今回はザ・ポウジーズのランキングを作成しました。
このバンドは、とにかく楽曲が魅力的です。
ジャンル的にはパワー・ポップといえますが、時に陰影に富むメロディは、繰り返しの鑑賞に耐えうる魅力を持っています。
今回は彼らの様々な側面に焦点を当ててみました。
- 1 1位「Solar Sister」(アルバム:Frosting on the Beater)
- 2 2位「Daily Mutilation」(アルバム:Amazing Disgrace)
- 3 3位「I May Hate You Sometimes」(アルバム:Failure)
- 4 4位「Flavor of the Month」(アルバム:Frosting on the Beater)
- 5 5位「Golden Blunders」(アルバム:Dear 23)
- 6 6位「Dream All Day」(アルバム:Frosting on the Beater)
- 7 7位「Accidental Architecture」(アルバム:Blood/Candy)
- 8 8位「Please Return It」(アルバム:Amazing Disgrace)
- 9 9位「The Longest Line」(アルバム:Failure)
- 10 10位「Fall Apart With Me」(アルバム:Success)
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1位「Solar Sister」(アルバム:Frosting on the Beater)
■曲名:Solar Sister
■曲名邦題:ソーラー・シスター
■アルバム名:Frosting on the Beater
■アルバム名邦題:フロスティング・オン・ザ・ビーター
■動画リンク:「Solar Sister」
彼らの中で最も有名な曲です。
この曲なしで、このバンドを語ることはできません。
彼らの音楽を気に入るかどうか、リトマス紙になりうる曲だと思います。
とてもポップな曲ですが、その甘味を引き出しているのは、適度に激しいギターかもしれません。
この曲には私の好きなギターソロがあります。
以下のリンクでは、そのギターソロの直前から再生できるようにしました。
胸を突く稀代のギター・ソロです。
ジョン・オウアの歪んだギターが、出来すぎ感のあるこの曲をもう一段階引き上げています。
2位「Daily Mutilation」(アルバム:Amazing Disgrace)
■曲名:Daily Mutilation
■アルバム名:Amazing Disgrace
■アルバム名邦題:アメイジング・ディスグレイス
■動画リンク:「Daily Mutilation」
このアルバムについては、ファンの間でも評価が割れているかもしれません。
確かに彼らの魅力はメロディにありますから、激しい楽曲では繊細な持ち味が失われがちかもしれません。
そのご意見には一理あるように思います。
しかしそれでも私がこの曲を推すのは、ドラムの魅力ゆえ。
前作でブレイクした彼らですが、前作からメンバー構成に変化がありました。
ベースとドラムの2人が脱退して、リズム陣が刷新されました。
ただこの変化は吉と出たかもしれません。
特に新しく加入したブライアン・ヤング(Brian Young)の貢献が大きいように思います。
ブライアン・ヤングといえば、後にファウンテインズ・オブ・ウェイン(Fountains of Wayne)のドラムを務めた人です。
ブライアンの加入は、ポウジーズにダイナミズムと躍動感を与えました。
また彼のドラムは、ジョンのギターと相性が良いように思われますし。
ブライアンは他にも「Hate Song」や「Broken Record」でも、すばらしい仕事をしています。
3位「I May Hate You Sometimes」(アルバム:Failure)
■曲名:I May Hate You Sometimes
■アルバム名:Failure
■アルバム名邦題:フェイラー
■動画リンク:「I May Hate You Sometimes」
彼らはバンド形態をとっていますが、中心メンバーは以下の2人です。
・ジョン・オウア(Jon Auer)
・ケン・ストリングフェロウ(Ken Stringfellow)
ベースとドラムのメンバーは、アルバムによって異なります。
このファースト・アルバムでは正規メンバーはこの2人だけで、他のパートはサポート・メンバー扱いです。
2人は高校で出会い、一緒に曲づくりを始めました。
同級生と思いきや、ジョンの方が1学年下とのこと。
その後彼らは他のパートを募集して、この宅録のアルバムをつくり上げました。
宅録なのでプロデューサーは不在で、実質2人の共同プロデュースとなりました。
レーベルはポップラマ・レコード(PopLlama Records)です。
アメリカのインディーズ・レーベルに詳しい方には、ファストバックス(Fastbacks)やザ・プレジデンツ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(The Presidents of the United States of America)が所属していたレーベルとして知られています。
しかし最初から楽曲がこの水準だったのですね。
録音はしょぼいですが、いや録音がしょぼいからこそ曲の魅力が際立っています。
4位「Flavor of the Month」(アルバム:Frosting on the Beater)
■曲名:Flavor of the Month
■曲名邦題:フレイヴァー・オブ・ザ・マンス
■アルバム名:Frosting on the Beater
■アルバム名邦題:フロスティング・オン・ザ・ビーター
■動画リンク:「Flavor of the Month」
彼らの最高傑作として名高いアルバムです。
私もどれか1枚おすすめするとしたら、このアルバムを推します。
特に最初の3曲は最強すぎますから。
このアルバムでは「Solar Sister」がクラブ・ヒットしたと言われていますが、私がクラブで聞いた回数はこの曲も同じぐらいかもしれません。
このアルバムは、前作からサウンドが変化しています。
特にプロデューサーがドン・フレミング(Don Fleming)になったことが大きいように思います。
ドン・フレミングは、ソニック・ユース(Sonic Youth)やダイナソーJr. (Dinosaur Jr.)などのプロデュースを手掛けたことで知られる人。
彼はこのバンドの激しいギターに焦点を当てました。
しかし一方で従来からの強みであるメロディを殺さず、いい塩梅で激しさを加えています。
5位「Golden Blunders」(アルバム:Dear 23)
■曲名:Golden Blunders
■曲名邦題:ゴールデン・ブランダーズ
■アルバム名:Dear 23
■アルバム名邦題:ディア 23
■動画リンク:「Golden Blunders」
このアルバムには熱心なファンが多く「Frosting on the Beater」と最高傑作の評価を二分している感じがします。
支持されている理由ははっきりしています。
とにかくメロディの良い曲がそろっていること。
後年に比べるといささか押しの強さに欠けますが、胸をキュンとさせる曲はこのアルバムが一番多いかもしれません。
ちなみにこの曲は、リンゴ・スター(Ringo Starr)がカバーしています。
彼らは前作「Failure」が注目を浴び、DGC Recordsに移籍することができました。
DGC Recordsは、メジャーレーベルであるゲフィン・レコード(Geffen Records)傘下です。
このアルバムでは、初めてプロデューサーが付きました。
しかもジョン・レッキー(John Leckie)です。
ジョン・レッキーといえば、ストーン・ローゼズ(The Stone Roses)をプロデュースしたことで知られる名プロデューサー。
激しさオンリーの音づくりに向いている人ではありません。
その代わりに、繊細さやポップなところを活かすにはうってつけの人です。
そのおかげか、この作品は繊細で味わい深い仕上がりになっています。
6位「Dream All Day」(アルバム:Frosting on the Beater)
■曲名:Dream All Day
■曲名邦題:ドリーム・オール・デイ
■アルバム名:Frosting on the Beater
■アルバム名邦題:フロスティング・オン・ザ・ビーター
■動画リンク:「Dream All Day」
このバンドの最大のヒット曲です。
ベスト盤「Dream All Day: The Best of The Posies」のアルバム・タイトルにも使われています。
少しマージー・ビートっぽい哀愁が感じられますね。
ホリーズ(The Hollies)あたりに少し近いテイストかもしれません。
さて2人は共作名義なので、クレジットを見てもどちらがどの曲を書いているか分かりません。
ただ2人ともソロ・アルバムの出来が良く、どちらもすぐれたソングライターであることは間違いありません。
ケンのソロから、特に私が大好きな曲をご紹介しましょう。
Ken Stringfellow – Down Like Me
このランキングに入れたら、1位を争うぐらいの傑作です。
すぐれたソングライターが2人いることもあって、彼らのアルバムには駄曲がありません。
7位「Accidental Architecture」(アルバム:Blood/Candy)
■曲名:Accidental Architecture
■アルバム名:Blood/Candy
■アルバム名邦題:ブラッド/キャンディ
■動画リンク:「Accidental Architecture」
彼らはビートルズの影響を受けていると言われています。
確かに聞いていて、ビートルズを思い出す瞬間が多々あります。
たとえばこの曲などは、ルーツをたどれば「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー(Strawberry Fields Forever)」あたりに行き着く音像かもしれません。
さてこの作品は一度解散し、活動を再開してからの2作目です。
活動再開後のアルバムということもあり、躊躇する方もいらっしゃるかもしれません。
しかしご安心ください。
作品の質は維持されています。
ちなみに活動再開後1作目の「エヴリィ・カインド・オブ・ライト(Every Kind of Light)」にも、こんな曲が入っています。
こちらもビートルズっぽい曲かもしれません。
現時点の最新作「ソリッド・ステイツ(Solid States)」も、パワーポップ系の有名サイトで、年間1位の評価を獲得しています。
彼らの場合は、活動再開後のアルバムも要チェックです。
8位「Please Return It」(アルバム:Amazing Disgrace)
■曲名:Please Return It
■アルバム名:Amazing Disgrace
■アルバム名邦題:アメイジング・ディスグレイス
■動画リンク:「Please Return It」
彼らはビッグ・スター(Big Star)から強く影響を受けています。
ちなみに彼らには、ビッグ・スターをカバーしている曲があります。
ベスト盤でしか聞けないオリジナル・アルバム未収録曲ですので、ご存知ない方も多いかもしれません。
実際彼ら2人は、ビッグ・スターが再結成した時メンバーとして参加していますし。
再結成後のビッグ・スターを聞くと、この曲に似たテイストを感じます。
2人はビッグ・スター在籍時に曲を提供していたので当然ですが、どちらも共通して良質なペーソスを持ったメロディが特徴です。
さてこのアルバムは出世作「Frosting on the Beater」の次作ですが、相性が良いと思われたドン・フレミングがプロデュースしていません。
そのせいかセールス面で低迷し、彼らはDGCレコードとの契約を失うことになりました。
9位「The Longest Line」(アルバム:Failure)
■曲名:The Longest Line
■アルバム名:Failure
■アルバム名邦題:フェイラー
■動画リンク:「The Longest Line」
このファースト・アルバムには、捨てがたい魅力があります。
偉大な作品のデモ音源を聞いているような感じといいますか(笑)
私は誰かとこのバンドについて話すと、つい「ファースト・アルバムもいいですよね」と言ってしまいます。
ファースト・アルバムには録音の質以外にも、それ以降とは違った魅力があります。
ジャケットもそうですが、この曲などはネオアコみたいではないでしょうか。
クリエイション・レーベルあたりに近い肌触りがあって、イギリスのバンドみたいだと感じます。
デビュー・アルバムに「Failure」と名付ける皮肉っぽいセンスも、イギリス人みたいですし。
当時の彼らは、まだ二十歳になっていませんでした。
当初から2人の作曲の才能は際立っていたようです。
10位「Fall Apart With Me」(アルバム:Success)
■曲名:Fall Apart With Me
■アルバム名:Success
■アルバム名邦題:サクセス
■動画リンク:「Fall Apart With Me」
彼らはメジャー・レーベルとの契約を維持できず、元在籍していたPopLlama Recordsに戻りました。
ちなみに彼らのファースト・アルバムと、活動停止前のラスト・アルバムのタイトルは、以下の通りです。
・デビューアルバム:Failure →失敗
・第一期のラストアルバム:Success →成功
つまり失敗で始まり、成功で終わっているというわけです。
オチを付けてうまくバンドを完結させた感じがしないでしょうか。
活動停止の理由は明らかにされていませんが、収入を得る手段やアイデンティティの置き場所としてのポウジーズは終わったというような発言がありました。
ここまでが第一期です。
さてこの曲は、第一期最後のアルバム「Success」から選曲しました。
「私はあなたとバラバラになる」と歌われていて、まるで解散を示唆しているかのようです。
更にこの曲では、こう歌われています。
ああ、夏を待っていたけれど
しかしそれが来ることはなかった
第一期の解散後、彼らはそれぞれソロ活動を始めています。
しかしその後彼らはポウジーズを再開することにしました。
また夏を待とうと思ったのかもしれません。
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