今回はリロイ・ハトソンのランキングを作成しました。
この人は強い個性で圧倒するタイプのアーティストではありません。
その代わりにバランス感覚と総合力を併せ持った人でした。
突出した個性や強味がなくても、一流の域に達した人だと思います。
- 1 1位「Love Oh Love」(アルバム:Love Oh Love)
- 2 2位「I Think I’m Falling In Love」(アルバム:Hutson II)
- 3 3位「Lucky Fellow」(アルバム:Hutson)
- 4 4位「It’s The Music」(アルバム:Feel the Spirit)
- 5 5位「Where Did Love Go?」(アルバム:Closer to the Source)
- 6 6位「All Because of You」(アルバム:Hutson)
- 7 7位「It’s Different」(アルバム:Hutson)
- 8 8位「Could This Be Love」(アルバム:The Man!)
- 9 9位「I Bless the Day」(アルバム:Hutson)
- 10 10位「Feel The Spirit (’76)」(アルバム:Feel the Spirit)
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1位「Love Oh Love」(アルバム:Love Oh Love)
■曲名:Love Oh Love
■曲名邦題:ラヴ・オー・ラヴ
■アルバム名:Love Oh Love
■アルバム名邦題:ラヴ・オー・ラヴ
■動画リンク:「Love Oh Love」
デビュー・アルバムからの曲です。
彼は10代の頃、Nu-Tonesというグループを結成しました。
その後1968年デボラ・ロリンズ(Deborah Rollins)とのデュオ、シュガー&スパイス(Sugar & Spice)で、レコーディング・デビューを果たしています。
彼は大学に進学すると、そこでダニー・ハサウェイ(Donny Hathaway)のルームメイトになりました。
これは彼にとって運命的な出会いでした。
この出会いによって彼は、大学の専攻を音楽理論と作曲に変更することになりましたから。
その後彼はカーティス・メイフィールド(Curtis Mayfield)が結成したグループ、メイフィールド・シンガーズ(Mayfield Singers)に参加しました。
更にインプレッションズ(The Impressions)に参加した後、このアルバムでソロ・デビューを果たしています。
この曲は当時のシカゴの音楽シーンを代表する傑作です。
アルバム・ジャケットもすばらしいですね。
2位「I Think I’m Falling In Love」(アルバム:Hutson II)
■曲名:I Think I’m Falling In Love
■曲名邦題:アイ・シンク・アイム・フォーリング・イン・ラヴ
■アルバム名:Hutson II
■アルバム名邦題:ハトソン2
■動画リンク:「I Think I’m Falling In Love」
「I Think I’m Falling In Love」は「恋に落ちたと思う」という意味です。
この曲の主人公はある日、自分が恋に落ちたことに気がつきました。
彼は自分が自分でないように感じています。
頭の中がぐるぐる回って、食欲もなく夜も眠れません。
おそらく普段のリロイ・ハトソンは、冷静で穏やかな人だと思います。
しかしいつもの彼は制御できない情熱を、内に秘めてしまっています。
そのせいか彼の音楽は押しが弱く、突破力に欠ける面があるように感じます。
当時本当に彼が恋をしていたのかは分かりません。
ただ本当に恋に落ちた狂おしさが、熱にうなされたようなこの曲に表れたのかもしれないと思ったりもします。
3位「Lucky Fellow」(アルバム:Hutson)
■曲名:Lucky Fellow
■曲名邦題:ラッキー・フェロー
■アルバム名:Hutson
■アルバム名邦題:ハトソン
■動画リンク:「Lucky Fellow」
彼はヒットに恵まれませんでした。
そのためヒット曲といえる曲はありません。
しいて言えば「Feel the Spirit」が、ディスコ・チャートで5位になったぐらい。
ただし彼の有名曲といえばこの曲です。
「Lucky Fellow: the Very Best of」「Lucky Fellow (The Curtom Anthology)」など、いくつかのベスト・アルバムで、この曲がタイトルに採用されています。
彼のディスコグラフィーを見ると、当時はシングルカットすらされていなかったようです。
それなのになぜ彼の代表曲や定番として挙げられるのでしょうか。
それは多くのDJがこぞってこの曲をプレイしてきたからです。
この曲は、当時レア・グルーヴなどを発掘していたDJたちの心をわしづかみにしました。
趣味の良い洗練されたグルーヴをご堪能ください。
4位「It’s The Music」(アルバム:Feel the Spirit)
■曲名:It’s The Music
■曲名邦題:イッツ・ザ・ミュージック
■アルバム名:Feel the Spirit
■アルバム名邦題:フィール・ザ・スピリット
■動画リンク:「It’s The Music」
彼のアルバムの中で最もファンク色の強いアルバムです。
彼の音楽は最初シカゴ・ソウル時代から、次第にメロウな作風に変化しました。
その中でもこのアルバムは、ホットな曲が多いのが魅力です。
たとえばこの曲をお聞きください。
最初の1分ぐらいは、インタールード風でよく分かりません。
しかしその後のギターのカッティングといなたいリズムがいい感じですね。
1:06からのサックスは短い時間ながらも、ジャージーHIPHOP風のすばらしい演奏です。
また野太いべースが終始曲をリードしています。
この後彼はメロウ路線に戻りますが「Unforgettable」「Paradise」ではディスコ路線に移行しました。
5位「Where Did Love Go?」(アルバム:Closer to the Source)
■曲名:Where Did Love Go?
■曲名邦題:ホエア・ディド・ラヴ・ゴー
■アルバム名:Closer to the Source
■アルバム名邦題:クローサー・トゥ・ザ・ソース
■動画リンク:「Where Did Love Go?」
この曲は完全にマーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)の「ホワッツ・ゴーイン・オン(What’s Going on)」を意識しています。
しかし当時はそれでも売れませんでした。
この人はヒットチャートを賑わせた人ではないため、過小評価されがちです。
現時点では日本語のウィキペディアもありませんし。
彼のCDは長い間入手困難でした。
私は2in1のアルバムで入手していましたが、それすらもほとんど見かけなくなりました。
そのせいで彼の人気は、ごく一部の範囲に留まってしまったように思います。
現在はCDが入手しやすくなりました。
そんな今だからこそ、今一度ご紹介しておきたいと思って、この記事を書いてみました。
今回取り上げていない「アンフォゲッタブル(Unforgettable)」からも、1曲ご紹介しておきましょう。
過去の焼き直しが多い「Soothe You Groove You」はともかく、「パラダイス(Paradise)」までのアルバムは全て要チェックです。
6位「All Because of You」(アルバム:Hutson)
■曲名:All Because of You
■曲名邦題:オール・ビコーズ・オブ・ユー
■アルバム名:Hutson
■アルバム名邦題:ハトソン
■動画リンク:「All Because of You」
まずイントロのドラム・ブレイクがすばらしいです。
7分超えと長い曲ですが、じっくり腰を落ち着けて味わいたいミディアム・ダンサーです。
少し憂いを含んだストリングスがたまりません。
というよりボーカルよりも、ストリングスが主役の曲と言ってもいいかもしれません。
この曲のアレンジは、リチャード・テュフォ(Rich Tufo)。
カーティス・メイフィールドなどのアルバムで、よく名前を見かける人です。
リロイ・ハトソンはすばらしいボーカリストですが、ストリングスに埋没気味なのがこの人らしいかもしれません。
7位「It’s Different」(アルバム:Hutson)
■曲名It’s Different
■曲名邦題:イッツ・ディファレント
■アルバム名:Hutson
■アルバム名邦題:ハトソン
■動画リンク:「It’s Different」
このアルバムから彼の音楽性が変わりました。
この曲のアレンジには、スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)の影響が感じられます。
後半のシンセサイザーは、明らかにスティーヴィーが切り開いた地平で鳴っています。
この人はスティーヴィー・ワンダーやカーティス・メイフィールドのような個性的なスタイリストにはなれませんでした。
ただジョージ・デューク(George Duke)の記事でも書きましたが、借り物のスタイルで、高品質な音楽を生み出すタイプのアーティストもいます。
また彼の音楽はジェームス・ブラウン(James Brown)のように、強引にリスナーを引きずり込むところはありません。
しかしその控えめな魅力に気付きさえすれば、彼の音楽はすばらしい品質を備えていました。
彼はレア・グルーヴで再評価され、その後フリーソウルのコンピレーションにも収録されました。
再発が進んだ今、本当の再評価はこれからかもしれません。
8位「Could This Be Love」(アルバム:The Man!)
■曲名:Could This Be Love
■曲名邦題:クッド・ジス・ビー・ラヴ
■アルバム名:The Man!
■アルバム名邦題:ザ・マン!
■動画リンク:「Could This Be Love」
セカンド・アルバムの曲です。
私は彼の音楽を、大まかに以下の時期に分けて考えています。
シカゴ・ソウル時代 →メロウ路線時代 →ディスコ時代
もちろんそういう言い方で一概に括れるものではありませんが。
このアルバムまでは、シカゴらしいソウル・ミュージックだったと思います。
この作品がリリースされた1974年頃のシカゴは、スウィート・ソウルの最盛期でした。
シンガーとしてのリロイ・ハトソンは高音に特徴があって、声に艶があります。
こういうストリングス主体の曲では、スウィート・ソウルに似た魅力があります。
もう1曲ご紹介しておきましょう。
この頃彼が在籍していたカートム(Curtom Records)は、カーティス・メイフィールドが創設したレーベルでした。
そのせいか彼は、ニューソウルの文脈で紹介されることがあります。
しかし彼にはシンガーソングライター的なメッセージ性はなく、私はニューソウルとして聞いたことがありません。
9位「I Bless the Day」(アルバム:Hutson)
■曲名:I Bless the Day
■曲名邦題:アイ・ブレス・ザ・デイ
■アルバム名:Hutson
■アルバム名邦題:ハトソン
■動画リンク:「I Bless the Day」
彼のアルバムの最高傑作として挙げられるのは「Love Oh Love」かこの「Hutson」あたりが多いと思います。
私は「Hutson」派です。
このランキングでも、そのアルバムから4曲も選んでしまいました。
今回バラードもご紹介したいと思って、様々な曲をリストアップしましたが、やはりこのアルバムからになりました。
サビが胸を締め付ける、隠れた名曲だと思います。
ただ最後まで迷ったのは、以下の曲。
Leroy Hutson – So In Love With You
こういうバラードでは、彼のボーカルの魅力がよく伝わってきます。
10位「Feel The Spirit (’76)」(アルバム:Feel the Spirit)
■曲名:Feel The Spirit (’76)
■曲名邦題:フィール・ザ・スピリット
■アルバム名:Feel the Spirit
■アルバム名邦題:フィール・ザ・スピリット
■動画リンク:「Feel The Spirit (’76)」
最後にインストの曲をご紹介しておきましょう。
彼はダニー・ハサウェイと一緒に「ゲットー(The Ghetto)」というインストを共作したことがあります。
その曲は彼自身も再演していますが、ダニーのバージョンには適いません。
その代わりに私がご紹介したいのはこの曲。
ダンスフロアーを意識したようなインストゥルメンタルですが、胸躍る傑作ダンサーです。
彼は突出した強味を持たず、トータルで訴求するタイプのアーティストです。
プロデューサー向きの人といえるかもしれません。
彼は自分のアルバムだけでなく、ナチュラル・フォー(Natural Four)などでもプロデューサーとして手腕をふるいました。
この曲では、プロデューサー的な魅力がよく表れていると思います。
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