今回はチャットモンチーのランキングを作成しました。
彼女たちは実力派のガールズロック・バンドです。
このバンドは、邦楽と洋楽の良さを合わせ持つ存在でした。
なお動画がアルバム・バージョンとは違う場合がありますので、予めご了承ください。
1位「シャングリラ」(アルバム:生命力)

■曲名:シャングリラ
■アルバム名:生命力(2007年)
■動画リンク:「シャングリラ」
このバンドの代表曲です。
この曲はライブではかなり盛り上がります。
高橋久美子在籍時のライブ動画をご紹介しましょう。
チャットモンチー – シャングリラ(Zepp Tokyo 2009)
どんなに良い曲が多いバンドであっても、そのバンドを象徴し、ファンの心を一つにまとめるアンセムがないバンドもあります。
それは実力や技術の問題ではなく、偶然性とか運の領域なのかもしれません。
その点このバンドは超強力なこのアンセムを授かりました。
もしかしたら熱心なファンであればあるほど、この曲が一番好きな曲ではないかもしれません。
しかしもし誰かにこのバンドの魅力を伝えたい時、真っ先にこの曲を聞いてほしくなります。
1位にふさわしい、絶対エースといえる曲です。
2位「風吹けば恋」(アルバム:告白)

■曲名:風吹けば恋
■アルバム名:告白(2009年)
■動画リンク:「風吹けば恋」
このバンドはスリーピース、つまり3人組のバンドです。
スリーピースのバンドについて語る時、枕詞のように演奏力が高いと言われます。
その法則はこのバンドにも当てはまるかもしれません。
彼女たちは一部アイドル的な人気もあったようですが、音楽的には思いのほか骨太なところがあります。
実際この動画での彼女たちのファッションも、女の子らしさを強調した服を着ていませんね。
それどころかイントロからゴリゴリ推してくる始末。
この頃の彼女たちはJ-POPと呼んでいいのかと、とまどうほどかもしれません。
硬派の演奏と橋本絵莉子のかわいらしい歌のギャップが、このバンドの大きな武器でした。
3位「恋の煙」(アルバム:耳鳴り)

■曲名:恋の煙
■アルバム名:耳鳴り(2006年)
■動画リンク:「恋の煙」
ファースト・アルバムの曲です。
ここでデビュー時のメンバーをご紹介しましょう。
・橋本絵莉子:ボーカル、ギター
・福岡晃子:ベース
・高橋久美子:ドラム
作曲はほとんどが橋本絵莉子1人、作詞は3人が単独で書いています。
特筆すべきは、3人全員が良い作詞家であること。
たとえばこの曲の作詞をした福岡晃子は、同アルバムで他に「東京ハチミツオーケストラ」という曲も書いています。
そもそも「東京ハチミツオーケストラ」という曲名からして独特のセンスを感じますね。
また彼女は「彼女は世界が終わる夜に」という曲では「わたしが神様だったら、こんな世界は作らなかった」(作詞:福岡晃子)という一節があります。
福岡晃子はベースと演奏と作詞、どちらにも秀でた人でした。
4位「染まるよ」(アルバム:告白)

■曲名:染まるよ
■アルバム名:告白(2009年)
■動画リンク:「染まるよ」
このバンドは当初から人気が出る条件がそろっていました。
まず若くして才能が開花し、ルックスにも恵まれていたこと。
そして橋本絵莉子の作曲能力は高く、3人全員良い作詞家でした。
しかも演奏力もあるときています。
私は彼女たちの真の強味は、そうしたマーケティング上の有利な条件に安住しなかったことだと思います。
私は一部のJPOPの無難さが好きではありません。
たとえ売れていても、中にはよくできていると感じる場合でさえも、感動できないと思うことが少なくありません。
そのアーティストのファンの気分を害したくないので、具体名を挙げるつもりはありませんが。
その点このバンドはスローとアップ、どちらも刺さる曲が多いです。
彼女たちの音楽は、意外と頑固ロック親父みたいな人に響くかもしれません。
5位「女子たちに明日はない」(アルバム:生命力)

■曲名:女子たちに明日はない
■アルバム名:生命力(2007年)
■動画リンク:「女子たちに明日はない」
彼女たちの演奏については、前述の通り女の子らしさを感じません。
しかし彼女たちが男まさりかというとそうでもありません。
彼女たちの歌詞を読むと、若い女の子特有のノリで、ワイワイやっている感じがします。
彼女たちの実力は素直に認めますが、その上でこの時期の彼女たちには、若さ特有のマジックがあったのも確かだと思います。
そういえば私も若い頃のある日、交際していた女の子がステッペンウルフ(Steppenwolf)の「Born to Be Wild」を鼻歌で歌ったことがありました。
彼女は音楽に興味がない子でしたから、その意外性もあって、私は何度も鼻歌を歌うようせがんだことを思い出しました。
時々若い女の子にはそういう意外性と特有のおもしろさがありますね。
今や中年になった私が鼻歌を歌うのとは違います(苦笑)。
そういう自由な空気感とノリは、彼女たちの音楽にも感じ取ることができます。
ただ彼女たちははっちゃけたノリだけにとどまらず、表現者としての才能も持ち合わせていました。
6位「とび魚のバタフライ」(アルバム:生命力)

■曲名:とび魚のバタフライ
■アルバム名:生命力(2007年)
■動画リンク:「とび魚のバタフライ」
彼女たちのバンド名の由来は、以下の通りです。
チャットモンチーは結成当初のドラマー(石田えりな)がバンド名に「モンチー」を入れたいという希望があったことに由来し、「モンチー」に合う言葉を辞書で探したところ「チャット」が最も合っていたため「チャットモンチー」になった。
しかしこれだけでは「モンチー」の意味が分かりませんね。
そこで調べたところ「モンチー」とは「猿」のことらしいです。
「やっぱりそうか」という脱力感と達成感を同時に感じますね。
ちなみに自主制作でリリースされたデビュー・シングの曲名は「たそがれニャーニャー」(笑)。
しかしこの時期の彼女たちは、こういう訳が分からない勢いが、ことごとく良い方向に転んだような気がします。
そういえばこの曲でも、主人公がとび魚になって海面を跳ねています。
勢いで書いた感じが半端ありませんが、意外と今も鮮度を保っています。
7位「サラバ青春」(アルバム:chatmonchy has come)

■曲名:サラバ青春
■アルバム名:chatmonchy has come(2005年)
■動画リンク:「サラバ青春」
このバンドの大黒柱は橋本絵莉子です。
彼女は作曲と一部作詞、そしてボーカルとギターを担当していました。
作曲家としての実力は、この記事の曲を聞けばお分かりいただけると思います。
彼女はこのデビュー・ミニアルバムの時点で、既にすばらしいソングライターでした。
この曲はシングルカットされていませんが、現在では卒業式の定番ソングになっています。
彼女はまっすぐな歌い方が特徴で、こうした情感豊かな曲では特に思いがストレートに伝わってきます。
さて彼女たちのデビュー前のエピソードをご紹介しましょう。
デビュー前の2004年に徳島はな・はるバンドコンテストに出場した際、福岡曰く「演奏がボロボロだった」ので早々帰ろうとしたところ、グランプリを獲得。
しかし、大手レコード会社の審査員に「君達しかマシなバンドがおらんかったけん(グランプリは)君らにしたけど、君らみたいなバンドはごまんとおるから」と言われたため、「トロフィー放って帰ったろかと思った」と語っている。
コンテストで下手なのに高く評価されるのは、後にブレイクするバンドあるあるです。
デビュー前のBUCK-TICKもあるコンテストで、演奏力は最低評価なのに特別賞を受賞していました。
8位「ハナノユメ」(アルバム:耳鳴り)

■曲名:ハナノユメ
■アルバム名:耳鳴り(2006年)
■動画リンク:「ハナノユメ」
このバンドの初期プロデューサーは、SUPERCARのいしわたり淳治です。
人を食った感じや洋楽と邦楽の良さを併せ持ったところなど、両バンドには共通点が感じられます。
SUPERCARの人を食った感じについては、以下の曲をお聞きください。
ファーストのプロデューサーは、2枚目以降と比較してバンドに与える影響力が違います。
まだ個性や自我が固まっていない新人バンドに対して「君たちにはこういう良さがあるからこうあるべきだ」と示す必要があるのですね。
加えてバンドがブレイクする上で、セールスとクリエイティビティのバランスも考えなくてはならず、かなり責任重大です。
その点このバンドではいしわたり淳治の匙加減が絶妙でした。
同アルバムからもう1曲ご紹介しましょう。
9位「キャラメルプリン」(アルバム:Awa Come)

■曲名:キャラメルプリン
■アルバム名:Awa Come(2010年)
■動画リンク:「キャラメルプリン」
このミニ・アルバムでは、以下の曲と迷いました。
さてこのミニ・アルバムは「Awa Come」というタイトルですが「Awa」とは「阿波」のことだと思われます。
実際、橋本絵莉子と福岡晃子は徳島県徳島市の出身です。
ジャケットも阿波踊りの様子ですし。
ちなみに彼女たちの初のフル・アルバム収録曲「東京ハチミツオーケストラ」は、上京した時の期待と不安を歌った曲。
その続編「親知らず」では、上京した後に田舎を懐かしく思い出す様子が描かれています。
後者の曲では「親知らずが生えてきたよ」(作詞:高橋久美子)という歌詞で始まっていました。
「親知らず」の作詞をした高橋久美子は、この「キャラメルプリン」でもこんな歌詞を書きました。
ブラックコーヒー飲めるよ
仕事の後のビールもおいしい
でもホントはね キャラメルプリンのが好きだよ
高橋久美子は上の歌詞で、ある恋愛の終わりを表現しました。
10位「やさしさ」(アルバム:告白)

■曲名:やさしさ
■アルバム名:告白(2009年)
■動画リンク:「やさしさ」
「シャングリラ」でブレイクした後、彼女たちの活動は軌道に乗りました。
この曲もトップテンヒットとなり、その後もシングルの順位はおおよそ10位前後で推移しています。
この記事では初期の作品を対象に選曲しました。
具体的にいえば「耳鳴り」「生命力」「告白」の3枚のアルバムと「chatmonchy has come」「Awa Come」という2枚のミニ・アルバム。
しかし順調に活動していた彼女たちに転機が訪れました。
それは高橋久美子の脱退。
高橋久美子の脱退理由は、以下の通りです。
2011年の春頃から「音楽に向かっていくパワーがなくなっている」「気持ちを偽りながら曲作りはできない」として脱退を考える。
一方その頃の彼女たちは、日本のガールズロック・バンドにおける、一つの到達点になっていました。
それはこの「やさしさ」と以下の曲を聞いても明らかです。
最後に橋本絵莉子がバンドの解散後、ソロになってからの曲をご紹介したいと思います。
相変わらず曲と歌、どちらも良いですね。
彼女はこの曲でソロとして活動していく決意のほどを歌いました。
一部だけ引用するより、歌詞を通して読んでいただいた方がいいかもしれません。
歌詞を読んでみたい方は、以下のリンクからお読みください。
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