今回はア・トライブ・コールド・クエストのランキングを作成しました。
彼らはHIPHOPをアートの領域にまで高めました。
当時一大勢力だったギャングスタ・ラップとは異なる、クールな美意識を感じさせてくれます。
- 1 1位 「Award Tour (featuring Trugoy the Dove)」(アルバム:Midnight Marauders)
- 2 2位 「Scenario (featuring Busta Rhymes, Charlie Brown and Dinco D)」(アルバム:The Low End Theory)
- 3 3位 「Jazz(We’ve Got)」(アルバム:The Low End Theory)
- 4 4位 「Stressed Out (featuring Faith Evans)」(アルバム:Beats, Rhymes and Life)
- 5 5位 「Find a Way」(アルバム:The Love Movement)
- 6 6位 「Can I Kick It?」(アルバム:People’s Instinctive Travels and the Paths of Rhythm)
- 7 7位 「1nce Again (featuring Tammy Lucas)」(アルバム:Beats, Rhymes and Life)
- 8 8位 「Electric Relaxation」(アルバム:Midnight Marauders)
- 9 9位 「Like It Like That」(アルバム:The Love Movement)
- 10 10位 「Conrad Tokyo (featuring Kendrick Lamar)」(アルバム:We Got It from Here… Thank You 4 Your Service)
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1位 「Award Tour (featuring Trugoy the Dove)」(アルバム:Midnight Marauders)
■曲名:Award Tour (featuring Trugoy the Dove)
■曲名邦題:アワード・ツアー (フィーチャリング トゥルーゴイ・ザ・ダヴ)
■アルバム名:Midnight Marauders
■アルバム名邦題:ミッドナイト・マローダーズ(暗闇の御尋ね者)
■動画リンク:「Award Tour (featuring Trugoy the Dove)」
この曲はデ・ラ・ソウル(De La Soul)のトゥルーゴイ・ザ・ダヴが参加しています。
彼らの曲の中では比較的派手目な曲です。
ただクールな部分は残っていて、この抑制こそが彼らの魅力なのだと、改めて感じさせてくれます。
この曲の元ネタもご紹介しておきましょう。
Weldon Irvine – We Gettin’ Down
ただこの曲では、元ネタにないヴィブラフォンが入っています。
リズムはJ・ディラ(J Dilla)っぽいですね。
そしてやはりQティップ(Q-Tip)は存在感がありますし。
彼らの魅力がポピュラーな形で表れた曲だと思います。
2位 「Scenario (featuring Busta Rhymes, Charlie Brown and Dinco D)」(アルバム:The Low End Theory)
■曲名:Scenario (featuring Busta Rhymes, Charlie Brown and Dinco D)
■曲名邦題:シナリオ (フィーチャリング バスタ・ライムス、チャーリー・ブラウン、ディンコ・D)
■アルバム名:The Low End Theory
■アルバム名邦題:ロウ・エンド・セオリー(理論をブチ壊せ!)
■動画リンク:「Scenario (featuring Busta Rhymes, Charlie Brown and Dinco D)」
この曲には、リーダーズ・オブ・ザ・ニュースクール(Leaders Of The New School)が参加しています。
しかもマイク・リレーが炸裂している曲。
マイク・リレーはHIPHOPの華ですし、私はいつもこの曲を聞くと熱くなります。
最後に登場するバスタ・ライムス(Busta Rhymes)はおまかせでお寿司を注文したら、最後に濃厚なウニが出てきたみたいな感じがしますね。
この曲にはジャック・マクダフ(Jack McDuff)の「Oblighetto」を始めとして、多数引用されています。
しかしこの曲はマイク・リレーが圧巻すぎて、サンプリングは重要ではないかもしれません。
史上最高のポッセ・カット曲の1つだと思います。
3位 「Jazz(We’ve Got)」(アルバム:The Low End Theory)
■曲名:Jazz(We’ve Got)
■曲名邦題:ジャズ
■アルバム名:The Low End Theory
■アルバム名邦題:ロウ・エンド・セオリー(理論をブチ壊せ!)
■動画リンク:「Jazz(We’ve Got)」
彼らはこのアルバムでジャズ色を強めました。
ジャズ・ベーシスト、ロン・カーター(Ron Carter)が参加したことが話題になりました。
私はジャズ・ファンでもありますので、以前からロン・カーターは知っています。
ロン・カーターは、一般的なハードバップのベーシストのように明快なベースラインを描く人ではありません。
少し違ったタイプのジャズ・オルタナティヴな人です。
エッジが立っていて、センス勝負で、少し耽美的なプレイをする人。
彼の特徴が表れた演奏をご紹介します。
彼のベースソロから再生されるようにしています。
Jim Hall & Ron Carter – Autumn Leaves
このアルバムと少し似た感じがしないでしょうか。
彼らがこのアルバムで提示したジャズの影響が強いHIPHOPは、とても新鮮でした。
このアルバムでは、他にも以下の名曲が収録されています。
A Tribe Called Quest – Check the Rhime
4位 「Stressed Out (featuring Faith Evans)」(アルバム:Beats, Rhymes and Life)
■曲名:Stressed Out (featuring Faith Evans)
■曲名邦題:ストレスド・アウト (フィーチャリング フェイス・エヴァンス)
■アルバム名:Beats, Rhymes and Life
■アルバム名邦題:ビーツ,ライムズ・アンド・ライフ
■動画リンク:「Stressed Out (featuring Faith Evans)」
彼らは「The Low End Theory」と「Midnight Marauders」で頂点を極めました。
その2作はHOPHOPにアートを期待する人にとって、心のよりどころみたいな存在かもしれません。
しかし彼らは「Midnight Marauders」の次作であるこの作品で変化しようとしました。
ただこのアルバムは不評でした。
フェイス・エヴァンスの起用も、反感を買った一因かもしれません。
またこのアルバムは、前2作ほどリズムの含蓄がありません。
彼らはこのアルバムから女性ボーカルを積極的に起用し始めました。
以前の彼らは渋くてカッコ良かったですが、いささか地味な部分があった感がいなめません。
女性ボーカルの起用は、その点を修正しようとしたのかもしれません。
5位 「Find a Way」(アルバム:The Love Movement)
■曲名:Find a Way
■曲名邦題:ファインド・ア・ウェイ
■アルバム名:The Love Movement
■アルバム名邦題:ザ・ラヴ・ムーヴメント
■動画リンク:「Find a Way」
彼らは前作「Beats, Rhymes and Life」で少し軌道修正しました。
同時にプロデューサーがThe Ummahに変わりました。
The Ummahとは、ATCQのメンバーとJ・ディラのことです。
J・ディラといえば、後にディアンジェロ(D’Angelo)やコモン(Common)などのプロデュースで知られる人物。
前作あたりからJ・ディラ色が強まったように感じます。
その点で少し評価が分かれるかもしれません。
アルバム・ジャケットの感じも大きく変わりましたし。
6位 「Can I Kick It?」(アルバム:People’s Instinctive Travels and the Paths of Rhythm)
■曲名:Can I Kick It?
■曲名邦題:キャン・アイ・キック・イット?
■アルバム名:People’s Instinctive Travels and the Paths of Rhythm
■アルバム名邦題:ピープルズ・インスティンクティヴ・トラヴェルズ・アンド・ザ・パスズ・オブ・リズム(ヒップ・ホッパーズQ軍団の大冒険)
■動画リンク:「Can I Kick It?」
ファースト・アルバムの曲です。
彼らはデ・ラ・ソウルやジャングル・ブラザーズ(Jungle Brothers)と並んで、ネイティブ・タン(Native Tongues)と呼ばれています。
ネイティブ・タンのHIPHOPグループは、多彩なネタ使いが特徴でした。
この頃の彼らは、いかにもネイティブタンっぽい音楽性でした。
実際彼らのサンプリング・ソースは多岐に渡っています。
大ネタと小ネタ、ジャンルを横断する引き出しの多さには目を見張るものがあります。
この曲では、ルー・リード(Lou Reed)の「ワイルド・サイドを歩け(Walk on the Wild Side)」のベースラインをサンプリングしています。
そういえばルー・リードの元ネタのベースラインも、少しだけロン・カーターっぽいかもしれません。
この曲はナイキのCMに使われたことで、彼らの人気に火が点きました。
7位 「1nce Again (featuring Tammy Lucas)」(アルバム:Beats, Rhymes and Life)
■曲名:1nce Again (featuring Tammy Lucas)
■曲名邦題:ワンス・アゲイン (フィーチャリング タミー・ルーカス)
■アルバム名:Beats, Rhymes and Life
■アルバム名邦題:ビーツ,ライムズ・アンド・ライフ
■動画リンク:「1nce Again (featuring Tammy Lucas)」
このアルバムではリズムが少し変化しています。
シンプルで硬質なビートは、以前の含蓄に富んだリズムとは異なっています。
もしかしたらそれはJ・ディラの影響だったかもしれません。
後にJ・ディラは簡素なリズムで一世を風靡しました。
しかしこの頃はまだ簡素ではありますが、後のようなもう一段の深みに欠けていました。
もしクエストラブ(Questlove)がドラムを叩いていたら、更に良い曲になったかもしれません。
その未成熟な簡素なリズムを華やかな女性ボーカルで補ったことが、このアルバムの低評価の原因かもしれません。
私は好きですが。
私が思うに、以前のリズムでは女性シンガーを起用しにくかったかもしれません。
8位 「Electric Relaxation」(アルバム:Midnight Marauders)
■曲名:Electric Relaxation
■曲名邦題:エレクトリック・リラクゼーション
■アルバム名:Midnight Marauders
■アルバム名邦題:ミッドナイト・マローダーズ(暗闇の御尋ね者)
■動画リンク:「Electric Relaxation」
彼らの最高傑作は「The Low End Theory」か「Midnight Marauders」のどちらかだと言われています。
「The Love Movement」も捨てがたいですが。
「The Low End Theory」は、渋くてカッコいいアルバムでした。
ただあまりにスタイリッシュすぎるせいか、息苦しいと感じる副作用があります。
一方「Midnight Marauders」は、多彩さと個々の曲の粒立ちでは上回るかもしれません。
以下のような曲も収録されていますし。
A Tribe Called Quest – Oh My God (featuring Busta Rhymes)
最初の1枚としては、このアルバムをおすすめします。
9位 「Like It Like That」(アルバム:The Love Movement)
■曲名:Like It Like That
■曲名邦題:ライク・イット・ライク・ザット
■アルバム名:The Love Movement
■アルバム名邦題:ザ・ラヴ・ムーヴメント
■動画リンク:「Like It Like That」
今回は結果的に美しい曲が多くなりました。
彼らはピアノ、エレピ、ヴィブラフォンを上手く活用しています。
彼らはダウナーすぎないトラック上で、ひんやりした楽器を活用することに長けています。
この曲もその1曲。
このアルバムでは、サウンドの肌ざわりが大きく変わりました。
前作と比べると、明らかに音の分離が明確になった感じがします。
彼らの音楽は雰囲気が魅力的でした。
以前の曲の作風では、音の分離が明確でないことが効果的だったかもしれません。
あいまいさがミステリアスで、想像力を喚起していました。
一方このアルバムでは個々の音が分離され、霧がかっているところがなくなりました。
それは諸刃の剣だったかもしれません。
しかし彼らはこのアルバムで新たな魅力を打ち出し、新しいファンを獲得しました。
10位 「Conrad Tokyo (featuring Kendrick Lamar)」(アルバム:We Got It from Here… Thank You 4 Your Service)
■曲名:Conrad Tokyo (featuring Kendrick Lamar)
■曲名邦題:コンラッド・トーキョー (フィーチャリング ケンドリック・ラマー)
■アルバム名:We Got It from Here… Thank You 4 Your Service
■アルバム名邦題:ウィ・ゴット・イット・フロム・ヒア・サンキュー・フォー・ユア・サービス
■動画リンク:「Conrad Tokyo (featuring Kendrick Lamar)」
ATCQの中心人物はQティップです。
ファース・トアルバムの後に、ジェロビ・ホワイト(Jarobi White)が脱退しています。
その後Qティップとファイフ・ドーグ(Phife Dawg)の関係が悪化しました。
その結果彼らは、1998年の「The Love Movement」の後、解散することになりました。
その後Qティップはソロ活動に移行し、良い曲も沢山ありますが、私はATCQの幻影を追いかけていました。
ATCQ時代も、ファイフは軽視されていた感じがしないでもありません。
しかし見せ場は少なくとも、ファイフの存在は利いていました。
しかしこの再結成アルバムでは、ファイルとジェロビが参加していて、初期のメンバーが勢ぞろいしました。
再結成後のこのアルバムにしては、なかなかの出来です。
もしかしたら曲単独では、以下の曲の方が良いかもしれません。
A Tribe Called Quest – Dis Genertion
しかし今回は一貫性の観点から、この曲を選んでみました。
この後Qティップとファイフの関係は再度悪化し、ファイフは2016年に他界しています。
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