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ウイングス(Wings)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はウイングスのランキングを作成しました。

彼らはビートルズ解散後、ポール・マッカートニー(Paul McCartney)が結成したバンドです。

この記事では初めて彼らの曲を聞く方を想定して選曲しました。

なおアルバム・バージョンとは異なる場合もありますので、予めご了承ください。

 

1位「Listen to What the Man Said」(アルバム:Venus and Mars)

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■曲名:Listen to What the Man Said
■曲名邦題:あの娘におせっかい
■アルバム名:Venus and Mars
■アルバム名邦題:ヴィーナス・アンド・マース
■動画リンク:「Listen to What the Man Said」

曲名の意味は「Listen to What the Man Said」つまり「男が何を言ったか耳を傾けなさい」。

歌詞を読むと「恋はすばらしいと」訴える彼の言葉を受け入れるよう助言をしています。

ただそれを「あの娘におせっかい」と名付けた邦題は、とても的確なネーミングだと思いました。

現代は長い曲名でも邦題を付けず、カタカナにしただけの曲名が増えています。

しかしより適切な邦題で言い表せれば、その曲のイメージが良くなるかもしれません。

たとえばカルチャー・クラブ(Culture Club)の「Do You Really Want to Hurt Me」を「君は完璧さ」と名付けたネーミング・センスは、日本でのヒットに大きく貢献しました。

ただ「あの娘におせっかい」という名邦題は、ポール・マッカートニーにふさわしいかもしれません。

たとえばポールが書いたビートルズ(The Beatles)の名曲「ヘイ・ジュード(Hey Jude)」は失意の底にあったジョン・レノン(John Lennon)の息子ジュリアン・レノン(Julian Lennon)を励ますために書かれたそうです。

彼は同じバンドのメンバーの息子に曲を捧げたのですね。

私はポールについて良い意味でおせっかいな人というイメージを持っています。

 

2位「Band on the Run」(アルバム:Band on the Run)

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■曲名:Band on the Run
■曲名邦題:バンド・オン・ザ・ラン
■アルバム名:Band on the Run
■アルバム名邦題:バンド・オン・ザ・ラン
■動画リンク:「Band on the Run」

2曲を1曲に繋げた異色の曲です。

思えば以前からポール・マッカートニーは曲を繋ぎ合わせたり、メドレーにすることを好んでいました。

ビートルズ時代の名曲「ア・デイ・イン・ザ・ライフ(A Day in the Life)」は、ジョン・レノンの未完成の曲にポールが書いたメロディを加えて、稀代の名曲に仕上げました。

また名作「アビイ・ロード(Abbey Road)」のB面のメドレーもポールが主導しましたし。

ウイングスでも「Red Rose Speedway」のラスト曲は、4曲を繋ぎ合わせたメドレーでした。

その4曲メドレーから1曲独立させた動画があったので、ご紹介します。

Wings – Hands Of Love

そしてその組み合わせの妙味が味わえるのが、この「Band on the Run」。

曲を繋ぎ合わせるケースは、良いソングライターに多いように思います。

もし出来が落ちる曲同士を繋ぎ合わせたら、良い曲の足が引っ張られてしまいますから。

最高の曲を組み合わせた最良の一例がこの曲。

良い曲を繋ぎ合わせられる実力の裏打ちなくして、こうした方法論は成り立ちません。

 

3位「Jet」(アルバム:Band on the Run)

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■曲名:Jet
■曲名邦題:ジェット
■アルバム名:Band on the Run
■アルバム名邦題:バンド・オン・ザ・ラン
■動画リンク:「Jet」

ポール・マッカートニーは史上最高のメロディメイカーの1人です。

しかし同時に彼はエキサイティングなロックンロールにおいても才能を発揮しました。

ビートルズ時代にも、ヘヴィ・メタルの原型といわれる以下の曲を書いています。

The Beatles – Helter Skelter

良いメロディだけでなく、リスナーをホットにさせる曲も書けること。

それがポール・マッカートニーの偉大さの一端を表しています。

ウイングス時代も、以下のロックンロールの名曲がありますし。

Wings – Rock Show

ただウイングス時代のロックンロールは、この「Jet」が最も有名かもしれません。

つくづくこの人は万能タイプのソングライターなのですね。

 

4位「Magneto and Titanium Man」(アルバム:Venus and Mars)

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■曲名:Magneto and Titanium Man
■曲名邦題:磁石屋とチタン男
■アルバム名:Venus and Mars
■アルバム名邦題:ヴィーナス・アンド・マース
■動画リンク:「Magneto and Titanium Man」

今回選曲で最も悩んだのがこのアルバム。

個々の曲よりも、アルバム・トータルで聞くべき作品のように感じます。

このアルバムは、ピンク・フロイド(Pink Floyd)の「狂気(Dark Side of the Moon)」を意識してつくられたようです。

アルバム・ジャケットも、妻のリンダ・マッカートニー(Linda McCartney)がビリヤードのボールを撮影した写真をヒプノシスが使用したようですし。

コンセプト・アルバムと呼べるかどうか分かりませんが、この作品にはトータル性を感じます。

確かに「Band On The Run」の方が曲の粒立ちが良いかもしれません。

しかし次作であるこのアルバムは1枚通して得られる満足感があり、トータルでは互角だと思います。

2枚の関係はドアーズ(The Doors)のファーストとセカンドの違いに似ているかもしれません。

この作品は後者で、アルバムを通して初めて真価が分かる逸品です。

 

5位「Silly Love Songs」(アルバム:Wings at the Speed of Sound)

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■曲名:Silly Love Songs
■曲名邦題:心のラヴ・ソング
■アルバム名:Wings at the Speed of Sound
■アルバム名邦題:スピード・オブ・サウンド
■動画リンク:「Silly Love Songs」

このアルバムはある反発心から書かれたそうです。

ポール・マッカートニーはジョン・レノンと違って、メッセージをあからさまにするタイプではありません。

しかしメディアはそんな彼に対して、たわいないラブ・ソングばかり書いていると揶揄する風潮があったそうです。

ただその論調には、当時の時代背景が影響していたかもしれません。

このアルバムがリリースされた1978年は、パンクの暴風雨が吹き荒れた後で、従来の音楽はオールド・ウェーヴとこき下ろされがちでした。

しかしその風潮に対してポールは異を唱え「ばかげたラブソング」という曲名を冠したこの曲を書き上げました。

むしろそうしたポールの姿勢こそパンクだったかもしれません。

そういえば以前にも、以下の同系統の甘いラブ・ソングがありました。

Wings – My Love

私はこれらの曲に甘いラブ・ソングを書く男の反骨心を感じます。

 

6位「Bluebird」(アルバム:Band on the Run)

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■曲名:Bluebird
■曲名邦題:ブルーバード
■アルバム名:Band on the Run
■アルバム名邦題:バンド・オン・ザ・ラン
■動画リンク:「Bluebird」

彼らの最高傑作と名高いアルバムです。

私としてはウィングスの諸作は品質が安定していて、最高傑作を選び難いように感じますが。

しいて言えばファーストは少し出来が落ちるかもしれません。

私はウイングス時代のポール・マッカートニーの曲について、即効性と一般受けする曲が減った一方、良さが分かるまで時間がかかるスルメ曲が増えたように感じます。

聞く度に新しい発見があるような。

ただその例外といえるのが、このアルバム。

明快な魅力を持った曲が多く、それが最高傑作と言わる要因かもしれません。

さてこの曲はレミ・ケバカ(Remi Kabaka)によるパーカッションが印象的です。

またリンダ・マッカートニーとデニー・レインによる男女混声コーラスも曲の魅力を一層引き立てています。

 

7位「Tomorrow」(アルバム:Wild Life)

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■曲名:Tomorrow
■曲名邦題:トゥモロウ
■アルバム名:Wild Life
■アルバム名邦題:ワイルド・ライフ
■動画リンク:「Tomorrow」

このバンドには数多くのメンバーが出入りしました。

しかし核となるのは以下の2人です。

・リンダ・マッカートニー
・デニー・レイン

リンダはポール・マッカートニーの妻で、バンド参加前までは写真家として活動した人のようです。

私は彼女の貢献度合いについてはよく知りません。

もしかしたら音楽の貢献度合いでいえば、デニー・レインの方が重要かもしれません。

彼は出入りの激しいウイングスにおいて、様々な楽器を演奏することができるユーティリティ・プレイヤーでした。

しかもポール・マッカートニーとの音楽的な相性も良かったようですし。

それは以下の曲を聞いても分かります。

Denny Laine – Clock On the Wall

デニー・レインは、ポール・マッカートニーの片腕といえる存在でした。

 

8位「Getting Closer」(アルバム:Back to the Egg)

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■曲名:Getting Closer
■曲名邦題:ゲッティング・クローサー
■アルバム名:Back to the Egg
■アルバム名邦題:バック・トゥ・ジ・エッグ
■動画リンク:「Getting Closer」

ウイングスのラスト・アルバムの曲です。

長い間ウイングスは多少のいざこざはあったにせよ、デニー・レインと妻を含めた3人の関係は盤石でした。

後にリリースされたソロ名義「タッグ・オブ・ウォー」(Tug of War)も、当初はバンド名義でつくられる予定だったそうです。

しかしビートルズ時代の恩師ともいえるジョージ・マーティン(George Martin)からソロ名義にした方がいいと助言されたことで雲行きがあやしくなりました。

その後バンド内の対立が表面化し、結果としてデニー・レインが脱退しています。

思えば前々作「Wings at the Speed of Sound」で、ポール以外が書いた曲が2曲採用され、11曲中5曲でポール以外が歌いました。

もしかしたらポールは他のメンバーに気を遣っていたのかもしれません。

しかし内実としては、依然としてポール・マッカートニーのワンマン・バンドでした。

ポール・マッカートニーはもっとエゴを前面に出して、自らの意向を反映してもいい立場だったかもしれません。

彼にはそれが可能な素養がありましたから。

実際に解散後の彼は「マッカートニーII(McCartney II)」で、ほとんどの楽器を演奏しワンマン・レコーディングでつくり上げました。

そのアルバムからはテクノの影響を感じる「カミング・アップ(Coming Up)」がシングルカットされ大ヒットしました。

 

9位「Country Dreamer」(アルバム:Red Rose Speedway)

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■曲名:Country Dreamer
■曲名邦題:カントリー・ドリーマー
■アルバム名:Red Rose Speedway
■アルバム名邦題:レッド・ローズ・スピードウェイ
■動画リンク:「Country Dreamer」

隠れ名曲であり、極私的お気に入り曲です。

私は良いソングライターにありがちな傾向があるような気がします。

たとえばブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)のようにすぐれた楽曲をいとも簡単に他人に提供したり、アルバム収録曲の選定時にツメが甘いというような。

この記事を書く前に、私はウイングスのアルバム未収録曲を聞き直しました。

その中にはなぜこの曲が漏れたのかと思うことが少なくありませんでした。

私の印象にすぎませんが、良いソングライターは良い曲を簡単に書けるせいか、自分が書いた曲の価値を客観視できていないように感じます。

たとえば佳曲、名曲、大名曲というランクがあるとして、当の本人は自分が書いた曲をどこに分類したらいいか適切に判断していないような気が。

天才ではない人は良い曲が書けたら喜び勇んでその曲をアルバムに収録して、迷わずシングルカットすることでしょう。

しかし良い曲を量産できるソングライターは自分の書いた良い曲に鈍感だったり冷遇しがちかもしれません。

それは良い曲をいつでも書ける実力の裏返しかもしれませんが。

ちなみにキャロル・キング(Carole King)が書いた傑作「きみの友だち(You’ve Got a Friend)」は、ジェームス・テイラー(James Taylor)によって高く評価されて初めて彼女はその曲の魅力に気付いたそうです。

ニール・ヤング(Neil Young)が書いてニコレット・ラーソン(Nicolette Larson)のカバーが大ヒットした「溢れる愛(Lotta Love)」も、当初ニールにとってその曲はデモテープに収録された多くの曲の1曲にすぎませんでした。

さて「Country Dreamer」はシングル「Helen Wheels」のB面曲で、アルバム未収録曲です。

ただボーナストラックとして「Red Rose Speedway」に収録されている場合がありますので、ご購入の際は事前に曲名をお確かめください。

 

10位「Mull Of Kintyre」(アルバム:Wings Greatest)

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■曲名:Mull Of Kintyre
■曲名邦題:夢の旅人
■アルバム名:Wings Greatest
■アルバム名邦題:ウイングス・グレイテスト・ヒッツ
■動画リンク:「Mull Of Kintyre」

最後に満を持してとっておきの曲をご紹介します。

この曲はウイングスが本国イギリスで唯一1位を記録した曲です。

ただアルバム未収録シングルなので、ベスト盤の曲としてご紹介します。

このベスト・アルバムからは、有名曲をもう1曲ご紹介しておきましょう。

Wings – Live And Let Die

さてウイングスのベスト盤を買う時には、1つ注意点があります。

このベスト・アルバムの名前を見ると、収録曲は全てウイングス名義だと思われるかもしれません。

しかし実際はポール・マッカートニーのソロ名義の曲も収録されています。

この曲はウイングス名義です。

そういうことに神経質になりすぎるのは良くないかもしれませんが、コンプリートを目指す人は注意が必要かもしれません。

ウイングスはポール・マッカートニーが、他のメンバーに気を遣っている印象があります。

しかしそれでもポールは圧倒的な才能を感じさせてくれました。

ビートルズを引き合いに出さずとも、ポール・マッカートニーが大きな存在であることを改めて証明した時期といえるかもしれません。

 

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