今回はブギ・ダウン・プロダクションズのランキングを作成しました。
彼らはHIPHOPの本質を、誰よりも教えてくれる存在です。
彼らの腹に響く音楽とメッセージをお伝えしたいと思い、この記事を書きました。
- 1 1位「Ya Know the Rules」(アルバム:Edutainment)
- 2 2位「You Must Learn」(アルバム:Ghetto Music: The Blueprint of Hip Hop)
- 3 3位「South Bronx」(アルバム:Criminal Minded)
- 4 4位「Jack of Spades」(アルバム:Ghetto Music: The Blueprint of Hip Hop)
- 5 5位「The Style You Haven’t Done Yet」(アルバム:Ghetto Music: The Blueprint of Hip Hop)
- 6 6位「Poetry」(アルバム:Criminal Minded)
- 7 7位「Duck Down」(アルバム:Sex and Violence)
- 8 8位「I’m Still #1」(アルバム:By All Means Necessary)
- 9 9位「My Philosophy」(アルバム:Live Hardcore Worldwide)
- 10 10位「The Bridge Is Over」(アルバム:Criminal Minded)
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1位「Ya Know the Rules」(アルバム:Edutainment)
■曲名:Ya Know the Rules
■曲名邦題:ヨー・ノウ・ザ・ルールズ
■アルバム名:Edutainment
■アルバム名邦題:エデュテイメント
■動画リンク:「Ya Know the Rules」
アルバム名の「Edutainment」は「Education」と「Entertainment」を組み合わせた造語です。
つまり楽しみながら、教育を受けるという意味。
このアルバムでは、公民権運動の指導者、ストークリー・カーマイケルが取り上げられています。
ストークリー・カーマイケルは日本では知られていませんが、マルコム・Xの後継者みたいな存在とのこと。
最初にKRS・ワン(KRS-One)が社会派ラッパーだということを知っておいていただきたいと思います。
彼のラップは、比較的ストレートな正統派スタイルです。
ただ彼の特徴は、ラガマフィン・スタイルの曲の方がよく表れているかもしれません。
そうしたラガ傾向は、ライブでより顕著になります。
Boogie Down Productions – The Eye Opener
彼のスタイルは、社会派ラッパーという立ち位置と合致してました。
2位「You Must Learn」(アルバム:Ghetto Music: The Blueprint of Hip Hop)
■曲名:You Must Learn
■曲名邦題:ユー・マスト・ラーン
■アルバム名:Ghetto Music: The Blueprint of Hip Hop
■アルバム名邦題:ゲットー・ミュージック:ザ・ブループリント・オブ・ヒップ・ホップ
■動画リンク:「You Must Learn」
彼らのメンバー構成を確認しておきましょう。
デビュー時の彼らは、以下の3人でした。
KRS・ワン(KRS-One)
スコット・ラ・ロック(Scott La Rock)
Dナイス(D-Nice)
後で触れますが、スコット・ラ・ロックはファースト・アルバムの後に命を落としています。
Dナイスには悪いですが、セカンドアルバム以降は、実質的にKRS・ワンのソロ・ユニットに近いかもしれません。
KRS・ワンは自らを「教師」と自任しています。
この曲は「You Must Learn」ですから、「あなたは学ばないといけない」という意味。
PVで彼は教室で、生徒に向けて語りかけています。
その後彼は警官によって教室から排除されましたが、今度は黒人コミュニティに場所を移し、同胞に熱く訴えています。
3位「South Bronx」(アルバム:Criminal Minded)
■曲名:South Bronx
■曲名邦題:サウス・ブロンクス
■アルバム名:Criminal Minded
■アルバム名邦題:クリミナル・マインデッド
■動画リンク:「South Bronx」
HIPHOPのルーツに関しては、様々な説があります。
私がどの説を採用しているか、ここで述べるつもりはありません。
というのは、その問題は今もなお個人の感想レベルでさえ、少しデリケートな問題だと思うからです。
HIPHOP内の対立だけでなく、レゲエとの関係も含めて、様々な意見があるように思いますし。
ただHIPHOP生誕の地については、定説があります。
ニューヨークのサウス・ブロンクスから生まれたという説が有力です。
しかしクイーンズ出身のMCシャンが、それに異を唱えました。
その論争は以下の曲から始まりました。
この論争は後に悲劇を引き起こしました。
4位「Jack of Spades」(アルバム:Ghetto Music: The Blueprint of Hip Hop)
■曲名:Jack of Spades
■曲名邦題:ジャック・オブ・スペース
■アルバム名:Ghetto Music: The Blueprint of Hip Hop
■アルバム名邦題:ゲットー・ミュージック:ザ・ブループリント・オブ・ヒップ・ホップ
■動画リンク:「Jack of Spades」
彼らの最高傑作は「Criminal Minded」だという意見が多いかもしれません。
私も異論はありませんが、この「Ghetto Music: The Blueprint of Hip Hop」も同じぐらい好きです。
このアルバムは「You Must Learn」などの硬派な曲と、この曲のような軟派な曲のバランスが良いと思います。
この曲などはパーティ向きかもしれません。
さて私はこの曲の元ネタも大好きです。
リンクを貼っておきましょう。
Brentford All Stars – Greedy G
原曲もすばらしいですが、この曲の解釈も見事ですね。
5位「The Style You Haven’t Done Yet」(アルバム:Ghetto Music: The Blueprint of Hip Hop)
■曲名:The Style You Haven’t Done Yet
■曲名邦題:スタイル
■アルバム名:Ghetto Music: The Blueprint of Hip Hop
■アルバム名邦題:ゲットー・ミュージック:ザ・ブループリント・オブ・ヒップ・ホップ
■動画リンク:「The Style You Haven’t Done Yet」
アルバム名のサブタイトル「The Blueprint of Hip Hop」は「HIPHOPの青写真(未来の構想)」という意味です。
積極的にHIPHOPシーンを先導しようとしている様子が伺えますね。
アルバム・ジャケットで彼は、警棒を持つ警官相手に何か主張しています。
この作品がリリースされた当時、彼はまだ23才でしたが、兄貴感が半端ありません。
今回アルバムチャートを確認したところ、あのHIPHOPクラシック「Criminal Minded」はR&Bチャートで73位を獲得したものの、総合チャートにはかすりもしていませんでした。
しかし彼はこのサード・アルバムは、総合チャートで36位を獲得しています。
この頃の彼は音楽とセールスの両面で、存在感を高めつつありました。
6位「Poetry」(アルバム:Criminal Minded)
■曲名:Poetry
■曲名邦題:ポエトリー
■アルバム名:Criminal Minded
■アルバム名邦題:クリミナル・マインデッド
■動画リンク:「Poetry」
このアルバムは、HIPHOP史に燦然と輝くアルバムです。
以前HIPHOPアーティストに好きなアルバムをアンケートを取った結果を集計した記事を読んだ時、かなりの人がこのアルバムを挙げていて驚いた記憶があります。
ただ水を指すようですが、このアルバムは完成度が高いとか、全曲傑作曲とは思いません。
もっさりした曲の数々は、今のHIPHOPを聞きなれた耳からすると、いささか大雑把すぎるように思いますし。
ただこのアルバムには、HIPHOPという音楽が持つ本質的なスリルがあります。
ためしにヘッドホンをしてボリュームを上げて聞いてみてください。
もっさりしたサウンドがボディブローのように響き、思わずよろめき、身体の奥底が震え、胸がじんわり熱くなります。
本質的であることに関して、このアルバム以上のものはありません。
7位「Duck Down」(アルバム:Sex and Violence)
■曲名:Duck Down
■曲名邦題:ダック・ダウン
■アルバム名:Sex and Violence
■アルバム名邦題:セックス・アンド・ヴァイオレンス
■動画リンク:「Duck Down」
ラスト・アルバムからの曲です。
彼はセカンド・アルバムから反暴力を訴え始めました。
KRSワンは、1988年ライブで若いファンが殺された事件を受け、The Stop the Violence Movementを結成しました。
The Stop the Violence Movementは「セルフ・ディストラクション~自己破滅(Self Destruction)」という曲を発表しました。
その曲のリンクを貼っておきましょう。
Stop The Violence Movement – Self Destruction
彼はこのラスト・アルバムでも、相変わらず反暴力を訴えています。
8位「I’m Still #1」(アルバム:By All Means Necessary)
■曲名:I’m Still #1
■曲名邦題:アイム・スティル・ナンバー・ワン
■アルバム名:By All Means Necessary
■アルバム名邦題:バイ・オール・ミーンズ・ネセサリー
■動画リンク:「I’m Still #1」
アルバム名の「By All Means Necessary」は「必要とあらば、ありとあらゆる手段で」という意味。
この言葉はマルコムXの有名な言葉「By Any Means Required」という言葉から名付けられています。
アルバム・ジャケットも、明らかにマルコムXを意識していますね。
彼はこのアルバムで、ありとあらゆる不正に目を向けました。
まずHOPHOPコミュニティに蔓延する暴力、政府や警官の汚職や麻薬、そして汚染された牛肉に至るまで。
それに対して、全ての手段を駆使してなくすべきだと訴えています。
彼はこの曲で俺がナンバーワンだと主張しています。
しかし歌詞を読むと、俺には多くの仲間がいるからナンバーワンだと言いたいようです。
彼の仲間はクール・モー・ディー(Kool Moe Dee)、エリックB&ラキム(Eric B & Rakim)、ステッツァソニック(Stetsasonic)などです。
9位「My Philosophy」(アルバム:Live Hardcore Worldwide)
■曲名:My Philosophy
■曲名邦題:マイ・フィロソフィー
■アルバム名:Live Hardcore Worldwide
■アルバム名邦題:ライヴ・ハードコア・ワールドワイド
■動画リンク:「My Philosophy」
この曲はライブ・アルバムのバージョンでご紹介します。
彼らのオリジナルアルバムは5枚だけなので、すべてそろえている方も少なくないと思います。
しかしこのライブ盤も必携といえるかもしれません。
もしかしたら他のどのアルバムより、彼らの生の姿を伝えてくれる作品かもしれませんから。
このバージョンは、原曲とかなり異なる印象を受けます。
聞き比べられるよう、原曲のリンクも貼っておきましょう。
Boogie Down Productions – My Philosophy
しかしライブ・バージョンは、聞いていて血が沸騰します。
彼らの音楽には熱があります。
彼らの音楽を聞くということは、その熱さに触れるということに他なりません。
10位「The Bridge Is Over」(アルバム:Criminal Minded)
■曲名:The Bridge Is Over
■曲名邦題:ザ・ブリッジ・イズ・オーバー
■アルバム名:Criminal Minded
■アルバム名邦題:クリミナル・マインデッド
■動画リンク:「The Bridge Is Over」
先程「サウス・ブロンクス」のところで書いた内容の続きです。
MCシャンはHIPHOP発祥の地はクイーンズだと主張しました。
その曲に反発したのが、まだ駆け出しのKRS・ワン。
MCシャンが「この橋を渡ってきたら、お前ら生きて帰れないぜ」とふっかけると、KRSワンは「橋はとっくに通り過ぎたぜ」と返しています。
この件はレッド・アラート(Red Alert)代表のブギ・ダウン・プロダクションズと、マーリー・マール(Marley Marl)が率いるジュース・クルー(Juice Crew)とのビーフに。
その後「ブリッジ・バトル」と呼ばれる抗争に発展した結果、スコット・ラ・ロックが銃弾に倒れました。
スコットはBDPのDJというだけでなく、厚生施設でKRSワンを励まし、音楽の道を示した恩人でした。
KRS・ワン反暴力を訴えるようになるきっかけは、スコット・ラ・ロックの痛ましい死でした。
暴力は憎しみを生み、次なる暴力を生みます。
憎しみの連鎖はどこかで断ち切らないといけませんが、それは簡単なことではありません。
反暴力の問題については、日本でも切実な問題かもしれません。
私も反暴力に賛同する一人として、以下の曲をご紹介してこの記事を終えたいと思います。
Boogie Down Productions – Stop The Violence
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