今回はザ・ポウジーズのランキングを作成しました。
このバンドは、とにかく楽曲に魅力があります。
ジャンル的にはパワー・ポップといえますが、時に陰影に富むメロディは、繰り返しの鑑賞に耐えうる魅力を持っています。
今回は彼らの様々な側面に焦点を当ててみました。
- 1 1位「Solar Sister」(アルバム:Frosting on the Beater)
- 2 2位「Daily Mutilation」(アルバム:Amazing Disgrace)
- 3 3位「I May Hate You Sometimes」(アルバム:Failure)
- 4 4位「Flavor of the Month」(アルバム:Frosting on the Beater)
- 5 5位「Golden Blunders」(アルバム:Dear 23)
- 6 6位「Dream All Day」(アルバム:Frosting on the Beater)
- 7 7位「Accidental Architecture」(アルバム:Blood/Candy)
- 8 8位「Please Return It」(アルバム:Amazing Disgrace)
- 9 9位「The Longest Line」(アルバム:Failure)
- 10 10位「Fall Apart With Me」(アルバム:Success)
- 11 関連記事
- 12 記事一覧
- 13 他ブログ・SNS等
- 14 Amazon広告
1位「Solar Sister」(アルバム:Frosting on the Beater)
■曲名:Solar Sister
■曲名邦題:ソーラー・シスター
■アルバム名:Frosting on the Beater
■アルバム名邦題:フロスティング・オン・ザ・ビーター
■動画リンク:「Solar Sister」
彼らで一番の有名曲です。
この曲を聞かずして、このバンドを語ることはできません。
彼らの音楽を気に入るかどうか、リトマス紙になりうる曲だと思います。
とてもポップな曲ですが、その甘味を引き出しているのは、適度に激しいギター・サウンドかもしれません。
甘さを引き立てるために、あえて苦みを加えるこの方法論は、パワー・ポップという音楽の常とう手段です。
この曲はその最良の例といえます。
とにかくギターソロがすばらしいのですが、ためしに2:11からを聞いてみてください。
ジョン・オウアの歪んだギターが、出来すぎ感のあるこの曲を、更にもう一段階引き上げています。
2位「Daily Mutilation」(アルバム:Amazing Disgrace)
■曲名:Daily Mutilation
■アルバム名:Amazing Disgrace
■アルバム名邦題:アメイジング・ディスグレイス
■動画リンク:「Daily Mutilation」
この曲を選んだことについては、ファンの間でも意見が割れるかもしれません。
確かに彼らの魅力はメロディにありますから、激しすぎる楽曲では、その繊細な味わいが失われがちかもしれません。
そのご意見には一理あるように思います。
しかしそれでもこの曲を推したいのは、ドラムの魅力ゆえです。
前作でブレイクした彼らですが、前作からメンバー構成に変化がありました。
ベースとドラムの2人が脱退して、リズム陣が刷新されました。
ただこの変化は吉と出たかもしれません。
特に新しく加入したブライアン・ヤング(Brian Young)の貢献が大きいように思います。
ブライアン・ヤングといえば、後にファウンテインズ・オブ・ウェイン(Fountains of Wayne)のドラムを務めたことで有名です。
ブライアンの加入は、ポウジーズにダイナミズムや躍動感を与えました。
また彼のドラムは、ジョンのギターと相性が良いように思われますし。
ブライアンは「Hate Song」や「Broken Record」でも、すばらしい仕事をしています。
3位「I May Hate You Sometimes」(アルバム:Failure)
■曲名:I May Hate You Sometimes
■アルバム名:Failure
■アルバム名邦題:フェイラー
■動画リンク:「I May Hate You Sometimes」
彼らはバンド形態をとっていますが、中心メンバーは以下の2人です。
・ジョン・オウア(Jon Auer)
・ケン・ストリングフェロウ(Ken Stringfellow)
ベースとドラムのメンバーは、アルバムによって異なります。
このファースト・アルバムでは正規メンバーはこの2人だけで、他のパートはサポート・メンバー扱いです。
2人は高校で出会い、一緒に曲づくりを始めました。
同級生と思いきや、ジョンの方が1学年下です。
その後彼らは他のパートを募集して、この宅録のアルバムをつくり上げました。
宅録なのでプロデューサーは不在で、実質2人の共同プロデュース作品となりました。
レーベルはポップラマ・レコード(PopLlama Records)です。
アメリカのインディーズ・レーベルに詳しい方には、ファストバックス(Fastbacks)やザ・プレジデンツ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(The Presidents of the United States of America)が所属していたレーベルとして知られています。
しかし最初からこの楽曲水準だったのですね。
録音はしょぼいですが、いや録音がしょぼいからこそ、曲の魅力が際立っています。
4位「Flavor of the Month」(アルバム:Frosting on the Beater)
■曲名:Flavor of the Month
■曲名邦題:フレイヴァー・オブ・ザ・マンス
■アルバム名:Frosting on the Beater
■アルバム名邦題:フロスティング・オン・ザ・ビーター
■動画リンク:「Flavor of the Month」
彼らの最高傑作として名高いアルバムです。
私もどれか1枚おすすめするとしたら、このアルバムを推します。
特に最初の3曲は最強すぎますから。
このアルバムでは「Solar Sister」がクラブ・ヒットしたと言われていますが、私がクラブ・イベントで聞いた回数は、この曲も同じぐらいかもしれません。
このアルバムは、前作からサウンドが変化しています。
特にプロデューサーがドン・フレミング(Don Fleming)になったことが大きいように思います。
ドン・フレミングは、ソニック・ユース(Sonic Youth)やダイナソーJr. (Dinosaur Jr.)などのプロデュースを手掛けたことで有名な人です。
彼はこのバンドの激しいギターに焦点を当てました。
しかし一方で従来からの強みであるメロディを殺さず、激しい要素をいい塩梅で加味しています。
5位「Golden Blunders」(アルバム:Dear 23)
■曲名:Golden Blunders
■曲名邦題:ゴールデン・ブランダーズ
■アルバム名:Dear 23
■アルバム名邦題:ディア 23
■動画リンク:「Golden Blunders」
このアルバムには熱心なファンが多く「Frosting on the Beater」と最高傑作という評価を二分している感じがします。
支持されている理由ははっきりしています。
とにかくメロディの良い曲がそろっていること。
後年に比べると押しの強さには欠けますが、胸をキュンにさせる曲は、このアルバムが一番多いかもしれません。
ちなみにこの曲は、リンゴ・スター(Ringo Starr)がカバーしています。
彼らは前作「Failure」が注目を浴び、DGC Recordsに移籍することができました。
DGC Recordsは、メジャーレーベルであるゲフィン・レコード(Geffen Records)傘下です。
このアルバムでは、初めてプロデューサーが付きました。
しかもジョン・レッキー(John Leckie)です。
ジョン・レッキーといえば、ストーン・ローゼズ(The Stone Roses)をプロデュースしたことで知られる名プロデューサーです。
決して激しい音づくりに向いている人ではありません。
その代わりに、繊細さやポップなところを活かすにはうってつけの人です。
そのおかげか、この作品はとても繊細でコク深い仕上がりになっています。
6位「Dream All Day」(アルバム:Frosting on the Beater)
■曲名:Dream All Day
■曲名邦題:ドリーム・オール・デイ
■アルバム名:Frosting on the Beater
■アルバム名邦題:フロスティング・オン・ザ・ビーター
■動画リンク:「Dream All Day」
このバンドの最大のヒット曲です。
ベスト盤「Dream All Day: The Best of The Posies」のアルバム・タイトルにも使われています。
少しマージー・ビート的な哀愁が感じられますね。
ホリーズ(The Hollies)あたりのテイストに少し近いかもしれません。
彼ら2人は共作名義なので、クレジットを見ても、どちらがどの曲を書いているか分かりません。
ただ2人ともソロ・アルバムの出来が良く、どちらもすぐれたソングライターであることは間違いありません。
ケンのソロから、私が特に大好きな曲をご紹介しましょう。
Ken Stringfellow – Down Like Me
今回のランキングに入れたら、1位を争うぐらいの傑作です。
すぐれたソングライターが2人いることもあって、彼らのアルバムには駄曲がありません。
7位「Accidental Architecture」(アルバム:Blood/Candy)
■曲名:Accidental Architecture
■アルバム名:Blood/Candy
■アルバム名邦題:ブラッド/キャンディ
■動画リンク:「Accidental Architecture」
彼らはビートルズの影響を受けていると言われています。
確かに聞いていて、ビートルズを思い出す瞬間が多々あります。
たとえばこの曲などは、ルーツをたどれば「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー(Strawberry Fields Forever)」あたりに行き着く音像かもしれません。
さてこのアルバムは、彼らが解散状態となった後、活動を再開してから二作目のアルバムです。
活動再開後のアルバムということもあり、躊躇している方もいらっしゃるかもしれません。
しかしご安心ください。
作品の質は維持されています。
ちなみに活動再開後1作目の「エヴリィ・カインド・オブ・ライト(Every Kind of Light)」には、こんな曲が入っています。
こちらもビートルズっぽい曲かもしれません。
現時点の最新作「ソリッド・ステイツ(Solid States)」も、パワーポップ系の有名サイトで、年間1位の評価を獲得しています。
彼らの場合は、活動再開後のアルバムも要チェックです。
8位「Please Return It」(アルバム:Amazing Disgrace)
■曲名:Please Return It
■アルバム名:Amazing Disgrace
■アルバム名邦題:アメイジング・ディスグレイス
■動画リンク:「Please Return It」
彼らはビッグ・スター(Big Star)から影響を受けています。
ちなみに彼らには、ビッグ・スターをカバーしている曲があります。
ベスト盤でしか聞けないオリジナル・アルバム未収録曲ですので、ご存知ない方も多いかもしれません。
実際に彼ら2人は、ビッグ・スターが再結成した時、メンバーとして参加していますし。
再結成後のビッグ・スターを聞くと、この曲に似たテイストを感じます。
2人はビッグ・スター在籍時に曲を提供していたので当然ですが、どちらも共通して良質なペーソスを持ったメロディがあります。
さてこのアルバムは出世作「Frosting on the Beater」の次作ですが、相性が良いと思われたドン・フレミングがプロデュースしていません。
そのせいかセールス面で低迷し、彼らはDGCレコードの契約を失うことになりました。
9位「The Longest Line」(アルバム:Failure)
■曲名:The Longest Line
■アルバム名:Failure
■アルバム名邦題:フェイラー
■動画リンク:「The Longest Line」
このファースト・アルバムには、捨てがたい魅力があります。
偉大な作品のデモ音源を聞いているような感じといいますか(笑)
私は誰かとこのバンドについて話すと、つい「ファースト・アルバムも意外といいですよね」と言ってしまいます。
ファースト・アルバムには、録音の質以外にも、それ以降とは違う魅力があります。
ジャケットもそうですが、この曲などはネオアコみたいではないでしょうか。
クリエイション・レーベルあたりに近い音の手触りもあって、イギリスのバンドみたいだと感じます。
デビュー・アルバムに「Failure」と名付ける皮肉っぽいセンスも、イギリス人みたいですし。
当時の彼らは、まだ二十歳になっていませんでした。
当然まだ成熟しているはずもありませんが、当初から作曲の才能は際立っていたようです。
10位「Fall Apart With Me」(アルバム:Success)
■曲名:Fall Apart With Me
■アルバム名:Success
■アルバム名邦題:サクセス
■動画リンク:「Fall Apart With Me」
彼らはメジャー・レーベルとの契約を維持できず、元在籍していたPopLlama Recordsに戻りました。
ちなみに彼らのファースト・アルバムと、活動停止前のラスト・アルバムのタイトルは、以下の通りです。
・デビューアルバム:Failure →失敗
・第一期のラストアルバム:Success →成功
つまり失敗で始まり、成功で終わっています。
バンドを完結させた感じがしないでしょうか。
表向きには活動停止と発表していましたが、実質的に解散に近い状態だったようです。
理由は明らかにされていませんが、収入を得る手段やアイデンティティの置き場所としてのポウジーズは終わったというような発言をしていました。
さてこの曲は、第一期最後のアルバム「Success」から選曲しました。
「私はあなたとバラバラになる」と歌われていて、まるで解散を示唆しているかのようです。
更にこの曲では、こう歌われています。
ああ、夏を待っていたけれど
しかしそれが来ることはなかった
第一期の解散後、彼らはそれぞれソロ活動を始めています。
しかし彼らはポウジーズを再開することにしました。
また夏を待とうと思ったのかもしれません。
関連記事
■ヴェルヴェット・クラッシュ(Velvet Crush)の名曲名盤10選
記事一覧
他ブログ・SNS等
■このブログの「トップページ」に戻る
※お気に入りに登録をお願いいたします!
■おとましぐらの音楽ブログ(サブブログ)
※オピニオン記事、企画色の強い記事を連載しています
■おとましぐらnote(おすすめ曲一覧)
※良い曲を1曲単位で厳選してご紹介しています
■おとましぐらXアカウント
※フォローをお願いいたします!
Amazon広告
■Amazonで調べ物、お買い物をご予定の方は、こちらからどうぞ
※上のリンクから購入すると、購入金額の一部がこのブログの収益となります
※収益はブログの運営維持費用として使わせていただきます