:Is It You?
■曲名邦題:イズ・イット・ユー
■アルバム名:Rit
■アルバム名邦題:RIT
■動画リンク:「Is It You?」
このアルバムは彼の最大のヒット作で、アメリカのアルバム・チャートで26位を記録しました。
その次のヒットは78位ですから、文句なしの代表作、人気作といえるかもしれません。
当時の彼は作品の出来に反して、セールス面で苦戦していました。
このアルバム以前に発表された9枚のアルバムの中で、5枚は200位にも入っていません。
このアルバムではボーカル曲を増やし、スライ&ザ・ファミリー・ストーン(Sly & the Family) Stoneの「スマイリン((You Caught Me) Smilin’)」をカバーし、プロデューサーにはヒット請負人デイヴィッド・フォスター(David Foster)を起用しています。
まさに背水の陣といえますが、彼はその賭けに勝ちました。
この曲はシングルカットされて15位を記録しています。
後半にはギターソロもありますが、1位の曲と比べると楽曲に合わせた演奏といった印象を受けます。
スタジオ・ミュージシャン出身の彼は、こういう適材適所な仕事もできる人でした。
3位「Sugarloaf Express」(アルバム:The Captain’s Journey)
■曲名:Sugarloaf Express
■曲名邦題:シュガーローフ・エキスプレス
■アルバム名:The Captain’s Journey
■アルバム名邦題:キャプテンズ・ジャーニー
■動画リンク:「Sugarloaf Express」
彼は1978年にリリースされたこのアルバムの前年、この曲名と同じ名前のグループ名義で作品を発表しています。
そのアルバムはエリック・ゲイル(Eric Gale)色が強いので対象外にしましたが、とても良い作品だったと思います。
リー・リトナーは手ごたえを感じたのか、このアルバムでは「Sugarloaf Express」というバンド名をそのまま曲名にしました。
この曲は彼の書いた中でも、特に良いメロディを持っています。
彼の特徴は様々な場面で自分の能力を活かせる多彩さ。
もちろんギタリストとして超一流ですが、曲も書けますし、プロデューサーとしても有能です。
この曲はバランス感覚や総合力がよく表れた名曲名演です。
後年彼は更に多方面で才能を発揮しましたが、器用貧乏で終わることはありませんでした。
4位「Matchmakers」(アルバム:The Captain’s Journey)
■曲名:Matchmakers
■曲名邦題:マッチメイカーズ
■アルバム名:The Captain’s Journey
■アルバム名邦題:キャプテンズ・ジャーニー
■動画リンク:「Matchmakers」
アルバム名「The Captain’s Journey」は「キャプテンの旅」という意味。
アルバム・ジャケットを見る限り、旅というよりもバカンスといった感じがしますが(笑)
もしがするとカジキ釣りのイメージなのでしょうか。
それはともかく、このアルバムは初期を代表する名盤。
彼の最高傑作は「The Captain’s Journey」「Gentle Thoughts」「The Captain’s Journey」「Rit」のどれかだと思います。
更に絞ればテクニカルなフュージョンが好きな方には「The Captain’s Journey」、歌ものが好きの方には「Rit」をおすすめします。
5位「French Roast」(アルバム:Feel the Night)
■曲名:French Roast
■曲名邦題:フレンチ・ロースト
■アルバム名:Feel the Night
■アルバム名邦題:暗闇へとびだせ
■動画リンク:「French Roast」
このアルバムでは「ミッドナイト・レイディ(Midnight Lady)」を選んだ方がいいかもしれません。
しかし今日の気分ではこの曲を選んでみました。
さてリー・リトナーといえば、日本のアーティストとも度々共演しています。
個人的に特に印象深いのは、カシオペア(Casiopea)の「FOUR BY FOUR」です。
ただ大きな話題となったのは私生活の方で、杏里との婚約。
しかしその後、煮え切らない態度の彼に業を煮やした杏里の方から婚約の解消をしたそうです。
大人の恋愛にあれこれ口を出すのはいささかヤボではありますが、婚約のニュースばかり注目されて、婚約が解消されたことをご存じない方もいらっしゃると思います。
結婚していないので、当然ながら離婚もしていません。
時々混同している方がいらっしゃるようなので、念のため触れておきました。
6位「It’s a Natural Thing」(アルバム:Friendship)
■曲名:It’s a Natural Thing
■曲名邦題:ナチュラル・シング
■アルバム名:Friendship
■アルバム名邦題:フレンドシップ
■動画リンク:「It’s a Natural Thing」
彼は様々なグループに参加しています。
シュガー・ローフ・エクスプレスを手始めに、後年はフォープレイにも参加しました。
彼の幸運はすばらしいプレイヤーに囲まれていたこと。
その多くはスタジオ・ミュージシャン時代含めて、長年に渡ってつちかった人脈だと思われます。
良いアーティストの周りには良い人材が集まるもの。
その結果彼は自らのエゴを前面に出さなくても、良い音楽を生むことができました。
彼はアスリートでいえば集団競技向きの人かもしれません。
バスケットでいえばゲームメイクをしつつ点が取れるポイントガードのような。
この曲の主役を張っているのは、サックスのアーニー・ワッツ(Ernie Watts)です。
アーニー・ワッツは肩の力が抜けた演奏をしていますね。
一方リー・リトナーはイントロで期待感を高める、最高のアシストをしています。
7位「Early A.M. Attitude」(アルバム:Harlequin)
■曲名:Early A.M. Attitude
■曲名邦題:アーリー A.M. アティテュード
■アルバム名:Harlequin
■アルバム名邦題:ハーレクイン
■動画リンク:「Early A.M. Attitude」
今回の記事ではデビューからこのアルバムが発表された1985年までを対象にしました。
当初彼はスタジオ・ミュージシャンとして音楽のキャリアを歩き始めました。
彼は南カリフォルニア大学という難関大学の在籍時、このアルバムで共同名義としてクレジットされているキーボードであるデイヴ・グルーシン(Dave Grusin)と出会っています。
そしてこのアルバムをリリースしたのもまた、盟友デイヴ・グルーシンのレーベルGRPレコード(GRP Records)。
GRPレコードはフュージョンやスムースジャズに強味を持ったレーベルでした。
気心の知れた仲間とレーベルという快適な環境を得て、名盤の誉れ高いこの作品が出来ました。
この曲は以下にように高い評価を得ています。
このアルバムはビルボードのコンテンポラリー・ジャズ・チャートで2位を記録し、「Early A.M. Attitude」で1986年のグラミー賞インストゥルメンタル・アレンジメント賞を受賞した。
8位「No Sympathy」(アルバム:Rit)
■曲名:No Sympathy
■曲名邦題:ノー・シンパシー
■アルバム名:Rit
■アルバム名邦題:RIT
■動画リンク:「No Sympathy」
このアルバムについては、フュージョン/クロスオーヴァーのファンというより、AORのファンに評価されているかもしれません。
このアルバムでは半数の5曲でエリック・タッグ(Erik Tagg)がボーカルを担当しています。
またエリック・タッグは作曲面でも大きな貢献をしています。
このアルバムでの決定的な仕事ぶりから、この作品の主役はエリック・タッグだと思えるほど。
しかしリー・リトナーはこう発言しています。
リトナーは2015年のインタビューで、本作に関して「自分がプロデューサーであることを意識する転機になったと言える」と振り返っている[10]。
おそらく彼が言いたいのは、良い音楽になるのであれば時に自分は黒子に徹するということ。
その結果先程述べたように、このアルバムは異例のセールスを記録しました。
ただ私としては続編の「Rit2」は、少し売れ線に傾きすぎたように思いますが。
9位「Rio Funk」(アルバム:Rio)
■曲名:Rio Funk
■曲名邦題:リオ・ファンク
■アルバム名:Rio
■アルバム名邦題:リー・リトナー・イン・リオ
■動画リンク:「Rio Funk」
リー・リトナーはブラジル音楽から大きな影響を受けています。
2024年には「ブラジル(Brasil)」という名前のアルバムをリリースしていますし。
こちらのアルバム名「Rio」も録音の地ブラジルの都市名、リオデジャネイロのことだと思われます。
この曲はベースのマーカス・ミラー(Marcus Miller)。
彼の太いベースは曲の印象を決定づけています。
一方リーリトナーはナイロン弦のアコースティック・ギターを演奏していて、太くファンキーなベースとの対比が聞きものです。
10位「Captain Caribe/Getaway」(アルバム:Gentle Thoughts)
■曲名:Captain Caribe/Getaway
■曲名邦題:キャプテン・カリブ〜ゲッタウェイ
■アルバム名:Gentle Thoughts
■アルバム名邦題:ジェントル・ソウツ
■動画リンク:「Captain Caribe/Getaway」
最後に再度バリバリ弾いている曲を取り上げます。
1位の曲と、どちらを1位にしてもいいぐらいの名演です。
ただ単にこの曲は9:59と少し長いので、ラストに配置したにすぎません。
このアルバムはダイレクト・カッティングという録音方式が話題を呼びました。
ダイレクト・カッティングとはスタジオで全員セーノで演奏して、それを一発録りすること。
つまり本番一回限りで、ミスが許されないのですね。
演劇でいえば、最初の公演を録画しそのままDVDとして発売するようなもの。
通常は個々のパート単位で何度も録り直したり手を加えます。
ダイレクト・カッティングの何がすごいのかと思われるかもしれません。
まず第一に音が良いということ。
ただそれと引き換えに、録音する側には相当なプレッシャーがかかります。
パンクだったら多少のミスや破綻があっても、吉と出る場合がままあるかもしれません。
しかしフュージョンの場合、演奏のミスに寛容なリスナーばかりではありませんし、ミスをすれば即座に気付く人も少なくないはず。
この演奏時は異常な緊張感の下、異常な集中力で録音されたと推測します。
しかもこんな難易度の高い曲を一発録りとは、いささか無謀といえるかもしれません。
最後の急速ユニゾンが終わるまで、メンバーは生きた心地がしなかったかもしれません(笑)
オリンピックで体操選手が難易度の高い演技をノーミスでやり遂げたに近い感じがしますね。
ダイレクト・カッティング自体というより、結果的にそうした状況がスリルを生み、人を惹きつけたのかもしれません。
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