今回はムーディーマンのランキングを作成しました。
この人の音楽は黒くてディープです。
又、内省な深みと精神性も備えています。
表面的な刺激では満足できない人は、ぜひ一度体験してみてください。
- 1 1位「Don’t You Want My Love」(アルバム:Forevernevermore)
- 2 2位「The Thief That Stole My Sad Days(Ya Blessin Me)」(アルバム:Forevernevermore)
- 3 3位「Sunshine」(アルバム:Mahogany Brown)
- 4 4位「Black Mahogani」(アルバム:Black Mahogani)
- 5 5位「On The Run」(アルバム:Mahogany Brown)
- 6 6位「Shades of Jae」(アルバム:Black Mahogani)
- 7 7位「Wednesday Night Poeple」(アルバム:Forevernevermore)
- 8 8位「People」(アルバム:Silence in the Secret Garden)
- 9 9位「I Can’t Kick This Feeling When It Hits」(アルバム:A Silent Introduction)
- 10 10位「Long Hot Sexy Nights」
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1位「Don’t You Want My Love」(アルバム:Forevernevermore)
■曲名:Don’t You Want My Love
■アルバム名:Forevernevermore
■アルバム名邦題:フォーエバーネバーモア
■動画リンク:「Don’t You Want My Love」
この記事では、彼の魅力をなるべく分かりやすく伝えようと考えました。
そのためアブストラクトな曲や変態的な曲は取り上げていません。
ただ今回対象外にした曲にも興味深い曲が多いので、もしよかったらアルバム単位でチェックしていただければと思います。
さてこの曲は、彼の中でも特に万人向けのキャッチーな曲。
分かりやすさではイチオシです。
聞きやすさより深みを重視している方には、以下の曲をおすすめします。
私の好みだけでいえば、この曲もランクイン相当です。
この記事では間口を広くご紹介しましたが、彼の音楽は入口を入ってからの奥行きが半端ありません。
2位「The Thief That Stole My Sad Days(Ya Blessin Me)」(アルバム:Forevernevermore)
■曲名:The Thief That Stole My Sad Days(Ya Blessin Me)
■アルバム名:Forevernevermore
■アルバム名邦題:フォーエバーネバーモア
■動画リンク:「The Thief That Stole My Sad Days(Ya Blessin Me)」
この曲はゴスペルといいますか、教会っぽい雰囲気があります。
私はキリスト教信者ではありませんが、アメリカでゴスペル教会に行ったことがあります。
本当にオルガンが鳴り始め、みんなで歌うのですね。
私もよく分からないまま歌いましたが、とても感動的な音楽体験でした。
さてこの曲は二重構造になっています。
背景では感極まったゴスペルのコール&レスポンス、それに重ね合わされたクールに歌い上げる女性ボーカル。
その対比を強引にまとめあげた手腕が見事です。
その後女性ボーカルは熱を帯び始め、簡素なリズムは速まる心臓の鼓動のごとくテンポを上げていきます。
3位「Sunshine」(アルバム:Mahogany Brown)
■曲名:Sunshine
■アルバム名:Mahogany Brown
■アルバム名邦題:マホガニー・ブラウン
■動画リンク:「Sunshine」
この人の音楽は、とにかく黒さが魅力です。
ただ彼のピアノの使い方などは、必ずしも黒いばかりではありません。
メロディだけでいえば真っ白なピアノの演奏もありますが、土台が黒すぎて白くは聞こえません。
さてこの曲のタイトルは「Sunshine」つまり「日光」ですが、真夜中のクラブにいる客の歓声にしか聞こえません。
彼の音楽には、クールでスピリチャルな質感があります。
表面的な肌ざわりは決してコテコテではなく、むしろ薄味なぐらいかもしれません。
しかし黒さの出汁は極めて濃厚で、まるで薄味でも出汁が利いている料理のようです。
4位「Black Mahogani」(アルバム:Black Mahogani)
■曲名:Black Mahogani
■アルバム名:Black Mahogani
■アルバム名邦題:ブラック・マホガニー
■動画リンク:「Black Mahogani」
「Mahogani」という言葉は、彼の音楽を読み解く上でのキーワードかもしれません。
それはケヴィン・エアーズ(Kevin Ayers)における「バナナ」みたいなもの。
ケヴィン・エアーズの「バナナ」には、彼の楽園志向が見え隠れしていました。
今回取り上げた5枚のアルバムでは「Mahogany Brown」「Black Mahogany」という2枚に「Mahogani」という言葉が使われています。
またこのアルバムは、彼が設立したMahogani Musicというレーベルからリリースされています。
「Mahogani」とは、高級家具や高級楽器などに使われる樹木の種類。
「Mahogany Brown」「Black Mahogany」とという2枚のアルバムには、「Mahogani」という言葉にそれぞれ黒と茶色が指定されています。
彼は「Mahogani」という言葉を、アフリカ系アメリカ人の象徴として使っているようです。
「誇り高き黒さ」みたいな意味でしょうか。
5位「On The Run」(アルバム:Mahogany Brown)
■曲名:On The Run
■アルバム名:Mahogany Brown
■アルバム名邦題:マホガニー・ブラウン
■動画リンク:「On The Run」
この人の音楽は内省的です。
内気な人の独り言をうっかり聞いてしまったような趣きがあります。
ちなみに「Moodymann」という芸名は、日本語にすると「不機嫌な男」とか「気難しい男」という意味。
以前デトロイトの音楽仲間でも、彼の連絡先を知っている人はとても少ないという記事を読んだことがあります。
彼は決してフレンドリーな男ではありません。
しかしだからこそ可能な音楽があるかもしれません。
ハウス・ミュージックは大勢で盛り上がる曲が多いですが、この曲はそうした音楽とは異なります。
スライ・ストーン(Sly Stone)がファンクに内省を持ち込んだ「ファミリー・アフェア(Family Affair)」や「ランニン・アウェイ(Runnin’ Away)」と構図が似ています。
もう1曲、このアルバムのタイトル曲をご紹介しておきましょう。
6位「Shades of Jae」(アルバム:Black Mahogani)
■曲名:Shades of Jae
■アルバム名:Black Mahogani
■アルバム名邦題:ブラック・マホガニー
■動画リンク:「Shades of Jae」
彼の音楽は、ディープ・ハウスとかデトロイト・テクノに分類されます。
彼はデトロイト出身のDJ。
デトロイトといえば、デトロイト・テクノが知られています。
ただ彼の音楽自体は、典型的なデトロイト・テクノとは少し異なるかもしれません。
彼の音楽は、様々な音楽のごった煮みたいところがあります。
テクノ、ハウス、HIPHOP、ジャズ、ファンク、R&Bなどを包括した総合ブラック・ミュージックと言った方がしっくりきます。
今回はこの「Black Mahogani」までの5枚を対象にしました。
彼はこの後も続編の「Black Mahogani 2」をリリースし、現在まで充実した活動をしています。
7位「Wednesday Night Poeple」(アルバム:Forevernevermore)
■曲名:Wednesday Night Poeple
■アルバム名:Forevernevermore
■アルバム名邦題:フォーエバーネバーモア
■動画リンク:「Wednesday Night Poeple」
彼の最高傑作は「Mahogany Brown」「Forevernevermore」「Black Mahogani」のどれかだと言われています。
私はこのアルバムを推します。
彼はレコード店で働きながら、クラブDJをやっていました。
デトロイトのOutcast Motorcycle ClubにおいてレジデントDJをつとめていた。
この曲は「Wednesday Night Poeple」という曲名です。
私はクラブの客をテーマにした曲ではないかと推測しています。
平日の水曜日にクラブで遊ぶ人は、どっぷりハマっている人かもしれません。
この曲では「Keep On」つまり「続けて」という声が繰り返されていますし。
刹那的に快楽を求めている感じがする曲です。
8位「People」(アルバム:Silence in the Secret Garden)
■曲名:People
■アルバム名:Silence in the Secret Garden
■アルバム名邦題:サイレンス・イン・ザ・シークレット・ガーデン
■動画リンク:「People」
今回取り上げた5枚のアルバムの内、2枚は「Silent Introduction」「Silence in the Secret Garden」というタイトルです。
つまり彼は「静けさ」にこだわっているようですね。
それは精神性と言い換えてもいいかもしれません。
彼は精神性を重視していますが、それは彼の孤高の姿勢を表している言葉です。
彼は孤独の状態を保つため、孤立をいとわないどころか、積極的に孤立しようとしています。
この曲は、彼がリミックスを手掛けた以下の曲がオリジナルです。
Innerzone Orchestra ft. Paul Randolph – People Make The World Go Round (Kenny Dixon Jr. Remix)
私は彼の音楽に、ロニー・リストン・スミス(Lonnie Liston Smith)の影響を感じることがあります。
9位「I Can’t Kick This Feeling When It Hits」(アルバム:A Silent Introduction)
■曲名:I Can’t Kick This Feeling When It Hits
■アルバム名:A Silent Introduction
■アルバム名邦題:サイレント・イントロダクション
■動画リンク:「I Can’t Kick This Feeling When It Hits」
音楽には、即効性の音楽と遅効性の音楽があります。
ムーディーマンは典型的な後者のタイプで、浸透速度の遅さは極端なほどかもしれません。
このブログで取り上げたどのアーティストよりも遅効性に感じます。
たとえば「Mahogany Brown」の1曲目「Radio」は、ラジオDJ風の語りとサウンドコラージュの曲。
それが7分以上も続いています。
通常は冒頭にそういう曲が置いても、1-2分ぐらいですよね。
しかもその曲は結局そのまま終わり、実質音楽が始まるのは2曲目からです(笑)
この曲も導入部が少し長いです。
ロックを聞きなれた耳からすると、少しもったいぶった感じに聞こえるかもしれません。
ただ我慢して聞いていると、彼の音楽は遅効性の毒のように効いてきます。
10位「Long Hot Sexy Nights」
■曲名:Long Hot Sexy Nights
■動画リンク:「Long Hot Sexy Nights」
この曲はデビュー・アルバムの前にリリースされたシングルです。
彼は以下のような経緯でアルバム・デビューしました。
1997年にカール・クレイグの運営するレコードレーベル、Planet Eからのリリースでフランスで人気が出、アーチストとしての活動を活発にさせていった。
しかしそれ以前にもシングルを数枚発表しています。
1995年に発表したこのシングルも、その中の1曲。
既に完成している感じがしますね。
その後に比べると若さを感じますが、ダンスフロアーでの機能性が高い曲です。
最後にまだ聞き足りないという方に向けて、もう1曲ご紹介して記事を終えたいと思います。
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