今回はセルジュ・ゲンスブールのランキングを作成しました。
彼は多くの女性と浮名を流し、モラルに縛らず生きました。
稀代の女好きで、なおかつ炎上上等みたいな人かもしれません。
しかし彼には作曲の才能と独自のボーカル・スタイル、退廃と背中合わせの色気がありました。
男をも魅了する艶を持った曲をご堪能ください。
- 1 1位「Je t’aime… moi non plus」(アルバム:Je t’aime… moi non plus)
- 2 2位「Elisa」(アルバム:Jane Birkin – Serge Gainsbourg)
- 3 3位「Tout mou tout doux」(アルバム:En studio avec Serge Gainsbourg)
- 4 4位「Aux enfants de la chance」(アルバム:You’re Under Arrest)
- 5 5位「Je suis venu te dire que je m’en vais」(アルバム:Vu de l’exterieur)
- 6 6位「Lola Rastaquouere」(アルバム:Aux Armes Et Caetera)
- 7 7位「L’hotel particulier」(アルバム:Histoire de Melody Nelson)
- 8 8位「Aeroplanes」(アルバム:L’Homme a tete de chou)
- 9 9位「Negusa Nagast」(アルバム:Mauvaises Nouvelles des etoiles)
- 10 10位「Lemon Incest」(アルバム:Love on the Beat)
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1位「Je t’aime… moi non plus」(アルバム:Je t’aime… moi non plus)
■曲名:Je t’aime… moi non plus
■曲名邦題:ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ
■アルバム名:Je t’aime… moi non plus
■アルバム名邦題:ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ
■動画リンク:「Je t’aime… moi non plus」
もしかしたら音楽史上で、もっともエロい曲かもしれません。
実際女性のあえぎ声が入っているので、いくつかの国では放送禁止になりました。
当時バチカンも非難する声明を出したぐらいです。
この曲を聞く時は、周囲に人がいないか確認してから聞く必要がありますね。
元々この曲は当時の不倫相手、ブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)のために書かれた曲です。
曲名「Je t’aime… moi non plus」では「愛している」と言う女性に対して、男性は「俺は愛していない」と返しています。
愛していない割には、随分お盛んみたいですが。
この曲はバルドーともレコーディングしましたが、その時彼女は既婚者でした。
当然バルドーの夫の理解が得られるはずもなく、当時はリリースが見送りとなったようです。
そこで彼は次の交際相手ジェーン・バーキン(Jane Birkin)に、この曲を歌わせることにしました。
初出は「Jane Birkin – Serge Gainsbourg」に収録されましたが、上ではサントラのジャケットを掲載しています。
この曲は1976年、同名の映画の主題曲に採用されています。
2位「Elisa」(アルバム:Jane Birkin – Serge Gainsbourg)
■曲名:Elisa
■曲名邦題:エリザ
■アルバム名:Jane Birkin – Serge Gainsbourg
■アルバム名邦題:ジェーン&セルジュ
■動画リンク:「Elisa」
先程言及したジェーン・バーキンとの共同名義のアルバムです。
こちらの曲ではゲーンズブールが単独で歌っていますが。
ジェーン・バーキンといえば、エルメスのバッグの名前の由来にもなった著名な女優です。
このアルバムの前年となる1968年、彼女はゲーンズブールと出会って、彼に一目ぼれしたのだそうです。
その後2人は交際関係に発展しました。
バーキンとゲーンズブールは同居を始め、事実婚という形で関係を続けました。
その後2人は1980年に一旦別れたのですが、最後はけんか別れではなかったそうです。
その間ゲーンズブールがバーキンにプロポーズしたことがあったそうですが、その時バーキンは断ったのだとか。
しかし後年バーキンは断ったことを後悔したそうです。
この曲のエリザという女性は、バーキンのことを指していると思われます。
彼は多くの女性と浮名を流しましたが、多くは短期間のアバンチュールでした。
その中でバーキンは、彼にとって運命の女だったかもしれません。
バーキンへの愛情が感じられる曲です。
3位「Tout mou tout doux」(アルバム:En studio avec Serge Gainsbourg)
■曲名:Tout mou tout doux
■アルバム名:En studio avec Serge Gainsbourg
■動画リンク:「Tout mou tout doux」
この曲はオリジナル・アルバム未収録曲なので、ご存知ない方も多いかもしれません。
編集盤からご紹介してみました。
隠れ名曲といえるでしょうが、これがなかなかの出来です。
ミディアム・ファンクの曲で、演奏がかっこいいですね。
彼のボーカルは基本ボソボソしているので、サウンド面の工夫がないと一本調子になりがちかもしれません。
しかしこの曲で時々入るセルジュのスキャットは、不思議な存在感を醸し出しています。
そもそもこれをスキャットと言っていいものか。
モノローグとスキャットの中間みたいな感じかもしれません。
4位「Aux enfants de la chance」(アルバム:You’re Under Arrest)
■曲名:Aux enfants de la chance
■曲名邦題:幸せな子供たちへ
■アルバム名:You’re Under Arrest
■アルバム名邦題:囚われ者
■動画リンク:「Aux enfants de la chance」
私はこのアルバムで初めてゲーンズブールを聞いた時、なぜこんなにフェロモン過剰なのだろうと思いました。
しかも当時既に結構な年齢でしたし。
このアルバムは1987年のリリースですから、彼は当時59歳。
彼は1991年に61歳の若さで亡くなっています。
死因は心筋梗塞なのだとか。
この作品は「ゼニット・ライヴ(Le Zénith de Gainsbourg)」を除くと、オリジナル・アルバムとしては最後のアルバムです。
私は彼が亡くなった時のことを、よく覚えています。
当時多くの人が雑誌で彼の追悼記事を発表していて、私もただエロいだけの人ではないことを知りましたから。
彼は多くの人に愛されたようです。
遺体はパリのモンパルナス墓地に埋葬された。
セルジュ・ゲンスブールの墓を訪れる人は後を絶たず、彼らが「リラの門の切符切り」にちなんで地下鉄の切符を供えるため、墓の周りにはいつも無数の切符が散らばっている。
私は当時このアルバムを聞きながら追悼記事を読んだことを、不思議と鮮明に覚えています。
5位「Je suis venu te dire que je m’en vais」(アルバム:Vu de l’exterieur)
■曲名:Je suis venu te dire que je m’en vais
■曲名邦題:手ぎれ
■アルバム名:Vu de l’exterieur
■アルバム名邦題:ゲンスブール版女性飼育論
■動画リンク:「Je suis venu te dire que je m’en vais」
彼の全盛期は1960年代だという人も少なくありません。
しかし私は1970年代の方が好みですし、代表作と言われるアルバムはその時代に集中しています。
彼は1958年にデビューして1991年に亡くなっていますから、かなりキャリアの長い人だといえるでしょう。
全期間を対象にすると曲調がばらけるので、今回は対象期間を1969年以降に限定しました。
とはいえそれ以前にも、数多くの名曲があります。
「リラの門の切符切り(Le Poinçonneur des Lilas)」や「イニシャルB.B.(Initials B.B.)」なども捨てがたいですが、味わい深い曲を1曲ご紹介します。
1970年代になるとヒット・メイカーではなく、作家性が強くなってきた感じがします。
このアルバムも良質のシンガーソングライターといった趣きがありますし。
しかし邦題の「ゲンスブール版女性飼育論」というアルバム名は、今ではありえませんよね。
6位「Lola Rastaquouere」(アルバム:Aux Armes Et Caetera)
■曲名:Lola Rastaquouere
■曲名邦題:ローラ・ラスタケールという女
■アルバム名:Aux Armes Et Caetera
■アルバム名邦題:フライ・トゥ・ジャマイカ
■動画リンク:「Lola Rastaquouere」
このアルバムには有名曲が入っています。
リンクを貼っておきましょう。
Serge Gainsbourg – Aux Armes Et Caetera (La Marseillaise)
この「祖国の子供たちへ(Aux Armes Et Caetera (La Marseillaise)」は、フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」の歌詞の一部を引用したパロディ・ソングです。
この曲が発表されるとフランス国中が大騒ぎになりました。
フランスの右翼系団体が怒りの声明を出して、ゲーンズブールが脅迫を受ける事態にまで発展しました。
彼はライブの前に警察から安全を保証できないと、中止するよう通告されたようです。
しかし彼はライブを決行しました。
当日は多くの群衆がライブに押し寄せ、その中には過激派も紛れ込んでいることが予想されました。
異様な空気からバンドのメンバーはステージに出ることを拒否しました。
そんな中ゲーンズブールは1人ステージに向かい、アカペラで「ラ・マルセイエーズ」を歌ったのだそうです。
過激派はその豪気さにあきれて、ただ彼の歌を聞くしかありませんでした。
この話は今では伝説として語り継がれています。
私の彼の追悼記事でこの逸話を知り、他のアルバムも聞かなければと思ったものです。
といいながら、別の曲を紹介していますが(笑)
楽曲としては、私はこちらの「Lola Rastaquouere」の方が好みです。
7位「L’hotel particulier」(アルバム:Histoire de Melody Nelson)
■曲名:L’hotel particulier
■曲名邦題:特別ホテル
■アルバム名:Histoire de Melody Nelson
■アルバム名邦題:メロディ・ネルソンの物語
■動画リンク:「L’hotel particulier」
彼の最高傑作はこのアルバムです。
ある中年男性がメロデイ・ネルソンという少女と出会い、悲劇の結末を迎えるまでのストーリーが描かれています。
今回は1曲だけですが、できればアルバム一枚通して聞くことをおすすめします。
音楽だけで映画を見終わったような余韻が味わえますから。
このアルバムは、カヒミ・カリィなど多くのアーティストが心酔していることで知られています。
この曲はレ・リタ・ミツコ(Les Rita Mitsouko)もカバーしていました。
ちなみにこのメロディのモデルは、ジャケットに映っているジェーン・バーキンです。
ジャケットでお腹を隠しているのは、この時バーキンのお腹がふくらんでいたからなのだとか。
この時彼女は彼の子を妊娠していました。
その時にお腹の中にいたのが、シャルロット・ゲンズブール(Charlotte Gainsbourg)。
このアルバムでは悲劇的な物語が描かれていますが、私生活では幸せの絶頂だったのですね。
8位「Aeroplanes」(アルバム:L’Homme a tete de chou)
■曲名:Aeroplanes
■曲名邦題:複葉飛行機
■アルバム名:L’Homme a tete de chou
■アルバム名邦題:くたばれキャベツ野郎
■動画リンク:「Aeroplanes」
このアルバムもコンセプト・アルバムです。
本作は、「キャベツ頭の男」と呼ばれる男と、理髪店のシャンプー係だった女性マリルーを中心とする物語となっているコンセプト・アルバムである。
彼のアルバム・コンセプトは、女性とのストーリーばかりです。
ゲーンズブールは、フランスきってのプレイボーイでした。
彼が交際していたと言われるのは、
ブリジット・バルドー、ジェーン・バーキン、バンブー、アンナ・カリーナ、マリアンヌ・フェイスフル、ペトゥラ・クラーク、カトリーヌ・ドヌーヴなど。
当時の美女を制覇する勢いではないでしょうか。
しかし彼は顔立ちが整っているタイプのイケメンではありません。
ただとにかく色気のある男でした。
彼のフェロモンは、音楽にもよく表れています。
この曲などは、フェロモンがありすぎるルー・リード(Lou Reed)といった趣きがあります。
9位「Negusa Nagast」(アルバム:Mauvaises Nouvelles des etoiles)
■曲名:Negusa Nagast
■曲名邦題:ネグサ・ネガスト
■アルバム名:Mauvaises Nouvelles des etoiles
■アルバム名邦題:星からの悪い知らせ
■動画リンク:「Negusa Nagast」
先程「Lola Rastaquouere」というレゲエの曲をご紹介しました。
このアルバムはその続編で、以下の2人がリズムを担当しています。
・スライ・ダンバー(Sly Dunbar):ドラム
・ロビー・シェイクスピア(Robbie Shakespeare):ベース
そして女性コーラスは、アイスリー(I-Three)という豪華な布陣です。
前作はフランス国歌のパロディが大きな話題となりました。
それで少しは反省したかと思いきや、こちらでも物議をかもしています。
「エフゲニー・ソコロフのガス・マスク(Evguenie Sokolov)」という曲は、ひたすらおならの音ばかり続いています。
当然保守的で良識的な人は眉をしかめました。
彼は長年お酒におぼれ、退廃的な生活を送っていました。
「もうどうなっちまってもいいじゃねえか」というような自滅型デカダンスを感じる人です。
10位「Lemon Incest」(アルバム:Love on the Beat)
■曲名:Lemon Incest
■曲名邦題:レモン・インセスト
■アルバム名:Love on the Beat
■アルバム名邦題:ラヴ・オン・ザ・ビート
■動画リンク:「Lemon Incest」
このアルバムでは愛娘、シャルロット・ゲーンズブールとデュエットしています。
しかし一つ問題があります。
曲名の「Lemon Incest」とは「レモン近親相姦」という意味。
歌詞にも近親相姦を思わせる部分があり、実の娘に「あなたのキスは甘い」とか「あなたを愛しています」と歌わせています。
当時シャルロットは14歳。
上でご紹介したプロモーション・ビデオでは、大きなベッドみたいな場所で、露出した2人が寄り添っています。
彼は晩年もこんな調子です。
晩年、テレビに出演する機会は多かったが、髭も剃らず、しばしば酔ったままで現れた。
ホイットニー・ヒューストンと共演したときには “I want to fuck you” と発言した。
スキャンダラスな日々に思われますが、それが彼の平常運転なのかもしれません。
しかし一方で彼は生涯に550曲以上書き、1000回以上カバーされています。
多くのフランス人をあきれさせる一方で、妙に惹きつける魅力を備えた男。
もうこんな不思議な男は出てこないかもしれません。
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