今回はスパークスのランキングを作成しました。
彼らは「Kimono My House」からの初期三部作が有名で、毒のあるひねくれたサウンドが特徴のバンドです。
その一筋縄でいかないところがこのバンドの魅力ですが、初心者にとっては理解の障壁となるかもしれません。
そこで今回はこのバンドの魅力を、分かりやすくお伝えしたいと思い選曲してみました。
彼らの一風変わった魅力をご堪能ください。
- 1 1位「Reinforcements」(アルバム:Propaganda)
- 2 2位「This Town Ain’t Big Enough for Both of Us」(アルバム:Kimono My House)
- 3 3位「La Dolce Vita」(アルバム:No. 1 In Heaven)
- 4 4位「Never Turn Your Back on Mother Earth」(アルバム:Propaganda)
- 5 5位「Nothing to Do」(アルバム:Big Beat)
- 6 6位「Tryouts for the Human Race」(アルバム:No. 1 In Heaven)
- 7 7位「Hospitality On Parade」(アルバム:Indiscreet)
- 8 8位「Thanks But No Thanks」(アルバム:Propaganda)
- 9 9位「Ladies」(アルバム:Introducing Sparks)
- 10 10位「Popularity」(アルバム:In Outer Space)
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1位「Reinforcements」(アルバム:Propaganda)
■曲名:Reinforcements
■曲名邦題:リインフォースメンツ
■アルバム名:Propaganda
■アルバム名邦題:恋の自己顕示(プロパガンダ)
■動画リンク:「Reinforcements」
このバンドには、どことなくズレた魅力があります。
あえてツボを外したり、期待を裏切ろうとする確信犯かもしれません。
このバンドや10CCなどは、モダン・ポップとかストレンジ・ポップなどと言われることがあります。
この曲もとぼけた感じで始まりますが、その後一時期のキンクス(The Kinks)のようなオールドタイミーな曲調になります。
ボーカルは男性ですが声質が中性的で、妙に朗らかな陽気さがありますね。
謎の「ランランラララン」というコーラスは、彼らの十八番です。
よく分からないまま前線に立たされている兵士の歌のようですが、兵士がサビで「増援」という言葉を連呼しています。
ここにあるのは悪ふざけと自己満足由来の高揚感で、ロック的なカタルシスは薄めかもしれません。
逆にいえば普通のロックとしては違和感があるけれど、これも面白いと思ったらスパークス中毒の一歩手前です。
この曲はまだマシな方ですが、次では更にズレまくっている曲をご紹介したいと思います。
2位「This Town Ain’t Big Enough for Both of Us」(アルバム:Kimono My House)
■曲名:This Town Ain’t Big Enough for Both of Us
■曲名邦題:ディス・タウン
■アルバム名:Kimono My House
■アルバム名邦題:キモノ・マイ・ハウス
■動画リンク:「This Town Ain’t Big Enough for Both of Us」
彼らは当初はハーフネルソン(Halfnelson)というバンド名でした。
しかしその後バンド名を変え、アメリカからイギリスに渡ってから再デビューしました。
このアルバムは通算3作目です。
彼らの才能は最初から顕著でした。
ファーストアルバムとセカンドアルバムのシングル曲のリンクを貼っておきましょう。
Sparks「Wonder Girl」アルバム「Sparks / Halfnelson」より
Sparks 「Girl From Germany」アルバム「A Woofer in Tweeter’s Clothing」より
特に二番目の「Girl From Germany」は佳曲といえる出来ですが、惜しいことにいま一つインパクトに欠けています。
「Spark」とは「弾ける」といった意味ですが、彼らはこのバンド名にした時「これからは弾けまくっていこうぜ」と考えたかもしれません。
それのふっきれ方が吉と出たのがこの曲です。
この曲はシングルカットされ、全英チャートで2位を記録する大ヒットになりました。
スパークス・サウンドが炸裂していて、弾けすぎなぐらいではないでしょうか。
彼らは単なる良質なバンドから、ワン・アンド・オンリーの存在になったようです。
3位「La Dolce Vita」(アルバム:No. 1 In Heaven)
■曲名:La Dolce Vita
■曲名邦題:ラ・ドルチェ・ビータ
■アルバム名:No. 1 In Heaven
■アルバム名邦題:No.1イン・ヘブン
■動画リンク:「La Dolce Vita」
彼らは音楽的変遷を繰り返しています。
その中でこのアルバムは最大の変化といえるかもしれません。
このアルバムではドナ・サマー(Donna Summer)の仕事で有名なジョルジオ・モロダー(Giorgio Moroder)にプロデュースを依頼しています。
完全にエレポップに変化していますが、これがなかなか悪くありません。
もしくはテクノ・ポップとかストレンジ・ディスコと言った方が正確かもしれませんが。
元々彼らは多彩なアレンジが魅力的でした。
特にピアノとギターの演奏はすばらしく、彼らの音楽の醍醐味だったといっても過言ではありません。
しかし彼らはその強みを捨て去りました。
このアルバムではかろうじてドラムは残っていますが、ベースもギターも入っていません。
その代わりにピコピコしたシンセサイザーが大活躍しています。
オールド・ロックファンには抵抗がある曲かもしれませんが、私は大好きな曲です。
少し哀愁が感じられるところがミュンヘン・サウンドっぽいですね。
4位「Never Turn Your Back on Mother Earth」(アルバム:Propaganda)
■曲名:Never Turn Your Back on Mother Earth
■曲名邦題:家には帰れない
■アルバム名:Propaganda
■アルバム名邦題:恋の自己顕示(プロパガンダ)
■動画リンク:「Never Turn Your Back on Mother Earth」
このアルバムはジャケットが秀逸です。
誘拐された姿で登場しているのは、主要メンバーの2名です。
ロン・メイル(Ron Mael):ピアノ・キーボード担当
ラッセル・メイル(Russell Mael):ボーカル担当
彼らは兄弟で、2人ともアートと映画を学んできたという共通のバックグラウンドを持っています。
このジャケットにも、演劇的というか映画っぽい独特の美意識が感じられないでしょうか。
さてこの曲は「家には帰れない」というタイトルが付けられていますが、少しニューアンスが違うかもしれません。
「Never Turn Your Back on Mother Earth」は直訳すると「君は母なる大地に立ち戻ることはない」です。
ちなみに彼らはアメリカに生まれながら、大変なイギリスびいきだったそうです。
それには当時のアメリカの時代背景も影響していました。
彼らは当時流行っていたフォーク・ムーブメントや、ヒッピーなどの自然志向を嫌悪していたようです。
この曲のタイトルは、彼らなりのアンチテーゼかもしれません。
彼らは一貫して人工的で作為的なものを好んでいました。
「俺たちは添加物や人工物だらけの世界で生きてやんよ」みたいな感じなんでしょうか。
5位「Nothing to Do」(アルバム:Big Beat)
■曲名:Nothing to Do
■曲名邦題:ナッシング・トゥ・ドゥ
■アルバム名:Big Beat
■アルバム名邦題:ビッグ・ビート
■動画リンク:「Nothing to Do」
彼らは変化を恐れないタイプのバンドです。
このアルバムまでの3作は大げさなアレンジ、オペラチックな歌唱、曲の展開も起伏に富んでいて人気を博していました。
全英アルバムチャートの順位は以下の通りです。
「Kimono My House」4位
「Propaganda」9位
「Indiscreet」18位
立派な人気バンドといえるでしょう。
しかし彼らは危機感を覚えていたようです。
1976年、メイル兄弟は故郷であるロサンゼルスに戻った。スパークスの音楽が飽きられはじめたのではという心配から、より「アメリカン」なサウンドに変更しようと、プロデューサーにルパート・ホルムス(Rupert Holmes)を迎えアルバム『ビッグ・ビート』を、翌1977年には(ホルムス抜きで)アルバム『イントロデューシング』をリリースした。
彼らはこのアルバムでシンプルなバンドサウンドに移行していますが、セールス的には大惨敗でした。
あえて従来のファンを切り捨てるような変化をしたのですから、当然かもしれませんね。
ただ私は彼らのコアな部分がかいま見えて、興味深く感じました。
特にこの曲は、彼らの中でも最もロックに接近した名曲だと思います。
スパークス入門はこのあたりがいいかもしれません。
6位「Tryouts for the Human Race」(アルバム:No. 1 In Heaven)
■曲名:Tryouts for the Human Race
■曲名邦題:ライアウツ・フォー・ザ・ヒューマン・レース
■アルバム名:No. 1 In Heaven
■アルバム名邦題:No.1イン・ヘブン
■動画リンク:「Tryouts for the Human Race」
さてこの曲もジョルジオ・モロダーのプロデュース曲です。
私は彼らの最高傑作を聞かれたら「Propaganda」かこのアルバムかのどちらかと答えます。
今回選んだ2曲以外にも「ビート・ザ・クロック(Beat The Clock)」など、すばらしい曲がそろっています。
この成功で気を良くしたのか、彼らはこのアルバムの後しばらくジョルジオ・モロダーとコンビを組みます。
しかし次作「Terminal Jive」はシングル「When I’m with You」が大ヒットしたものの、このアルバムの出来を越えることができませんでした。
その次の「Whomp That Sucker」を最後に、彼らはモロダーとの関係を解消することになりました。
確かに次第に新鮮さを失っていった面はありますが、コンビ第一作目の輝きはいまだ格別です。
ちなみにこのアルバムは、ジョイ・ディヴィジョン(Joy Division)が「ラヴ・ウィル・テア・アス・アパート(Love Will Tear Us Apart)」を書く時に、影響を与えたと言われています。
そういえばリズムの音色などは、ニュー・オーダー(New Order)に似た感じがありますね。
またこのアルバムはヴィサージ(Visage)などにも影響を与え、その後の英国エレポップの隆盛に一役買ったと言われています。
7位「Hospitality On Parade」(アルバム:Indiscreet)
■曲名:Hospitality On Parade
■曲名邦題:栄光のパレード
■アルバム名:Indiscreet
■アルバム名邦題:スパーク・ショー
■動画リンク:「Hospitality On Parade」
彼らの曲の中からこれが一番の名曲だと決めるのは、とても難しいかもしれません。
単にメロディの良さなどでは判断できない面があると思うからです。
いびつな形の石を比べて、どの石が一番良い形かと聞かれているような気がしてしまいます。
また彼らの音楽は基本的にねじれていますが、そのねじれ度合いも、そうした好みの問題に影響を与えているかもしれません。
ある人は少しひねったぐらいがいいかもしれませんが、重度のスパークス中毒者はひねりまくった曲の方がいいと答えることでしょう。
ちなみに私が思うひねりまくった曲の代表は、2位の「This Town Ain’t Big Enough for Both of Us」です。
私は今回スパークス初心者を想定して選曲しています。
そこで比較的ひねり具合が少ない=初心者にやさしいこの曲をご紹介することにしました。
それでもなお人を選ぶ曲だと思いますしね。
スパークスを最初に聞く人には、この曲か「Nothing to Do」あたりがいいかもしれません。
最初から「This Town Ain’t Big Enough for Both of Us」が響いたとしたら、かなりこのバンドに適性があると思っていいでしょう。
8位「Thanks But No Thanks」(アルバム:Propaganda)
■曲名:Thanks But No Thanks
■曲名邦題:サンクス・バット・ノー・サンクス
■アルバム名:Propaganda
■アルバム名邦題:恋の自己顕示(プロパガンダ)
■動画リンク:「Thanks But No Thanks」
このアルバムはとにかく名曲ぞろいです。
「サムシング・フォー・ザ・ガール・ウィズ・エヴリシング(Something for the Girl with Everything)」など、他にも聞き逃せない曲が目白押しです。
先程述べたように、彼らは自然な感情とかナチュラル思考とは全く別の価値観を持っています。
それどころか、どこもかしこも作為だらけです(笑)
彼らの音楽は偏った批評眼、見え見えの演出、毒と悪意の含まれたユーモア、ねじれたポップ感覚、そういうものでできています。
ちなみに彼らはキャラクター設定もこだわっていて、ロン・メイルはヒットラーっぽい風貌で、普段あまり笑いませんが、笑う時はエイフェックス・ツイン(Aphex Twin)ばりの不気味なつくり笑顔をします。
一方ラッセル・メイルは、感情豊かでフレンドリーなキャラクターです。
その対比があまりにも極端ですから、おそらく狙ってそういう演出をしているのでしょう。
さてこの曲は彼らお得意の「ランララ」と、楽しそうなコーラスが入っていますね。
しかしこの曲のタイトルは「Thanks But No Thanks」つまり「ありがとう、でも感謝しない」です。
わざと裏を突いてくるこのタイトルのセンスに狂喜したら、彼らの思う壺かもしれません。
9位「Ladies」(アルバム:Introducing Sparks)
■曲名:Ladies
■曲名邦題:レイディーズ
■アルバム名:Introducing Sparks
■アルバム名邦題:イントロデューシング
■動画リンク:「Ladies」
さてアルバムタイトルに注意が必要です。
「Introducing Sparks」とありますが、ファーストアルバムでもなければ、ベスト盤でもありません。
なぜ7作目なのに「スパークスのご紹介」というアルバム名にしたのか不思議ですよね。
ちなみに彼らはデビュー当初、アイドルバンドとして売られたんだそうです。
ジャケットのロンもちょび髭がなければもっとイケメンに見えるはずですが、はなっからそう見せるつもりはないのでしょう。
ただ高度にスタイリッシュだとは思いますけどね。
さてこの曲は「Ladies」つまり「女性たち」という曲名です。
悪い予感しかしません。
歌詞は意味がつかみにくいのですが「女だ女だ」と騒いでいる感じがします。
問題はその女性たちです。
この歌詞にはタブーの人物が出てきます。
歌詞に出てくるエヴァ・ブラウン(Eva Braun)とは、ヒットラーの愛人だった女性です。
他にはジャンル・ダルクも出てきますが、彼女はたばこを吸っているようです。
ドイツやフランスの人の中には、不快に思う人もいるかもしれませんね。
10位「Popularity」(アルバム:In Outer Space)
■曲名:Popularity
■曲名邦題:ポピュラリティ
■アルバム名:In Outer Space
■アルバム名邦題:イン・アウター・スペース
■動画リンク:「Popularity」
今回のランキングではまだ選びたい曲があります。
曲名だけ挙げておくと「アスタ・マニヤーナ・ムッシュ(Hasta Mañana, Monsieur)」「恋はルックスで(Looks, Looks, Looks)」あたりも候補に挙がっていました。
そうした名曲群を押しのけて、毒が少な目のエイティーズっぽい曲をご紹介しておきましょう。
この時期彼らはセールス的に低迷していました。
内容的には良作ばかりでしたが、なかなか報われない日々が続いていました。
このアルバムでは、ゴーゴーズ(The Go-Go’s)のジェーン・ウィードリン(Jane Wiedlin)が参加しています。
以下のシングル曲ではデュエットまでしています。
Sparks (with Jane Wiedlin) – “Cool Places”
不思議な組み合わせだと思うかもしれません。
実はジェーンはスパークスの大ファンで、彼らのファンクラブを運営していたこともあるんだそうです。
ジェーンのサポートのおかげか、この曲は全米49位にまで駆け上がりました。
ジェーン、グッジョブ!ですね。
そのおかげかその後も彼らはバンドを継続することができ、ここ2作は全英アルバムチャートでトップ10入りを果たしています。
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