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バッドフィンガー(Badfinger)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はバッドフィンガーのランキングを作成しました。

彼らは、多くの悲劇に見舞われたことで有名なバンドです。

その話を避けてご紹介するのも不自然ですので、そういう話もご紹介しています。

ただそれだけではありません。

しかし現在多くのパワーポップ系のバンドが、彼らからの影響を公言しています。

彼らの楽曲の魅力は、今もなお色あせていないように思います。

 

1位「Come and Get It」(アルバム:Magic Christian Music)

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■曲名:Come and Get It
■曲名邦題:マジック・クリスチャンのテーマ
■アルバム名:Magic Christian Music
■アルバム名邦題:マジック・クリスチャン・ミュージック
■動画リンク:「Come and Get It」

この曲はポール・マッカートニー(Paul McCartney)が書いた曲です。

こんな逸話が残っています。

マッカートニーは彼らに「デモ音源と同じように演奏してくれ」と指示。

それに対してバンド側は「僕ら流にアレンジしたい」と申し出たが、マッカートニーは「これが絶対的に正しいアレンジだ。間違いなくヒットするから変えないでくれ」と拒否した[2]。

カム・アンド・ゲット・イット (曲) ウィキペディア

結果、確かにポールの言う通りになりました。

この曲は全英チャート4位、全米チャート7位を記録しています。

当時ポールは、ビートルズ(The Beatles)に在籍していて絶好調でした。

彼がこの曲のデモをメンバーに渡したのは、1969年8月2日です。

同月ポールは「ヘイ・ジュード(Hey Jude)」という、英米共に1位を獲得した曲を発表しています。

まさにポールが、神がかっていた時期といえるでしょう。

ちなみにポールが作成したデモ音源は「ザ・ビートルズ・アンソロジー3(Anthology 3)」に収録されています。

そちらのリンクを貼っておきましょう。

The Beatles – Come And Get It

かなり似ていることが分かると思います。

 

2位「No Matter What」(アルバム:No Dice)

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■曲名:No Matter What
■曲名邦題:嵐の恋
■アルバム名:No Dice
■アルバム名邦題:ノー・ダイス
■動画リンク:「No Matter What」

とはいえバッドフィンガーにも、すばらしいソングライターがいました。

その筆頭は、この曲を書いたピート・ハム(Pete Ham)です。

この曲は当初、ピート1人によって録音されました。

「セヴン・パーク・アヴェニュー(7 Park Avenue)」に収録された、原曲のリンクを貼っておきましょう。

Pete Ham – No Matter What

上のバージョンも良いですが、私はこちらのパワーポップ版の方に軍配を挙げたいと思います。

この曲は、パワーポップのルーツの1つに挙げられることがあります。

あくまで私の考えですが、パワーポップと呼ぶには、ある条件が必要かもしれません。

それは、エッジの立ったギターが入っていること。

私はイントロの段階で、この曲をパワーポップと呼んでいいように思います。

1:34からのギターソロも、本当にすばらしいですね。

 

3位「Lay Me Down」(アルバム:Head First)

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■曲名:Lay Me Down
■曲名邦題:レイ・ミー・ダウン
■アルバム名:Head First
■アルバム名邦題:ヘッド・ファースト
■動画リンク:「Lay Me Down」

このバンドの不運の1つは、マネージャーだったスタン・ポリーの存在です。

スタンは凄腕と言われていましたが、その手腕は大変あこぎなものでした。

スタンが引き起こした様々なトラブルは、次第に彼らを追い詰め、バンド内に不協和音を引き起こすことになります。

特に金銭面のトラブルは深刻で、前作「Wish You Were Here」のリリース後、スタンが管理していた10万ドルが消失していたことが判明しました。

それを受けて当時彼らが在籍していたワーナーブラザーズ(Warner Bros.)は、スタンを訴える準備を進めていました。

このアルバムは、そうしたトラブルのさ中に製作されています。

そうした経緯もあって、ワーナーはこのアルバムの発売を拒否しました。

するとスタンの方は、バンドへの支払いを停止するという暴挙に出ました。

ただそんな中でも、ピート・ハムはスタンをかばい続けていたそうです。

そうした中、ある事件が起こりました。

絶望のあまりピートは、身重のガールフレンドを残し1975年4月24日に「スタンを道連れにする」という意味深な遺書を書いて首吊り自殺を遂げる。娘が誕生したのは彼の死の一ヶ月後であった。

バッドフィンガー ウィキペディア

前日ピート・ハムは、スタンの同僚から彼の悪事を告発する電話を受けていました。

この曲はまぎれもなく、パワーポップ・クラシックと呼ぶにふさわしい名曲です。

しかしこのアルバムが日の目を浴びたのは、2000年になってのことでした。

その時既にピートの死から15年が経過していました。

 

4位「Without You」(アルバム:No Dice)

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■曲名:Without You
■曲名邦題:ウィズアウト・ユー
■アルバム名:No Dice
■アルバム名邦題:ノー・ダイス
■動画リンク:「Without You」

この曲はハリー・ニルソン(Harry Nilsson)のバージョンで有名ですが、そちらはカバー曲で、こちらがオリジナルです。

この曲は、ニルソン以外にも多くの人にカバーされています。

今ではニルソンのバージョンより、マライア・キャリー(Mariah Carey)のカバーの方が有名かもしれませんが。

ここではハート(Heart)のカバーをご紹介しておきましょう。

Heart – Without You

この曲では曲名通り、君なしではいられないと歌われています。

しかし、僕にはこれ以上君に与えられるものがないと。

この曲については後に印税をめぐる裁判に発展し、その心労が原因でトム・エヴァンズ(Tom Evans)が自殺したのではないかと言われています。

しかし曲に罪はありません。

おそらくこの曲はこれからも歌い継がれていくはずです。

ポール・マッカートニーも、この曲を「史上最高の歌」と評しているぐらいですから。

 

5位「Beautiful and Blue」(アルバム:Magic Christian Music)

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■曲名:Beautiful and Blue
■曲名邦題:美しく青く
■アルバム名:Magic Christian Music
■アルバム名邦題:マジック・クリスチャン・ミュージック
■動画リンク:「Beautiful and Blue」

このバンドのメイン・ソングライターは、ピート・ハムです。

しかしトム・エヴァンズやジョーイ・モーランド(Joey Molland)も良い曲を書けました。

彼らはピート・ハムの死後1975年に、一度バンドを解散しています。

しかしトム・エヴァンズとジョーイ・モーランドらが中心となって、1979年に再結成しました。

再結成の第一弾「ガラスの恋人(Airwaves)」は、メイン・ソングライターを失ったにしては、かなり良い出来でした。

しかしその後トムとジョーイが仲たがいし、一時は2人どちらもバッドフィンガーを名乗るという事態にまで発展しています。

その後様々な訴訟に巻き込まれ、トムは自殺してしまいました。

ただピートの自殺の頃から既に、自殺をほのめかす発言があったといわれています。

この曲は、トム・エヴァンズが書いた曲です。

トムはピートと多くの曲を共作し、2人はまるでもう1組のレノン&マッカトニーのようでした

この曲はトムが単独で書いた中で、最高傑作の1つだと思います。

 

6位「Baby Blue」(アルバム:Straight Up)

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■曲名:Baby Blue
■曲名邦題:ベイビー・ブルー
■アルバム名:Straight Up
■アルバム名邦題:ストレート・アップ
■動画リンク:「Baby Blue」

このバンドに幸せな時期がなかったわけではありません。

彼らはポール・マッカトニーの後押しで良いスタートを切ることができました。

しかしその後も自分たちが書いた曲で、順調にステップアップしていきました。

この曲も、全米シングルチャート14位を記録しています。

ただこのサード・アルバムでは、いくつかトラブルに見舞われています。

アップルレコードは、ジェフ・エメリック(Geoff Emerick)の下で録音を終えていたにも関わらず、リリースを拒否しました。

先程悪徳マネージャーについて書きましたが、当時アップル・レコード(Apple Records)の社長であったアレン・クレイン(Allen Klein)も、彼らの前に立ちはだかりました。

アレンの問題については、また後で取り上げます。

そのゴタゴタの結果プロデューサーに就任したのが、トッド・ラングレン(Todd Rundgren)。

この曲はパワーポップの傑作といえる出来になっています。

 

7位「Maybe Tomorrow」(アルバム:Magic Christian Music)

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■曲名:Maybe Tomorrow
■曲名邦題:メイビー・トゥモロウ(明日を求めて)
■アルバム名:Magic Christian Music
■アルバム名邦題:マジック・クリスチャン・ミュージック
■動画リンク:「Maybe Tomorrow」

彼らは元々パンサーズ(The Panthers)というバンドが母体でした。

その後アイヴィーズ(The Iveys)と改名しましたが、他のバンドとの混同を避けるため、再度バッドフィンガーと改名することになりました。

アイヴィーズについては、ソフト・ロックの文脈で取り上げられる機会も多く、一部では有名なバンドです。

この曲はアイヴィーズ時代からのレパートリーです。

そちらのリンクを貼っておきましょう。

The Iveys – Maybe Tomorrow

この曲は、彼らが最も希望に満ちあふれていた頃を象徴しているかもしれません。

この曲では、未来への希望が歌われています。

「きっと明日には、君は恋をしてしまうかも」
「僕は自分の人生を愛しているし、幸せだ」

その後彼らに降りかかる出来事を思う時、いささか胸が痛みますが、この曲は今もエバーグリーンな魅力を放っています。

特に1:50からのトム・エヴァンズの歌は、スティーヴ・マリオット(Steve Marriott)に匹敵する名唱ではないでしょうか。

 

8位「Know One Knows」(アルバム:Wish You Were Here)

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■曲名:Know One Knows
■曲名邦題:誰も知らない
■アルバム名:Wish You Were Here
■アルバム名邦題:素敵な君
■動画リンク:「Know One Knows」

このバンドの魅力をおおまかに説明すると、主にピートとトムが書いたすぐれた楽曲を、ジョーイのパワーポップ的なギターで味付けしたところといえるかもしれません。

ジョーイのギターは、この曲でも存在感を発揮しています。

特に1:56からのジョーイのギターソロはすばらしく、1970年代ロックの魅力が凝縮されているように思います。

そのギターソロの間に、日本語のナレーションが入っていますね。

女性はこう話しています。

誰も知らない、誰も知らない
なんてすばらしいのでしょう
あなたが、輝いている時

朗読している女性は、サディスティック・ミカ・バンドの加藤ミカだそうです。

このアルバムのプロデューサーは、クリス・トーマス(Chris Thomas)。

当時加藤ミカはクリス・トーマスと不倫関係にあったらしく、その後加藤和彦と離婚することになりました。

ここでもまた不幸エピソードが入ってしまいましたね。

ただこの曲はフックの効いたメロディがすばらしく、全盛期の彼らの魅力が味わえる名曲だと思います。

 

9位「I Miss You」(アルバム:Badfinger)

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■曲名:I Miss You
■曲名邦題:涙の旅路
■アルバム名:Badfinger
■アルバム名邦題:涙の旅路
■動画リンク:「I Miss You」

このアルバムは、ワーナーブラザーズに移籍してから最初のアルバムです。

アップル・レコードからの移籍だったのですが、契約末期アップルとバンドの関係は最悪でした。

その原因の多くは、マネージャーのスタンによるものでしたが。

結果として彼らは、アップルから恨まれる形で移籍をすることになりました。

ちなみに移籍後アップルのラスト・アルバムは、勝手に「Ass」と名付けられましたが、これは「ロバ」という意味です。

あと「お尻」という意味もあります。

悪意を感じないでしょうか。

それにアルバム・ジャケットは、以下のようなものでした。

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ロバがニンジンにつられるというイラストで、これは彼らがワーナーの契約金に目が眩んだことを示しています。

彼らは移籍先のワーナーと、1年間に2枚のアルバムをリリースする契約をしていました。

しかしこのアルバムの直前に、アップルが「Ass」の発売をぶつけてきたため、この作品は166位と大惨敗になりました。

それがビジネスなのかもしれませんが、少々大人げないかもしれません。

ただこの曲はそんなゴタゴタを感じさせない、すばらしいメロディを持った曲です。

私はつくづく音楽に専念させてあげたかったなと思います。

 

10位「Day After Day」(アルバム:Straight Up)

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■曲名:Day After Day
■曲名邦題:デイ・アフター・デイ
■アルバム名:Straight Up
■アルバム名邦題:ストレート・アップ
■動画リンク:「Day After Day」

彼らについては、前期(アップル)と、後期(ワーナー移籍後)に分けて考えた方がいいかもしれません。

前期は、ビートルズの影響が強いポップな作風でした。

彼らの有名曲や定番曲は前期に集中しており、このランキングでも前期の曲が多めになりました。

しかし後期がつまらないわけではありません。

後期の作品は地味ですが、じっくり噛みしめて初めて分かるような魅力があります。

この曲はジョージ・ハリスン(George Harrison)が、スライド・ギターを弾いています。

ジョーイはそれを参考にしたのか、次作「Ass」の「カウボーイ(Cowboy)」という曲で、土くさいプレイを披露しました。

この曲は、後期を予告した曲といえるかもしれません。

私は初期に名曲が多いと思う一方で、アルバム単位では後期の作品を聞き返すことが多いです。

そもそも彼らは駄作がなく、どのアルバムから入っても問題ありません。

しいて言うと、ライブ盤「デイ・アフター・デイ・ライヴ’74(Day After Day: Live)」はあまり音が良くないので、後回しでいいかもしれませんが。

今回は悲劇的なエピソードが多くなり、気分が落ち込んだ方がいたら申し訳ありません。

しかし彼らはそんな逆風の中にあっても、輝きを放つ曲を数多く残しています。

私は今回それをお伝えしたいと思いました。

 

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