今回はスクイーズのランキングを作成しました。
彼らはビートルズやザ・キンクスから連なる英国ポップの良き伝承者でした。
また古いロックとニューウェーヴ風の味付けも彼らの魅力でした。
しかも最高の楽曲ばかりです。
- 1 1位「In Quintessence」(アルバム:East Side Story)
- 2 2位「Up the Junction」(アルバム:Cool for Cats)
- 3 3位「Another Nail in My Heart」(アルバム:Argybargy)
- 4 4位「Tempted」(アルバム:East Side Story)
- 5 5位「Revue」(アルバム:Cool for Cats)
- 6 6位「Is That Love」(アルバム:East Side Story)
- 7 7位「Pulling Mussels (from the Shell)」(アルバム:Argybargy)
- 8 8位「Cool for Cats」(アルバム:Cool for Cats)
- 9 9位「Black Coffee in Bed」(アルバム:Sweets from a Stranger)
- 10 10位「Loving You Tonight」(アルバム:Some Fantastic Place)
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1位「In Quintessence」(アルバム:East Side Story)
■曲名:In Quintessence
■曲名邦題:イン・クインテセンス
■アルバム名:East Side Story(1981年)
■アルバム名邦題:イースト・サイド・ストーリー
■動画リンク:「In Quintessence」
彼らはロンドン出身のバンドですから、アルバム名の「East Side」とはロンドンの東側ということになります。
その昔、ロンドンの東エリアは下町や貧民街でした。
つまりこのアルバム名が意味するのは「下町物語」といった感じでしょうか。
イギリスは階級社会の国で、労働者階級が成り上がるにはサッカー選手かミュージシャンになるしかないと言われていました。
ロンドン・パンクが生まれた背景にも、そうした抑圧された社会構造があったようです。
さてスクイーズはこのアルバムで、労働者階級の悲喜こもごもを表現しました。
私は昔、DOLL誌で先鋭的なハードコアパンク・バンドのインタビューを読むことがありました。
そうしたバンドのメンバーが好きなバンドとして、度々スクイーズの名前を挙げていたのを覚えています。
当時私はスクイーズを未聴でしたが、最初に聞いた時はあまりに人懐こい音楽に拍子抜けしました。
しかし同時にこのバンドが愛される理由が分かったような気がしたものです。
2位「Up the Junction」(アルバム:Cool for Cats)
■曲名:Up the Junction
■曲名邦題:アップ・ザ・ジャンクション
■アルバム名:Cool for Cats(1979年)
■アルバム名邦題:クール・フォー・キャッツ
■動画リンク:「Up the Junction」
セカンド・アルバムの曲です。
この記事ではファースト・アルバムの曲は選んでいません。
現在ディスコグラフィーで1枚目は「Squeeze」と記載されていますが、当時は同名バンドとの混同を避けるため「U.K. Squeeze」表記でした。
しかもそのデビュー・アルバムは、それ以降と音楽性がかなり異なります。
デビュー時はもっと尖っていて性急な音楽でした。
駄作とは言いませんが、あえてこの記事でご紹介するほどではないと思います。
この2作目から怒涛のごとく名作が続いたことを考えると尚更。
実際彼らは前作のプロデューサーであるジョン・ケイル(John Cale)から、やりたくない音楽を強いられたそうです。
そういえばジョン・ケイルは、他のプロデュースでもバンドともいざこざがありましたね。
彼らはこのセカンド・アルバムから、シングル・チャート2位を2曲放ちました。
自分たちがやりたい音楽でヒット曲を複数を生んで、彼らは幸先の良いリスタートとなりました。
3位「Another Nail in My Heart」(アルバム:Argybargy)
■曲名:Another Nail in My Heart
■曲名邦題:恋の傷跡
■アルバム名:Argybargy(1980年)
■アルバム名邦題:アージーバージー
■動画リンク:「Another Nail in My Heart」
彼らの音楽はパワー・ポップとパブ・ロックの中間みたいな感じがします。
そこに初期ザ・カーズ(The Cars)のようなニューウェーヴ風味を加えた感じでしょうか。
しかしそれより重要なのは、メロディがビートルズらしいところかもしれません。
更に言えば初期から中期にかけてのビートルズで、ポール・マッカートニー(Paul McCartney)寄りな感じがします。
このグループの中心は、以下の2人です。
・グレン・ティルブルック(Glenn Tilbrook)
・クリス・ディフォード(Chris Difford)
この2人は「80年代のレノン・マッカートニー」と呼ばれるソングライティング・チームです。
作詞はクリス・ディフォード、作曲をグレン・ティルブルックが担当することが多いようですね。
彼らは各自すばらしいソロ・アルバムを発表しています。
グレン・ティルブルックのソロから1曲ご紹介しましょう。
Glenn Tilbrook – This Is Where You Ain’t
バンドには他にも優れた才能の持ち主がいましたが、この2人はスクイーズの生命線といえる存在でした。
4位「Tempted」(アルバム:East Side Story)
■曲名:Tempted
■曲名邦題:テンプテッド
■アルバム名:East Side Story(1981年)
■アルバム名邦題:イースト・サイド・ストーリー
■動画リンク:「Tempted」
このバンドはボーカルが固定ではありません。
ただ基本的にはグレン・ティルブルックのボーカル曲が多く、他のメンバーは時々歌うぐらいです。
グレンの歌は1位の「In Quintessence」など、このバンドのイメージを象徴しています。
しかしそんな中、そのバランスを大きく左右しかねない人が加入しました。
それがこのアルバムから参加して、この曲でリード・ボーカルを担当したポール・キャラック(Paul Carrack)。
彼は基本的にキーボード/ピアノ担当ですが、この曲ですばらしい歌を披露しました。
この曲でポールが歌うよう進言したのは、共同プロデューサーのエルヴィス・コステロ(Elvis Costello)。
実際当時グレンはこの交代にプライドが傷ついたようですね。
しかし後にグレンはポールのおかげでより良い曲になったと語っています。
プロデューサーの役割の一つが、外部の立場から客観的な意見を述べることだとしたら、コステロは最高の仕事をしたと思います。
5位「Revue」(アルバム:Cool for Cats)
■曲名:Revue
■曲名邦題:レヴュー
■アルバム名:Cool for Cats(1979年)
■アルバム名邦題:クール・フォー・キャッツ
■動画リンク:「Revue」
このバンドはベスト・アルバムで済ますのがもったいないです。
一応「Singles – 45’s and Under」などベスト盤はありますが、決定的な曲が収録されていません。
たとえば1位の「In Quintessence」とこの「Revue」はシングルカットされていませんが、私はどちらも最重要曲だと思います。
また彼らはアルバムの平均水準が極めて高く、特に「Cool for Cats」「Argybargy」「East Side Story」の3作は、どれも出来はベスト盤とほぼ変わりません。
つまり決定的な曲が入っていないのなら、ベストと品質が変わらないオリジナル・アルバムでいいのではと。
私が考える彼らの最高傑作は、上記3枚のどれかです。
さてこの曲は彼ららしいひねりが聞きもの。
彼らの音楽はビートルズのメロディとザ・キンクス(The Kinks)のヒネリが、ごく自然な形で同居しています。
彼らが素人から玄人まで惹きつけるのは、その両面をバランスよく備えているからかもしれません。
6位「Is That Love」(アルバム:East Side Story)
■曲名:Is That Love
■曲名邦題:イズ・ザット・ラヴ
■アルバム名:East Side Story(1981年)
■アルバム名邦題:イースト・サイド・ストーリー
■動画リンク:「Is That Love」
今回ランクインした曲は、ほぼ順位が付けられません。
同率1位だと思っていただければと思います。
しかも選外になった中にも良い曲が沢山ありますし。
このアルバムからもう1曲ご紹介しましょう。
このバンドには、ビートルズなどのマージービートの影響を感じます。
時々思うのですが、初期から中期のビートルズの影響を感じるバンドは、大体マージービートっぽいです。
同じくビートルズの影響を感じるザ・ポウジーズの以下の曲も、マージービートらしさを感じますし。
この曲や「Is That Love」が気に入って未聴の方は、1960年代のマージービートを掘ってみてはいかがでしょうか。
7位「Pulling Mussels (from the Shell)」(アルバム:Argybargy)
■曲名:Pulling Mussels (from the Shell)
■曲名邦題:プリング・マッスルズ
■アルバム名:Argybargy(1980年)
■アルバム名邦題:アージーバージー
■動画リンク:「Pulling Mussels (from the Shell)」
このバンドには、先程挙げた2人以外にも重要なメンバーがいます。
初期の第三の男は、キーボード担当のジュールズ・ホランド(Jools Holland)。
ジュールズ・ホランドはプレイヤーだけでなく、テレビ番組の司会者やバンドマスターなど幅広い分野で活躍した人です。
この曲でも途中でオールドタイミーなピアノ・ソロを披露していますね。
このバンドはギターだけでなくキーボードやピアノも重要な役割を担っていましたから、ジュールズ・ホランドの貢献はとても大きかったと思います。
しかしあくまでバンドの曲を書き、方向性を決めるのはディフォード&ティルブルックの2人。
そういう意味でジュールズ・ホランドの脱退は必然だったかもしれません。
私のイメージはこんな感じです。
フォワードとゲームメイカーのコンビが人気のサッカーチームがあったとします。
しかし同じチームには他にも優れたゲームメイカー・タイプの選手がいて、彼は自分の見せ場が少ないように感じている。
ジュールズ・ホランドは第三の男のままでいたくなかったのかもしれません。
8位「Cool for Cats」(アルバム:Cool for Cats)
■曲名:Cool for Cats
■曲名邦題:クール・フォー・キャッツ
■アルバム名:Cool for Cats(1979年)
■アルバム名邦題:クール・フォー・キャッツ
■動画リンク:「Cool for Cats」
この曲ではクリス・ディフォードが歌っています。
クリス・ディフォードのボーカル曲はそれほど多くありませんが、彼が歌う時はローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)におけるキース・リチャーズ(Keith Richards)にも似た役割をはたしました。
またこの人はギタリストや作詞面でも貢献した人でした。
彼らの歌詞はナンセンスな歌詞など、おもしろおかしい内容の曲が少なくありません。
たとえばこの曲名は、有名なテレビ番組から名付けられたようです。
曲名を直訳すると「猫にしてはクール」みたいな感じでしょうか(笑)
彼らの人気はクリスの書く歌詞による部分もありそうです。
あと彼らのアルバム・ジャケットは飾り気がなくて、彼らの大衆性がよく表れているように思います。
9位「Black Coffee in Bed」(アルバム:Sweets from a Stranger)
■曲名:Black Coffee in Bed
■曲名邦題:ブラック・コーヒー・イン・ベッド
■アルバム名:Sweets from a Stranger(1982年)
■アルバム名邦題:甘い誘惑
■動画リンク:「Black Coffee in Bed」
このアルバムは賛否両論あります。
前作「East Side Story」までの快進撃が止まり、停滞しているような印象を受けます。
彼ららしくない少しダークなエレポップ風の1曲目からして違和感を感じますし。
全体としてはそれほど出来は悪くありませんが、同時に手放しで絶賛もできません。
実際この時期はバンド内の状況も良くなかったようです。
セールスはそこそこではあったが、好意的な評価を得られなかったことや、ツアーのストレス、バンド・メンバー間の対立等が表面化、シングル1枚をリリース後ディフォードとティルブルックがバンドを抜け解散。
しかしそんな中で、白眉と言えるのがこの曲、
この曲を書いて歌ったグレンは、やはりこのバンドの心臓なのだと実感します。
彼は野球でいえば、チームの雰囲気が悪い時に起死回生の一発を打てる主砲みたいな存在でした。
10位「Loving You Tonight」(アルバム:Some Fantastic Place)
■曲名:Loving You Tonight
■曲名邦題:ラヴィング・ユー・トゥナイト
■アルバム名:Some Fantastic Place(1993年)
■アルバム名邦題:サム・ファンタスティック・プレイス
■動画リンク:「Loving You Tonight」
今回の記事では10位の曲を除き、最初の解散までを対象にしました。
1982年にバンドを解散した後、主力メンバーの2人はディフォード&ティルブルック名義で活動を続けしました。
しかしその後バンドを再結成しています。
再結成後のアルバムも、決して悪い出来ではありません。
実際1987年の「Babylon and On」は全英アルバム・チャートで過去最高の14位を記録し、シングルされた以下の曲は16位を記録しています。
しかし再結成後で私が一番好きな曲は、この「Loving You Tonight」。
この曲のリードボーカルは、ポール・キャラックです。
改めて彼の歌のすばらしさに感嘆し、聞きほれてしまいます。
このアルバムには他にもアルバム・タイトル曲も同等のすばらしさでした。
初めて彼らを聞いて曲を気に入ったら、ぜひ再結成後の諸作も掘ってみてください。
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