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パーラメント (Parliament)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はパーラメントのランキングを作成しました。

彼らは、Pファンク(P-Funk)と呼ばれている一派に属するグループです。

P-Funkとは、ジョージ・クリントン(George Clinton)が率いていた、パーラメントとファンカデリック(Funkadelic)と、その関連ミュージシャンの音楽を指す言葉です。

彼らの特徴は、単に音楽だけではありません。

彼らはかなり独特の世界観を持っていて、一連の物語に基づくアルバムをリリースしています。

彼らの音楽を一言で表現すると「濃厚なファンク」といえます。

中には濃い音楽はよりもあっさりめの音楽の方がいい人もいるかもしれません。

しかし彼らの音楽はとても強烈で、そうした防衛線を軽く飛び越えてくる魅力があります。

ライトで趣味の良い音楽がお好きな方も、一度は体験しておいた方がいいと思います。

 

1位「Flash Light」(アルバム:Funkentelechy vs. the Placebo Syndrome)

■曲名:Flash Light
■曲名邦題:フラッシュ・ライト
■アルバム名:Funkentelechy vs. the Placebo Syndrome
■アルバム名邦題:ファンケンテレキーVS.プレイスボ・シンドローム
■動画リンク:「Flash Light」

この曲は彼らの代表曲の1つです。

シングル総合チャートで16位、R&Bチャートで1位を獲得しています。

この曲で衝撃的なのは、ベースラインです。

コーデル・モースン(Cordell “Boogie” Mosson)のベースは、この曲を支配している感があります。

このベースラインはゴリゴリと進んだかと思ったら、時々高音でビブラートをかけて、痙攣したような効果音を出しています。

彼らの音楽を聞くということは、かなりの部分ベースを聞くということです。

コーデル・モースンだけでなく、ブーツィーコリンズなど腕利きのプレイヤーがそろっていて、誰がプレイしてもエース級の働きをします。

通常ファンクというと、ベースだけでなくドラムも重要なのですが、彼らはどちらかというとベースの比重が大きいように思います。。

あとはバーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)のキーボードもすばらしいです。

特に1:40のところを始めとしたバーニーにによるプラスチックな感じの音は、どことなくプリンス(Prince)っぽいですね。

また1:52ぐらいからのシリアスなキーボードは、G-Funkに影響を与えた感じがします。

ファンクの金字塔といいってもいい曲です。

 

2位「Give Up the Funk (Tear the Roof Off the Sucker) 」(アルバム:Live: P-Funk Earth Tour)

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■曲名:Give Up the Funk (Tear the Roof Off the Sucker)
■曲名邦題:ギヴ・アップ・ザ・ファンク
■アルバム名:Live: P-Funk Earth Tour
■アルバム名邦題:ライヴ!! Pファンク・アース・ツアー
■動画リンク:「Give Up the Funk (Tear the Roof Off the Sucker)」

このライブアルバムは最高傑作と言われることが多く、異様な高揚感が満ち満ちています。

このアルバムでは、どの曲を選ぶか迷いました。

アルバムを通して聞いた方がいいように思いますが、とりあえず入り口として1曲ご紹介しておきましょう。

聞きどころは、こちらもやはりベースラインです。

ただ普通にパソコンやスマートフォンで再生しても、ベースがよく聞こえません。

私が一番すごいと思う神ベースの曲を1位と2位にまとめておきましたから、この2曲だけヘッドホンで聞いてみてください。

この曲のベースラインには先程の曲とは少し違った魅力があります。

先程はぶっとい音でゴリゴリしてしていて、時々高音で恍惚のビブラートという演奏でした。

こちらはゴリゴリしたところは同じ魅力ですが、18秒ぐらいからのような小刻みなプレイが最高です。

 

3位「The Motor-Booty Affair」(アルバム:Motor Booty Affair)

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■曲名:The Motor-Booty Affair
■曲名邦題:モーター・ブーティー・アフェア
■アルバム名:Motor Booty Affair
■アルバム名邦題:モーター・ブーティー・アフェア
■動画リンク:「The Motor-Booty Affair」

彼らの全盛期は「Mothership Connection」「The Clones of Dr. Funkenstein」「Live: P-Funk Earth Tour」あたりだと言われています。

しかし私はそこに「Funkentelechy vs. the Placebo Syndrome」「Motor Booty Affair」を加えたいと思います。

後者では少し音楽にカドがとれてきました。

曲によっては都会派ファンクミュージックみたいなものすらあります。

その代表がこの曲です。

以前は良くも悪くも整理されていないアレンジが魅力的でしたが、この曲では音が整理されて、洗練された音楽に仕上がっています。

コアなファンの方はスリルがないとか、毒気が抜けたと感じるかもしれません。

しかし実際に聞いてみるといかがでしょうか。

たしかに以前のように演奏はぶっ飛んでいませんが、ベースのうねりっぷりもあっぱれですし、手抜きのファンクではありません。

この頃の魅力は、楽曲の出来の良さです。

ソングライティングのレベルが向上してきたので、楽曲の魅力を活かす演奏やアレンジに移行するのも自然な流れかもしれません。

 

4位「Placebo Syndrome」(アルバム:Funkentelechy vs. the Placebo Syndrome)

■曲名:Placebo Syndrome
■曲名邦題:プレイスボ・シンドローム
■アルバム名:Funkentelechy vs. the Placebo Syndrome
■アルバム名邦題:ファンケンテレキーVS.プレイスボ・シンドローム
■動画リンク:「Placebo Syndrome」

この曲も洗練期の作品です。

これまでのファンクとは異なり、とてもメロウな手触りの曲です。

彼らは「Mothership Connection」ぐらいから、善と悪との物語を展開してきました。

善はジョージ・クリントン率いるスター・チャイルドです。

彼らはUFOに乗って宇宙から地球に飛来しました。

先程ご紹介した「Live: P-Funk Earth Tour」は、スター・チャイルドが地球でライブをやったという設定です。

しかし彼らには、サー・ノーズ・ディヴォイド・オブ・ファンク(Sir Nose D’Voidoffunk)という象のような鼻を持つ宿敵がいます

「D’Voidoffun」とは「ファンクの欠乏」という意味です。

恐るべきサー・ノーズが、スヌーズガンで人々を攻撃すると「プラシーボ症候群」というファンクの欠乏状態になってしまうのです。
この曲名は、そのファンクが欠乏した「プラシーボ症候群」についての曲です。

だからファンクの曲ではないのですね。

さて対する我らがスター・チャイルドも黙ってはいません。彼らはバップ・ガンで応戦します。

バップ・ガンで撃たれた人は、ファンキーになってしまいます。

実に手に汗を握る戦いではないでしょうか(本当か)

果たしてファンクは地球を救うことができるのか乞うご期待(つづく)

 

5位「Chocolate City」(アルバム:Chocolate City)

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■曲名:Chocolate City
■曲名邦題:チョコレート・シティ
■アルバム名:Chocolate City
■アルバム名邦題:チョコレート・シティ
■動画リンク:「Chocolate City」

さてこの曲は彼らが上記のようなキテレツな世界観を打ち出す以前の曲です。

彼らはこの頃違う世界観を提示していました。

「Chocolate City」とは黒人が多い都市、ワシントンのことを指すようです。

もしワシントンの大統領がモハメド・アリ(Muhammad Ali)で、アレサ・フランクリン(Aretha Franklin)がファースト・レディ、美術長官がスティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)だったらという、たわない空想の曲です。

このことからあることが分かります。

彼らは白人を自分たちのリスナーとして想定していないということです。

おそらくワシントンが黒人の都市だとか、モハメド・アリが大統領だったらと歌ったら、不快に思う白人もいることでしょう。

この頃は今よりもっと白人優位の時代でしたから。

それに購買力のある白人をターゲット層にすれば、セールス的にも安定します。

彼らはこの頃から同胞黒人に向けた音楽を意図していたことが分かります。

後に彼らは、1つのグルーヴの下で国家をつくろうという壮大な物語を夢見る境地にまで至ります。

そもそも「Parliament」というグループ名からして「議会」という意味です。

彼らの音楽はHIPHOP系の人たちによくサンプリングしていますが、それは音楽的にすばらしいというだけでなく、彼らをリスペクトしている意味も含まれています。

 

6位「Crush It」(アルバム:Trombipulation)

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■曲名:Crush It
■曲名邦題:クラッシュ・イット
■アルバム名:Trombipulation
■アルバム名邦題:トロンビピュレイション
■動画リンク:「Crush It」

このアルバムジャケットには、宿敵サー・ノーズがデカデカと掲載されています。

この歌詞を読むと、サー・ノーズの攻撃らしきシーンから始まります。

邪悪なサー・ノーズは巨大な鼻を武器に、我々のファンク魂を弱体化させようとしています。

果たして正義のファンク軍団は、このままみじめに敗北してしまうのでしょうか。

しかしご安心ください。ファンクは永遠に不滅です。

続いての歌詞で「いいえ私たちは踊ります。あなたは私たちをつぶすことはできません」という内容が続きます。

そしてまさかまさかの「逆に私たちがあなたをつぶします」という逆襲宣言までしています。

追い込まれて瀕死の状態から、ファンク魂が復活したようです。

まるで少年ジャンプのような、ライフゼロからの復活の展開です。

とはいえこのアルバムは彼らのラストアルバムです。

このアルバムでパーラメントは解散し、以降は同じようなメンバーでPファンク・オール・スターズ(P Funk All Stars)として活動することになります。

一応名義としては最終アルバムです。

原因は金銭問題を含めた内部の不満がたまった結果と言われていますが、正義の軍団だったはずではと思ってしまいますね。

どことなくプロレス団体の終わり方に似ているような気もします。

 

7位「Mothership Connection (Star Child)」(アルバム:Mothership Connection)

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■曲名:Mothership Connection (Star Child)
■曲名邦題:マザーシップ・コネクション – ”
■アルバム名:Mothership Connection
■アルバム名邦題:マザーシップ・コネクション
■動画リンク:「Mothership Connection (Star Child)」

このグループの謎は、ジョージ・クリントンとブーツィ・コリンズの役割分担です。

ジョージ・クリントンはこのバンドのリーダーで、曲作りに参加していたり、独特のアルバムコンセプトを練っています。

ボーカルやキーボードなども担当しているようですが、彼が一プレイヤーとして先頭に立って引っ張っている感じはしません。

一方ブーツィ・コリンズは、ギターも弾くけれど基本的にベーシストです。

ブーツィはおそらく音楽面について、かなり発言権が大きいと思われます。

彼自身もソロアルバムを出していますが、毒のある世界観は控えめで、グループよりもストレートなファンクミュージックをやっています。

セカンドアルバムでブーツィが加入してからは、明らかに音楽性が変わりました。

名曲「アップ・フォー・ザ・ダウン・ストローク(Up for the Down Stroke)」のように、ファンク色が強まりました。

そうした流れで聞くと、この曲などはブーツィが主導権を握ったのかなと思われます。

ミディアムテンポのこの時期にしては、比較的素直なファンクミュージックです。

さて話題は変わりますが、このバンドの運営体制を会社にたとえてみました。

・ジョージ・クリントン:社長(商品コンセプトを製造現場に指示する個性派経営者)
・ブーツィ・コリンズ:副社長(ファンクできれば何でもいい現場第一主義者)
・バーニー・ウォーレル:専務(キテレツな電波を飛ばして社内を統括している影の支配者)
・フレッド・ウェズリーとメイシオ・パーカー:常務(同業他社から引き抜いた優秀な人材)

 

8位「Big Footin」(アルバム:Chocolate City)

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■曲名:Big Footin
■曲名邦題:ビッグ・フッティン
■アルバム名:Chocolate City
■アルバム名邦題:チョコレート・シティ
■動画リンク:「Big Footin」

こちらは私が個人的に好きな曲です。少しイカレた声から始まります。

先程からベースのことばかり言っていますが、この曲や「Do That Stuff」など、ドラムが目立つ曲も時々あります。

彼らは前作「Up for the Down Stroke」で、その後の定番となるファンクスタイルを見つけました。

次作であるこのアルバムは、そのファンク路線を更に推し進めています。

ただこの頃は過渡期で、この曲のような尖っていてアウトな感覚を残した曲も収録されています。

後に彼らは自己模倣したようなところが出てきて、少しずつ音楽にスリルがなくなっていきました。

その点この頃は、彼らがまだ雑多な要素を勢いだけで詰め込んだ破天荒なところがあります。

まだ彼らが登り詰めていく過程の、未完成な魅力が感じられる曲です。

 

9位「Little Ole Country Boy」(アルバム:Osmium)

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■曲名:Little Ole Country Boy
■曲名邦題:リトル・オーレ・カントリー・ボーイ
■アルバム名:Osmium
■アルバム名邦題:オズミウム
■動画リンク:「Little Ole Country Boy」

彼らが一番やばかったのは、このファーストアルバムの頃です。

今回一通り聞きなおしてみて一番発見がありました。

他にも「オー・ロード、ホワイ・ロード/プレイヤー(Oh Lord, Why Lord/Prayer)」など、すばらしい曲が多数収録されています。

セカンドアルバム以降は一貫してカサブランカ・レコード(Casablanca Records)に所属していますが、この1枚目だけはインヴィクタス・レコード(Invictus Records)に所属していました。

私はホットワックス/インヴィクタス(Invictus/Hot Wax)というレーベルが大好きで、かたっぱしからコンピレーションを買っています。

この曲はその中にかなり高い確率で収録されています。

いわゆるキャラ立ちしている曲なので、選曲したくなるのでしょうね。同じ選曲屋として気持ちは分かります。

なにせバックはカントリー風で、時々ヨーデル風のコーラスが入る中、どぎついアジテーションのようなボーカルががなりたてるという曲です。

リズムだって昔のジャンクなモンドミュージックのような感じで、まともではありません。

この頃の先鋭性は、後に彼らがコンセプトを尖らせていった時に、別の形で花開いた感じがします。

後に彼らはこうしたハズレっぷりを、キテレツな物語とユーモアで包んで表現するようになりました。

 

10位「Do That Stuff」(アルバム:The Clones Of Dr. Funkenstein)

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■曲名:Do That Stuff
■曲名邦題:ドゥ・ザット・スタッフ
■アルバム名:The Clones Of Dr. Funkenstein
■アルバム名邦題:ザ・クローンズ・オブ・ドクター・ファンケンシュタイン
■動画リンク:「Do That Stuff」

ジャケットは、我らがスターチャイルドの勇姿です。

アフロだったり、怪しげなメイクをしていたり、羽が生えていたりしています。黒いアフロの天使です。

女性のメンバーらしき人もいますね。

どう見ても正義の味方に見えないと思うかもしれませんが、いやいや待ってください。

それは我々のファンキーが足りていないせいに違いありません。

このアルバムでは新キャラが登場します。

ドクター・ファンケンシュタインというマッドサイエンティストが登場しています。

彼はクローン人間をつくり出していて、スター・チャイルドも、彼がつくり出したクローンという設定が追加されています。

つまりファンクを広める戦士を、どんどん増やしていこうではないかという壮大な計画のようです。

全然曲の解説をしていませんが、まあそのストーリーを念頭に聞いてみてみていただければと思います。

 

番外編「Fantasy is Reality」(アルバム:Live: P-Funk Earth Tour)

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■曲名:Fantasy is Reality
■曲名邦題:ファンタジー・イズ・リアリティ
■アルバム名:Live: P-Funk Earth Tour
■アルバム名邦題:ライヴ!! Pファンク・アース・ツアー
■動画リンク:「Fantasy is Reality」

この曲は隠れた名曲です。

この曲が収録されているのは「Live: P-Funk Earth Tour」という彼らの代表作ですし、どこが隠れているかと思われるかもしれません。

「Live: P-Funk Earth Tour」は、元々2枚組のアナログレコードでした。

それをCD化する時に、1枚にまとめたのですが、収録時間の関係でこの曲の収録が見送られました。

ちなみに私が持っているこのアルバムもこの曲が入っていません。おそらくそういう方も多いのではないかと思います。

またこの曲はシングルカットされています。

ベスト盤によっては収録されていますが、このバンドはアルバム単位でそろえる人が多いと思われ、とかくベスト盤はスルーされがちです。

この曲は上記ライブアルバムに、1曲だけスタジオ録音として追加された異色の曲です。

ベスト盤の中には、そのオリジナルのスタジオバージョンではなく、ご丁寧にライブバージョンで収録されているものがあります。

こうした様々な事情によって、この曲に出会い損ねている方も多いと思われます。

少しマニアックな観点からの番外編ですが、この曲のメッセージはとても貴重です。

彼らはかなりぶっ飛んだ設定の物語を展開していますが「ファンタジーだと思っているかもしれないけど、これは現実なのだよ」ということを訴えている曲です。

どうやら我々はおとなしくファンキーになるしかなさそうですね。

 

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