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アル・クーパー(Al Kooper)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はアル・クーパーのランキングを作成しました。

彼の曲では特に「Jolie」がよく知られています。

この記事ではそれ以外の曲を含め、選りすぐりの名曲をご紹介してみました。

今回はいつも以上に主観中心で書いてみました。

 

1位「Jolie」(アルバム:Naked Songs)

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■曲名:Jolie
■曲名邦題:ジョリー
■アルバム名:Naked Songs(1972年)
■アルバム名邦題:赤心の歌
■動画リンク:「Jolie」

昔から日本人に人気がある曲です。

Youtubeでこの曲のカバーをチェックすると、日本人のカバー曲が沢山ヒットします。

以下のカバー曲は、私がDJをしていた時随分お世話になりました。

COSA NOSTRA – Jolie

この曲の歌詞を要約すると、おおよそ以下のような内容です。

ある女性との恋が終わった時、誰も僕を救うことができなかった

そんな死んだような僕の前に、太陽のように輝く君が現れて、僕を引き上げてくれた

ジョリー、愛している

ちなみに女性のモデルは、クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)の娘、ジョリー・ジョーンズ(Jolie Jones)です。

右は父親のクインシーで、左がジョリーです。

American composer and producer Quincy Jones with his daughter Jolie Jones. (Photo by Albane Navizet/Kipa/Sygma via Getty Images)

当時アル・クーパーとジョリーは恋人関係にありました。

 

2位「Where Were You When I Needed You」(アルバム:Naked Songs)

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■曲名:Where Were You When I Needed You
■曲名邦題:君はどこへ
■アルバム名:Naked Songs(1972年)
■アルバム名邦題:赤心の歌
■動画リンク:「Where Were You When I Needed You」

このアルバムの影の主役は、彼がジョリーと出会う前に交際していたアネット・ピーコック(Annette Peacock)です。

それはアルバム収録曲からもうかがえます。

「ビーン・アンド・ゴーン(Been and Gone)」はアネット・ピーコックが書いた曲ですし、「ピーコック・レディ(Peacock Lady)」では曲名の一部に名前が使われました。

「人生は不公平(Unrequited)」という曲は、アネットと別れたことを歌った曲ですし。

そしてこの曲は「僕が必要としていた時、君はどこにいたの」という曲名ですが、「君」とはアネット・ピーコックのこと。

あまりに赤裸々すぎて、音楽というより私小説に近いかもしれません。

しかしそんなどん底の時彼の前に表れたのが、先程ご紹介した女神ジョリーです。

こんなひどい状態だったからこそ「Jolie」ではあんなに舞い上がっていたのですね。

 

3位「Camille」(アルバム:I Stand Alone)

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■曲名:Camille
■曲名邦題:カミール
■アルバム名:I Stand Alone(1969年)
■アルバム名邦題:アイ・スタンド・アローン
■動画リンク:「Camille」

ソロ・デビュー前の経歴をご紹介します。

初期で特に重要なのは、以下の曲でのオルガンの演奏です。

Bob Dylan – Like a Rolling Stone

その後もブルース・プロジェクト(The Blues Project)やブラッド・スウェット・アンド・ティアー(Blood, Sweat & Tears)などで中心人物として活躍しました。

更には「スーパー・セッション(Super Session)」で更に知名度を上げています。

この頃の彼について、ソロ・デビュー前には既にスーパースターだったと書かれた記事を読んだことがあります。

しかし日本の人気ぶりに比べて、海外ではそこまでの知名度はありません。

英語のサイトを読むと、ここまで落差があるのかと驚くほど。

ちなみに名曲「Jolie」も無名曲扱いですし。

実際このデビュー・アルバムは54位に止まりで、その後もセールスは低調のまま推移しました。

とはいえ、当時次世代のスター候補として注目されていたのは間違いありません。

このデビュー・アルバムも、大手のコロンビア・レコードからリリースされています。

 

4位「The Monkey Time」(アルバム:A Possible Projection of the Future / Childhood’s End)

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■曲名:The Monkey Time
■曲名邦題:モンキー・タイム
■アルバム名:A Possible Projection of the Future / Childhood’s End(1972年)
■アルバム名邦題:早すぎた自叙伝
■動画リンク:「The Monkey Time」

この曲はカバーです。

オリジナルはメイジャー・ランス(Major Lance)で、作曲はカーティス・メイフィールド(Curtis Mayfield)。

この曲はローラ・ニーロ(Laura Nyro)もカバーしています。

彼とローラ・ニーロは、どちらもブルー・アイド・ソウル色の強いシンガーソングライターでした。

アル・クーパーは優れたソングライターですが、積極的に曲をカバーしました。

各アルバムの収録曲の内、おおよそ2-4割程度がカバー曲です。

ちなみにこの記事で取り上げた6作を、彼はわずか3年10か月でリリースしています。

あまりにもペースが速すぎるので、自然とカバー曲が多くなったのかもしれません。

カバー曲を活用することにより、彼は質を維持したままハイペースで作品を発表できました。

 

5位「I’m Never Gonna Let You Down」(アルバム:You Never Know Who Your Friends Are)

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■曲名:I’m Never Gonna Let You Down
■曲名邦題:ネヴァー・ゴナ・レット・ユー・ダウン
■アルバム名:You Never Know Who Your Friends Are(1969年)
■アルバム名邦題:孤独な世界
■動画リンク:「I’m Never Gonna Let You Down」

この人の作風には、ある種の傾向を感じます。

それはナイーヴで孤独を感じやすく、悲観的な考えに傾きがちなこと。

それは今回取り上げたタイトルやジャケットからも、うかがえるかもしれません。

最初の2作のアルバム名は「一人立っている」「誰が本当の友達かは分からないものだ」です。

「A Possible Projection of the Future / Childhood’s End」のアルバムジャケットでは、年老いたアル・クーパーがジャケに登場していますし。

加えて、ネガティヴな歌詞に言及したらキリがありません。

どうやら気分が落ち込みやすい人のようですね。

しかしだからこそ救済や喜びを求める気持ちが、人一倍強いのかもしれません。

そういえば「Naked Songs」では悲観的な曲がある一方「Jolie」では喜びを爆発させていました。

そしてこの曲も「Jolie」と同じような役割をはたしています。

「誰が本当の友達かは分からないものだ」という悲観的なアルバム名で、この曲は「私は決してあなたを失望させるつもりはない」と力強く肯定しています。

 

6位「Back on My Feet」(アルバム:New York City (You’re A Woman))

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■曲名:Back on My Feet
■曲名邦題:バック・オン・マイ・フィート
■アルバム名:New York City (You’re A Woman)(1971年)
■アルバム名邦題:紐育市(お前は女さ)
■動画リンク:「Back on My Feet」

彼は様々な楽器を演奏するマルチ・プレイヤーです。

主にギターとキーボード関係が多いようですが、個人的にはピアノとオルガンが特に印象的です。

そして彼にはピアノとオルガンの演奏の合わせ技が光る曲があります。

この曲もその1曲。

リリカルで粒立ちの良いピアノと飛翔するオルガンの二刀流。

その破壊力は、この曲のイントロを聞けばお分かりいただけると思います。

この必殺技は2位の「Where Were You When I Needed You」でも使用されました。

同じ鍵盤楽器のピアノとオルガンでも、プレー・スタイルが違うのが興味深いですね。

 

7位「(Be Yourself) Be Real」(アルバム:Naked Songs)

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■曲名:(Be Yourself) Be Real
■曲名邦題:自分自身でありなさい
■アルバム名:Naked Songs(1972年)
■アルバム名邦題:赤心の歌
■動画リンク:「(Be Yourself) Be Real」

アルバム原題「Naked Songs」を「赤心の歌」という邦題にしたのは、良いネーミングだったと思います。

「赤心」とは「嘘偽りのない純粋な心」という意味。

この曲はそうしたアルバム名を象徴しています。

歌詞をまとめるとこんな感じでしょうか。

君自身であれ
あるがままの君のままで

この人の魅力はナイーヴなところにあるのかもしれません。

この曲も「Jolie」ほどではないにしても、日本ではかなり人気があります。

そういえばビリー・ジョエル(Billy Joel)の「オネスティ(Honesty)」も、海外に比べて日本で特に人気がある曲です。

内省的で真摯なメッセージを持った曲は、日本人の情緒との相性が良いのかもしれません。

 

8位「I Got a Woman」(アルバム:Easy Does It)

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■曲名:I Got a Woman
■曲名邦題:アイ・ゴット・ア・ウーマン
■アルバム名:Easy Does It(1970年)
■アルバム名邦題:イージー・ダズ・イット
■動画リンク:「I Got a Woman」

彼の生まれ育ったニューヨークは、他のアメリカの大都市と比べて、都市生活者の機微をテーマにした曲の舞台になることが多いです。

彼以外でもポール・サイモン(Paul Simon)、ビリー・ジョエル(Billy Joel)、マリーナ・ショウ(Marlena Shaw)などは皆ニューヨーク出身で、都会のほろ苦さを情感豊かに歌い上げました。

日本でいえば東京に少し似ているのかもしれません。

田舎出身の私は上京した時、東京には楽しいことが一杯待ち受けているような気がしていました。

しかし東京に住み始めると、意外と難しいと実感する日々。

私は気後れするタイプで大学で友達づくりに出遅れて、お昼は学食でいつもポツンと一人食べていました。

その分大学以外では良い人間関係に恵まれましたし、その後大学でも友達はできましたが。

最初私はこれだけの人がいるのだから、すぐに友達や恋人ができるだろと楽観していました。

しかし当時の私は距離の詰め方がよく分かりませんでした。

ニューヨークや東京は「近づきすぎると傷つけ合い、離れすぎると孤独にさいなまれる」ハリネズミのジレンマに陥りやすいのかもしれません。

他州の出身であるライアン・アダムスは、ニューヨークには良い思い出がなく、地獄だったとさえ歌っています。

しかし同時にニューヨークを愛しているとも。

身を切るような孤独もあるけれど、だからこそ得られた時の喜びは大きいのかもしれません。

この曲は恋人ができた喜びを歌った曲です。

ニューヨーク生まれの彼が歌うと、より説得力があるように思います。

 

9位「Fly On」(アルバム:A Possible Projection of the Future / Childhood’s End)

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■曲名:Fly On
■曲名邦題:愛への飛翔
■アルバム名:A Possible Projection of the Future / Childhood’s End(1972年)
■アルバム名邦題:早すぎた自叙伝
■動画リンク:「Fly On」

彼の音楽は、これから何か始まりそうな予感がする曲が多いように思います。

たとえばこの曲のイントロで飛翔するオルガンをお聞きください。

さて昔ある音楽仲間が、引っ越しの時に大量のレコードが行方不明になったと嘆いていました。

その話を聞いてから私は引っ越しの時、特に大切なCDを持てる範囲で手運びするようになりました。

その中の一枚に「Naked Songs」がありました。

ある時荷物が届いた夜、私はCDラジカセだけ荷解きして「Jolie」をかけると、これから何か良いことが始まりそうな予感がしました。

それ以来私は引っ越しの時「Naked Songs」を持って行くことに。

アル・クーパーの曲には、そんな予感を喚起するドラマティック曲が少なくありません。

私が特にそう感じる曲を、もう1曲ご紹介しましょう。

Al Kooper – Brand New Day

 

10位「She Gets Me Where I Live」(アルバム:Easy Does It)

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■曲名:She Gets Me Where I Live
■曲名邦題:シー・ゲッツ・ミー・ホエア・アイ・リヴ
■アルバム名:Easy Does It(1970年)
■アルバム名邦題:イージー・ダズ・イット
■動画リンク:「She Gets Me Where I Live」

アル・クーパーの最高傑作については、人によって意見が分かれるかもしれません。

私は「Naked Songs」一択です。

次点は「I Stand Alone」と「Easy Does It」の2枚でしょうか。

ただ1970年代の作品はどれも安定していて「Act Like Nothing’s Wrong」までは、どのアルバムから聞いても問題ありません。

「Act Like Nothing’s Wrong」にもご紹介したい曲がありましたが、動画が見つからなくて残念でした。

このアルバムでは、以下の曲も気に入っています。

Al Kooper – Buckskin Boy

「She Gets Me Where I Live」も恋愛の喜びがテーマの曲です。

彼女はクリスタル・グラスに入ったワインのように輝いているそうです。

この人は恋愛ジャンキーなのかもしれませんね。

ただ彼を満たした喜びは、彼の音楽を通じてこちらにも伝わってくる感じがします。

特に揺れ動く心を抱えた落ち込み虫にとって、そのナイーヴなエモさは一際刺さるかもしれません。

 

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