今回はプロコル・ハルムのランキングを作成しました。
このバンドには「青い影(A Whiter Shade Of Pale)」という歴史的な名曲があります。
しかしアルバム単位で聞くと、また違った魅力が見えてきます。
この記事では「青い影(A Whiter Shade Of Pale)」だけでは語れない、このバンドの魅力をご紹介しました。
- 1 1位「A Whiter Shade Of Pale」(アルバム:Greatest Hits)
- 2 2位「A Rum Tale」(アルバム:Grand Hotel)
- 3 3位「Wreck Of The Hesperus」(アルバム:A Salty Dog)
- 4 4位「As Strong As Samson」(アルバム:Exotic Birds and Fruit)
- 5 5位「She Wandered Through the Garden Fence」(アルバム:Procol Harum)
- 6 6位「Fires」(アルバム:Grand Hotel)
- 7 7位「Shine On Brightly」(アルバム:Shine On Brightly)
- 8 8位「New Lamps For Old」(アルバム:Exotic Birds and Fruits)
- 9 9位「Homburg」(アルバム:Greatest Hits)
- 10 10位「Pilgrim’s Progress」(アルバム:A Salty Dog)
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1位「A Whiter Shade Of Pale」(アルバム:Greatest Hits)
■曲名:A Whiter Shade Of Pale(1967年)
■曲名邦題:青い影
■アルバム名:Greatest Hits
※上のジャケットはシングルのもの
■動画リンク:「A Whiter Shade Of Pale」
この曲は歌メロと同等かそれ以上にオルガンが印象的かもしれません。
そのせいかこの曲の著作権をめぐっては、とても興味深い裁判がありました。
この曲を作曲したのはゲイリー・ブルッカーです。
しかし後年オルガンのマシュー・フィッシャー が、自分を作曲のクレジットに加えるよう提訴しました。
通常演奏は曲のメロディとは別物なので、作曲者にはクレジットされません。
しかしこの曲はロックの歴史でも屈指の有名曲ですし、莫大な著作権料が発生していました。
加えてこの曲でのマシュー・フィッシャーの貢献は計り知れません。
そうした事情が考慮されたのか、裁判の結果マシュー・フィッシャーは作曲者に名を連ね、印税も支払われることになりました。
ただそのマシュー・フィッシャーのオルガンも、バッハの「G線上のアリア」に影響を受けたと言われています。
2位「A Rum Tale」(アルバム:Grand Hotel)
■曲名:A Rum Tale
■曲名邦題:ラム・テール
■アルバム名:Grand Hotel(1973年)
■アルバム名邦題:グランド・ホテル
■動画リンク:「A Rum Tale」
彼らは「青い影(A Whiter Shade Of Pale)」という曲が特に知られています。
実際他の曲を挙げられる人は少数派かもしれません。
それでも現在の彼らが一発屋と言われないのは、アルバムの評価がとても高いからです。
この作品は「A Salty Dog」と並んで、よく最高傑作に挙げられます。
どちらもコンセプト・アルバムなのが、いかにもこのバンドらしいかもしれません。
彼らはアルバム単位で世界に引き込むアルバム・アーティストです。
アルバムでの彼らは、玄人筋に評価されるミュージシャンズ・ミュージシャンかもしれません。
日本でもはっぴいえんど、YMO周辺を中心に注目されました。
彼らは有名曲での一般的な人気と玄人受けするアルバム人気との間に、ギャップがあるバンドといえそうです。
この記事ではその隔たりを埋めることを少し意識してみました。
3位「Wreck Of The Hesperus」(アルバム:A Salty Dog)
■曲名:Wreck Of The Hesperus
■曲名邦題:宵の明星
■アルバム名:A Salty Dog(1969年)
■アルバム名邦題:ソルティ・ドッグ
■動画リンク:「Wreck Of The Hesperus」
サード・アルバムの曲です。
デビュー・シングルとして発売された「青い影(A Whiter Shade Of Pale)」は、シングル・チャートで6週連続1位という大ヒットとなりました。
しかしそれにもかかわらず、最初の2枚のアルバムは本国イギリスのチャート圏外でした。
当時のイギリス盤には「青い影(A Whiter Shade Of Pale)」が収録されなかったこともその一因です。
しかしそれを差し引いても、破格の大ヒットを記録した後、ここまで低迷するのは異例かもしれません。
危機感を持った彼らは、本作でより分かりやすく自らの音楽を表現しました。
分かりやすいだけでなく音楽の質も上々です。
その充実ぶりを象徴するのがこの曲。
この方針によりこの作品はアルバム・チャートで27位を記録しました。
4位「As Strong As Samson」(アルバム:Exotic Birds and Fruit)
■曲名:As Strong As Samson
■曲名邦題:サムソンのように強く
■アルバム名:Exotic Birds and Fruit(1974年)
■アルバム名邦題:異国の鳥と果物
■動画リンク:「As Strong As Samson」
この記事では7作目にあたる本作までを対象にしました。
8枚目の「Procol’s Ninth」はポップな佳作ですが、個人的にはイギリス的な個性が後退して残念に思いました。
思えばこのバンドの音楽性は、思いの外複雑で様々な要素が含まれています。
特に初期の彼らはアメリカのザ・バンド(The Band)を土台に、クラシックの要素を持ち込んだ折衷が異色でした。
加えて彼らの音楽はプログレや英国ポップなど、聞く角度によっては様々な聞き方ができました。
そうした多様性は、このアルバムでピークに達したかもしれません。
一方で彼らのアルバムは玄人には喜ばれるものの、一般的な人気を獲得しにくかったかもしれません。
実際このアルバムは売れず、イギリスではチャート圏外、頼みの綱となるアメリカでも低迷しました。
その後1977年にバンドは解散しました。
ただその後再評価の機運が高まり、1991年に再結成しています。
5位「She Wandered Through the Garden Fence」(アルバム:Procol Harum)
■曲名:She Wandered Through the Garden Fence
■曲名邦題:シー・ワンダード
■アルバム名:Procol Harum(1967年)
■アルバム名邦題:青い影
■動画リンク:「She Wandered Through the Garden Fence」
デビュー・アルバムの曲です。
このアルバムの邦題は「青い影」ですが、当時のイギリス盤には「青い影」は未収録でした。
現在発売されているCDには入っていますが、ご購入の際は念の為ご確認ください。
それを受けてアルバム名も当初の「Procol Harum」から「A Whiter Shade of Pale」に改題されました。
このブログでは本国盤を重視していますので、冒頭の「青い影」はベスト盤の収録曲としてご紹介しました。
一方この「She Wandered Through the Garden Fence」は、どのレコードやCDにも入っています。
私は歌メロだけでいえば「青い影」より、この曲の方が好きかもしれません。
6位「Fires」(アルバム:Grand Hotel)
■曲名:Fires
■曲名邦題:ファイアーズ
■アルバム名:Grand Hotel(1973年)
■アルバム名邦題:グランド・ホテル
■動画リンク:「Fires」
この6作目のアルバムに至るまでには、様々な紆余曲折がありました。
まず彼らは「A Salty Dog」で成功した後、初期の立役者マシュー・フィッシャーが脱退しました。
その後ギターのロビン・トロワーの発言力が増して、音楽的にもハードロック寄りにシフトしました。
この記事ではある程度曲調を統一しようとしましたので、その時期の曲を選外としました。
ただ以下の曲など、その時期にもいくつか良い曲があります。
その後このアルバムではハードロック色が後退し、紅茶の似合う英国らしい音楽に移行しました。
この記事では親しみやすさを重視して、英国ポップらしい曲を多めにしました。
7位「Shine On Brightly」(アルバム:Shine On Brightly)
■曲名:Shine On Brightly
■曲名邦題:シャイン・オン・ブライトリー
■アルバム名:Shine On Brightly(1968年)
■アルバム名邦題:月の光
■動画リンク:「Shine On Brightly」
ここでこのバンドの重要人物を整理しておきましょう。
・ゲイリー・ブルッカー (Gary Brooker) – ボーカル、ピアノ
・マシュー・フィッシャー (Matthew Fisher) – オルガン
・ロビン・トロワー (Robin Trower) – ギター
メイン・ボーカルはゲイリー・ブルッカーです。
初期はマシュー・フィッシャーのオルガンとゲイリー・ブルッカーのピアノが、サウンド面の二枚看板でした。
そこにロビン・トロワーのギターが絡むのが初期の特徴です。
あと担当楽器はありませんが、このバンドには作詞担当としてキース・リード (Keith Reid)が在籍していました。
ただ基本的には上記3人がバンドのかじ取りをしていました。
マシュー・フィッシャーとロビン・トロワーは途中で脱退しましたが。
この「Shine On Brightly」は、まだ3人共在籍していたセカンド・アルバムの曲。
個人的にはこの時期のロビン・トロワーは、見せ場があまり多くなかったように感じます。
8位「New Lamps For Old」(アルバム:Exotic Birds and Fruits)
■曲名:New Lamps For Old
■曲名邦題:灯り
■アルバム名:Exotic Birds and Fruits(1974年)
■アルバム名邦題:異国の鳥と果物
■動画リンク:「New Lamps For Old」
「青い影(A Whiter Shade Of Pale)」を思わせる曲です。
その曲でオルガンを弾いたマシュー・フィッシャーは、在籍時に他の曲でも決定的な貢献をしました。
ここで先程挙げた以外の重要人物について触れておきましょう。
マシューが脱退した後バンドに加入したのが、クリス・コッピング (Chris Copping)。
この曲を聞いても明らかですが、彼はセンスの良いオルガン奏者でした。
その一方オルガンが目立つこのバンドでは、音域が被るベース奏者が気の毒だったかもしれません。
あとドラムのB.J.ウィルソン (B.J.Wilson) は、レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)から加入の誘いがあったほどの実力者。
彼らがプログレ・バンドとして評価された背景には、こうした優秀なプレイヤーの存在が大きかったように思います。
9位「Homburg」(アルバム:Greatest Hits)
■曲名:Homburg(1967年)
■曲名邦題:ホンバーグ
■アルバム名:Greatest Hits
※上のジャケットはシングルのもの
■動画リンク:「Homburg」
この曲は「青い影(A Whiter Shade Of Pale)」の次のシングルで、チャートで6位を記録しています。
さてこのバンドのメイン・ソングライターはゲイリーです。
彼らがアルバム単位で良作を連発できたのは、ゲイリーのソングライティング力が大きかったと思います。
私はこのバンドについて、大きく2つの側面があると考えています。
1つはプログレ・バンドとしての側面で、もう1つは英国ポップのバンドとしての側面。
オルガンを中心にした演奏が魅力のプログレ・バンドが、意外と良い曲を書くという2つの長所がありました。
特に日本の音楽マニアは、そういうバンドを高く評価する傾向があります。
たとえばケストレル(Kestrel)というバンドも、日本のマニアにかなり人気がありますし。
この曲はゲイリーのソングライティングが光る逸品です。
10位「Pilgrim’s Progress」(アルバム:A Salty Dog)
■曲名:Pilgrim’s Progress
■曲名邦題:巡礼者の道
■アルバム名:A Salty Dog(1969年)
■アルバム名邦題:ソルティ・ドッグ
■動画リンク:「Pilgrim’s Progress」
最後にとっておきの曲をご紹介します。
個人的にはこのバンドで最も好きな曲です。
この曲はゲイリーではなくマシュー・フィッシャーがボーカルを担当していますが、なかなか良い声ですね。
ちなみに曲を書いているのもマシューです。
マシュー・フィッシャーは、バンド脱退後、数枚のソロ・アルバムをリリースしています。
ソロ・アルバムからさわやかな曲をご紹介しましょう。
あとロビン・トロワーのソロからも1曲ご紹介します。
Robin Trower · The Fool and Me
上の2曲はどちらも1974年のリリースで、同年その2人が抜けたプロコル・ハルムは、ゲイリーが主導した「Exotic Birds and Fruit」をリリースしています。
こうして聞き比べると、3人の資質は全然違っていたことが分かります。
ただ才能ある2人が脱退した後も、このバンドは質を維持しました。
そうした底堅さを考えると、このバンドの大黒柱はゲイリー・ブルッカーだったといえるかもしれません。
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