今回はマーヴィン・ゲイのランキングを作成しました。
対象期間は「What’s Going On」からラスト・アルバムまでです。
対象期間外となったモータウン前期は、別の機会にご紹介したいと考えています。
この記事では彼のキャリア後期から選りすぐりの曲をご紹介してみました。
- 1 1位「What’s Going On」(アルバム:What’s Going On)
- 2 2位「Let’s Get It On」(アルバム:Let’s Get It On)
- 3 3位「All the Way Around」(アルバム:I Want You)
- 4 4位「When Did You Stop Loving Me, When Did I Stop Loving You」(アルバム:Here, My Dear)
- 5 5位「Got to Give It Up」(アルバム:Live at the London Palladium)
- 6 6位「You Are Everything」(アルバム:Diana & Marvin)
- 7 7位「Rockin’ After Midnight」(アルバム:Midnight Love)
- 8 8位「’T’ Plays It Cool」(アルバム:Trouble Man)
- 9 9位「Love Party」(アルバム:In Our Lifetime)
- 10 10位「Sanctified Lady」(アルバム:Dream of a Lifetime)
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1位「What’s Going On」(アルバム:What’s Going On)

■曲名:What’s Going On
■曲名邦題:ホワッツ・ゴーイン・オン
■アルバム名:What’s Going On(1971年)
■アルバム名邦題:ホワッツ・ゴーイン・オン
■動画リンク:「What’s Going On」
ベトナム戦争を背景に反戦メッセージを歌った曲です。
マーヴィン・ゲイは、基本的にパーソナルな問題に焦点を当てて曲を書く人。
特に男女の性愛をテーマにした曲が多く、実際2位以降はそういう曲がチラホラ散見されます。
ただこの曲では彼にしては珍しく、この世の中はこれでいいのかと訴えかけています。
この曲をシングルカットすることに対して、モータウンのベリー・ゴーディ(Berry Gordy, Jr.)は難色を示したそうです。
当時のモータウンはメッセージ・ソングを禁止していませんでした。
ただこの曲は典型的なヒット曲のパターンとは、少し違っていたかもしれません。
しかしこの曲はシングルチャートで2位というヒットを記録しました。
更にこのアルバムは彼の最高傑作という枠を超えて、現在ソウルの歴史に燦然と輝くマスターピースとして評価されています。
2位「Let’s Get It On」(アルバム:Let’s Get It On)

■曲名:Let’s Get It On
■曲名邦題:レッツ・ゲット・イット・オン
■アルバム名:Let’s Get It On(1973年)
■アルバム名邦題:レッツ・ゲット・イット・オン
■動画リンク:「Let’s Get It On」
この人は「What’s Going On」と「Let’s Get It On」の2枚ばかり言及されがちです。
今回は他のアルバムからも良い曲をかき集めてみました。
とはいえ、その代表作2枚をランキングから外すことは考えられません。
ご存知の方は3曲目からお聞きください。
その2枚の比較でいえば、確かに「What’s Going On」は大傑作でしたが、典型的なソウル・ミュージックとは少し異なるかもしれません。
一方次作のこのアルバムは、より人間的な側面を表現したソウル・ミュージックらしい出来となりました。
ちなみに曲名は「さあやろうぜ」という意味のストレートな求愛ソングです。
3位「All the Way Around」(アルバム:I Want You)

■曲名:All the Way Around
■曲名邦題:恋人たちの神話
■アルバム名:I Want You(1976年)
■アルバム名邦題:アイ・ウォント・ユー
■動画リンク:「All the Way Around」
男女間の性愛をテーマにしたアルバムの曲です。
前作のタイトルが「さあ、やろうぜ」で、このアルバムは「あなたがほしい」というタイトル。
このアルバムには、元々リオン・ウェア(Leon Ware)が発表する予定だった楽曲を、マーヴィンが譲り受けたという特殊な事情があります。
ただボーカルがうまくハマったせいか、完全にマーヴィンのアルバムになっていますね。
この曲ではマーヴィンのセクシーな歌唱を堪能できます。
当時彼は女性からの人気が抜群で、1970年代のライブを聞くと黄色い歓声がすごいです。
彼はセックスシンボルとしても見られていたようですね。
4位「When Did You Stop Loving Me, When Did I Stop Loving You」(アルバム:Here, My Dear)

■曲名:When Did You Stop Loving Me, When Did I Stop Loving You
■曲名邦題:涙のむこう側
■アルバム名:Here, My Dear(1978年)
■アルバム名邦題:離婚伝説
■動画リンク:「When Did You Stop Loving Me, When Did I Stop Loving You」
プライベートの離婚問題を取り上げたアルバムです。
以下の曲名からも彼の葛藤がうかがえますね。
「When Did You Stop Loving Me, When Did I Stop Loving You」
直訳すると「あなたが私を愛するのをやめた時、私があなたを愛するのをやめた時」です。
赤裸々というか生々しいというか病んでいるというか、なんだかすごいですね。
私小説みたいなアルバムです。
このアルバムは泥沼裁判の末、支払うことになった慰謝料を稼ぐ目的でつくられました。
5位「Got to Give It Up」(アルバム:Live at the London Palladium)

■曲名:Got to Give It Up
■曲名邦題:黒い夜
■アルバム名:Live at the London Palladium(1977年)
■アルバム名邦題:ライヴ・アット・ザ・ロンドン・パレディアム
■動画リンク:「Got to Give It Up」
このアルバムはライブ盤ですが、この曲だけスタジオ録音です。
ライブ・アルバムを売るためだと思いますが、スタジオ録音のシングルを収録しています。
私はこの人のリズムの好みが少し独特だと感じます。
特にこの時期あたりからは、シンプルでチープなリズムにこだわっているかもしれません。
ちなみにこの曲のアルバム・バージョンはずっと同じリズム・パターンで10分超えです。
それではさすがに長すぎるので、ここではシングル・バージョンの方でご紹介してみました。
6位「You Are Everything」(アルバム:Diana & Marvin)

■曲名:You Are Everything
■曲名邦題:ユー・アー・エブリシング
■アルバム名:Diana & Marvin(1973年)
■アルバム名邦題:ダイアナ&マーヴィン
■動画リンク:「You Are Everything」
この曲はダイアナ・ロス(Diana Ross)とのデュエットです。
彼はタミー・テレル(Tammi Terrell)とのデュエット・アルバムを数枚出しています。
一方このアルバムはマーヴィンの希望ではなく、会社の方針でつくられたようですね。
ここで聞かれる2人には、タミー・テレルとの間に感じるマジックを感じません。
しかしそこは厳しいショー・ビジネスを勝ち抜いてきた両者、無難以上の仕上がりとなっています。
タミー・テレルとのデュエット曲もご紹介しておきましょう。
Marvin Gaye & Tammi Terrell – Ain’t Nothing Like the Real Thing
7位「Rockin’ After Midnight」(アルバム:Midnight Love)

■曲名:Rockin’ After Midnight
■曲名邦題:ロッキン・アフター・ミッドナイト
■アルバム名:Midnight Love(1982年)
■アルバム名邦題:ミッドナイト・ラヴ
■動画リンク:「Rockin’ After Midnight」
1980年代以降で私が最も好きな曲です。
このアルバムでは、大ヒット・シングル「セクシャル・ヒーリング(Sexual Healing)」の方が有名かもしれません。
このアルバムでは1980年代らしいサウンドに変化しましたが、これがなかなか悪くありません。
少しブラコンっぽいですが、元々この人はブラコンのルーツみたいな人ですし。
ここでもボーカルの表現力はさすがとしか言いようがありません。
曲の間中ずっと軽快に鳴っているギターもいいですね。
8位「’T’ Plays It Cool」(アルバム:Trouble Man)

■曲名:’T’ Plays It Cool
■曲名邦題:“T”プレイズ・イット・クール
■アルバム名:Trouble Man(1972年)
■アルバム名邦題:トラブル・マン
■動画リンク:「’T’ Plays It Cool」
サントラからのインスト曲です。
この頃マーヴィンは、スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)から譲り受けたムーグ・シンセサイザーにハマっていたようですね。
マーヴィンはこのアルバムを通じて、クセ強めの演奏をしています。
彼が演奏面に言及される機会はそれほど多くありませんが、意外にも奇抜な演奏をする人です。
全体のサウンドとしては、当時のクインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)に少し近いかもしれません。
この曲はエレピのせいか、少し浮遊感がありますね。
1972年の曲ですが、現代のクラブでも機能する曲だと思います。
9位「Love Party」(アルバム:In Our Lifetime)

■曲名:Love Party
■曲名邦題:ラヴ・パーティ
■アルバム名:In Our Lifetime(1981年)
■アルバム名邦題:イン・アワー・ライフタイム
■動画リンク:「Love Party」
このアルバムは過小評価されています。
私は「Midnight Love」と同程度の評価ですが、巷では駄作という評価が一般的です。
もしかしたら天使と悪魔をイメージしたジャケットにも、過小評価の一因があるかもしれません。
しかしこの曲などはいかがでしょうか。
少し小粒かもしれませんが個人的にはかなり好みで、隠れ名曲だと思っています。
特に4:16から入るファルセット・ボーカルはすばらしく、スルーするのはもったいない曲です。
今一度再評価しておきたいアルバムであり曲かもしれません。
10位「Sanctified Lady」(アルバム:Dream of a Lifetime)

■曲名:Sanctified Lady
■曲名邦題:聖女
■アルバム名:Dream of a Lifetime(1985年)
■アルバム名邦題:永遠への旅立ち
■動画リンク:「Sanctified Lady」
マーヴィンのチープなリズム志向は1980年代特に強調されていて、時代と心中しかねない危うさを感じます。
この曲もそうした1曲。
本当は6位ぐらいでもいいのですが、その辺の危うさを考えて最後に配置してみました。
ミッドナイト・スター(Midnight Star)にも似たシンセサイズド・ファンクっぽいサウンドはかなり私好みです。
このアルバムは、父親からピストルで撃たれて亡くなった彼の死後リリースされました。
「Midnight Love」でボツになった未発表曲が収録されています。
そのせいか個々の楽曲の出来には、少しバラツキがあるかもしれません。
しかしマーヴィンの場合、そうした落ち葉拾いのようなアルバムにもキラリと光る曲が入っています。
この曲は未発表曲集だからこそ世の中に出たのかもしれません。
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