今回はザ・ルーツのランキングを作成しました。
彼らはサンプリングではなく、バンドでHIPHOPを演奏しています。
しかしそれだけではありません。
演奏力に見合った含蓄に富んだ音楽性は、とても聞きごたえがあります。
- 1 1位 「The Seed (2.0)」(アルバム:Phrenology)
- 2 2位 「Proceed」(アルバム:Do You Want More?!!!??!)
- 3 3位 「What They Do」(アルバム:Illadelph Halflife)
- 4 4位 「You Got Me」(アルバム:Things Fall Apart)
- 5 5位 「Now or Never」(アルバム:How I Got Over)
- 6 6位 「Good Music」(アルバム:Organix)
- 7 7位 「Clock with No Hands」(アルバム:Game Theory)
- 8 8位 「Somebody’s Gotta Do It」(アルバム:The Tipping Point)
- 9 9位 「The Next Movement」(アルバム:The Roots Come Alive)
- 10 10位 「Can’t Stop This」(アルバム:Game Theory)
- 11 関連記事
- 12 記事一覧
- 13 他ブログ・SNS等
1位 「The Seed (2.0)」(アルバム:Phrenology)
■アーティスト名:The Roots (featuring Cody ChesnuTT)
■アーティスト名カナ:ザ・ルーツ (フィーチャリング コーディ・チェスナット)
■曲名:The Seed (2.0)
■曲名邦題:ザ・シード2.0
■アルバム名:Phrenology
■アルバム名邦題:フリノロジー
■動画リンク:「The Seed (2.0)」
このアルバムは、ロック色を強めた異色作です。
中にはパンクみたいな曲もありますが、この曲は私の一番のお気に入り。
ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)のようなレイドバックしたサウンドは、とてもかっこいいですね。
彼らはHIPHOPを演奏するバンドです。
しかしバンドなのですから、ロックを演奏したくなっても何ら不思議ではありません。
彼らが痛快なのは、サンプリングより自由度が限定されるバンドでありながら、それを逆手にとって様々なジャンルを横断していること。
時にはサンプリングも使うこともありますし。
サンプリングと生演奏を選べる立場から、自由に音楽を追求することができました。
2位 「Proceed」(アルバム:Do You Want More?!!!??!)
■アーティスト名:The Roots
■アーティスト名カナ:ザ・ルーツ
■曲名:Proceed
■曲名邦題:プロシード
■アルバム名:Do You Want More?!!!??!
■アルバム名邦題:ドゥ・ユー・ウォント・モア?!!!??!
■動画リンク:「Proceed」
彼らはこのアルバムでメジャーデビューしました。
猥雑さとクールが交差する曲ですが、この頃は後年に比べて、少しやんちゃなところがあります。
彼らの音楽はよくオーガニックだと言われますが、それはドラムのせいもあるかもしれません。
このバンドのリーダーはドラムのクエストラブ(Questlove)で、演奏でリードするだけでなく、バンドの音楽性を左右する存在でした。
同じアルバムからもう1曲ご紹介します。
クエストラブは自分のスタイルと楽曲、両者の魅力を最大化する一致点を見つけることに長けています。
彼のドラムには、音の間合いを活かす思慮と美的センスを感じます。
ビートの詩人といえる人です。
3位 「What They Do」(アルバム:Illadelph Halflife)
■アーティスト名:The Roots (featuriThe Rootsng Raphael Saadiq)
■アーティスト名カナ:ザ・ルーツ (フィーチャリング ラファエル・サディーク)
■曲名:What They Do
■曲名邦題:ホワット・ゼイ・ドゥ
■アルバム名:Illadelph Halflife
■アルバム名邦題:イラデルフ・ハーフライフ
■動画リンク:「What They Do」
この曲にはラファエル・サディーク(Raphael Saadiq)が参加しています。
ラファエル・サディークはトニー・トニー・トニー(Tony! Toni! Tone!)のメンバーで、ニュー・クラシック・ソウルのキーマンの1人。
ディアンジェロ(D’Angelo)のヒット曲「レディ(Lady)」のクレジットにも名を連ねています。
ニュー・クラシック・ソウルの底流にはジャズがあって、ザ・ルーツにも影響を及ぼしていました。
前作ではジャズ畑のカサンドラ・ウィルソン(Cassandra Wilson)と共演していて、このアルバムではジャズの曲が収録されています。
彼らが好むジャズはクールでメロウな曲が多く、生音っぽい質感に対するフェティシズムを感じます。
ちなみに私は生音という言葉を厳密に使っていません。
アコースティックに限定せず、そうした音と親和性の高い音全体を指していますのでご了承ください。
4位 「You Got Me」(アルバム:Things Fall Apart)
■アーティスト名:The Roots (featuring Erykah Badu and Eve)
■アーティスト名カナ:ザ・ルーツ(フィーチャリング エリカ・バドゥ & イヴ)
■曲名:You Got Me
■曲名邦題:ユー・ガット・ミー
■アルバム名:Things Fall Apart
■アルバム名邦題:シングズ・フォール・アパート
■動画リンク:「You Got Me」
エリカ・バドゥ(Erykah Badu)の歌が聞きものの曲です。
この曲はジル・スコット(Jill Scott)がクレジットに記載されていて、ライブ盤ではジルが歌っています。
ただこの曲については、バドゥのバージョンでご紹介します。
少し前に私はビリー・ホリデイ(Billie Holiday)の記事を書きました。
ビリー・ホリデイは歌が上手ですが、それよりニューアンスの表現にすぐれたシンガーでした。
歌唱力ではなく、フレージングの妙味がある人。
私はエリカ・バドゥを、ビリー・ホリデイの系譜にマッピングしています。
アルバム・ジャケットが示す通り、ここで彼らが表現しようとしたのは、華やかで甘い世界ではありません。
警官から逃げようとしているアフリカ系アメリカ人の女性。
そして「物事は崩壊する」というアルバム・タイトル。
簡素なドラムとバドゥの歌は、この世界の苦く悲しい側面を表現しています。
5位 「Now or Never」(アルバム:How I Got Over)
■アーティスト名:The Roots (featuring Phonte & Dice Raw)
■アーティスト名カナ:ザ・ルーツ (フィーチャリング フォンテ & ダイス・ロウ)
■曲名:Now or Never
■曲名邦題:ナウ・オア・ネヴァー
■アルバム名:How I Got Over
■アルバム名邦題:ハウ・アイ・ガット・オーヴァー
■動画リンク:「Now or Never」
彼らはゲストをうまく活用することに長けています。
ラッパーのブラック・ソート(Black Thought)は、クエストラブと並ぶ重要メンバーです。
ブラック・ソートは、もっと自分メインにするよう主張できたかもしれません。
しかしバンドは様々なゲストを呼び、結果的に彼ら全体の価値を高めました。
この曲でも2人をゲストに迎えていますし。
呼ばれたゲストは彼らの音楽に新しい空気を吹き込み、アルバムの多様性を高めました。
しかし本当にすごいのは、実力者でありながら黒子に徹したブラック・ソートかもしれません。
ブラック・ソートの実力については、次の曲やラストの曲を聞けばお分かりいただけると思います。
6位 「Good Music」(アルバム:Organix)
■アーティスト名:The Roots
■アーティスト名カナ:ザ・ルーツ
■曲名:Good Music
■曲名邦題:グッド・ミュージック
■アルバム名:Organix
■アルバム名邦題:オーガニクス
■動画リンク:「Good Music」
メジャーデビュー前にリリースされたファースト・アルバムの曲です。
このアルバムでは、バンド編成でHIPHOPをやりたいという意図が、最もダイレクトに伝わってきます。
HIPHOPをバンドでやる意味について、ピンと来ない方もいらっしゃると思いますので、少しご説明しておきましょう。
本来HIPHOPはサンプリング、つまり過去のレコードから音を借りてくる文化の音楽です。
つまりあちこちから音の断片を引用して、それを加工したり、編集するセンスそのものが問われます。
それこそがHIPHOPの矜持といえるでしょう。
だからこそHIPHOPをバンドで演奏することは、邪道かもしれないという考え方に傾きがちです。
逆方向にたとえると、サンプリングを導入したパンクみたいな違和感のある存在。
彼らはサンプリングも使用しますが、基本的にはバンド演奏が主体です。
どうしても生演奏で表現したい音楽がある。
この曲を聞くと、それが彼らの答えかもしれないと思ったりもします。
7位 「Clock with No Hands」(アルバム:Game Theory)
■アーティスト名:The Roots (featuring Mercedes Martinez)
■アーティスト名カナ:ザ・ルーツ (フィーチャリング メルセデス・マルチネス)
■曲名:Clock with No Hands
■曲名邦題:クロック・ウィズ・ノー・ハンズ
■アルバム名:Game Theory
■アルバム名邦題:ゲーム・セオリー
■動画リンク:「Clock with No Hands」
彼らはアルバム数が多いので、当初はアルバム1枚につき1曲に限定しようとしました。
しかし「ライジング・ダウン(Rising Down)」と「アンダン(Undun)」「アンド・ゼン・ユー・シュート・ユア・カズン(…And Then You Shoot Your Cousin)」からは選べませんでした。
またジョン・レジェンド(John Legend)との共同名義アルバム「ウェイク・アップ!(Wake Up!)」を、私はジョン・レジェンド作品とカウントしています。
そこで空いた枠を、このアルバムから2曲選んで充当しました。
私は彼らの最高傑作を聞かれたら、一般的には「Things Fall Apart」だと答えることでしょう。
しかし個人的には「The Tipping Point」か「Game Theory」のどちらかだと思っています。
どちらも曲の平均水準が高く、決定的な曲が入っています。
8位 「Somebody’s Gotta Do It」(アルバム:The Tipping Point)
■アーティスト名:The Roots (featuring Devin The Dude, Jean Grae & Mack Dub)
■アーティスト名カナ:ザ・ルーツ (フィーチャリング デヴィン・ザ・デュード、ジーン・グレー & マック・ダブ)
■曲名:Somebody’s Gotta Do It
■曲名邦題:サンバディズ・ガッタ・ドゥ・イット
■アルバム名:The Tipping Point
■アルバム名邦題:ティッピング・ポイント
■動画リンク:「Somebody’s Gotta Do It」
私は古いシンプルなHIPHOPで、一息つきたいと思うことがあります。
たとえばこの曲のような。
彼らのキャリアを追っていくと、次第に落ち着いた音楽性に移行していったように感じます。
初期の彼らは未成熟でありながら、一生懸命やりたい音楽を追求している姿に好感が持てました。
一方後期は、より成熟した音楽性を感じるようになりました。
このアルバムは「The Tipping Point」つまり「転換点」というタイトルですが、私の感じだと前期と後期の中間地点みたいに思えます。
つまり過去の魅力を再確認しつつ、成熟を感じる音楽。
私は最初の1枚にこのアルバムをおすすめします。
9位 「The Next Movement」(アルバム:The Roots Come Alive)
■アーティスト名:The Roots
■アーティスト名カナ:ザ・ルーツ
■曲名:The Next Movement
■曲名邦題:ザ・ネクスト・ムーヴメント
■アルバム名:The Roots Come Alive
■アルバム名邦題:ザ・ルーツ・カム・アライヴ
■動画リンク:「The Next Movement」
彼らは生演奏が魅力ですが、ライブではより生の魅力が際立っています。
この曲は彼らの有名曲で人気曲の1つ。
私はこのバージョンを初めて聞いた時、スタジオ録音より良い出来だと思いました。
他にもそう感じる曲も多いので、このライブ・アルバムは聞き逃せません。
ちなみに彼ら、特にクエストラヴはソウルクエリアンズ(Soulquarians)の中核的存在です。
ソウルクエリアンズは、シンプルで深みのあるサウンドが特徴の音楽製作チームです。
彼らの魅力の根本には、リアルで生音っぽい質感がありました。
演奏力は鮮度が命、いわば生ものです。
彼らはライブの場で演奏力を鋭利に研ぎ、その成果をスタジオ作品に持ち込みました。
10位 「Can’t Stop This」(アルバム:Game Theory)
■アーティスト名:The Roots
■アーティスト名カナ:ザ・ルーツ
■曲名:Can’t Stop This
■曲名邦題:キャント・ストップ・ディス
■アルバム名:Game Theory
■アルバム名邦題:ゲーム・セオリー
■動画リンク:「Can’t Stop This」
彼らはアメリカのフィラデルフィア出身のバンドです。
フィラデルフィアといえばフィリー・ソウルですが、この曲にはその影響を感じます。
この曲の元ネタは、スタイリスティックス(The Stylistics)の「ユー・アー・エヴリシング(You Are Everything)」。
スタイリスティックスはフィリー・ソウルを代表するグループです。
さてこの曲はJ・ディラ(J Dilla)の追悼曲。
J・ディラは先程ご紹介したソウルクエリアンズの中心人物で、彼らの大切な仲間でした。
スタイリスティックスのこの曲を選んだのは、J・ディラが最後に発表したアルバムで、同じくこの曲を使用したからだと思われます。
J Dilla – Time: The Donut of the Heart
あとは「あなたは(私にとって)すべて」というサンプリング元の曲名、スローから途中で速度を速めた狂おしいネタ使い。
私がこの曲について知っているのはここまでです。
もしかしたらこの曲には、他に何か特別な思い出があるのかもしれません。
関連記事
■ア・トライブ・コールド・クエスト(A Tribe Called Quest)の名曲名盤10選
記事一覧
他ブログ・SNS等
■このブログの「トップページ」に戻る
※お気に入りに登録をお願いいたします!
■おとましぐらの音楽ブログ(サブブログ)
※オピニオン記事、企画色の強い記事を連載しています
■note(ジャンル別おすすめ曲一覧)
※選りすぐりの名曲を1曲単位でご紹介しています
■おとましぐらXアカウント
※フォローをお願いいたします!