今回はディアンジェロのランキングを作成しました。
彼の音楽には芸術という言葉が似合いますし、美意識の高さを感じます。
一方その透徹した美意識と志の高さゆえか、彼の音楽は少しとっつきにくいところがあるように思います。
この記事では彼の魅力をなるべく分かりやすくご説明したいと思っています。
- 1 1位「Playa Playa」(アルバム:Voodoo)
- 2 2位「Brown Sugar」(アルバム:Brown Sugar)
- 3 3位「Spanish Joint」(アルバム:Voodoo)
- 4 4位「Untitled (How Does It Feel)」(アルバム:The Best So Far…)
- 5 5位「Smooth」(アルバム:Brown Sugar)
- 6 6位「Feel Like Makin’ Love(アルバム:Voodoo)
- 7 7位「Can’t Hide Love」(アルバム:Live at the Jazz Cafe, London)
- 8 8位「Lady」(アルバム:Brown Sugar)
- 9 9位「Betray My Heart」(アルバム:Black Messiah)
- 10 10位「Another Life」(アルバム:Black Messiah)
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1位「Playa Playa」(アルバム:Voodoo)
■曲名:Playa Playa
■曲名邦題:プラヤ・プラヤ
■アルバム名:Voodoo(2000年)
■アルバム名邦題:ヴードゥー
■動画リンク:「Playa Playa」
もし私が史上最高のソウル・ミュージック作品を10枚選んだら、おそらくこのアルバムは入ります。
2000年以降では、このアルバム1枚だけだと思います。
しかし30年に渡る彼のキャリアの中で、オリジナル・アルバムは3枚しか発表していません。
このアルバムはセカンド・アルバムで、次作のリリースまで14年以上かかりました。
そんな長いブランクがあれば、通常は忘れられてもおかしくありません。
しかしその間でも私の周囲では時々、今年はディアンジェロの新作を出るのかという話題が出ていました。
それはどこかおあずけで忠誠心を試されるペットに近い感じも。
私はギャンブルをやらない人ですが、このアルバムには万馬券に近い価値があるように思います。
このアルバムは、いつまでも次作を待ちたいと思わせるほどの傑作でした。
2位「Brown Sugar」(アルバム:Brown Sugar)
■曲名:Brown Sugar
■曲名邦題:ブラウン・シュガー
■アルバム名:Brown Sugar(1995年)
■アルバム名邦題:ブラウン・シュガー
■動画リンク:「Brown Sugar」
デビュー・アルバムのタイトル曲です。
このアルバムは1995年7月にリリースされると、R&Bアルバム・チャートで6位を記録しました。
しかしその時点では、まだこのアルバムは最高位に達していませんでした。
翌年1996年2月になって、ようやく最高位4位を記録しています。
通常は発売の直後の数週間で最高位を記録しますが、このアルバムは7か月後にピークに達しました。
しかもシングルヒットによる追い風なしで。
おそらく口コミで評判が広まるまで、時間がかかったのではないかと思われます。
そういえばマルーン5(Maroon 5)のデビュー・アルバムも同じくロングセラーでした。
そもそも彼の音楽はかなり遅効性で作用します。
正直私も最初からガツンときたわけではありません。
彼の音楽は良さが分かりにくいと思いますし、理解に時間がかかる音楽だと思います。
3位「Spanish Joint」(アルバム:Voodoo)
■曲名:Spanish Joint
■曲名邦題:スパニッシュ・ジョイント
■アルバム名:Voodoo(2000年)
■アルバム名邦題:ヴードゥー
■動画リンク:「Spanish Joint」
この記事を書く前、どうしたら彼の魅力を分かりやすく伝えられるか、少し考えてみました。
その結果、以下の2つの選曲方針でいこうと決めました。
・アップテンポの曲多め
・カバー曲多め
彼の音楽は遅効性のぬり薬みたいなところがあります
特にスローな曲は身体になじんでしばらくたって初めて魅力に気付くような。
彼の音楽は一聴スムースで聞きやすいので、最初から心地よいとは感じますが、その一方あっさり聞き流してしまいがちです。
その心地よさの先には、中毒性の高い毒にも似た魅力があります。
その点アップの曲の方が即効性が高いように思いました。
そこでこの記事ではアップの曲を少しだけ多めにしています。
4位「Untitled (How Does It Feel)」(アルバム:The Best So Far…)
■曲名:Untitled (How Does It Feel)
■曲名邦題:アン・タイトルド(ハウ・ダズ・イット・フィール)
■アルバム名:The Best So Far…(2008年)
■アルバム名邦題:ベスト・ソー・ファー
■動画リンク:「Untitled (How Does It Feel)」
この曲は「Voodoo」の収録曲です。
しかしアルバム・バージョンは7分超えの長さなので、こちらのシングル・バージョンの方でご紹介してみました。
このアルバムはベスト盤です。
しかしこの時点で彼がリリースしていたスタジオ・アルバムは2枚にすぎず、他にはライブ盤が1枚あるだけ。
2枚だけでベスト盤とは、ほぼフージーズ(The Fugees)状態ですね。
この時点で既に前作から8年経過しており、しびれを切らしたレコード会社は、このベストを次作までの繋ぎにしました。
このベスト盤には、サントラやレアテイクなどが多数収録されています。
同ベストから、あと2曲リンクを貼っておきましょう。
D’Angelo & Erykah Badu – Your Precious Love
D’Angelo – Left And Right(Featuring. Method Man & Redman)
このアルバムはベスト盤というより、未発表曲集に近いかもしれません。
5位「Smooth」(アルバム:Brown Sugar)
■曲名:Smooth
■曲名邦題:スムース
■アルバム名:Brown Sugar(1995年)
■アルバム名邦題:ブラウン・シュガー
■動画リンク:「Smooth」
彼の音楽はネオ・ソウルとかニュー・クラシック・ソウルに分類されます。
ニュー・クラシック・ソウルとは、ニューソウルの系譜に連なるオーガニックなソウル・ミュージックのこと。
加えてHIPHOP後特有の新しさも大きなポイントです。
しかしなぜか音楽的にはど真ん中でも、そこに分類されるのを嫌がる人がいます。
実際ディアンジェロも違和感があったようですし。
インタビューで「自分の事をR&Bシンガーだって思った事はない、いつだってR&Bなんてくだらないって思ってた」と答えており、初めて作った曲もヒップホップで、常日頃からラップもしているとの事。
そもそも自分をR&Bシンガーと考えていなかったことに驚きます。
そういえばエリカ・バドゥも、ニュー・クラシック・ソウルに分類されることを嫌がっていました。
ちなみにディアンジェロの盟友ラファエル・サディーク(Raphael Saadiq)のトニー・トニー・トニーもニュー・クラシック・ソウルのグループです。
Tony! Toni! Toné! – Lovin’ You
6位「Feel Like Makin’ Love(アルバム:Voodoo)
■曲名:Feel Like Makin’ Love
■曲名邦題:フィール・ライク・メイキング・ラブ
■アルバム名:Voodoo(2000年)
■アルバム名邦題:ヴードゥー
■動画リンク:「Feel Like Makin’ Love」
この曲はロバータ・フラック(Roberta Flack)の名唱で有名です。
ディアンジェロの分かりにくさの一因は、メロディの分かりにくさにあるかもしれません。
通常R&Bでは歌が目立ちますし、メロディもはっきりしています。
いわばメロディが太字の音楽と言っていいかもしれません。
しかしディアンジェロの曲は、メロデイが太字ではありませんし、時にはそれほど明確ではありません。
彼のメロデイは歌メロより、ニューアンスに重きが置かれているように思います。
たとえばこの曲でもメロディをそのまま歌うのではなく、一旦彼のフィルターを通してから、自分の文脈で歌っているような感じがします。
その点で彼の歌は、ジャズらしいアプローチかもしれません。
7位「Can’t Hide Love」(アルバム:Live at the Jazz Cafe, London)
■曲名:Can’t Hide Love
■曲名邦題:キャント・ハイド・ラヴ
■アルバム名:Live at the Jazz Cafe, London(1995年)
■アルバム名邦題:LIVE
■動画リンク:「Can’t Hide Love」
アース・ウィンド・アンド・ファイアー(Earth, Wind & Fire)の曲のカバーです。
この人は様々な楽器を演奏するマルチ・プレイヤーですが、歌においても多彩な表現方法の持ち主です。
彼はファルセットの曲が多いかもしれません。
しかし時にはこの曲のように地声で歌うこともあります。
さてこのアルバムは、ファーストの後に発売されたライブ盤。
スタジオ・アルバムが1枚しかないのに、ライブ盤をリリースする場合は曲目をどうするかが問題になります。
この時彼はカバー曲を取り上げて、その問題をクリアーしました。
加えてこのアルバムでは、デビュー作の曲を更に発展的に解釈しています。
以下のライブ・バージョンには、オリジナルとは違った魅力があります。
D’Angelo – Brown Sugar (Live At The Jazz Cafe, London)
ライブ会場がジャズ・カフェのせいか、このライブには彼のジャズっぽい面を感じますね。
8位「Lady」(アルバム:Brown Sugar)
■曲名:Lady
■曲名邦題:レディ
■アルバム名:Brown Sugar(1995年)
■アルバム名邦題:ブラウン・シュガー
■動画リンク:「Lady」
唯一のトップテン・ヒットを記録した曲です。
この曲では「君は俺の女だ、神聖で美しい俺の女だ」だと歌われています。
その女性は、アンジー・ストーン(Angie Stone)のことだと思われます。
アンジー・ストーン自身が優れたR&Bアーティストで、このアルバムにも参加しています。
彼女の曲をご紹介しておきましょう。
Angie Stone – Wish I Didn’t Miss You
彼女はディアンジェロより12歳年上したが、この曲にうかがえるように彼は彼女を深く愛していました。
彼女との間に3人の子供をもうけましたが、最後まで2人は結婚しませんでした。
ディアンジェロには薬物とアルコール依存症で逮捕される有様でしたし、そういうことも影響していたかもしれません。
2025年3月、アンジー・ストーンは自動車事故で亡くなりました。
その7か月後、今度はディアンジェロがすい臓がんで亡くなっています。
ディアンジェロの死を公表したのは、彼とアンジー・ストーンの子供たちでした。
9位「Betray My Heart」(アルバム:Black Messiah)
■曲名:Betray My Heart
■曲名邦題:ビトレイ・マイ・ハート
■アルバム名:Black Messiah(2014年)
■アルバム名邦題:ブラック・メサイア
■動画リンク:「Betray My Heart」
このアルバムは前作「Voodoo」から14年後リリースされました。
個人ではなく、ディアンジェロ&ザ・ヴァンガード(D’Angelo & The Vanguard)名義の作品です。
「Vanguard」とは、彼が参加ミュージシャンに敬意を払う時の言い方で、文化や芸術の分野で時代の最先端をいくグループや作品を指す言葉です。
思えば彼の音楽は、優れたアーティストたちの貢献が大きかったように思います。
前作「Voodoo」があれほどの傑作になったのは、J・ディラ(J Dilla)やクエストラヴ(Questlove)など、ソウルクエリアンズ(Soulquarians)の貢献がありました。
さてこのアルバムを最初に聞いた時、以前とは随分違うなと思いました。
最初の2-3曲はロックでサイケなサウンドでしたし。
しかしその後は、以前のディアンジェロに近い曲だったので安心しました。
このアルバムはセルフ・プロデュース作品ですが、別途プロデューサーがいた方が良かったかもしれません。
ただそれでもこの質の高さとは、ある意味彼の才能を証明していますが。
10位「Another Life」(アルバム:Black Messiah)
■曲名:Another Life
■曲名邦題:アナザー・ライフ
■アルバム名:Black Messiah(2014年)
■アルバム名邦題:ブラック・メサイア
■動画リンク:「Another Life」
プリンスからの影響を感じる曲です。
彼の音楽のルーツは以下の通りです。
影響を受けたアーティストにマーヴィン・ゲイ、プリンスの名を挙げている
他にも油抜きされた内省的で濃厚なファンクには、スライ・ストーン(Sly Stone)の影響も感じます。
ディアンジェロは、それらレジェンドに比肩する才能の持ち主でした。
しかし彼はその才能に比べて、発表されたアルバムや曲があまりに少なすぎます。
彼の人生は酒やドラッグの依存症以外に、レコード会社との確執や私生活でも多くの問題を抱えていました。
そして死因となったのは、がんの中でも特に生存率の低いすい臓がん。
あり余るほどの才能の持ち主でありながら、そのポテンシャルの一部しか表に出せなかったように思います。
私はそれが本当にもったいないと思うのですね。
私は今この記事を彼の死を知った当日に書いていて、翌日2025年10月16日にアップする予定です。
51歳で亡くなったことを知って、私はすぐにでもこの記事を書きたくなりました。
偉大なアーティストのあまりに若すぎる死を、この記事をもって改めて悼みたいと思います。
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