今回はパーラメントのランキングを作成しました。
彼らは、Pファンク(P-Funk)と呼ばれる一派に属するグループです。
P-Funkとは、ジョージ・クリントン(George Clinton)率いるパーラメントとファンカデリック(Funkadelic)と、その関連ミュージシャンを指す言葉です。
彼らには独特の世界観を持っていて、一連の物語に基づいたストーリー性のあるアルバムを発表しています。
- 1 1位「Flash Light」(アルバム:Funkentelechy vs. the Placebo Syndrome)
- 2 2位「Give Up the Funk (Tear the Roof Off the Sucker) 」(アルバム:Live: P-Funk Earth Tour)
- 3 3位「The Motor-Booty Affair」(アルバム:Motor Booty Affair)
- 4 4位「Placebo Syndrome」(アルバム:Funkentelechy vs. the Placebo Syndrome)
- 5 5位「Chocolate City」(アルバム:Chocolate City)
- 6 6位「Crush It」(アルバム:Trombipulation)
- 7 7位「Mothership Connection (Star Child)」(アルバム:Mothership Connection)
- 8 8位「Big Footin」(アルバム:Chocolate City)
- 9 9位「Little Ole Country Boy」(アルバム:Osmium)
- 10 10位「Do That Stuff」(アルバム:The Clones Of Dr. Funkenstein)
- 11 番外編「Fantasy is Reality」(アルバム:Live: P-Funk Earth Tour)
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1位「Flash Light」(アルバム:Funkentelechy vs. the Placebo Syndrome)

■曲名:Flash Light
■曲名邦題:フラッシュ・ライト
■アルバム名:Funkentelechy vs. the Placebo Syndrome(1977年)
■アルバム名邦題:ファンケンテレキーVS.プレイスボ・シンドローム
■動画リンク:「Flash Light」
この曲は彼らの代表曲の1つです。
シングル総合チャートで16位、R&Bチャートで1位を獲得しています。
この曲で聞きものはベースライン。
コーデル・モースン(Cordell “Boogie” Mosson)のベースは、この曲を支配している感があります。
ゴリゴリ進んだかと思ったら、時々高音でビブラートをかけて、痙攣したような効果音を出しています。
彼らの音楽を聞くということは、ある意味ベースを聞くということです。
コーデル・モースンだけでなく、ブーツィー・コリンズ(Bootsy Collins)など凄腕ぞろいで、誰がプレイしてもエース級の働きをしています。
ファンクの場合ドラムも同じぐらい重要ですが、彼らは比較的ベースの比重が大きいかもしれません。
ファンクの金字塔といいってもいい曲です。
2位「Give Up the Funk (Tear the Roof Off the Sucker) 」(アルバム:Live: P-Funk Earth Tour)

■曲名:Give Up the Funk (Tear the Roof Off the Sucker)
■曲名邦題:ギヴ・アップ・ザ・ファンク
■アルバム名:Live: P-Funk Earth Tour(1977年)
■アルバム名邦題:ライヴ!! Pファンク・アース・ツアー
■動画リンク:「Give Up the Funk (Tear the Roof Off the Sucker)」
このライブ・アルバムは最高傑作との誉れが高く、異様なほどの高揚感があります。
このアルバムでは、どの曲を選ぶか迷いました。
アルバムを通して聞いた方がいいように思いますが、とりあえず入り口として1曲ご紹介しておきましょう。
聞きどころは、こちらもやはりベースラインです。
ただこの曲のベースは、先程の曲とは少々違っているかもしれません。
たとえば18秒ぐらいから小刻みに刻んでいますね。
後はぶっとい音でうねっていますが、リード・ベースとでも呼びたくなるほど曲を主導しています。
ベースを脇役だと思っている人は衝撃を受けるかもしれません。
3位「The Motor-Booty Affair」(アルバム:Motor Booty Affair)

■曲名:The Motor-Booty Affair
■曲名邦題:モーター・ブーティー・アフェア
■アルバム名:Motor Booty Affair(1978年)
■アルバム名邦題:モーター・ブーティー・アフェア
■動画リンク:「The Motor-Booty Affair」
彼らの全盛期は「Mothership Connection」「The Clones of Dr. Funkenstein」「Live: P-Funk Earth Tour」あたりだと言われています。
ただ私は「Funkentelechy vs. the Placebo Syndrome」「Motor Booty Affair」も加えたいと思います。
後者では少し音楽のカドがとれてきました。
この曲のように洗練されたファンクもありますし。
以前は良くも悪くも整理されていない猥雑さがありましたが、この曲では音が整理されてよりスッキリした仕上がりです。
コアなファンの方はスリルがないとか、毒気が抜けたと感じるかもしれません。
しかし実際に聞いてみるといかがでしょうか。
たしかに以前に比べてぶっ飛んだ演奏ではありませんが、楽曲志向が強まり聞きやすい良い曲だと思います。
4位「Placebo Syndrome」(アルバム:Funkentelechy vs. the Placebo Syndrome)

■曲名:Placebo Syndrome
■曲名邦題:プレイスボ・シンドローム
■アルバム名:Funkentelechy vs. the Placebo Syndrome(1977年)
■アルバム名邦題:ファンケンテレキーVS.プレイスボ・シンドローム
■動画リンク:「Placebo Syndrome」
彼らは「Mothership Connection」あたりから、善と悪との物語を展開してきました。
善はジョージ・クリントン率いるスター・チャイルドです。
彼らはUFOに乗って地球に飛来しました。
先程の「Live: P-Funk Earth Tour」は、スター・チャイルドが地球でライブをやったという設定です。
しかし彼らには、サー・ノーズ・ディヴォイド・オブ・ファンク(Sir Nose D’Voidoffunk)という、象のような鼻を持つ宿敵がいました
サー・ノーズのスヌーズ・ガンが人々に当たると「プラシーボ症候群」というファンク欠乏状態になってしまいます。
この曲名は、そのファンクが欠乏した「プラシーボ症候群」についての曲。
だからこの曲はファンクではなくバラードなのですね。
それに対して我らがスター・チャイルドは、バップ・ガンで応戦します。
バップ・ガンで撃たれた人は皆ファンキーになります。
実に手に汗を握る戦いではないでしょうか(本当か)
はたしてファンクは地球を救うことができるのか、乞うご期待(続く)
5位「Chocolate City」(アルバム:Chocolate City)

■曲名:Chocolate City
■曲名邦題:チョコレート・シティ
■アルバム名:Chocolate City(1975年)
■アルバム名邦題:チョコレート・シティ
■動画リンク:「Chocolate City」
彼らがキテレツな物語を展開する曲です。
「Chocolate City」とは黒人が多い都市、ここではワシントンのことを指すようです。
もしワシントンの大統領がモハメド・アリ(Muhammad Ali)で、アレサ・フランクリン(Aretha Franklin)がファースト・レディ、美術長官がスティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)だったらという空想の曲です。
このことからあることが分かります。
当時彼らは白人を自分たちのリスナーとして想定していなかったということ。
おそらくワシントンが黒人の都市だとか、モハメド・アリが大統領だったらと歌ったら、不快感をあらわにする白人もいることでしょう。
しかし彼らは同胞黒人に向けたメッセージを音楽に込めました。
後に彼らは、1つのグルーヴの下一致団結しようという壮大な物語を夢見るまでに至ります。
そもそも「Parliament」というグループ名からして「議会」という意味です。
6位「Crush It」(アルバム:Trombipulation)

■曲名:Crush It
■曲名邦題:クラッシュ・イット
■アルバム名:Trombipulation(1980年)
■アルバム名邦題:トロンビピュレイション
■動画リンク:「Crush It」
このアルバム・ジャケットには、宿敵サー・ノーズが大きく掲載されています。
歌詞を読むと、サー・ノーズの攻撃らしきシーンから始まります。
サー・ノーズは、人々の中にあるファンクを弱体化させようとしています。
はたして正義のスターチャイルドは、このままみじめに敗北してしまうのでしょうか。
しかしご安心ください。ファンクは永遠に不滅です。
続いての歌詞で「いいえ私たちは踊ります。あなたには私たちをつぶせません」と復活の狼煙を上げます。
そしてまさかまさかの「逆に私たちがあなたをつぶします」という反撃を宣言しました。
瀕死の状態でしたが、ファンクが回復したようです。
まるで少年ジャンプのような、ライフゼロからのドラマティックな復活激です。
ただこのアルバムは彼らのラスト・アルバムになりました
惜しくもパーラメントは解散し、以降は同じようなメンバーでPファンク・オール・スターズ(P Funk All Stars)として活動することになります。
一応パーラメント名義としては最終アルバムです。
原因は金銭問題などメンバーの不満がたまった結果と言われていますが、正義の軍団としてはあっけない終わり方でした。
どことなくプロレス団体の終わり方に似ているような感じがしないでもありません。
7位「Mothership Connection (Star Child)」(アルバム:Mothership Connection)

■曲名:Mothership Connection (Star Child)
■曲名邦題:マザーシップ・コネクション – ”
■アルバム名:Mothership Connection(1975年)
■アルバム名邦題:マザーシップ・コネクション
■動画リンク:「Mothership Connection (Star Child)」
このグループでよく分からないのは、ジョージ・クリントンとブーツィ・コリンズの関係です。
ジョージ・クリントンはこのバンドのリーダーで、曲づくりに参加していたりコンセプトを立案する司令塔でした。
ボーカルやキーボードも担当しているようですが、彼が1人のプレイヤーとして先頭に立ち引っ張っている感じはしません。
一方ブーツィ・コリンズは、ギターも弾くけれど基本的にベーシストです。
ブーツィはおそらく音楽面については、かなり発言権が大きいと思われます。
彼はソロでも活躍していますが、毒のある世界観は控えめで、よりストレートなファンクをやっています。
そもそもセカンドでブーツィが加入してから、明らかにグループの音楽性が変わりました。
名曲「アップ・フォー・ザ・ダウン・ストローク(Up for the Down Stroke)」のように、ファンク色が強まりました。
Parliament – Up For The Down Stroke
この時期はブーツィが音楽の主導権を握っていたかもしれません。
会社でいえばこんな感じかもしれません。
・ジョージ・クリントン:社長(商品コンセプトを製造現場に指示する、個性的な経営者)
・ブーツィ・コリンズ:副社長(ファンクをやれれば何でもいい、現場第一主義者)
・バーニー・ウォーレル:専務(キテレツな電波を飛ばして社内を統括する影の支配者)
・フレッド・ウェズリーとメイシオ・パーカー:常務(同業他社から引き抜いた有能な人材)
8位「Big Footin」(アルバム:Chocolate City)

■曲名:Big Footin
■曲名邦題:ビッグ・フッティン
■アルバム名:Chocolate City(1975年)
■アルバム名邦題:チョコレート・シティ
■動画リンク:「Big Footin」
こちらは私が個人的に好きな曲です。少しイカレた声から始まります。
先程からベースのことばかり言っていますが、この曲や「Do That Stuff」など、時々ドラムが目立つ曲もあります。
彼らは前作「Up for the Down Stroke」で、その後の定番となる彼ら独自のスタイルを見つけました。
次作にあたるこのアルバムは、そのファンク路線を更に推し進めています。
ただこの頃はまだ過渡期で、この曲のように尖っていてアウトな感覚を残す曲も収録されていました。
後に彼らは自己模倣したあたりから、少しずつ音楽にスリルがなくなっていったかもしれません。
その点この頃は、彼らがまだ雑多な要素を勢いだけで詰め込んだような破天荒さやスリルが残っています。
未完成なところがおもしろい曲です。
9位「Little Ole Country Boy」(アルバム:Osmium)

■曲名:Little Ole Country Boy
■曲名邦題:リトル・オーレ・カントリー・ボーイ
■アルバム名:Osmium(1970年)
■アルバム名邦題:オズミウム
■動画リンク:「Little Ole Country Boy」
彼らが一番ヤバかったのは、このファースト・アルバムの頃です。
このアルバムには他にも「オー・ロード、ホワイ・ロード/プレイヤー(Oh Lord, Why Lord/Prayer)」など、すばらしい曲が収録されています。
セカンド以降はカサブランカ・レコード(Casablanca Records)所属ですが、この1枚目はインヴィクタス・レコード(Invictus Records)所属でした。
私はホットワックス/インヴィクタス(Invictus/Hot Wax)というレーベルが大好きで、かたっぱしからコンピレーションを買っています。
この曲はそれらの編集盤にかなりの確率で収録されています。
いわゆるキャラ立ちしている曲なので、選曲したくなるのでしょう。
なにせバックはカントリー風で、時々ヨーデル風のコーラスが入る中、どぎついアジテーションのようなボーカルががなりたてる曲ですから。
リズムも昔のジャンクなモンド・ミュージックのような感じで、イカレたところがカッコいいです。
10位「Do That Stuff」(アルバム:The Clones Of Dr. Funkenstein)

■曲名:Do That Stuff
■曲名邦題:ドゥ・ザット・スタッフ
■アルバム名:The Clones Of Dr. Funkenstein(1976年)
■アルバム名邦題:ザ・クローンズ・オブ・ドクター・ファンケンシュタイン
■動画リンク:「Do That Stuff」
ジャケットには我らがスターチャイルドの勇姿が登場していますね。
アフロだったり怪しげなメイクをしていたり、羽が生えていたりしているアフロの天使です。
女性のメンバーらしき人もいますね。
正義の味方に見えないと思うかもしれませんが、いやいや待ってください。
それは我々のファンキーが足りていないせいに違いありません。
このアルバムでは新キャラが登場します。
その人物は、ドクター・ファンケンシュタインというマッド・サイエンティスト。
彼はクローン人間をつくり出していて、スター・チャイルドも彼によるクローンという設定のようです。
つまりファンクを広める戦士を、どんどん増やしていこうという壮大な計画のようですね。
番外編「Fantasy is Reality」(アルバム:Live: P-Funk Earth Tour)

■曲名:Fantasy is Reality
■曲名邦題:ファンタジー・イズ・リアリティ
■アルバム名:Live: P-Funk Earth Tour(1977年)
■アルバム名邦題:ライヴ!! Pファンク・アース・ツアー
■動画リンク:「Fantasy is Reality」
この曲は隠れた名曲です。
収録アルバムは「Live: P-Funk Earth Tour」という彼らの代表作ですから、どこが隠れているかと思われるかもしれません。
「Live: P-Funk Earth Tour」は、元々2枚組のアナログ・レコードでした。
しかしCD化する時に1枚にまとめるため、収録時間の関係でこの曲はカットされました。
もしかしたら今のCDには入っているかもしれませんが。
この曲は上記ライブ・アルバムに、1曲だけスタジオ録音として追加された曲です。
この曲はシングルカットされています。
ただベスト盤の中には、そのオリジナルのスタジオ・バージョンではなく、ご丁寧にライブ・バージョンで収録されているものがあります。
こうした様々な事情によって、この曲をご存じない方も少なくないと思われます。
少しマニアックな観点で最後にご紹介させていただきましたが、この曲は重要なメッセージを訴えています。
彼らは音楽の形を借りて奇想天外な物語を展開してきました。
しかしこの曲で「君たちはファンタジーだと思っているかもしれないけど、これは現実なのだよ」と訴えています。
ファンク欠乏症になるかファンキーになるか。
どうやら我々の運命は、その二択しかなさそうです。
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