今回はニック・ロウのランキングを作成しました。
この人の音楽は派手さこそありませんが、ポップな部分と渋味、コクのバランスが良いのが特徴です。
コンスタントに水準以上の作品を生んだロック職人です。
- 1 1位「Cruel to Be Kind」(アルバム:Labour of Lust)
- 2 2位「So It Goes」(アルバム:Jesus of Cool)
- 3 3位「My Heart Hurts」(アルバム:Nick the Knife)
- 4 4位「The Rose of England」(アルバム:The Rose of England)
- 5 5位「Mess Around With Love」(アルバム:The Abominable Showman)
- 6 6位「7 Nights to Rock (Henry Glover, Louis Innis, Buck Trail) 」(アルバム:The Rose of England)
- 7 7位「I Love the Sound of Breaking Glass」(アルバム:Jesus of Cool)
- 8 8位「(You’re My) Wildest Dream」(アルバム:Pinker and Prouder than Previous)
- 9 9位「Rocky Road」(アルバム:Party of One)
- 10 10位「I Live on a Battlefield」(アルバム:The Impossible Bird)
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1位「Cruel to Be Kind」(アルバム:Labour of Lust)
■曲名:Cruel to Be Kind
■曲名邦題:恋するふたり
■アルバム名:Labour of Lust
■アルバム名邦題:レイバー・オブ・ラスト
■動画リンク:「Cruel to Be Kind」
この曲は最大のヒット曲ではありませんが、一番の人気曲です。
元々はブリンズリー・シュウォーツ(Brinsley Schwarz)の頃に、イアン・ゴム(Ian Gomm)と共作した曲でした。
ブリンズリー・シュウォーツのバージョンもご紹介しましょう。
Brinsley Schwarz – Cruel to Be Kind
ブリンズリーについては、いずれ単独でランキング記事を書きますので、ここでは詳しく触れません。
原曲も悪くありませんが、やはり有名なこのバージョンの方がいいですね。
この曲のアレンジは、エルヴィス・コステロ(Elvis Costello)が担当しています。
まずイントロから、テリー・ウィリアムズ(Terry Williams)のドラムが印象的です。
曲のテンポを落としたのも大正解。
元々良い曲でしたが、ブラッシュアップした結果、永遠の傑作に仕上がりました。
2位「So It Goes」(アルバム:Jesus of Cool)
■曲名:So It Goes
■曲名邦題:ソー・イット・ゴーズ
■アルバム名:Jesus of Cool
■アルバム名邦題:ジーザス・オブ・クール
■動画リンク:「So It Goes」
レーダー・レコード(Radar Records)からリリースされた、デビュー・アルバムの曲です。
ただこのシングルは、スティッフ・レコード(Stiff Records)からリリースされました。
しかもスティッフ・レコードの最初のシングルで、ニック・ロウのデビュー・シングルという特別な位置付けの曲です。
スティッフ・レコードは、パブロックの総本山といえるレーベル。
ニック・ロウはスティッフで、プロデューサーとしてその手腕を振るいました。
なにせエルヴィス・コステロの「マイ・エイム・イズ・トゥルー(My Aim Is True)」、ダムド(The Damned)の「地獄に堕ちた野郎ども(Damned Damned Damned)」をプロデュースしていますし。
彼は総合力を備えた人です。
ギター、ベース、ピアノなど複数の楽器を演奏できるマルチ・プレイヤーだけでなく、自ら曲を書き、プロデューサーとしても一流でした。
この曲でも彼はドラム以外の全て、ボーカル、ベース、ギターを担当しています。
その意味で彼らしさが最も表れた曲だと思います。
3位「My Heart Hurts」(アルバム:Nick the Knife)
■曲名:My Heart Hurts
■曲名邦題:マイ・ハート・ハーツ
■アルバム名:Nick the Knife
■アルバム名邦題:ニック・ザ・ナイフ
■動画リンク:「My Heart Hurts」
ロックパイル(Rockpile)解散後に発表されたアルバムです。
ロックパイルは、デイヴ・エドモンズ(David Edmunds)とニック・ロウを中心に結成されたバンドです。
1曲ご紹介しましょう。
Rockpile – When I Write the Book
彼らは「セカンズ・オブ・プレジャー(Seconds of Pleasure)」1枚だけで解散しました。
この「My Heart Hurts」でも、その好調ぶりを維持しています。
このアルバムには、ロックパイルのビリー・ブレムナー(Billy Bremner)とテリー・ウィリアムズが参加しています。
さてこのアルバムはジャケットをご覧ください。
ニック・ロウはイケメンですね。
ただ彼は若白髪ですが、髪を染めていません。
私はそこにニック・ロウらしさを感じます。
音楽面も同じところがあって、表面を取りつくろうことなく素のまま勝負して、魅力に転化した人でした。
若い頃の私は、白髪まじりの姿を見てカッコいいと思ったものです。
4位「The Rose of England」(アルバム:The Rose of England)
■曲名:The Rose of England
■曲名邦題:ローズ・オブ・イングランド
■アルバム名:The Rose of England
■アルバム名邦題:ローズ・オブ・イングランド
■動画リンク:「The Rose of England」
彼の最高傑作を選ぶのは困難です。
この人のアルバムでは、最初の2枚「Jesus of Cool」「Labour of Lust」ばかり注目されがちです。
しかしコアなファンは、このアルバムを高く評価する人が多いかもしれません。
前作「カウボーイ・アウトフィット(Nick Lowe & His Cowboy Outfit)」は良い作品でしたが、目立った曲がありませんでした。
しかしこのアルバムは名曲ぞろいです。
彼のアルバムの評価に関する偏りは、CDの入手しにくさが影響しているかもしれません。
特にコロムビア・レコード(Columbia Records)時代は廃盤が多すぎます。
私もそろえるのに時間とお金がかかりました。
音楽仲間との会話で、3枚目以降の彼のCDをいくらで買ったか話題になったりもします(笑)
このアルバムは彼の最高傑作の有力候補ですから、もっと気軽に入手できるようにしてほしいものです。
5位「Mess Around With Love」(アルバム:The Abominable Showman)
■曲名:Mess Around With Love
■曲名邦題:メス・アラウンド・ウィズ・ラヴ
■アルバム名:The Abominable Showman
■アルバム名邦題:ショウマンの悲劇
■動画リンク:「Mess Around With Love」
このアルバムは前作「ニック・ザ・ナイフ」から、バンドのメンバーがかなり入れ替わっています。
新しいバンドのキーマンは、キーボード奏者のポール・キャラック(Paul Carrack)。
ポール・キャラックは、スクイーズ(Squeeze)など様々なバンドで多大な貢献をした人です。
このアルバムでは、ポールとのデュエット曲もありますし。
ポールが参加したせいか、キーボードが目立つ曲が増えました。
とはいえニック・ロウの添加物のない持ち味はそのままですし、ポールの演奏も1980年代風のシンセサイザーにはなっていません。
このアルバムがリリースされた1983年は「フラッシュダンス(Flashdance)」がヒットした年です。
そんな中にあって、ニック・ロウは流行りに迎合しませんでした。
そのためセールス面で冷や飯を食ったわけですが、そこが良いと評価する人もいます。
良い意味で頑固な職人気質を持った人だと思います。
6位「7 Nights to Rock (Henry Glover, Louis Innis, Buck Trail) 」(アルバム:The Rose of England)
■曲名:7 Nights to Rock (Henry Glover, Louis Innis, Buck Trail)
■曲名邦題:セヴン・ナイツ・トゥ・ロック
■アルバム名:The Rose of England
■アルバム名邦題:ローズ・オブ・イングランド
■動画リンク:「7 Nights to Rock (Henry Glover, Louis Innis, Buck Trail) 」
彼の音楽は、パブロックかパワーポップに分類されます。
以前以下のような記事を書きましたので、興味のある方はどうぞ。
また彼の音楽には、オールディーズやロカビリーの影響も顕著です。
それはこの曲を聞けばお分かりいただけることでしょう。
さて先程私は、このアルバムを代表作の一角と申し上げました。
どの曲を選ぶか最も迷ったアルバムです。
同じアルバムから、もう1曲ご紹介しておきましょう。
アルバム・ジャケットに曲名が大きく記載されていますが、古いレコードを思わせるデザインもいいですね。
7位「I Love the Sound of Breaking Glass」(アルバム:Jesus of Cool)
■曲名:I Love the Sound of Breaking Glass
■曲名邦題:アイ・ラヴ・ザ・サウンド・オブ・ブレイキング・グラス
■アルバム名:Jesus of Cool
■アルバム名邦題:ジーザス・オブ・クール
■動画リンク:「I Love the Sound of Breaking Glass」
この曲は彼の唯一のトップテン・ヒットで、最大のヒット曲です。
ヒット曲としては地味かもしれませんが、そこも彼らしいように思います。
彼の曲は常にヒットにふさわしい品質を備えていますが、押しの強さに欠ける面があるかもしれません。
しかしそこが(以下略)
このアルバムについて、言及しておきたい注意点があります。
同じアルバム・ジャケットで2つの異なるタイトルのCDがありますが、その違いを整理しておきましょう。
「Jesus of Cool」→イギリス発売時のタイトル
「Pure Pop for Now People」→アメリカ発売時のタイトル
アメリカ発売時に、宗教的な反発を恐れて変更したそうです。
ただ曲順と一部収録曲が異なりますので、マニアは2種類持っている人もいます。
ただ私が持っているのは「Pure Pop for Now People」1枚のみ。
1曲目が「So It Goes」、2曲目が「I Love the Sound of Breaking Glass」という並びが気に入っています。
8位「(You’re My) Wildest Dream」(アルバム:Pinker and Prouder than Previous)
■曲名:(You’re My) Wildest Dream
■曲名邦題:ワイルデスト・ドリーム
■アルバム名:Pinker and Prouder than Previous
■アルバム名邦題:ピンカー・アンド・プラウダー・ザン・プレヴィアス
■動画リンク:「(You’re My) Wildest Dream」
この人の音楽について書くと決めた時、私はある人のことを思い出しました。
その人の名は、松村雄策。
渋谷陽一との渋松対談で知られている人です。
私はライナーノーツをほぼ読まない人なので、音楽評論家からあまり影響を受けていません。
しかし私は松村氏がニック・ロウについて書いた文章が好きでした。
私の文章も彼の影響を受けているかもしれません。
松村氏はニック・ロウについて、アメリカ音楽を基本としつつ、英国らしいポップ・センスを持っている人だと書いていました。
本当にその通りだと思います。
彼は自分が理解しているアーティストについて、腑に落ちる文章を書いた人でした。
人間性を感じる文章も好ましいと感じましたし。
松村氏の訃報を聞いた時、私は好きなミュージシャンが亡くなった時と同じ気持ちになりました。
9位「Rocky Road」(アルバム:Party of One)
■曲名:Rocky Road
■曲名邦題:ロッキー・ロード
■アルバム名:Party of One
■アルバム名邦題:パーティ・オブ・ワン
■動画リンク:「Rocky Road」
前作までの彼は、大手のコロムビア・レコードに所属していました。
音楽的には充実した時期でしたが、セールス面ではかなり苦戦しました。
そもそも市場にCDが充分供給されず、すぐ廃盤にするなどのプロモーション姿勢に疑問符が付きます。
彼はこのアルバムからリプリーズ・レコード(Reprise Records)に移籍しました。
その結果、無事市場に彼のCDが供給されるようになりました。
1992年に彼は、ライ・クーダー(Ry Cooder)、ジョン・ハイアット(John Hiatt)らとリトル・ヴィレッジ(Little Village)というバンドを結成しています。
そのアルバムから1曲ご紹介しましょう。
Little Village – Take Another Look
リトル・ヴィレッジはイギリスのアルバムチャート23位を記録し、グラミー賞にノミネートされました。
ようやく彼の運も上向いてきたようです。
10位「I Live on a Battlefield」(アルバム:The Impossible Bird)
■曲名:I Live on a Battlefield
■曲名邦題:アイ・リヴ・オン・ア・バトルフィールド
■アルバム名:The Impossible Bird
■アルバム名邦題:インポッシブル・バード
■動画リンク:「I Live on a Battlefield」
今回はデビューから1994年の「The Impossible Bird」までを対象にしています。
このアルバムでは彼の作風に変化がうかがえました。
収録曲にバラードが増えました。
ただバラード路線もそれはそれですばらしく、楽曲の品質は維持されています。
いい具合に枯れてきた感じがしますし。
そうした変化は、ボーカリストとしての魅力を更に際立たせました。
若い頃彼の声は、みずみずしさと甘さを含んでいました。
しかしこのアルバム以降では甘さを控え目に抑え、その代わりもう一段歌の深みが増しました。
より繊細になり、情感が深まった歌が絶品です。
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